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令和2年度第3回長崎市観光・MICE振興審議会

更新日:2020年12月14日 ページID:035835

長崎市の附属機関等について(会議録のページ)

担当所属名

文化観光部観光政策課

会議名

令和2年度第3回長崎市観光・MICE振興審議会

日時

令和2年11月6日(金曜日) 15時00分~

場所

市役所本館地下1階 議会第1、2会議室

議題

(1)長崎市観光・MICE戦略(素案)の検討
(2)長崎市版DMOの体制・取組内容
(3)コロナ禍の観光情報発信

審議結果

~ (1)長崎市観光・MICE戦略(素案)の検討 ~

事務局 <「第2回の振り返り」及び「長崎市観光・MICE戦略(素案)」の説明>

~ (2)長崎市版DMOの体制・取組内容 ~

委員A

本日は「長崎市版DMOとは」「現在の取り組み」「今後の取り組み」「課題と対策」について話をさせていただく。

長崎版DMOは、平成28年度の法人登録以降、データの収集分析、IoTを活用した実証事業、グローバルな皆様の招聘、ナイトタイムコンテンツ実証事業など、様々な取り組みを行ってきた。これまでの取り組みを踏まえて改めてDMO体制の見直しを行い、現在はデータ収集分析、それからインバウンドとMICEの事業を推進している。

これまでの取り組みを振り返って長崎市版DMOとしてどのように推進していくのか、事業進行とともに、長崎市の皆さんとあるべき姿について検討してきた。長崎市版DMOは長崎市の観光まちづくりの舵取り役として「訪問客の満足度向上・消費拡大」「事業者のビジネスチャンスの拡大・収益の向上」「市民の満足度向上」の3つを念頭に、長崎市行政の皆様と連携して、継続的な観光まちづくりを行っていく。

これまで長崎さるくを作っていたり、資源磨きをしたり、これまで長崎市の皆さんが培ってきた観光・交流のまちづくりを、DMOとしてさらに進化させるべく取り組んでいきたいと考えている。来ていただくだけでなく、消費に繋げるコンテンツも生み出しながら満足してもらう。これまでの観光業界、観光事業者だけではなく、漁業農業といった方々も巻き込みながら、そういった素材も含め商品化し、それを来訪者に伝えてビジネス機会に変えていく。そういった流れを作り出してみんなでこれをチャンスと捉えて積極的に取り組んでもらうような取り組みをしていきたいと考えている。

長崎市版DMOを運営しているのは長崎国際観光コンベンション協会であり、その中核となるDMO推進局は補助スタッフを含めて9名。今年度まではデータ収集分析の他に、インバウンド誘客、消費増の企画を行う「DMO企画戦略部」とMICEの誘致受入を行う「MICE振興部」この2部門で事業推進を行っている。去年はなかなか人材が整わず苦労したが、やっと今年4月に整った。海外勤務経験のある旅行会社出身の方や、全国各地でDMOに近い組織を立ち上げた観光デザイナーの方、民間企業で経営企画してきた方、広告代理店の方、こういった方々が年度末に揃って今の体制がスタートしている。

現在の取り組みについては、DMOとしての中期計画の策定が今まさに準備段階に入っている。長崎市観光MICE戦略と同様、年度内に5年間の事業計画を策定する予定で、11名の委員の方々に内定をいただいた。専門家の皆さん、市内の事業者の皆さん、経済団体の皆さん、こういった方々に委員に就任いただき、3回検討委員会を実施する方向で調整を行っており、今月の20日に1回目を行う予定になっている。ここでは、今までいろんなデータの収集分析状況、昨年もインバウンドの環境分析をDMOとして行っていたが、こういったものの結果やこれまでの事業結果を参考にし、さらには九州新幹線西九州ルート開業も2年後の秋に決まっている状況、来年には「出島メッセ長崎」の開業などを見据えて、中期的な展望で策定する。

それとともに、今年度まで事業としては、インバウンドとMICEの振興に携わっているが、まずインバウンドは、長崎にも体験型の商品とかコンテンツはいくつかあるが、まとまってない状況で引き継いでいる。こういったコンテンツをまとめて、よりニーズに合ったコンテンツをいくつか作って磨き上げ、それを旅行者や来訪者に売り込んでいくため販売の仕組みを作ろうということで構築までは終わっている。これを今後オープンしてプッシュしていきたい。

なぜこういう取り組みを進めようと思ったかというと、事業者の皆さんに「コンテンツを作ってください」とか「いろんな体験型メニューを紹介してください」という話をしたときに「誰が売るのか」「どのように売るのか」みたいな話になってくるため、まずはDMOとしてそういったものの仕組みづくりをしていこうということで取り組んでいる。

そして、今年度はDMOとしても事業者の皆さんだけではなくて自分たちでも作っていこうということで造成事業も行っている。

今回このコロナ禍において、国内に目を向けた取り組みを行った。朝食を活用した「朝活」という取り組みを行おうと思っている。今までの長崎としては「食」という魅力をキーとして売り込んできた。一方で、「食」が滞在増に繋っていない。

ホテルの事業者から相談いただいたのが、朝食を楽しませることによって滞在が増えるのではないかといった話をいただいて、朝食メニューをつくることによって宿泊を増やせないかという取り組みを行った。長崎らしい風景ということで港町というのはひとつの長崎のキーワードということで、そういった様相を見せる場所が出島ワーフという港の目の前にあり、ここに飲食事業者がいる。この方々にお願いをしたら快く引き受けていただいて、長崎の食材を活用したスペシャルな朝食と長崎がこれまで取り組んできた長崎さるくを掛け合わせるような商品設計を行った。10月からスタートさせたところ、意外にもメディアの方に興味をもっていただいたというのもあって、まずは1ヶ月間で130人が利用したということで、それなりに進んでいるのかなというふうに思っている。この朝の時間帯を使った魅力向上、いわゆる宿泊滞在増、それから消費増の期待をしており、長崎の一次産品のファンづくりをしていくという流れで考えている。こういった食の魅力を持って帰っていただいて、長崎の食を取り寄せるなどに繋がっていけばいいなという思いも一方で考えている。

それからこの事業以外にもDMOとしては、観光庁の補助事業もあり、インバウンドを対象としたナイトタイムエコノミーに関わるコンテンツ造成事業を長崎市の「出島」「伊王島」をエリアとしてコンテンツ造成を図っている。さらには、県市にもそれぞれコンテンツを作るための補助事業があり、そういった補助事業に取り組まれている事業者とも連携しながら、長崎の楽しみ方を作り上げている。

次にMICEだが、このコロナ禍の中でも、仕組みづくりと機能強化を行っている。誘致に関しては、現在「B to B」で東京の方に誘致活動は正直しにくい環境にあるため、地元にある受入を行う事務局に市役所の皆さん、「出島メッセ長崎」の運営会社の皆さんと一緒に回っているところ。

一方で、MICE参加者の皆さんには長崎の「食」「物産」「体験メニュー」の楽しさを伝えていき、消費拡大、満足度向上を図っていきたいと考えている。

「出島メッセ長崎」の開業まであと1年を切っているため、受入効果を高めるための仕組みづくりなど待ったなしの状況で、飲食店情報システムや体験プログラム、ユニークベニューなどを同時に走らせながら仕上げにかかっている。長崎においてはMICEを受け入れる事業者の皆さんで「長崎MICE事業者ネットワーク」という組織を立ち上げており、こちらの事業者の皆さんにも声をかけさせていただきながら連携してMICEの受入効果増大、それから満足度向上に取り組んでいきたいと考えている。

とはいえ、今回のコロナ禍でいくつかの学会や大会がオンラインに変更になった。今回オンラインに変更になったある学会において、事務局から相談を受けて、何かできないかみたいな話をいただいた。元々はメッセージや動画をいただけないかという話だったが、MICEの責任者がせっかくだったら動画の紹介だけではもったいないということで参加記念品として長崎の土産を提供できないかとか、オンライン懇親会をするという話も聞いたため、そういった飲食物を販売することはできないかと言ったら快く受けていただいて好反応ですぐ実行することになった。募集にあたっては、「長崎MICE事業者ネットワーク」の皆さんや、コンベンション協会の会員に声をかけたが、1,600円のお土産が1,000個売れた。これをやることによって160万円は確実に市内の事業者さんにもたらすことになったと思っている。また、オンライン懇親会をやるにあたって長崎の素材として何かないか販売できるものはないか、事業者の皆さんのご協力をいただいた。売り上げはわからないが、そういった機会も作ることができた。せっかくオンライン懇親会をするのであれば長崎らしい風景にしませんかということで、孔子廟でWeb懇親会が実現した。これによって「次また来てくださいね」とお願いするという取り組みを行った。なんとかお金に変えていくという取り組みをDMOとして取り組んでいきたい。

事業計画の策定、インバウンド・MICEの仕組みをはじめとした事業振興の他にも、事業領域拡大に向けた準備を行っている。大きくは3つ。1つ目は、国内誘客事業の開始準備と市からの移行準備。2つ目は、令和4年度に開業する総合観光案内所におけるサービスの検討、3つ目は、DMOのガバナンス体制も含めて組織を見直すタイミングであるということで、市役所の皆さんと連携して調査検討を行っている。

現在の取り組みとして最後に、コロナ禍における取り組みは、まず安心安全な観光地づくりとして長崎大学の監修のもと、産官学連携する認証事業で「term NAGASAKI SAFETY」という取り組みを行っている。取組内容はコロナ禍の対策ではなくて、今後長崎として安全安心な宿泊を提供できるようなまちにステップアップしていくために取り組んでいる。8月から取り組みを開始して、今、市内の約70施設、それから一緒に取り組んでいる雲仙・佐世保と合わせると150施設が認証を受けている。そのことによって、旅行を希望される皆さんから一定程度評価をいただいている。

長崎県の補助事業でDMOと連携した取り組みが3本進行している。オンライン学会による消費拡大をこのコロナ禍においても取り組んでいる。今後の取り組みは令和4年度までの組織の進め方について計画を立てている。事業に関しては、DMOの事業計画に基づいて進行させていくが、4年度までには、一定程度DMOの形を作り上げていきたい。DMOに関して言えば求められていくものは変わっていくと思っている。これまでの観光まちづくりも徐々に変わってきたと思っているが、長崎市の観光まちづくりというのは永遠のテーマだと思っている。私もそういった中で、DMOをしっかりと作り上げて、長崎の観光・交流の舵取り役として機能を高めていきたい。

組織強化や仕組みづくりも行いながら少しずつ事業も増やしていこうと思って、地域にも入っていこうということでやっているのが、長崎の南端にある野母崎という地域に、来年、恐竜博物館ができるこのタイミングに合わせて、地元の皆さんが結構やる気になっている状況を受けて、お手伝いできないかということで取り組んでいる。

最後に課題感だが、3つだけ挙げている。ガバナンスの部分で組織運営のあり方、人材の育成、行政との連携強化、長崎市観光MICE戦略の中での行政との役割分担について議題として上がっていたが、組織が違うということは情報共有を密にどう取っていくか。文化観光部だけではなく、商工部とか、水産農林部等の連携とか、そういったことも課題感として市と共有しながら取り組みを進めている。

~ (3)コロナ禍の情報発信 ~

オブザーバー

長崎の観光の未来のためにデジタル変革の重要性、単なるプロモーションだけではなく、磨き上げや受入環境整備、人材育成、これはコロナ禍で加速してほぼ確定されていると思う。デジタル対応をいかにうまくやるかやらないかが未来を作れるか作れないかぐらいに全地球上が観光業界はそういう状況。UNWTOの提言もある。長崎市観光・MICE戦略は5か年計画ということで5年後を考えたら間違いなくそうで、新幹線もでき、どんどん立派な街になっていくときに、「ソフト事業=デジタル変革」でうまくやるということを、枝葉のデジタルではなくて、根と幹のデジタルも重要であるという話をさせていただきたいと思う。

まず、長崎市の観光の検索数が上がっていない。Googleトレンドを使うと、どなたでも同じデータがとれるが、2011年の4月から10年。「長崎 観光」という言葉を探している全地球上の言葉の検索数の指数。これは別に否定ではなくて、チャンスということ。これだけ素晴らしい観光資源を持っている「長崎 観光」があまり増えていない。福岡と広島が競合かどうかわからないが、同じ被爆地である広島の観光と、九州の代表として福岡の観光は過去10年間でFITのお客様がデジタル上で検索する人が増えている。ワクワクしている人が増えている。何があるのかなと興味関心が増えている。コロナ禍で緊急事態宣言のときに一気に最低の検索数に日本中が下がり、戻りが一番遅いのが長崎。広島と福岡は、また検索する人がGoToキャンペーンで間違いなく増えているということで、この検索数が増えれば増えるほど、行きたい人が増えているということで、当然お金も落ちるだろうという仮説でほぼ世界中でものを売るときには検索数を増やすという全ての地域とか企業が考えている。このことで、今まではあまりデジタル中心で観光戦略がもしかしたら、あまり幹になっていなかった可能性があると思う。だから、これを契機に、私の提言は、戦略のビジョンのところに、長野県と宮城県がこの間作ったように、「観光デジタル変革」を手段として、「これの手段による」みたいなところを入れられるといいのではないかと思う。

私は、栃木、伊勢、行政等々の名刺をいただきながらフェローとして何をしているいかというと、まさによそ者の立場で行政の皆様、地域の皆様に、デジタル需要で地域の住民の皆さんの幸せを作るということを、観光だけではなくて全領域最近やることが増えてきて、やはり計画は非常に重要で、つくりっぱなしではなく、実践までというなかで、DMOの皆さんが実働部隊で動かれるときの組織と予算と人材を圧倒的に強化しないとうまくいかないというようなことを話している。

地方創生EXPOでデジタルマーケティングを担当しているが、地方創生の柱の一つにデジタルマーケティングというのが確立されているぐらいで、特別講演もさせていただき、来年2月にも同様に講演をさせていただく。

プロモーションに関わる部分について、私が最近、日本観光振興協会に寄稿させていただいた。私の頭の中ではプロモーションの予算については、コロナが来たこともあり、7割程度デジタル投資をするべきである。日本の都市はだいたい5%ぐらいになっているが、一気に10倍、財政の健全化のために、さらに「非接触」「非対面」のやり方をしないと住民に嫌がられてしまうという緊急事態で第3波が来る可能性も非常に高いという中で、旧来型だと後戻りしづらく、イベントをやることに決めたら中止するかしないかやきもきし、紙のパンフレットを渡す際には感染リスクがあるため、これをお客さんが持っているスマートフォンで整理をする。三重県知事は最近そういう観光戦略に切り替えている。

お伝えしたいことは、まず、コロナ禍の今こそデジタルファースト宣言を観光でぜひされたらいいのではないかなと思う。そのぐらい私は重要だと思う。

2点目は、そのためには体制。DMOと市の両方だと思うが組織と人材と予算のあるデジタルマーケティング戦略本部をつくる。なかったらデジタルファーストは実現できない。ここはやはり、DMOのMはマーケティングとマネジメント。マネジメントができないとマーケティングできないということになるので、組織、人材、予算の強化が必要。

3点目は、乱暴な議論だと捉えられてしまうかもしれないが、おしなべて7割程度をインバウンドも国内もデジタル投資をしないと魅力も届かない。さらに届いた後に効果測定の「見える化」を図りながら本当に人が来ていくらお金が落ちているかというのはデジタル化以外だと測定が不可能なので国際常識でだいたい7割程度が今デジタル投資になっている。

4点目は、「3:6:1の法則」。前観光庁長官の田端さんから「サーロインの法則」と異名をいただいた。「3」の割合で「作る」。パンフレット作ったり、イベントを仕立てたり、お祭りをしたり。「6」は、修学旅行のお客様、FITのお客様、全世界のいろいろな地域にいる長崎ファンを増やすという「届ける」ための費用、やはり広報宣伝は民間で稼ぐためには、6割程度届ける予算に投資をするということが多いが、旧来型の日本の観光政策はあまりしなくても高度成長期でお客さんがどんどん来ていたのでやらなくてよかったが、「6」が予算の割合としては一番重要で、最後の「1」は「効果測定」で効果のない事業はやめていく。どんな魅力を使い長崎の分身を作り媒体としてどんな手法で届けたらどんな効果が上がって、効果は単なる入込客数だけでなく、消費額、認知度、来訪意向度という物を買うまでの段階がある。それが折れ線グラフで何%上がっているのか下がっているのかをわかるようにしない限り稼げるわけがありませんというような事柄を計測できるような舞台を作るというのは全てのDMOの皆さんのチャレンジになると思うし、国際的にはそういうことを通常、基本業務として行っていると思う。

さて、コロナは黒船。ピンチはチャンスという話をしたいと思う。167年前に横浜に恐れ慄きながら黒船ペリーを迎えていたと思う。当時外国人の方に日本を滅ぼされるのではないかと思われていたが、ただやっぱり、外国人の方と共存共栄をするという、異国の方を討ち滅ぼすことはできないという話で、コロナと一緒だと思う。コロナウイルスを駆逐することはできないというのが、医学界の常識なのでウィズコロナ時代であり、まさにピンチをチャンスに。

「非対面」「非接触」も観光の一部である。「MICEのMは人に会わなければ駄目ということではない」ということ。今日も河野委員は東京からビデオ会議でミーティング参加されているわけで、ミーティングのMICEはハイブリット型で考えて、「非対面」「非接触」で密を作らないやり方も含めたMICEという事柄も戦略の中で入れられるようにすることが重要。当時黒船が来たように、コロナが来たことによって世界中の観光事業者の方々が悩みながら考えている。

そんなことも話しながら、陛下の一般参賀を見ると、2009年は国民の皆さんは手には日の丸の旗を振っていた。2018年はどう変わったか。写真を撮るため手には旗からスマートフォンに変わっている。観光客のお客さんを見ているとお気づきかと思うが、駅前、空港で握りしめているのはスマホ。今日のホテルはどこ行こうかなと検索する。パンフレットはあった方がいいと思うが手に持って歩いている人が何%いるのか。スマホは全員持って見ているのではないか。高齢者の方々が多い一般参賀の皆様でもスマホを持っている状況。

2020年オリンピックは延期になったが、歴史の教科書に出るだろう。ニューノーマルの到来と。地球上が同じ悩みを持ちながら、悩みで終わらせるのか、チャンスを作るかは考え方次第。これは「バネ」にするということ。今落ち込んだけど、「バネ」が強靭であれば一気にチャンスが生まれる。検索数が増えてないということはチャンス。「バネ」が今まであまり機能していなかったと。これが最初にデジタルの上で検索してみたいと思うような伝え方をするということをやるという戦略を決めてしまえば、戦術と実行計画と役割分担と予算投資によって確実に検索数は上がり続ける。それを毎週チェックする。こういうような組織を作るというのはマーケティングの話になってくると思う。

近代マーケティングの父、コトラーが言っている。「Digitize or Die(「デジタル化するかさもなくば死ぬか」)」2015年コロナ前に日本で発言している。それぐらい、我々人類はお猿さんが人間になったときに火を使うのを覚えて、食中毒がなくなって、おいしいもの食べて、飢え死にしなくなったと同じぐらいデジタルというのは誰もが手に入れた未来。若い方だけが使っているとか全くそんなことはなく、高齢者の方が今一番デジタル化しているという状況で、一般参賀も同じ。

そこで、経営視点のデジタル戦略。長崎地域経営観光戦略をデジタル中心に考える必要性。これに気付いていただければもうOK。中心にデジタルを置いて、観光デジタルでうまくやるとすべて繋がる。

「GIGAスクール構想」は子供たちの教育のため1人1台の端末がある。デジタルと繋がらないと勉強できないから可哀想ということでデジタル教育も今、緊急予算がついている。あと福祉、高齢化も、癌検診のどんな名医よりも、AIが画像認識で癌を瞬時に見つけてしまう。つまり、高齢者福祉とか市民サービス、農業もAIによる自動運転のトラクターを導入し、防災も無線を鳴らすだけでは命が救えない。広報も、広く報じる国際広報も含めてデジタルを中心に行っていくという全方位なデジタルという考え方を書き込むと良いと思う。

実行するときは悩むと思うがそこはできるかは官民共創で大学も含めてまさにデジタル化していくといろんなお金が集まる。そんな中のファンドを作りながらみたいなことを、今までを否定せずに未来をつくるときにコロナがきたことがバネになったと振りかえられるような戦略を5年見据えて作るのは我々の責務だと思う。

観光は中心にデジタルをおいてプロモーションするだけでは駄目。受入環境整備でWi-Fiを繋がるようにするということを一面的に取り上げられるが、決してそれだけではない。パンフレット、スマートフォン、アプリケーション、長崎を歩いている方が握りしめているものはスマホ。スマホを軸にして、快適な長崎さるくができる環境を作るということを圧倒的に先にされた方がよい。非接触・非対面であれば、絶対に人にうつらない。自分のスマホを触るだけだから。

街の情報をGoogleマップみたいなところに載せるのも無料。今、愛媛県では5000ヶ所登録をする緊急予算もあげているが、Googleマップは0円予算で登録ができる。

あと生産性向上の話で、FAXを使っている国民は日本人だけ。アフリカの方も使っていない。紙を前提とした働き方のハンコを廃止すると国が言っているものと同様。

観光事業者の皆さんは苦労されていると思うが、デジタルを使って「なるほど楽になったね」とピンと来る方を増やす。三重県は340名の100時間の緊急トレーニングを観光事業者に県の緊急予算で行っている。これは広告の仕組み、解析の仕組み、SNS、Google、フェイスブック、ツイッター、全部をトレーニングで学ぶ。何が広告できるのかということを観光事業者が100時間受ける。このようなことも事業化される。

「おもてなし」というのは対面だけじゃないということ。スマートフォン上でのおもてなし。観光案内所の代わりがスマホになっている。タイ人の方がタイ語で喋れば、AIがどこか良いところないですかという質問に対して、一人一人分けて返してくれるということはデータベースを作ってどんどん学ばせれば技術的に可能。観光案内所に外国語で話されても困ると思う。

「デジタル=スマートフォン」。スマホを軸にした観光戦術になっていくという理由が、最新データによると、85%が日本人でもスマホを持っている。観光客にすると90%以上だと思う。もしくはグループの方でお年寄りが持っていなくてもご家族がもっている。2020年で60代の方は7割がスマホ。70代の方もガラケーを抜いて50%がスマホになった。高齢者の方々が多い日本においても、スマホが入り口で大丈夫という時代。

さらに観光庁調べの訪日外国人の消費動向で「旅ナカで一番に役に立った旅行情報源」はスマホが8割で圧倒的。観光案内所のリアルのインフォメーションセンターが2割。まずスマホを整備しないといけないというのも一目瞭然。

こういうことから、来年度の予算で実行できるような予算組み、もしくは計画を誰がやるのかということを書き込めるようにする前の基本的な戦略が今審議されている長崎市観光・MICE戦略。コロナでこの辺は加速している。逆戻りということない。全世界でビデオ会議が当たり前。

そして、旅ナカで調べられている情報は「交通手段」あと「観光施設」「飲食店」。遠い方に長崎の魅力を届けようと思えば思うほど、観光予算は限りがあるので、デジタル予算の割合を高める。インバウンドでは90%ぐらいだと思う。今、マイクロツーリズムでも5割ぐらいの予算でプロモーションを行っていく必要があるのではないか。一律5%や残りの予算でデジタル予算を組むというのが今、だいたいの地域でそういう状況。

インバウンドが停止している今、ふるさと納税・物販と組み合わせながら観光だけでなくハイブリッドで稼ぐ。DMOの皆さんが取り組まれたように「MICE × 物販」で稼ぎながら観光復活を待って、ファンを作っていく。それを当たり前にできるような資金とプロデューサーを量産していく必要がある。

国が「デジタル庁」を創設する。国の方針もデジタルファーストということ。河野大臣のFAXも紙もハンコも廃止していくという発言は基本的に好意的に受け止められている。「骨太の方針2020」を読んでみたら、102回「デジタル」という言葉が使われている。今までこんなことはなかった。ウィズコロナ時代における国全体の方針がデジタルをいかに最大活用するかということである。この長崎市版を作り上げるのは、今いる有識者の皆様がまさにブレーンで、市の方々がまさに司令塔だと思う。

私は宮城県の観光に過去2年、今も関わっているが、5日前に「デジタル変革による宮城観光回復戦略が決定された」と発表された。安全安心の確保とともにデジタル変革を宮城は県全体で進め、新たなビジネスモデルの創出を図るという内容。手段としてのデジタルであるということを明確に表記したことがわかりやすいと思う。

何をやるのかというと、例えば、受入環境のデジタル化、オンラインツーリズムの導入、デジタルマーケティングといった観光分野のあらゆる施策においてデジタル化を加速するということが県全体の観光戦略でコロナ時代を戦っていく。

これはUNWTOが言っていることと一緒で、プロモーションも受入もデジタル中心で、旅行者がデジタル化したので、先回りしてデジタル化しないとおもてなしができないということ。

検索数があまりあがっていないということはチャンス。今までは、多分やらなくても済んでいた。長崎は知名度が高く、修学旅行も行く。FITやらなくても済んでいたけど、今後は少子高齢化で修学旅行では耐えられないというときに、いかにスマホを握りしめて1日100回検索している人に選ばれるかということを先にやらないと稼げなくなるということが仮説として正しいと皆さんが思われるのであれば、私が話したことをぜひ審議されるとよいと思う。

東京都はYahoo!Japanの社長が副知事になっている。小池都知事も未来をつくるためにデジタル人材を登用して、副知事クラスにデジタルユーザーを入れた。

三重県知事の鈴木英敬さんが官邸で発表したのは、スマホを軸にしたデジタル変革を行うというアフターコロナを見据えた戦略で、唯一、行政でIT戦略本部構成員の方。

あとさらに、栃木県の福田知事はデジタル戦略本部を置き、デジタル化の予算を組んでいる。

九州では別府の長野市長が「デジタルファースト宣言」をコロナ前の2019年6月25日に発出をしている。日本中でもう15ヶ所ぐらいが「デジタルファースト宣言」をされているが、別府を見習う感じになっている。3つの戦略として「市民サービスのデジタルファースト」「行政運営のデジタルファースト」「観光戦略のデジタルファースト」ということを1年半前に発出している。これを職員全員が学ぶという形の話をされて、さらに次期総合戦略にこれが入った。単なる宣言だけでなくて、書いていることはよくある話ではあるが、予算をデジタル化するということまでコミットした。

浜松市は「DXの成功は、組織・人材・予算を強化すること」と鈴木市長に話をしたら、半年以内に3つとも整えられた。

1つは戦略を作られたときに、プロモーションのデジタルファーストの予算割合は「3(制作):6(伝達):1(検証)」ということを明記した。予算を作り直すということ。「1」の検証できない事業をやめる。これは「検証」が旧来型だとやりづらく、イベントは予算を使って終わってしまう。どういう効果があったからできることをどんどんやっていくというデジタル形になっていく。

そして、副業兼業の公務員を募集している。5つのポジションを「ビズリーチ」のようなデジタル人材募集サイトを使ったらいい方が集まる。5人ぐらい集まっている。兼業型DMOの登用も進めるといいと思う。長崎は魅力ある都市だが、交通の便が良くない。ただ、ビデオ会議で働ける。私なんか喜んで長崎市のDMOの皆さんと一緒に何かできたらと思う。

浜松市はデジタル予算をデラックス予算と名付けて、12億円をコロナ前に発出をしている。今、楽天もYahoo!も浜松市に注目していて、それぞれ投資というか、どんなことを一緒にできるのかということで民間の方も知恵とお金が集まる。

あと神戸市は、DX専門官、クリエイティブディレクター、広報戦略アドバイザー、チーフエバンジェリストという肩書きを持っている民間の方々を登用している。似たような考え方で、長崎市のDMOの中、もしくは長崎市の観光政策課の中で、 嘱託職員みたいなことで運用すればできると思うので、神戸と同様に長崎は知名度が高いから良い方が集まると思う。神戸市の広報部長と最近話をしたら、Yahoo!や楽天と包括連携協定をしている。

出雲市も今1,350万円を緊急予算化してデジタルファースト宣言をした。具体的にどういう戦術と実行計画と予算取りをしたらいいかということを提言するためのキックオフを行い、そのための基礎的な予算ということで、国費の内閣府の交付金をうまくもらいながら行っている。

さて、予算の整理だが、観光予算全体があり、広報や受入の予算がある。その中でデジタル投資をしている割合を現状把握すると良いと思う。

これは浜松市といえども10%だった。来年は浜松市70%にすることを決定し、通達を出した。全部署がそういうふうにしないといけないということを財政課が文書を作り、「3:6:1」かつデジタル予算の割合を平均7割になるように予算要求させるようにした。そうでないと財政課からチェックが入るだろう。

ここまで統制を効かせられるかどうか別にして、考え方はそういうことをコミットしていくこと。デジタルというのは「1年遅れると7年遅れる」。「ドッグイヤー」と一緒で人間の1歳が犬の7歳。逆に早く取り組めば有利になるということがある。5ヶ年計画を失敗してしまうと35年遅れになるので、ここはデジタル軸をぜひご審議していただきたいと思う。

デジタルの簡易的な仮説のプロモーションをやりながら、トップがデジタルの部署を作り、デジタル投資をしていくという予算のコミット、デジタル人材の登用。こういう階段型で考えられるといい。

あとは単にデジタルといっても宣言するだけでは駄目なので、DX組織を作ったら組織を鍛えて、マニュアルを作り、行政の皆さんは異動してしまうので、異動して元に戻らないように、仕組みを機能させるような形を市とDMOの皆さんの中で役割分担をしながら、デジタルで未来をつくるということを考えるようなプロジェクトをぜひ発足することをおすすめする。

受入環境整備やスマホファーストでということはゼロ予算でもすぐできるという話で、岡山の両備グループがリアルタイムのバスの時間、料金、データ、フェリーも含めて、Googleマップにフィードさせることを事業化されて、バスがどこを走っているのかがわかる。3分や10分ぐらい遅れることがあると思うが、どこの国の人が見ても各国言語になっているのでわかる。今、バスはどこを動いているかということをオープン化するような事業を、もしまだしていないのであればすぐされたらいい。船の航路も持って、県と連携するところもあると思うが、こういうようなことはGTFS形式という。フィードしてしまえば、お金が0円。使用料もかからないので、東京都はようやくオリンピックを見据えてリアルタイムバス情報に都営バス全体が変わった。沖縄県も変わったと伺っている。

東京の離島の式根島は、0.1%しかお店がキャッシュレス決済できなかったが、今8割できるようになった。これはまちづくり協議会が音頭を取った。いかにおもてなしが出来ていないか。現金しか駄目なところは感染する確率が高い。お金が一番汚いと言われている。お店は手数料がかかるのを嫌がる気持ちはわかるが、やっぱりこれは町ぐるみで協議会が音頭をとって手数料がかかってもその方が消費額は上がるということを証明してお客さんがたくさん増える。「クリーンな街ですよ」というのは「キャッシュレスできる街です」ということを作った上で発信をされると良い。

スマホの地図も0円でできる。草津観光協会は「草津温泉 蕎麦」と検索するとGoogleマイビジネスというGoogleが持っている無料機能の中でお蕎麦屋さんの写真や営業時間、メニューなどを全部綺麗に整えるということをみんなでやろうと頑張った。これは検索するとすごくまち歩きしやすい。草津に行ってスマホを持っていれば、どこで何を食べようかなというときに間違いがない。休みのときは休みと表示される。フェアをやるときはフェア情報が出る。日本中で結構これは行われていて、受入環境整備として感染リスクがない事業で、お客様が紙にも触らない、自分のスマホを触るだけということで、一般参賀の話で高齢者の方々でもスマホを握りしめている時代だということ。

京都市観光協会では有償事業でGoogleマイビジネス登録事務局を作り、そこにお金を払っている。Googleにはお金をいただいていないが、ここに電話をしたら、お店の方に代わってやり方を教えてあげますよということで、これはDMOの予算で原資をとりながら3年目になる。そうすると「いもぼう平野屋」が外国の方の検索数が20倍に増えたことを京都市がお墨付きを与えて、だから登録してくださいということを推進している。

日本の場合はデジタル予算の割合が少なすぎる。これは否定しないが、旧来型はやることありきで新しいデジタルにはお金がないからできないとなっているが、逆にする必要がある。私に言わせると「3:6:1」でやるべしと決まればデジタル型になる。「1」の効果検証ができるから。

日本はプロモーション予算の5%程度のみがデジタル化。5年も前にアメリカは6割、韓国でも4割の予算はデジタル投資をしていて、観光予算はデジタル投資をするのが国際常識になっている。ドイツはパンフレットをもはや作っていない、ポスターを貼っていない。

1分のムービーはウェブページ3,600枚分の情報量を持っている。「3」で作り「6」で届けるという広告の出し方で、どこのエリアに住んでいる何歳ぐらいの方に30万円あれば、10万回再生させることができる。世界中もしくは日本のどこかのエリアの方のスマートフォンに長崎市の素晴らしいよだれが出そうなガストロノミーの動画を見せることができる。「3円×届けたい数」で予算化できるということを予算の中に入れておいた方がいい。

動画で「ワクワク」したら「ふむふむ」するためのホームページも作りっ放しにしないで分析をしながら、誘導するための広告を、お子さんがいそうな方かそうじゃないか、年収が高そうな方かそうじゃないか、出し分けする。観光は基本的に富裕層戦略です。平均よりアッパーレベルの方も、あとでお子さんと長崎を一緒に旅したいと思う発信をするといい。個人情報を取らずにそういう方のスマホだけに予算を使うことが1人あたり50円切手ぐらいの予算でできる。

そういうことを思うと、DMOの中もしくは市の観光政策課のところで組織・人材・予算が重要になってくる。佐賀市の仕様書をモデルとして学ぶようなことを行うといい。

最後にUNWTOがGoogleと協力して、無償の観光業界のデジタルトレーニングを行っている。沖縄コンベンションビューローは8つのカリキュラムで医療会議しようとか、スマホの地図に登録しようというようなことをトレーニングで沖縄県の観光事業者向けに発信されている。これもお金が1円もかかっていない。観光庁のお墨つき(後援)を受けているので、長崎市も広島県などのようにパートナーとなって、お金がかからないのでこういう人材トレーニングを進めることから始めたらいいのではないか。

4点お話しした。「デジタルファースト宣言」ができるような観光戦略を作られるための審議をされると良いと思う。「デジタル体制(組織・人材・予算)の強化」と「予算の7割ぐらいをデジタル投資」。正しいかどうかはデータに基づいて検証されていい。予算割合は「サーロイン(3:6:1)の法則」。

以上、長崎が未来に向けて輝き続けるためにデジタルを使いこなせるようなビジョンの計画が必要ではないかという話をさせていただいた。

~ 協議 ~

委員B

陳内さんとこういう席を同じくするのはたびたびあり、おっしゃる通りだが、そればっかりで現実は動かないということをいつも言っている。そのうえで、陳内さんのデジタルファーストをどう実現するのかということを考えていくことが大事。陳内さんのおっしゃることを批判するということではない。

前回、「事業の内製化」の重要性を話した。新型交付金が潤沢について、今まで観光に予算がついてなかったのにお金が取れるようになった。そうすると、やれることがはっきりしない。

だからおっしゃる通りデジタルの充実が図られないといけなかったが、そのデジタルを実際に動かしていこうと思ったときに何が必要だったかというと、プロパー職員のトレーニング。

トレーニングなしに、デジタルツールを導入したり、あるいはいろんなマーケティングを展開したりということをやっても、空打ち状態になってしまう。そのあたりの事も考えた上で整理しなければならない。だからプロトタイプのように、70%だって言われると違和感を覚えてしまう。それぞれのところによって違うだろうと思う。

例えばターゲットとしている国の市場を100%とすると、最初に名前も知らないような土地に来てもらうということをやろうと思ったらまず知名度を上げないといけないから認知を高めなければいけない。そのための動画の有効性は間違いないと思う。文章で聞くよりも、画で目から入ってくるほうがやはりドキドキ感も違うから、当然その認知度が高まり、興味関心も高まる。

東北観光推進機構という広域DMOは、「東北の春/夏/秋/冬」というビデオを作って、YouTubeに載せている。見ていただくとすごい再生回数で、これは、「東北の秋」と「東北の冬」に一番お金をかけている。だからYouTubeのインストリーム広告やディスカバリー広告に数千万単位でお金が入っていくと飛躍的に再生回数が上がる。

でも、2018年から2019年にかけて「東北の冬」は再生回数が900万回上がっているが「東北の秋」はほとんど変わっていない。これは広告をやっていないからだとヒアリングしたらわかった。今日調べてみても、「東北の秋」は、さほど増えていない。

これは当たり前のことでYouTubeは毎分500時間の動画が世界中からアップされてくるので、探してもらえるわけがない。なぜなら検索するときに「東北」と入れないから。皆様方が例えばアメリカの地方に行くときに「ジョージア」なんて入れるのか。「ペンシルベニア」なんて入れるのかということ。

だから有効な広告の打ち方をしない限り駄目なわけで、だからこそ伝える力が大事だという話はまさしくその通りだが、東北観光推進機構は新型交付金をもらっているときだけ広告を出せる。JNTOが作った「東北の春」は東北観光推進機構が広告を打ってくれないので、再生回数が6万回で終わってしまっている。自分たちで作ったビデオでなかったら、東北観光推進機構は全然広告を打たない。これはJNTOのものだからと思ってしまっているから。

これが実態で、作って、伝えるというのはその通りだが、この再生回数がそのままお客さんの数に繋がったと思うか。これはアウトプットにしかすぎない。いわゆる「お勉強」。アウトプットというのは、言い方は悪いけど「お勉強」。これは特に国の様々な競争戦略資金というのを取ってくるときに、あなた方のKPIはなんですかと聞いてくるので、例えばホームページを改修するのであれば、ページビューを何万回増やすとか、こういうことを書いて、うちの職員も一生懸命頑張っているが、「それはあなたの「お勉強」だから、勉強のために税金を使わせてもらっているということをわかっておきなさい」と言っている。「それによってどれくらい人が来たのか。どれだけお金が落ちたのか。アウトカムをどうやって作り上げるのか考えなさい」と言っている。それをやらないと、「お勉強」だけで終わってしまう。実際にきれいな映像だからこれをアメリカのDMOの皆様方に見てもらうと、「Very beautiful!」と驚く。

だけど私は作らない。なぜなら、この後、誘導できていない。何の誘導ができていないのか。カスタマージャーニーをつくったが、これは仮説で、いろんなヒアリングや、実際にどういうことをやっているのか海外の論文から拾い出してまとめたもの。だから、実際に正しいか検証ができていないので、できれば来年度検証したいと思っている。どのファネルに変わるときにどういうものが最も有効なのかということを知るためのもの。「名前も知らない層」「名前は知っているけど行ったことがない層」「リピーター層」。DMOはなかなか旅行者の個人情報やメールなどの連絡先を収集するということはしないので、ホテルや航空会社などとどう連携しながら、そのファネルに落とし込んでいくのかということをやらなければいけないということを整理している。

例えば「名前も知らない層」に、認知をしてもらい、興味関心を持ってもらい、比較検討してもらいながら最終的に購入に結びつける。このときに何が有効なのかということを我々は知りたい。

デジタルが有効だということはわかっているが、例えば日本政策投資銀行と財団法人日本交通公社が毎年出しているインバウンドへのアンケート調査を見ると、4割の人がガイドブックを見てきましたというのは欧米にも東南アジアにもいる。それはどういうことかというと、日本に行こうと“決めてから”、情報収集した中にはガイドブックも入っているということ。だけど名前を知らないうちには、そのガイドブックは買えやしない。だからこそ、デジタルという飛び道具が必要で、美しい映像が必要だということになってくる。

我々はどの段階にいる国の人たちに対してターゲティングし、プロモーションするのかということを決めたときに、それが動画なのかどうなのかということが決まってくる。一定程度知名度は高い長崎の「名前も知らない層」というのは世界全体の何分の1みたいなことがわかるとしたら、それだったらもっと興味関心を持ってもらうにはどうしたらいいのか、比較検討してきてもらうにはどうしたらいいのかという段階ごとに何をやるのかということを考えるようになる。だからそのときにどの段階でも、ウェブサイトが中心になると思うから、当然のことながら、どこの段階でもデジタルファーストになる。これは間違いないと思う。

ただ、その中でデジタルに中心を置いて今年は展開するのか、ガイドブックの改定の年にあたるその前々年だからこそ日本担当のライターを見つけ出して引っ張ってきて、 次の改訂版のときには長崎のもっと深い事を書いてもらいたいと思ったら、お金のかけるところは違う。そういうような、どの段階のところに力をかけるのか、どの国に対して力をかけるのか、バランスを考えた上で最終的にデジタルファーストである。

だからそれは7割だと言われると違和感を覚えるし、常に3:6:1の予算割合だと言われると違和感を覚えるので、そのあたりを明らかにしたい。3:6:1だったと確信を持って言うのか、割合は若干違って、やはりコンテンツをもっと徹底的に作り込まない限り、客は来ないということになるとしたら、それは3:6:1じゃなくて、もしかしたら6:3:1なのかもしれない。そういうことをちゃんと知りたいと思う。

「認知」から「興味・関心」、「比較・検討」の段階までがプロモーション。デジタルファーストの中で展開されるが、次のステップになると「購入」してもらわなければいけない。そうなってくるとOTA(Online Travel Agency)であったり、旅ナカサイトであったり、飲食店の予約サイトであったり、こういうところでどういうように戦略を作り上げるのか考えなければいけない。その段階を「トラベルトレード」と呼んでいる。そうなってくると旅行会社やOTA(Online Travel Agency)などの様々な予約サイトの中でどう整理するか。

瀬戸内DMOのマーケターだった村木さんという方は独立して頑張っていらっしゃるが、この方はこういうような様々なファネルの中でデジタルもやり、パブリックリレーションズもやり、ということを繰り返しながら、その結果検証をするに当たってADARAというサイトを活用してブッキング分析というのをやるとおっしゃっている。

それが検証にあたるわけだが、ただ、全日空の予約がプロモーションをやったときに増えましたと言っても、必ずしも広島に来てくれているかどうかわからない。マリオットが情報提供していて客が増えてきたといっても、マリオットが広島の方になければ、必ずしも瀬戸内の方に来てくれているかどうかもわからない。

そこで重要なものが、海外のDMOはDMS(Destination Management System)と言って予約決済ができるサイトなどを自分たちで持っている。それをホテルの皆様方がサイトコントローラーに出しているものを予約が取れるようにするのか、それとも世界各地のOTA(Online Travel Agency)の取り込みをしながら整理していくのか。こういうようなことをやろうとする。これは村木さんに限らず、東京でやろうとしている会社もあれば、神戸でやろうとしている会社もあれば、BtoBのプラットフォームを提供するアメリカの会社の基盤システムを活用しながらサービサーとしてやりたいと考えている会社なども含めて、今後いくつも出てくる可能性があると思う。私もいくつかに関係しているが、「安く上げる」というところからまずスタートしていかないと、今のDMOの皆様方の新型交付金がなくなってからの財政状況で言うと、デジタルファーストにお金を入れてくれるかもしれないが、それでも結構厳しい状況が生まれそう。

旅ナカでの体験から、その後共有する段階では良いレビューを書いてもらうように働きかけなければいけないということをそれぞれの段階でどこがデジタルファーストで、どこを中心にやっていくのか。今の皆様方の状況からいくと、「今年はデジタルではない」という判断も当然あっていい。そのあたりをしっかりと考えてやっていくということからすれば、私はどう考えても人材育成・トレーニングにもっとお金をかけるというのが今の状況だと思う。

無料でGoogleがやってくれるというものに展開するのもいい。だけど、そこにお金をかけているというプレッシャーによって職員が本気になってどこまでやるのかということも含めて、私はそこにお金をかけてもらえたらいいなと思う。

デジタルファーストだが、リアルとの間のコンタクトポイントをしっかりと自分で設計できる人間を育成していくことが、デジタルファーストをいかに効率的にアウトカムに結びつけるのかということに繋がる。

だから、陳内さんのおっしゃっていることを一切否定しているわけではなく、ただ、7割がデジタル予算と言われるとちょっと違和感があるということを思うだけで、「3:6:1」というのも必ずしも、様々な場面であてはまるのかと言われるとそうでもないというように思っているだけ。だから、そういう判断はそれぞれの地域がしっかりと考えてもらわないといけないということを申し上げたいだけ。そういうことを考えた上でデジタルファーストを実現していくという流れにしてはどうか。

委員C

今の2人の話は今回の長崎市のビジョンをつくる上でも、本質的な部分でもあると思う。現実の問題から言うと、沖縄県でも、このことで今、試行錯誤しながら行政とDMOとの関係性、予算と人材の関係、業務のすみ分けを明確に分けきれないグレーゾーンもある。そういう中でデジタル化に向けてどう取り組むのか。

先日沖縄でツーリズムEXPO2020も開催したが、一つのキーワードは「ハイブリッド」だった。デジタルだけでは100%ではない、リアルだけでも100%ではない。こういうハイブリッドの時代の中でどのように観光地として発展をしていくのか。MICEのあり方をどう安全安心に実現をしていくのか。さらには地域経済への波及効果、社会的な効果を含めてどうこの時代にやっていくのかというのが大きく問われている。一つ一つを実施しながら考えていく。イベントを中止するか、開催するか悩んでいるとき、中止ありきで考えるのではなくて、やるとしたらどのようにやればできるのかというところから考えていかないと進めない。「リスクがあるから中止。」というのは、半年前だったらよかったかもしれないが、今はそういう手法ではないと思う。

だから、この半年でもデジタルの持つ意義が非常に大きく変わってきたと思うし、現実的にその中で、地域の実情とターゲット、それぞれの状況に応じたきめ細かな取り組みをしていく必要がある。プロパー職員のトレーニングの話で、職員の中で、ものすごくでこぼこ感がある。強い人もいれば、弱い人もいる。そこを組織としてどう実力を上げていくのか、全国どこでも同じような状況だと思う。そうした状況を踏まえて長崎市の大きなステップに繋がる2人の話ではなかったかなと思う。

委員D

サブコピーに関して、ビジョンの「選ばれる21世紀の交流都市」に入ってくる要素が、素案に書かれている内容をきちんと踏まえているかの整理をして、不足しているものがあればサブコピーで表現するという流れが順当であると思う。素案の中でいくつかのポイントが入っているが、例えば、施策を考える上での「重要な視点」で、「旅行消費額の拡大」から「観光需要の平準化」「連携」「環境変化への柔軟な対応」がある。さらには最終的に目指す将来像として「訪問客がまた来たいもっと過ごしたいと思うまち」「事業者が交流で潤い成長するまち」「市民が誇りを持ち、住み続けたいと思うまち」「危機管理に強いまち」と書かれていて、このあたりがおそらくこの計画の根幹の部分の要素になる部分だろうと考えたのでそれがまずビジョンに落とし込まれているかを見た。

長崎市の将来像の「市民が誇りを持ち、住み続けたいと思うまち」に関しては、ビジョンには直接反映されていないものの、「訪問客がまた来たい・もっと過ごしたい」が「消費額の拡大」「ピーク・オフピークの平準化」に繋げていくことができる。「事業者が交流で潤い成長する」は「事業者と行政の連携」「事業者同士の連携」とか、「成長」というところで「今のウィズコロナの時代から先へ」「デジタル化の推進」も含めて、時代に合わせて進んでいくイメージも含まれている。「危機管理」に関しても、「変化への対応」「自然災害への対応」に含まれている。「重要な視点」に書いてある「選ばれる」は唯一消費者目線が入っている。「21世紀の交流都市」は「連携」が「交流都市」と紐づいて、「21世紀」で未来を見据えているというイメージが入っている。

概ね「重要な視点」や「将来像」は「ビジョン」に網羅されていると思うが、「ビジョン」の下にある「長崎市は行政、DMO、事業者、市民が協力して」という説明文が「ビジョン」との関連性が極めて薄い文章になっている。この文章は「連携」に関して書かれていることと、「危機管理に強いまちへの転換」が唐突に出てきていて、「重要な視点」などには含みにくい。結局、「誰が来るのか」というところと、「それによってお金が落ちるのか」というところが「ビジョン」の説明文には入っていないので、サブコピーをつくった後でこの文章を再考する必要がある。

ここまでの説明は「選ばれる21世紀の交流都市」という部分で漏れている要素がないか把握をして、不整合がなく特に漏れているところはないので、これをわざわざ補完するようなサブコピーはいらないというのが私の判断。

ただし、この観点からのビジョンは非常に汎用性が高く、前回の審議会でも、他の都市でも通じるという意見があり、普遍性が高いので、このサブコピーにおいては、長崎のオリジナリティを出していくサブコピーを入れていかないとバランスがとれない。

そうすると「長崎のオリジナリティとは何か」となったときにSWOT分析に立ち返って、「強み」と「機会」の部分における「長崎のオリジナリティ」、さらにはこれが5ヶ年計画であるというところを踏まえると、「“今”のオリジナリティ」というところを捉えると、「強み」にある「歴史文化資源などの豊かさ」や、「世界新三大夜景」という辺りが他の都市にはないもの。

他の「強み」に関しては、例えば、「大学との連携」は他の都市でもできる、「まち歩き観光」は先駆けではあるものの今は他の都市もしている。「食」はそれぞれの地域が独自の食文化としてアピールしているというところもあり、長崎だけが持っているものではないと考えている。

「機会」でも「“今”のオリジナリティ」と考えると、「大きなまちの変革」が肝だと思っており、この2点が、長崎の“現在”のここ5年10年を見たオリジナリティである。

これをサブコピーに何らかの要素で落とし込んでいくことができればいいかなというふうに考え、パターンを2つ作った。

「強み」にある長崎が持っている資源のオリジナリティにフォーカスしたサブコピーのパターンをとるか。あるいは、5年計画という“今”やるべきという時代性にフォーカスしたパターンのどちらかに振っていかないとサブコピーとしてぼやけてしまう。この2パターンで軸足を変えたパターンを作ってみた。

例えば、資源性にフォーカスしたパターンの方は「歴史文化」が、「強み」になっているので、「A 歴史の足跡を新たな時代につなげる。」

これは、歴史やカルチャーを継承して、さらにそれを新しく今のカルチャーとして生み出していき、それが未来に続いていくという観光スタイルをとっていくという言葉にしている。

この「足跡」という言葉を選んだのは、長崎さるくもあるが、歩いてまちを巡るという足跡のイメージだったり、来訪者が観光をしにきたり、市民が活動をしたり、という“人”の活動によって時代が繋がっていくという“人”の匂いを残すために、足跡という体の一部が入っている言葉を入れたもの。

Bに関しては、同じく歴史資源や新しい食文化、あるいはこれから新しくできてくるホテル、話題性のあるいろいろなスポットなど、「どこをとっても景色になる。」という言葉にした。

「景色」というのは「景観」という意味ではなく、「絵になる」「見る価値がある」「行く価値がある」という意味。1回目の審議会のときに、旧来型の昭和の観光スタイルからの脱却という話があったが、既存の観光地だけがメインの訪れる目的になっていて、この間にある他の部分がつなぎの場所になってしまっているところを増やしていく。目的をもっと広くいろんなパターンのものに増やしていくということが重要である。

そのことによって、目的を増やし来訪箇所を分散し、来訪時期を分散していくことが結果としてやっていきたいことであるならば、既存の著名観光地以外のいろいろな部分が絵になり、行くべき目的になり、そこの場面に混ざりたくなるようなまちの形成をし、そういう観光のソフト・ハードを整えていくというイメージをサブコピーに入れた。

「どこをとっても景色になる。」の「とっても」をひらがなにしてある理由は「どこをポイントとして取り上げても」という意味と「写真を撮っても」の両方を掛け合わせて考えることができるという意味合い。

次に時代性にフォーカスしたパターンは2つある。

デジタル化の波やグローバル社会という絶対に逃げられない波が今ある中で、観光地としてリアルに生きていくためにわざわざ足を運ぶ価値を作っていかなければいけない。

それには、ローカルの「長崎ならでは」と言われるものをどのように研ぎ澄ませていくかというところが相反する話ではなく、それを両輪でやっていくということが必要であるということを、デジタルやグローバルの手法の部分に各論として目が行きすぎてしまわないように、何のためにそれをやるのかというところをサブコピーでイメージするために「D グローバル社会で際立つローカルの魅力形成をめざして」というものを作った。

「C まちは変わる。ひとが、訪れる価値をつくっていく。」は、特に「まちの変革」の部分と、超短期的な“今”を切り取って、この変革の時期をどのようにみんなで作って行くかというスローガン的なイメージにしている。

「まちが変わる」というのはもう決まっているので、これに付随して、来る人と市民と市内で観光関連の産業に従事していらっしゃる事業者の方々などが長崎市を訪れる価値を作っていくものなので、市民にとってもまちが変わることがよそごとではないというイメージでつくった。

「ニューノーマル時代の変化への適応」というのが、まちというハードが変わることで自然にできるわけではなくて、そのまちを変えていく原動力や一帯の動きというのは人によってなされていく、その人が、訪れる価値を、まちが変わるということをきっかけとして作っていこうというイメージで作った。

この4つに一旦整理をした。

委員E

今回の会議内容には非常に同調する。これを第1回にやるべきではなかったかと思う。これをどうイメージ化するか。

私はホテル経営をしているが、片側でITをしていて、教育ICTの研究で世界中の国を見て回って、私は、長崎に一番似ているところはイスタンブールだと思う。16世紀のコンスタンティノープルと言われているところに入れて、西欧と東洋の交流という意味で、西の果てが、コンスタンティノープルであれば、東の果てが長崎だと思う。16世紀、天正遣欧少年がヨーロッパから帰って来て、今年で430年だろうと思うが、16世紀に彼らは言ったこと。ポルトガルやスペインの大聖堂に壁画がありますが、あれは19世紀のジャポニズムに繋がっていくと思っている。「交流」と書いてあるのはおそらくその時代から。ヨーロッパからよく来られるお客さんと話していると、彼らもそう言う。長崎はイスタンブールに似ているという人は1人や2人ではなかった。

ところが、長崎にいる人は全然そう思ってない。だから交流というものの深みがどこにあるのか。例えばデジタル路線でそういったところを伝えていくときに、それを伝えるべきコンテンツというかコンテクストを我々がどう持っていくのかが大事。そうしないと非常に浅い交流になってしまう。妄想になるかもしれないが、日本で本当に海外と交流したのは長崎で、これこそどこも真似できないところ。それを単なる歴史の1ページとして博物館で出すのではなく、天正遣欧少年に関しても、私はヨーロッパに行ったときによく質問される項目だが、長崎の人はあまり関心を示さない。そのあたりまで深めていかないと、これは長崎だけに限らず、そこの地元の人が実は一番地元のことを知らないということを言われかねない。インバウンドでやってきたヨーロッパの方々と話をする中から彼らが欲しているのはそこかもしれないと感じた。


委員C

観光地として観光客を誘致するほうに力を入れるわけだが、そもそもその地域住民が外の世界に関心を示していかないとなかなか相互交流にならないという本質的なところもある。一方的に誘致するだけではなくて、長崎であれば長崎の方々が広く世界を回ってきて、ネットワークを広げていくことが最終的には強みにも繋がっていくと感じた

委員F

観光というものがどういうものなのかと考えた。賑わった時代に作られた建造物を見て回ることも確かに観光ではあるが、観光というのは「まちの光」というものを見ることが本当の観光の面白さではないかと思う。

若い頃に4年間ほどバックパックで世界を放浪していて確かに歴史と地域のいろんなものを見ることもあるが、それ以上に面白いのがそこの地域の中に溶け込んでいったときのその人たちの生活であったり、営みであったり、そういったものがかけがえのない宝物として残っている。確かに物を見た感動もあるがそれ以上にそこに住んでいる人たちの営み、人との交流がすごく楽しかったイメージを覚えている。今でも旅行や学会・大会に参加するときは地元の人といかに交流をするかが一番の面白さだと思う。

そういう点でいくと、光、賑わい、そしてそこに住む人たちが豊かであるとか、活気があるとか、それがまちの活力になっている。そこが魅力になって人が集まってくるというのが一番理想的な形かなと思う。

長崎のまちは、成り立ちからして国内でいうと一番早く開かれたところであるし、鎖国のときに全ての人が入ってきて、非常に守られている都市で、長崎の人間は非常に保守的。いろんなことにチャレンジすることをあまりしない。どちらかというと、何もしなくても富が入ってきたというところで、おそらく保守的だろうと思う。商売の中でも、県外・中央の方に出ていくということをする人は非常に少ない。

逆に、そうであるからこその良さもあって、長崎の人はすごく人がいいというか、ホスピタリティがあると思う。これは長崎の宝だと思う。まちを歩いている観光客や外国人がいたら、外国語を喋れないおばあちゃんでも話を聞いてその場所まで連れていくというのが当たり前にあるようなまちなので、私は提案されたなかでは、資源性にフォーカスしたパターンのどちらかというと「B どこをとっても景色になる。」が一番自分自身の考えとマッチしていると感じた。


委員E

全然違う話になるが、デジタライズの話でこれから行政も大変だと思うが観光業界の生産性がものすごく低い。実際私どもで言うと、今年度でも自動チェックインシステムとかで数千万円投資している。社内投資の7割ぐらいがそうなっている。そこで目に見えて劇的に生産性が上がったので消毒などのコロナ対策ができている。コロナ対策をやるということはわかるが、どこからその生産性を上げていくのかと。具体的に飲食店でもわかっているところはオーダリングシステムを入れて生産性あげているが、これを放置したままではなかなかこの話は難しい。それを上げる仕組み作りも必要と思う。

委員G

このコロナの時代にかかわらず、デジタル化を進めていくことによって観光が発展していくという話も十分に理解できた。デジタル化することによって観光客は増えていく。あるいは、長崎に興味を持って長崎にくる。でも結局は来た段階で、私は市民活動の中で15年前に「さるく」を業者の皆さんと一緒に立ち上げて先頭きって走ってきたから、おもてなしをするということに発想がどうしても行ってしまう。

そんな発想の中で、「選ばれる21世紀の交流都市」というビジョンがあるが、まさに時代性を考えても長崎は1636年にできた出島がもうすでに選ばれたまちになっていて、江戸から京からいろんなところから長崎にやってきたという歴史性を持っている。だから、その次にいろんな意味で選ばれるという言葉は、確かに長崎が選ばれなければいけない、選ばれなければ来てもらえないわけだから、この言葉はいいと思う。そして長崎市は総合計画のなかで世界都市というテーマを掲げている。これも交流という意味では文句ない言葉だと思うが、提案されたなかで好きな言葉があり、「人が景色を作る」ということをサブコピー案のBの中に挙げていた。

1年ぐらい前に、長崎の小さな大会でまちづくりの関係であったり、まち歩きだったり、おもてなしで歌を歌ったりいろんなことをした。そのときに、地域の子供たちに合唱をお願いしたときに子供たちがこんなことを言った。「私達はこのまちが大好きだ。私たちはこのまちの景色になりたい。」と言った。人は景色を作るんだということをものすごく実感した。

そのことと同時に、人は営みが大好き。人の営んでいる姿を見る。そのまちの名所・旧跡も大事だが、人が営んでいるということを見るのが好き。そういうことを感じたときに、僕はサブコピーでは「絵になる長崎」とかそういうふうなことも考えたが、まずは市民向けに「なんでMICEができるのか。何でDMOを一生懸命やるのか」と考えたときに、長崎を愛している気持ちを先に表現しないといけない。

市民向けに、「長崎を愛し、人とつながり、世界につながろう」という発想をもった。

そしてもう一つは、テーマから外れるかもしれないが、人はデジタル化が進んでもちょっとした勇気を持って人に会いに行くということが大事。「人は人に会いに行く」という感じで、会いに行くまちに長崎はならなければいけないと思う。私はおもてなしをする立場でこの会議にも参加させてもらっていると思うので、そういうことを考えたときに、「選ばれる21世紀の交流都市」これも文句ないことだが、それにプラスしていくのであれば、市民向けに「長崎を愛し、人とつながり、世界につながる」という思いと、「人は人に会いに行く」というところは表現できたらいいなと思う。

委員A

KPI・KGIのところが今回見直しをされていて、このあたりの趣旨を課長の方から説明いただいたが、クルーズ客数とクルーズ客消費単価が特別に出てきた経緯をもう少し詳しく聞きたい。もう一つ、クルーズ船が沖縄ではかなり増えてきたという話をお伺いしていて結構取り組まれているかと思うが、今の沖縄における動向についても伺いたい。

事務局

クルーズ客については今までも一喜一憂してきた。インバウンドを語る上で、長崎の松が枝国際観光船埠頭が2バース化を目指しているという流れの中にあっては、クルーズで来ていただくお客様の数、これも一定KPIとして必要というところと、消費単価については、従来、長崎で言われているのが、クルーズ客で主に中国系の方々がお見えになったときに長崎市内でお金を落とさずに、諫早市であったり大村市であったり、近隣の市町に出かけていって免税店でお金を落とすというふうな形で長崎市内の消費額が増えないというところもあった。そういったことについて、今後長崎市としてDMOと協力しながらということもあるが、長崎市内でお金を落としていただく仕組みづくり、そういったことも今後、今以上に力を入れてやっていかないといけないのではないかということもあったため、消費単価についても見ていく必要があるだろうという判断となった。


委員C

沖縄の事例を手短に申し上げると、沖縄もクルーズはここ数年伸びてきている。国の方針もあるが、現在、沖縄本島に3つの港、宮古島、石垣島を合わせて計5つの港で今後進めていくことになる。沖縄本島の3つ目は今、本部港という海洋博公園・美ら海水族館の近くに整備をしていくが、那覇については第2クルーズ専用バースが来年完成する。だから、那覇市で2つ、沖縄市本部町、沖縄市、この三つの拠点に四つの港で受入れをする。

ただ、長崎の例にもあったように、クルーズ客の経済効果が十分ではない。一方で地域の住民生活に与える影響も指摘をされている。現在は国内のクルーズがようやく動き出したので、方向性としてはまず国内のクルーズの誘致を進める。外国船社も時々いるが、日本政府の了解を得る形で、外国船社だが国内のお客さんを最優先にする。沖縄の場合は台湾が立ち寄り先で台湾に行くがテクニカルコールで実際には降りない形からスタートするという、今、船会社もいろんな工夫をしながら進めている状況。

そろそろクルーズをどうするのかというのを県民の理解を得るアクションがないと、ダイヤモンドプリンセンスの印象もまだ残っているため、県民が納得をしてクルーズ受入を再開するためのプロセスを進めようとしているところ。

量の拡大だけを目指した大型化への対応を進めてきたがそこは少し待ったをかけないといけないというところでもある。

委員D

基本施策のところで、プロモーションはかなり強化して書いてあるが、そのプロモーションするためのプロモーション先の精査や、ターゲットに対してプロモーションをするやり方なり、手法なり、媒体なり、タイミングなり、いろいろ違うと思う。JNTOと連携してやるべきことや、単独でやるべきことや、ターゲットありきでやらなければいけないがプロモーションのところの施策内容を見ると、こういうことをやるという戦術論だけが書かれていて、その前段にそれをやるためにどう効果的にプロモーションをするのか判断をし、そのためのデータを集めるというマーケティングのところとターゲット施策のところが他の項目を見ても不在なのが気になったポイント。インバウンドについては、「対象市場や保有コンテンツを勘案し」という表現に止まっている。

国内向け等に関しても、市場の設定に関するターゲットを向こう5年の計画で書き切ることは非常に難しいとは思うが、ターゲットの考え方とか、「こういう根拠に基づいてターゲットは決めていきたい」という思いと、それを実現して正しいターゲットに届くようにするためのマーケティングのところが書かれて初めてこのプロモーションのところが活きるはずなので、そのあたりの書きぶりに漏れのないようになるといいと思う。

委員H

おそらく今発言されたものも必要。ただ、年々マーケットは動いていくため、それは年度計画など個別のところで落とし込んでいけばいいのではないか。今のこの計画については中長期のものを念頭に置かれていると思うので、やり方の一つとしてそういうやり方をされた方が一番いいのではないかと思う。

あと、実務的な話だが、KPI、目標値というのは我々も組織として立てている。もともと立てた目標はコロナ禍で全く達成できていないという状態になっている。今どうしているかというと、当初立てた目標は目標として、それを実行できるように目指しつつも、ほとんど結果を出せないので同時に、別の目標値を新たに立てて、2つの大きな目標を立てて今実行している。素案を見ると目標値は「今後設定予定」となっているので、その辺もどうされるのか、コロナ禍の状況が継続するのか、それが全くないような状態なのかということを念頭にそれを考えた上で決めたほうがいい。

基本方針を見ていると「ニューノーマル」ではなく「ノーマル」の状態を念頭に書かれている状態になっているので、このままの状態でコロナが続いていくと、始まった途端に計画が瓦解してしまう。その辺も念頭に置いた方がいい。

あと、デジタルの話で経験から話すと、海外にいたときにデジタルプロモーションを行って非常に有効な手段だと思う。ただ、海外にいて日本の認知が低いというところで、まず認知や関心の部分に焦点を当てて、まず日本を知ってもらって、国際競争に勝たないといけないという方向で考えていたが、日本側から「効果・結果を出せ」ということで、オンラインプロモーションをOTA(オンライントラベルエージェント)に特化してお金を組んで送客の結果を見せろということで現場と本部で二極化した考え方で割れてしまったと言うことがあった。

長崎市の場合は、より現場の事業者に近いところでもあるので、そこを例えばインバウンド施策をするときに認知や関心ばかりには振り向けられず、もっとその後の購買に近いところでそこから更に誘引するようなことをやる必要があるのではないか。実際、最終的にDMOがそれをやるかと思うが、その辺の戦略作りは非常に重要。

デジタル化の予算が「3:6:1」と言いつつも予算に限りがあると思うので、取捨選択が重要なのではないか。

あと、DMOでKPIを今後立てると思う。デジタル化のKPIを我々も立ててやっていたが、例えばサイトのビジター数としたときに、その目標値がだんだん膨れ上がってきて、最後にはその数字を維持するために広告を打ち続けなければいけないという、目標を達成するために麻薬のように広告を打ち続けなければいけないようなことになってしまったので、その辺の数字の立て方も実務的にしっかり考えた上で立てた方がいいのではないか。

委員I

基本方針のD「観光MICE関連産業の活性化」のD-1「DMOを中心とした観光まちづくりの推進体制の充実を図る」が、これは財源として宿泊税を想定しているというふうに読める。陳内様が他都市の宿泊税の検討委員をされていたと思うが、宿泊税とDMOの関わりや地域観光の関わりを、例を挙げていただいてご教示いただきたい。

オブザーバー

宮城県の検討委員をやっていたが、宮城は結論としてコロナがきたこともあり、あとは地域住民の合意形成が得られずに実現できないで今一時停止をしている。ただそのときの議論経過の中で、必要なのは諸外国において財源づくり。政府に頼るわけでもなく、長崎は長崎で稼ぎ続ける持続可能な地域であるための財源はどうするのかというときに国際常識として一般的には宿泊財源・観光財源を合理的に条例化するなど導入すべきという一般論であるということをもとに議論がされている。これは日本の中でも私個人の意見では非常に重要なテーマだと思う。

今日は財源の話がフォーカスポイントではないと思うが、長崎として市民の税金に頼らずに、受益者負担で観光客のための観光政策であるということを主軸にすると、観光客が税金的な財源を作っていくみたいな仕組みをつくるべきだとは思う。このあたりは丁寧に説明しながら、住民側・観光事業者の皆様の合意形成を取り続けるための努力というのは、持続可能な地域づくりのためには必要ではないかと思う。

委員B

宿泊税は宿泊施設の皆さんが受益者負担の考え方でやっていくということに対して違和感がないということであれば、観光のための目的税・特定財源をしっかりと議論することが大事だと思う。

ただ、その条例の中で観光目的にしか使えないということをちゃんと規定できるかどうかということがポイントで、一般財源化していくとか、入湯税の場合は4種類使えて、100%観光に使っているのは下呂温泉しかない。そういうことを含めて考えたときにどういう選択の仕方をするのか、その条例に対しての何らかの請願をしていくのか。

それとも、地域マネジメント負担金制度という地域再生法の改正案で出来上がった負担金制度がある。これは実施条例の中でそれを作っていけば議会を通さなくてもいい。3分の2の賛成があれば、いわゆるフリーライダーなしにやっていける。反対がいても3分の2の宿泊事業者の皆さんがそれは一つのコミュニティーと捉えて、賛成だということになれば、反対の3分の1からもそれはもらえるということになる。そういう制度を作っている。

ただ、第1号ができると、もしかすると裁判になるかもしれないと言われているのは、いわゆる財産権に対しての侵害というのが税ではないやり方に対して出てくる可能性があるのではないかと言われている。

そういういろいろなメリットデメリットを整理した上で、ぜひ皆さんとして観光目的の特定財源を作っていかれることはいいと思う。

委員C

宿泊税の議論は全国でまだまだ続いているが、若干慎重なところが多い。沖縄県でも、昨年末に一定の方向性は出たが条例に上げる段階で離島の住民との関係をどうするのかというところが一つストップのかかった状況になった。また、コロナの影響で宿泊事業者から「今すぐに導入というのは少し待ってほしい」という意見がある。

ただ、これからの財源の問題は極めて大きい。国も県も市町村も税収が当分厳しい状況の中で、旅行する方々が一定のお金を払うことに対してはそんなにまで負担感はないというのはこれまでの調査でも出てきているが、そこを理解してもらった上で、その貴重な財源を何に使うのか。これは特定財源化しないと絶対にだめだと思うので、観光目的税という特別の目的に沿った形で地域の魅力を高めていくというところに踏み込んでいく必要がある。これは特定のところだけではなくて全国的にこれから日本の各自治体が観光を進めていく上で、この財源のあり方は考えていく必要があるのではないかと思う。


委員B

60ページに役割分担が明記されているが、行政とDMOの役割分担が豊饒委員から説明があったDMOの計画と合っていないように思う。豊饒委員から説明いただいた「ミッション」のところを見ると、「住民満足度の向上」とあるが、行政とDMOの役割分担の中にこれが明記されていない。

「住民満足度の向上」というのは、ハワイのツーリズムオーソリティは自分たちのミッションということでハワイ州政府から与えられてやっており、「いかに観光が雇用に貢献しているのか」「ハワイの経済にどの程度役立っているのか」ということをしっかりと話して回っている。

それはDMOの役割としておくべきなのか、それとも行政の広報に任せるべきなのか。この「ミッション」は、「住民満足度の向上」にも力をかけないといけない。「MICE誘致」にも力をかけないといけない。「観光誘致」にも力をかけないといけない。と分散化されていくと、実際の係員が8人しかいない中でそういう分担の仕方がいいのかどうか、ミッションの整理を含めて、こことの整合性を合わせた方がいい。

それから、MICEの誘致に関しても、MICE施設を見に行ったら、外壁のところに「誘致はJTBコミュニケーションデザインがやります」と大きく書いてあった。いわゆる指定管理者の代表企業があって、分担企業があって、その分担企業の役割を外壁にこんな細かく書いてあるからすごいと思った。

ということは、指定管理者の皆さんからすると誘致もしないといけないということははっきりしていることで、誰がやるかどうかということは別にして、そういう役割の整理ができていく方が集中できるところははっきりすると思う。「学術コンベンションについてはうちだけど、見本市展示会関係についてはあなたのところでやって」という、そういう人脈作りにも集中できる可能性はあると思うので、指定管理者との間で一度議論された方がいいのではないかと思う。


委員C

デジタルの重要性の部分で、言うまでもなく今年はコロナの感染拡大によりデジタル化への対応を急ピッチで進めないといけないということが出てきた。

これまでヒューマンホスピタリティ・おもてなしの部分にはそれぞれ地域が力を入れて、長崎はこれまでもしっかり役割を果たしてきたということで、このヒューマンホスピタリティに加えて、ここしばらくは今後どれぐらいになるかわからないが、デジタルのホスピタリティという部分をより意識しないとお客様が求めるものに応えられない可能性がある。

今まで人が接する密着型のサービスで満足度を高めようというところがあったが、それだけでは相手への配慮が足りないということも想定できるので、ハイブリッドになるのかもしれないが、これまでのヒューマンホスピタリティとデジタルのホスピタリティをしっかり組み合わせて、相手に応じたやり方をしていく必要があるというのが、デジタルの重要性という意味でも今回感じたところ。

もう一点は、この計画をより具体的に進めていく上でDMOの役割がものすごく大きいが、なかなかDMOだけではやりきれない。一方で、行政は観光部局だけではなく、観光は総合産業と言われるわけだから、市の部局間の連携を強化し、誘致に関しては県の力も借り、国レベルでいうとJNTOの力も借り、より戦略的に考えた上で歴史性をテーマにしてJNTOがPRするときには必ず「長崎」が出てくるような仕掛けもやっていかないといけないと思う。

結論としては、DMOの役割は非常に重要だが、市の総合力をどれだけ観光に活かせるかが大事になると思う。特にMICEの部分に関しては産業政策の部分とも大きく繋がっているため、観光だけではなく産業政策、農業、安全性という意味では医療の部分も関わってくるので、市の総合政策力が従来の観光の視点よりも、今後、より一段と重要になってきたと感じている。

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