ここから本文です。

令和3年度第1回 長崎市原子爆弾被災資料審議会

更新日:2022年2月18日 ページID:037920

長崎市の附属機関等について(会議録のページ)

担当所属名

原爆被爆対策部被爆継承課

会議名

令和3年度第1回長崎市原子爆弾被災資料審議会

日時

令和3年11月16日(火曜日)13時~

場所

原爆資料館2階会議室

議題

(1) 現在の被爆建造物等の状況
(2)新たな被爆建造物等の現地調査結果及び所見
(3)その他

審議結果

(1)現在の被爆建造物等の状況
事務局より、これまでの被爆建造物等の保存活用、取扱基準の概要等について説明。

(2)新たな被爆建造物等の現地調査結果及び所見
前回審議会で報告した、新たに情報が寄せられた建造物等7件(工作物1件と被爆樹木6件)について、3月に会長、副会長、各専門分野の委員及び事務局で行った現地調査結果と所見を説明。7件のうち、2件の樹木を新たにCランクとして被爆建造物等に位置付けることについて、委員より意見聴取。

【委員】この橋(工作物)は南西方向へ約2キロの範囲内にあり、現地で実見したところ、県内ではよく見られる一般的な造りで、被爆後に拡幅されていることは確認できた。しかし、被爆の痕跡は見受けられず、基準に照らして、被爆建造物等にはあたらないとするのが妥当と思う。

【委員】樹齢の長い樹木は皆被爆はしている訳だが、その全てを被爆樹木として取扱うものではなく、被爆の悲惨さを物語る状況がなければならない。また、樹木は工作物と違い生きており、76年の間にキズやヤケド部分は盛り返そうとして、細胞が増え、傷口は分からなくなるので、非常に判断が難しい。
まず千歳町のカシノキは、樹木の上から下まで亀裂が入り空洞になっており、これほど大規模な亀裂はかなり大きな衝撃がないと考えられず、病害虫による傷口ではなく原爆による損傷と思う。所有者の母が一緒にヤケドにあった樹木で、この木は私だという証言は大事にしたいし、原爆を語る生き証人の木と判断する。
次に、三原2丁目のカキノキだが、隣接する家屋は全焼しており、この木の枝葉も全部黒焦げになったものと思う。被爆の痕跡があったであろう上のほうは剪定されてしまっているが、幹が生き永らえ、傾斜地に生き続けた生命力の強い木である。おそらく数年後には新芽を出し、それが人に生きる力を与えたものと思われ、先祖の代から長年一緒に生きてきたという所有者の証言も、樹木とともに残していくべきであろう。
これら2本の樹木は所有者の生々しい証言もあり、被爆樹木として取り扱ってよいと思う。他の4件の樹木については、明らかな被爆の痕跡はなく、該当する樹木ではないと思う。

【委員】被爆建造物等にあたらないとする件の所見で、社会的状況の関連が不明とあるが、例えばどういう社会的状況があれば関連があると判断できるのか。

【事務局】例えば、長崎県防空本部跡は原爆投下時、山陰に立地していたため被爆の痕跡は全く見られないが、知事室等があり、第一報及びその後刻一刻と変わる甚大な被害状況等を伝え続けたという社会的状況があったという重要度からBランクの被爆建造物等として位置づけられている。被爆の痕跡のみならず、被爆の実相を伝えるにあたり、そのものがどれだけ物語を持ち、それを伝える力があるかどうかが社会的状況を示すという判断基準になろうかと思う。

【委員】樹木の場合で、社会的状況があったという事例はこれまであったのか。また、どのようなものが社会的な状況にあたるのか。

【事務局】樹木は、所有者の家族や地域の方々の中で語り継がれてきたということが、社会的状況にあたると思われる。例えば、山王神社の大クスは、被爆後数カ月で新芽を出し、その地域の方々が、樹木の生命力から、クスノキに負けていられない、自分たちも立ち上がろうというような生きる希望にして、復興に繋がったというのが挙げられる。

【委員】今回該当しないとした樹木のうち2本は距離的に同じ範囲内にある。調査の中での物理的な痕跡、聞き取り調査で得られる証拠がないが、それは調査の手段に限界があるからで、それで該当しないと結論づけるのは気になる。被爆建造物等が非常に少なくなっている中、一つ出てきたら、できるだけその位置付けを見つけていく作業が必要ではないか。
例えば今回、工作物は1件だけだが、こういう工作物も残っているものは少なくなっている。そもそも規模が小さい場合、必ずしも痕跡がすぐ残るわけではなく、被爆後また数十年経っており、さらに痕跡を見つけようとしたら難しい。
一つのものから被爆の悲惨さを伝えるという個別な見方では、そんなに見つかるわけではない。見方を変え、あちこちにある被爆建造物等を一つの全体的な視点で見ていくことは今後必要であり、そういう意味で、被爆建造物等のABCDのランク付け等の方法も検討する必要があり、出てきたものはできるだけ積極的に見ていくことが必要ではないかと、個人的に考えている。

【事務局】委員ご指摘のような視点が、被爆から76年以上たった現在では、(被爆者がいなくなる)これから先を見据えると大切な視点であり、昨年から今年にかけ、全被爆者に呼びかけをするなど、被爆資料の収集を強化しているところである。一方、寄贈いただいたものに関して、集めてそれで終わりというわけではない。全て何らかの活用というか、後世につながる取扱いをしており、そのためには、それぞれのものにストーリー的なものが必要になってくる。
委員が言われた樹木も、爆心地との距離的な位置関係と樹齢から、被爆の影響は少なからず受けたのは間違いないが、いま申した視点から、社会的状況を踏まえないと、それをどう活かしていくかというところにも繋がらない。被爆当時に存在していたというもの全てを同様に取扱うのも、なかなか活用まで繋がらないという点では難しいのではないか。現時点では何も分からないが、今後、新たに何らかの証言等が出てきた際には、改めて議題に挙がることもあろうかと思う。
実際、御船蔵町の橋についても、証言や文献等がないか調査した。例えば多くの被爆者がこの橋を渡って避難したとか、この橋のどこかが救護所的に使われ治療を受けたというような証言等が出てくれば、活用にも繋がるかと思うが、実際は、そういう証言もなかなか出てこないという中では難しいと思う。

【会長】
他に御意見がなければ、事務局説明のとおり、新たに情報が寄せられた建造物等7件のうち、2件の樹木をCランクの被爆建造物等として取扱うとの判断でよろしいか。

(一同同意)

(3)その他
前回審議会で報告していた、被爆資料のレプリカ作製、被爆資料の収集強化、被爆樹木カラスザンショウの移設展示について、その後の実施状況を説明。

お問い合わせ先

総務部 行政体制整備室 

電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(9階)

アンケート

アンケート

より良いホームページにするために、ご意見をお聞かせください。コメントを書く

観光案内

平和・原爆

国際情報

「行政運営・審議会・指定管理者・監査」の分類

ページトップへ