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平成30年度第4回 長崎市文化振興審議会

更新日:2019年9月2日 ページID:033381

長崎市の附属機関について(会議録のページ)

担当所属名

文化観光部 文化振興課

会議名

平成30年度第4回 長崎市文化振興審議会

日時

平成31年1月31日(木曜日)18時00分~20時00分

場所

長崎市ブリックホール3階 会議室4・5

議題

 (1)長崎市新たな文化施設基本構想骨子(案)
 (2)施設整備の考え方について

審議結果

   内容について事務局から説明。1・2回目でいただいた意見を基に事務局で作成した基本構想骨子(案)について説明後、骨子(案)について意見交換を行った。(意見については以下参照)

【会長】

 まずは事務局の説明についてご質問がある方から発言いただきたいが、資料が沢山あるので区切りたいと思う。今日のメインとなるのは資料1なので、それは後回しにしたい。それ以外の資料で質問がある方はいらっしゃるか。

【委員】

 参考となる施設を載せた資料があるが、長崎に関係がありそうなものを選んだとおっしゃっていたかと思う。規模や使い方など具体的にはどういった観点で関係があると判断したのか教えていただきたい。

【会長】

 先ほどお示した資料はJTB総研さんがまとめたものであるが、もともとこれは東京都が調査したものである。その中で、委員の皆さんにぜひ見ていただきたいと思った施設を絞り込み資料にしている。

【委員】

 会長の好みみたいなものか。

【会長】

 私の好みというよりも調査を行った東京都の好みだと思う。この調査は日本全国でどのような施設があるかという調査になっており、多少の好みはあるかもしれないが、特徴的な施設が選ばれていると認識している。

【委員】

 色んな資料を読んでいると茅野市民会館がよく出ているかと思う。例えば今回の資料の中にも入っているし、地域創造さんが表彰されている中にも入っているし、この間、参加したワークショップにもこの茅野市民会館というのが出てきていた。茅野市民会館の特徴とされているのが、市民の意見を十分に入れて話し合いを何回も繰り返して来たという、そのつくり方のプロセスである。そこが非常に特徴的だということを、ワークショップの中でも聞かせてもらったところである。茅野市民会館という素晴らしいホールを建設することが出来たのは、その様に市民の意見を十分に聞くというプロセスを経たからであり、だからこそ、市民みんなが満足するようなホールができ上がったのだと考える。ホール自体の中身も重要であると思うが、他の地域と長崎では課題も違うと思われるので、ホールの中身そのものを参考にするというよりも、そのホールができ上がったつくり方の過程を、ぜひ長崎市は学ぶべきなんじゃないかなということを感じた。

【会長】

 おっしゃるとおりだと思う。私は長野県松本生まれであるが、あの周辺は音楽に限らずに文化ホールが沢山ある。松本はキッセイ文化ホールやサイト・ウキネン・フェスティバルをやっているものもあり、隣接する岡谷市、諏訪市それぞれになかなか良いホールがある。そして茅野市民会館があるわけだが、それぞれ個性を出して、あるいはそれぞれの市で連携をしているところである。その中でも茅野市は少しその中では個性的なホールかなと私は思うが津村委員のご意見を伺いたい。

【委員】

 茅野市は人口が5万人程度しかいない。皆さんご存じかと思うが、長野県というのは東信、北信、中信、内信という4つの国が合併してつくられた県であり、全く文化も違うし、情報も伝わらないしという、お客さんがいわゆる線路上でしか結ばれてない地域である。地図上で見るとすぐなのに、日本アルプスがあるため簡単には行けず、ものすごい遠回りをして行かなければならず、4つの国が分離されている面がある。そういう形の中で茅野っていうのは内信っていうところにあるが、今、言われたとおり飯田市の人形劇というものがあったりとか、松本市はもう長野県一の文化都市であったりとかと色々と文化の違うまちが並んでいる。その様な中で、なぜ、株式会社地域文化創造という会社はホールを建設するにあたって市民の声を聞いたかというと、自分たちのまちの中で何ができるかということを重視したからである。外部から来た方が中心になって向こうに行って市民の声を聞いて、とりあえずまちのことだけを紹介するのではなくて、茅野を今後、どの様な形で活性化させていくのかということを考える中で、舞台芸術をどの様に捉えていくのかということをかなり話し合っている。その結果、やっている演目はコンテンポラリーダンスだとか、そういうのが中心に今はなっている。もちろん市民の方もご利用いただいている。人口5万5千人のまちとしては先端芸術をやっていると思う。何とか茅野にホールを、劇場をつくるという目的の中で、市民の皆さんがより良い形のものは何だろうということの話し合い、了解をして生まれたのが茅野市民会館である。ただ5万5千人の町なので、人口30万の長崎市とは全く違う論理展開で話し合われてはいる。

【委員】

 確かに長崎市と茅野市とは条件が違うので、茅野市民会館と長崎が今つくろうとしているホールは違ったものになって当然だと思うが、大切なのはそれをつくり上げていくに当たっての行政と市民、あるいは設計者とそのかかわり方である。そういうところは茅野市を学ぶべきと考えているが、実際、今やっているのは3月末までに基本構想を急いで委員会で話し合って、アンケートをとって、意見を聞いて、計画に入ろうとしている。この様なやり方は茅野市のやり方と違うのではないか。最初の審議会の時に申し上げたが、もう少しスケジュールに余裕を持って、じっくりと市民の意見なども聞きながら、あるいは有名な設計者の人をだれか選んで、その人も含めたところで市民の意見を聞きながら進めていくような方式をとるべきではないかと考えているのだが他の委員の皆さんはいかがお考えか。

【委員】

 議論の進め方の話になるかもしれないが、今日も2時間の内1時間ぐらいが過ぎようとしている。前回とその前の会議を見ていて、何を論点に話が進んでいるのかよくわからないまま時間が過ぎていく。今日も40分ぐらい資料の説明があった後、本格的に話さなきゃいけない資料1については後回しにして、そしてまたこれまでのプロセスがどうだとか、今後時間をかけてどうだとか、下から遺跡が出てきたらどうなのかという話がまた出てくるかもしれない。残された時間は限られているので、まずその資料1に基づいて、規模やホールの形など具体的に論点を絞って話をしていく必要があるのではないか。限られた時間の中で、きちっと論点を明らかにして話し合って意見を反映させていくことが大事なのではないかと思う。

【委員】

 私も本当にまさにそう思う。まずは、やはり方向性を決めない限り前に進まないと思う。方向性が決まれば器の大きさは決まるので、残りのディテールの部分に関してはこれから時間をかけて話し合っていくっていう形の方が良いのではないか。まず委員の皆さんが、この方向性でいくのだというふうに決めれば、その後についても決まっていくのではないかと思う。

【会長】

 おっしゃるとおりだと思う。ただ、市民の意見も今、聞かないと、出来上がってから聞いてもしょうがないということは我々、経験的にありますので、そういう点についてもぜひご意見を伺いたいと思う。

 では、ここからは資料1について議論していきたい。今回、特に意見をいただきたいのはコンセプト(案)の3つ、そしてそれに伴った運営体制と施設整備ということの方向性である。この辺りのご意見を伺いたい。

【委員】

 資料1のコンセプト(案)と当日配布資料3の「劇場、音楽堂の活動(第3条)」という8個の項目が並んでいるところを対比させながらお話をしたい。まず資料1の方で「魅せる・触れる」ということと「創る・発信する」ということと「つながる・育む」のところ3つあるかと思う。これを「劇場、音楽堂の活動(第3条)」の8項目のところに仮にあてはめた場合に、例えば「魅せる・触れる」というのはいわゆる上から2番目の「施設提供」になり「創る・発信する」というのは「創造事業」になるのかなと思う。そして「つながる・育む」っていうのは、「普及啓発」「国際交流」「人材育成」「社会包摂」というふうになるかと思うが、恐らくこれを見ると、基本的なコンセプトとしては劇場法完全対応型みたいなのを思考されているのかなと思ったのだが、逆にそうすると「資料収集」をどうするかが問題になる。人材育成のバックグラウンドになる今までの蓄積をきちんと集めていかないと、人材の育成というのはできない。そう考えると、コンセプトを劇場法完全対応型にするというのは間違えではないと思うが、そうであるならば「資料収集」をどの様にするのかということと、「連携強化」については、県あるいは市の中で事業を巡回させていくような感じのやり方でやっていくのか、あるいは本当に長崎市民としてのローカルなものとしてやっていくのかを考える必要がある。その辺りの思考を示してもらえるとよりクリアになるのではないかと思う。

【会長】

 確かに「資料収集」というのは、そのホールだけではできることではないので、それこそ昔のホールの1つの大事な仕事である。

【委員】

 劇場音楽堂についての資料関係を見ていて、今、委員が言われていたが、運営のやり方が非常にいいですよといったことが書いてあるが、それは建設後の話ではないのか。資料2ページ目も「地域創造大賞をこういう施設が獲りました。運営をしているのはこういうところです。」といったことが書かれているが、今の時点ではホールを作った後の運営のやり方よりも、資料1の「魅せる・触れる」「創る・発信する」、この中に書いてある問題的なものを話していくべきではないか。どの様なホールをつくるのか、どの様な施設をつくるのか、リハーサル室をどうするのか、その辺で参考になりそうな他施設を見つけ、長崎市が今回つくるホールにどの様にはめ込んでいくのかを考える必要がある。席数が1,000から3,000の色んな施設の良いところをとってはめ込んでいって、こういう施設をつくりましょうという議論をそろそろするべきではないのか。

【会長】

 ご意見ありがとうございます。私はちょっと考え方が違う。コンセプトを考えるにあたっては本物ができた後、そこで何をやるのかということがとても大事で、そこに市民の皆さんの意見や考えを反映させなければならない。魂というのはハコをつくってから入れるんじゃなくて、最初にある。公会堂で我々、皆さんが色々やってきたそういう思い、実績、そういう市民の熱いものを1つのホールの中でどう生かしていくかというのがコンセプトであり、やはりそこは少し考える必要があると思う

【委員】

 まずはコンセプトについて事務局が案を立てているようなので、そのコンセプト案について議論をすればよいのではないか。

【委員】

 コンセプト案については私も異論はない。みんな新しい芸術を取り入れる、それから自分たちが発信する、そういったものが将来伝わっていくのを応援をするということで、異論はない。私は「魅せる・触れる」のとこの優れた芸術文化の公演というところで、そういうコンサートなどをしているという立場でここの委員に選ばれているが、その関連で言うと、この施設整備・運営体制の考え方で、座席数が1,000から1,200というのが当初から出ていて、あまり変更されてはいないが、興行する立場からすると1,000席と1,200席と1,300席は全然違う。1,000席から1,200と結構アバウトな感じになっているが、1,000なのか1,200なのか、もっと1,300ぐらいあったらいいのではないかと私は思う。ここは非常に重要なところで、いいホールつくっていろんな有名なアーティストが来ると思っていても、結局、そこでチケットを売ったところで儲からない、成り立たないということになってしまったら元も子もない。ただ、その様な興行向けのホールではないので、ちゃんと1階席、2階席を分けて小規模な市民団体の展開でも使えるような形にすればいいんじゃないかなというふうに思うが、席数がアバウトな感じのままになっているのは気になるところではある。

【委員】

 キャパ数に関してはもうちょっと膨らんでもいいのかなという気がしている。あと小ホールと兼ねるようなことを皆さん意見としておっしゃっているが、小ホールと兼ねるとなると、設備的な問題とかいろんな支障が出てくるので、私はそれはやめてほしいと思う。小ホールと兼用にするというのは不可能あると思いう。

【会長】

 どういった点で不可能なのか。

【委員】

 大ホールと小ホールでは前明かり(客席から舞台を照らす照明)の位置だったりとか、ピンスポットの位置だったりと全てが変わる。従ってそれを兼用するというのは絶対に不可能。だからどこの施設も大、中とホールをつくっている。兼用しようというのは絶対やめた方がいいと思う。

【会長】

 先ほど長久手はステージと客席が逆転するということで、1回観に行ってみたいと思っている。オーケストラピットまであるということで、メンテナンスに金がかかるので運営がしにくいなとは思うが工夫としてはおもしろい。可児市の客席が花道になるっていうのも面白いと思うがそれがどこまでできるかという思いもある。

【委員】

 今、コンセプト(案)を検討していると思うが、資料1の真ん中の一番上に「長崎市内の文化施設の現状と主な課題」があるが、ちょっと危機感がないような気がする。長崎市の文化施設の課題の前に、長崎市の課題、長崎県の課題、地域の課題というのがあって、それに対して文化行政や文化施設はどう関われるかということがまず大切。1回目の審議会の時から申し上げていたが、今、長崎市がどんどん落ち込んでいる。人も減っている、若い人も減っている。昔は人口のダム機能といって、離島から流れているのを、一応、長崎市で止めましょうということもできなくなって、どんどん流れていっている。それはそれとしてある程度仕方ないことではあるが、では、その様なことに対して文化行政、文化施設だからそれには関係ありませんと目を背けることは絶対にできないと思う。文化行政として文化施設として長崎が抱える問題にどう対応できるかというのを、本当、真剣に今、考えないと50年後の子孫たちに、あなたたち50年前、どんな議論してきたのかと言われる。そういう意味で本論といいますか、私のイメージとしては、コンセプト(案)を議論する前に、この課題を1回だけでいいので考えて欲しい。

 もう1つ、この場で意見は出ていないが、後で出るのが経済波及効果はどうだったのかという点である。何十億円投資して、何十億円地元に落ちたというのが、これは絶対出てくる。数十億円の施設をつくった時に、施設を利用すると人、しない人も含めて、その地域に何倍の経済波及効果を落とすのかというのを、これ必ず求められるので、そのあたりも念頭に置いて、どうやってホールを使わない人によい影響を与えるかを考えるべき。資料の最後の市民ワークショップの資料で非常に私がなるほどと思ったのが、1ページで「自分には関係ない場所だがあってよかった」という意見が書かれており、非常に良いポイントだと思う。「ホール利用者以外は関心がないどころか、行ったこともない人も多い」、「そういう人たちにとってもあってよかったと思える場所にしなければ」という考えは非常に大切なことであって、そこを今一度抑えて、その上でどの様なソフトが必要であり、そのソフトを実現するために、どの様なハードを立てるのかといったことを検討してほしい。何度も言っているが、長崎の優位性は何なのか、武器は何なのかということをちょっと今一度確かめた方がいいかと思う。

【委員】

 今の委員のお話を受けて話をしたいと思うが、ここに出ているコンセプト(案)は3つあるが、これらは今、全国で当たり前のようなコンセプトである。なぜ当たり前のコンセプトかいうと、全国の都市、まちが同じような課題と問題を抱えているからである。その中で今、芸術、文化というものが、その課題をクリアしていくための大きなツールになっているということが認知されるようになってきている。そのため、新しくできる劇場とか、リニューアルする劇場のコンセプトがこれにすごく近いものが全国で出てきているということに今、なっていっている。

 それとあと、先ほどから出ているキャパの問題もすごく重要である。それとあわせて一体どのクオリティーの演目をまず「魅せる」のところでやっていくのかによって、バトンの数から何から何まで変わってしまう。そうなってくると、それをこなせるだけの技術者をちゃんと担保できるのかっていうことも出てくる。それを回せる制作者がいるのかという話にもなる。貸し館のように、予約の受付をやってではなく、劇場を経営できる人間をそこに置かないとやれないと思う。

 その次「創る」っていうところも同じような形です。この「創る」これは全国発信をするぐらいのクオリティーのものをつくるのか、それとも長崎の中でよりクオリティーが高いけどもいろんなところに波及できるようなものをつくっているのか。それともマスターベーションでつくるのか。また「つながる・育む」についても、今、子どもたちに対するアウトリーチは全国的に当たり前の話になっている。なぜかというと、今、子どもたちに想像力をつけてあげないと、15年後に今ある仕事の半分はなくなるわけで、想像力を喚起するような仕事しか残らないし、そういう仕事しか生まれてこないからである。そういう意味で、どのクオリティーの拠点をつくるかっていうことを考えていかないといけないと思う。先ほどから言っているように、長崎でしかできないことや長崎が持っている課題であるとか、これは長崎独自の課題もあるかもわからないが、全国の課題として少子化の問題や産業の問題なども出てくるかと思う。その辺を考えた上で、これから先つくられる拠点がどんな課題をクリアしていけるだけのクオリティーを持っていくのかということは考えないといけない。

 もう1つ、それだけのプロフェッショナルなものができると、一番得するのはそこを利用する市民団体である。今までできなかったことができるようになる。これは私が関わっている劇場ほとんどみんなそうであった。今まで例えばいわゆる地明かり(舞台を均等照らす明かり)しかつかなかったところに、デザインが入ってくるというような意味の中で、さっき北九州のところで言っていただいたが、必ず市民の使う方と一緒になって、「じゃあこれをやるんだったらこういう演出できますよね」というふうにして、どんどん、どんどんアイディアを出していく。そのためにはデザイナーが絶対要るので、そういう人間を育てていく。そのことが実は拠点が成熟していくっていうことになっていくと思う。

 それと最後に効果っていう部分に関しては、まさしくそのとおりだと思う。いろんな効果が生まれてくる。経済波及効果もその内の1つ。北九州については私のお願いで予算をつけてもらって1年目から今はもう14年目まで経済波及効果は全部公開している。使っているお金も全て公開している。大体、市内、県内、全国に分けているが、市内だけで大体、19億円程度の経済波及効果は最低起こっている。

 最後に1つだけ。アクティブな方々、ホールに黙っていても来る方々よりも、「このホールあってよかったね」というサイレントパトロンをどれだけ市民の方の中に増やすかっていうことの方が、実は仕事としては重要なことなのだと思う。

【会長】

 ありがとうございます。後半が非常にわかりやすかった。それで今、ご発言いただいたわけであるが、委員はブリックホールができて、アドバイザーとして長くかかわってらっしゃって、長崎を外から客観的に見てらっしゃると思う。その委員から見て、長崎としては何を提案するべきと思うか。

【委員】

 許されるならば、世界発信だと考える。

【会長】

 そのあたりのご意見も聞かせていただきたい。

【委員】

 もちろん劇場として全国に対してやらないといけないことはやらないといけない。1年目でいきなり世界発信というのは絶対に無理である。劇場が成熟しないと発信はできないので、5年後なのか8年後なのか10年後なのかわからないが、そこを目指していわゆる全国発信、世界発信というべきことをやるべきだと思う。先ほどの劇場音楽堂の法律の中の前文にもあるように、世界の窓っていうふうに書いているが、これは世界平和のためでもある。世界平和の窓である。そういう意味で言うと、長崎は絶対、世界発信ぐらいのクオリティーのものをチョイスしていくべきではないかと個人的には思う。

【会長】

 ありがとうございます。そういった食い込んだご意見を伺いたいと思う。発言されてない方、いかがか。

【委員】

 委員の方々の意見を聞いて、例えば今までだったら長崎は観光で人を呼ぶとか、あるいは国際会議を誘致して人を呼ぶとかで交流人口を増やしてということを考えてきたのでしょうが、文化を中心に長崎に人を集める拠点にとなるような施設をつくるべきじゃないかというような意見だと思う。確かにそれはあるかなというふうに思う。特にさっき言われたように世界に発信するというのは、長崎は日本で言えば西の端っこだが、アジアには一番近い。そういう江戸時代に鎖国していた時代も長崎だけは世界に窓を開けていた。そういった歴史から言っても、あるいは地理的なことから言っても、一番、世界に発信ができるところであると思う。では何を発信するかといったときに、河野外務大臣が所信表明のときに言っていたが、これからは文化をどんどん発信していくべきじゃないかと考える。その窓口になり得るのが確かに長崎だなということを考えれば、そういったことをコンセプトにした文化施設を拠点としてつくるという考え方は非常に良い考えじゃないかなと私は思う。

【委員】

 皆さんにお伺いしたい。この審議会は意見を揉む会議なのか、それとも何かを決める会議なのか。最初にコンセプトの話をさせていただいたが、そこから、ハードの話に皆さん移られて、中村委員のところでまたコンセプト以前の課題の話に戻られて、論点が色んなところに行ったり来たりしているように感じる。前回の反省点として論点を絞ったほうが良いという話はなかっただろうか。

【会長】

 前回とはずいぶん違っていると私は考える。資料も1枚にまとめていただいて、今は、このコンセプトについてご意見を伺っているところ。この審議会は決める会議というよりは、皆さんの意見をどんどん出して協議する会である。この審議会での議論を経て、最終的に市が決めると思う。だからぜひ色んなご意見を伺いたい。

【委員】

 了解した。

【委員】

 今の話に関して質問だが、この場では基本構想(案)を揉むだけであり、承認したりするような場ではないという理解でよろしいか。

【会長】

 事務局に回答をお願いしたい。

【事務局】

 この文化振興審議会で基本構想について色々貴重なご意見いただいているところであるが、ここで承認をしてということではなく、先ほど会長が言われましたとおり、様々なご意見をいただいて基本構想を固めるための色んなご意見をいただいて、最終的には長崎市の方で取りまとめて最終決定をさせていただくという形になる。

【委員】

 この審議会で、例えば審議会としての意見をまとめるというような場はないということか。意見をここで出し合って終わるという会議なのか。

【事務局】

 いただいたご意見をもとに今回、骨子ということでお出ししているが、今後それを文章化してという形で精度を高めていき、それからまた皆さんにご意見をいただいて、つくり上げていくという形をとりたい。

【委員】

 そういう形で市が提案するものに意見を述べる場という理解でよろしいか。というのは皆さん、なかなか専門的な話についていけない部分があるし、他の委員がおっしゃったように課題を1回はしっかり話し合いたいという気持ちも非常によくわかる。テーマが絞れていないというよりも、やはり語るべきテーマが非常に多く議論する時間が足りないのではないかと感じている。

【会長】

 難しいところではあるが、ここで出たご意見は次に文章化する骨子となる予定であり、ここで出された意見と全然違ったものを出したりすることはない。ここで出た意見を尊重していただく予定にしている。そのうえで市民団体の意見とパブリックコメントを経て、3月の終わりごろにはある程度、成文化していくというような段取りである。

【委員】

 確かに議論する中で論点が行ったり来たりしているように思える。この階層の話をしてみたり、ここを変えてみると言ってみたりとか、今日の会議もそのようになっているのは間違いないと思う。ただ、その中でもこの1枚の骨子(案)の基本のコンセプトについては私もまさにこのとおりでいいのではないかと思う。その後の具体的な客席のキャパに関して1,000と1,200は違う、1,200よりも1,300といった具体的な数字については、もしかしたらこの骨子案の段階ではなくて設計段階での話になるのかもしれないとも思いつつも、これは何のためで、このホールの位置づけは何なのかといったことは考えなければならない。そして、どこに向けるか、世界に発信するということになれば、それ相応の音楽施設ということになるので、その具体的な仕様を決めていくのにも、その考えというのは皆さんに共有しておく必要があるのかなと思うので、決して無駄な議論を今、しているようには、私は思えない。とてもいい議論をしているのではないかと逆に思う。

【委員】

 お尋ねで申しわけないでが、コンセプト案について、私がちょっと感覚的に見たときに、「魅せる・触れる」「創る・発信する」「つながる・育む」という3つの大きなテーマのもとでつくられているかと思うが、「魅せる」とか「創る」とか「つながる」とかいう言葉はよくわかるが、「触れる」というところがどういうことを訴えているのかというところをもう少しちょっとご説明いただければと。

【委員】

 優秀な文化芸術の演目を上演して、そこに来てもらう。文化に触れてもらうという意味ではないか。

【委員】

 わかりました。

【委員】

 演劇をつくっている者としては、文化のために演劇つくっているのではなく、自分たちがいいものをつくろうと思ってやっている。公会堂はクオリティーとしてはあまり使い勝手がよくないと言われることがあるが、演劇的にはとてもいいホールで、残響がちょうどいよく、演劇人に言わせれば、あそこは聖地であった。そういうところがなくなったということが1つ大きいのであって、何が言いたいかというと、やはり子どもたちがあそこのホールに立ちたいと思えるようなホールが必要ではないか。経済効果はあまりないのかもしれないが文化施設というのは本来そういったものであるべきだと思うので、この間も言ったが、残響がすごいホールを作ってほしい。コンセプトに関してはこのとおりだと思うし、流石だなと思うところはあるが、ただ具体的にどの様な劇場をつくっていくのかと思ったときに、私の分野は演劇しかないので、演劇のことしかわからない。その一方で他の委員は音楽の観点で意見を出されていると思う。専門分野が異なっているため2人で話しあっても多分まとまらないかもしれないが、接点を探していけたらと思う。コンセプトに関しては共有できるところもあると思うし、また違った視点が生まれてくるのかもしれない。

【会長】

 今、おっしゃったのは要するに実際、そこを使っているつくり手、それが子ども達というのはとても大事になると思うが、それからもう1つはつくり手ではない、何も演じないけれど、良いもの観たいという人々。両者の兼ね合いをどの様にしていくのかということだと思う。それから先ほどの残響の問題は、この前、技術的には両者納得できるものが可能ではないかというようなお話もいただいたかと思うが、ただキャパについては問題が出てくるかもしれない。これについてはもしかしたら議論するときに、もう少しデータが必要になるかと思う。全国の1,000以上のホールを調べたりしたが、実際にはお客さんがどのぐらい集まっているのか感覚的なものではなくて、数字もある程度要るかなと思う。

【委員】

 そのコンセプトのところで、もうちょっと尖った表現が必要ではないか。恐らく真ん中の長崎らしいっていう言葉を除けば、先ほど意見があったが各地域同じ課題を抱えているので長崎らしさが出ていないように思える。私も世界発信という言葉にはすとんと腑に落ちた。「このホールの特徴はなんですか」となったときに、やはり「世界発信」とか「平和」とかでそういった1つでも、キラっと光るような、少し尖った表現にした方が、市民の方に非常にわかりやすいし、賛同も得られやすいのではないか。その様にドキッとするようなフレーズをここで考えてもいいのではないか。

【会長】

 確かにおっしゃるとおりで、キラッとした表現が必要であると思う。「世界の窓」というのは長崎でよく使われるフレーズであるが、確かにそのとおりである。世界に唯一開いた窓であって、ただ残念ながら世界からいろんなもの入ってきたけど、長崎を素通りしちゃったという側面もある。様々な文化が入ってきたものの、長崎にうまく残っていなかったという部分もあると思う。今の委員のご意見として、こんなフレーズはどうなのかとか、この辺に少し入れ込んでみようとかいう意見がある方はいないか。先ほど出た「西の外れだけどアジアに近い」という言葉も大切になるかもしれない。

【委員】

 違うことを考えていて、申しわけない。少しだけ意見を述べさせていただく。ずっと舞台関係の仕事をしているので、この「魅せる・触れる」のところで、要は専門性の芸術性の高いものをやるというときに、今、現状で、例えば演劇をやるときは市民会館を使うのだが、市民会館ではセットが入らないという問題がある。オペラやバレエをやるときは、公会堂ではセットも入らないし、その様な東京で上演しているものが長崎では上演できない。これはブリックホールでも同じようなことが起きている。コンサートだとかロックコンサートだとか、そういうものに関しては、ほとんど今セットも入るし、ブリックホールで市民の皆さんは東京で催されているものと同じようなものを観ることができている。ただ、さっき言ったようにオペラだとかバレエなんかの場合はいろんな制限があったりしてブリックホールでさえもセットを確保できず、東京と同じものが観ることができないのが現状である。そうであるからこそ、私は専門性の高い芸術を長崎市民の皆様に観てもらいたいというところで、そういう施設をつくっていただきたいということを述べさせてもらっている。キャパに関してもそうであるが、1,000から1,200というのはものすごく大きな幅があって1,000席と1,200席でも雲泥の違いがある。ただし、舞台の方の機構に関しては、全く別問題になるので、舞台人としてはいわゆる専門性の高い機構をとにかく入れてもらいたい。その中で先ほどご指摘があったが、そういったときに、長崎にそういった機構を触れる人間がいるのかというと、実際今はいない。なぜいないかというと、そういう機構を持った劇場がないからである。ただし、きちんと勉強はしている。私たちも、そんないろんな会場を回ってこれはこういうことだということはもう十分把握しているので、そこは心配しないでいただきたい。

【委員】

 ちょっと違った観点になるかもしれないが、若者が外に出て行ったり、人数が減少したりということを言われていたが、逆に大学に来たり、こちらに来た人たちが、長崎に留まるような、面白いまちになれば、人口も増えて行くのではないかと思う。先ほどの「世界発信」とか「平和」とかに関しては、長崎とか広島は特に平和で訴えるところができると思う。そこは大きな魅力じゃないかなと思う。まだいろいろ考えると、坂のまちであったり、そういった長崎の特徴を踏まえた上での、この3つの「魅せる・触れる」「創る・発信する」「つながる・育む」をつなげていって、長崎独自の地形とか人間性とか色んな面を育んでいくといいものができるのではないか。人が増えるようなまち、魅力あるまち、それがこのホールから発信できるとすごくいいまちづくりになっていくのかなと思う。

【委員】

 前回の審議会のときに意見書を提出させていただいた中に、コンセプトの1つとして書かせていただいたのは、「新たな長崎の出島」という位置づけにこの施設があてはまるのではないかと思う。意味合いとしては世界に発信する場所であり、あるいは逆に言ったら世界の文化がまず長崎に来る場所でありということで、長崎に行けばいつもいいもの聴けます、観れますというホールであることによって、交流人口が増えてみたり、それを聴きに行ったついでに長崎を観光しようかということになったりするのではないか。観光と文化は同じ動線の中にはそんなにはないとは思うが、よその方にとって、例えば長崎に行くのはただ観光だけではなくて、文化を聴きに行く、観に行く場所、あるいは夜、単に飲みにいくだけではなくて、昼間、観光して、夜は公演を聴いて、そしてその後、夜景を見てといった流れが生まれたらいいのではないかと思う。逆に長崎からの発信というものも、当然やっていくし、世界を見るというのは施策としては重要なんじゃないかなと考える。「新たな出島」を提唱したい。

【委員】

 私も別の視点からも、色々思っていたことはあったが、様々な意見が多岐にわたって出て来てるのは当然のことだと思う。天地人と言って、天の時、地の利、人の和ということを考えたときに、地の利はやはり、あそこにある出島のことだと思う。人の和とのことを考えたときに、資料1ページ目に幾つかのホールがあるので、うまくそれぞれのよさを活用していく。ただ、全てをクリアすることは難しいと思うので、長崎の地で可能な範囲でできることを目指す。例えば福岡にある博多座みたいなものは長崎市としては難しいかもしれない。地の利と人の和のところと、あと長崎が一番難しいのは天の時といいますか今、人口が減ってきている、この先これをつくることによって人がもっとやってくる。そういった魅力的な施設にしていきたいなと思う。さっきキーワードというのが色々あったが、もちろん平和や国際ということも素敵だと思うが、1つは文化芸術をリードしていくという点もあるのかなという気もする。

 それと資料の中で市民の、私たちの理想の文化施設というのが1枚あって、これなんかよくいろんなことが書いてあり、良いなと思った。全てというわけにはいかないかなと思いうが、こういった市民の意見というものも、いいものは取り込んでいく必要があると思う。また、茅野のホールの様に他地域で揉まれてでき上がったものというのは、参考にしていきたいなと思う。

【会長】

 ありがとうございます。ほかにいかがですか。はい、どうぞ。

【委員】

 ワークショップの中身は非常に面白いなと思って読ませていただいた。本当にいろんな観点で市民も乗り気になって関心が少しずつ高まってきているなというのを感じながら読ませてもらった。その中に、「気づいたらいつの間にか建っていた、をなくす」という部分があって、確かに公共施設というのは計画通りに進めてはいるが、市民の関心が高まったころにはもう内容が固まっているというパターンが非常に多いので、ここでも提案している市民アンケートとか、そういったこともぜひやっていただきたいなと思う。あと前から言っているが、この立地自体が非常に貴重な文化財が埋まっているかもしれないという非常に未知数なところがあるので、市には県に対して試掘を促してみたらどうかと思う。もちろん議論しているときは、県庁跡地に建つ建物の基本構想を議論しているんだと思いながらも、未だに知事の発言にしても若干含みのあるような発言があっているし、「ほぼ残されていない状況と推定している」という発言を根拠に埋蔵文化財がないと言ってしまっていいのか疑問。その辺をすっきりさせて、この議論を進めていければなと思う。

【委員】

 ハコモノをつくるというのは非常に難しいということは皆さんご承知のことと思うが、戦後は世の中が落ち着いて、各都道府県、市町村、地方公共団体が皆さんハコモノを競ってつくっていたかと思う。その最たるものが公民館だと思う。その次に美術館とか博物館である。これは国が補助金をつけてそれで奨励したわけで、それで皆さん、それを目指してつくったわけであるが、後から見るほどいい美術館、いい博物館ができてきている。しかし、ハコはできたけれども運営に非常に苦心している。現在もそうである。長崎に美術館と市博があるが、やはり中身は上等である。しかし見に来てくれる人がいない。平常の日に行ったら閑古鳥鳴いている。市博なんか特にそう。これはもう本当に宝の持ち腐れである。それで今からコンサートホールつくろうというお話があっているようだが、音楽を愛する人が、どれだけそれを支えているかと、そういうことに、尽きるんじゃないかと思う。利用する人とか鑑賞に行く人とか、そういう人がなければどうにもならないと思う。作っても美術館に観に行かない、博物館に鑑賞に行かない。人というのはなかなか思ったように計画通りには動かない。計画通りに行かないのが普通。それで私は市民体育会とか、そういった公社や地方公共団体がそれにどれだけ支援できるか、尽くせるかというところに尽きるんじゃないかと思う。今、私たちも展覧会というのをやるが、やはり市が関わったり県が関わったり、もちろん報道機関も関わるが、その様な大きなまとまりがないとできない。だからそれをどうするかということと、もう1つはやはり今からの方を育成するということが非常に大事だと思う。ところがそれがなかなかできてない。だから人材の育成は大事だと思うし、その人材をどうしていくかということも大事だと思う。総合的に考えてどうやって運営していくのか、公共の団体はもっともっと真剣に考えてもらいたい。

【委員】

 今の意見に関連するが、確かに人を集めることは大事で、うちの団体は自分で言うのも何だが、大体、発表会をするといっぱいにさせることができる団体ではある。かとうフィーリングアートバレエもそうであるが、この団体というのは公会堂ができたころからずっと活動をしてきてて、公会堂があってそこで発表会をするっていうのが1つのモチベーションになって、みんなそれぞれ技術を磨いていって、育っていったというのがある。なので、コンセプト案にあるような、人を育てていくホールというのは、コンセプトとして本当にあるなと思う。その公会堂がなくなってしまったので、新たにまたつくりたいということである。その施設に観客をどのくらい集められるかどうかというのは、団体の努力の問題だと思う。でもその努力をしていくためには、公会堂のようなホールがなければ難しかっただろうなというのが実感である。そういったことを考えると、人を育てていく、文化を育んでいくということもコンセプトとして必要だというふうに考える。

【委員】

 やはりいいものをある程度ずっと打っていくということも必要なのかなと考える。私の経験から申し上げると、一昨年にコンセルトヘボウを呼んで、かなり無理をしていろんなところに打って回ったし、旅行商品もつくって関東、関西から数百人のお客様を呼んだところである。去年、コンセルトヘボウの中の7人のムジカ・レアーレという室内楽団が来て、やはり一昨年のコンセルトヘボウの感激がまだ残っていた人は、それまで室内楽ほとんど興味なかったのにもう1回聴いてみたいということで、聴きにきていた。その様に少しずつ聴衆の方の求めるレベルを上げていくには5年、10年かかると思うし、それだけのレベルのものを続けていくっていうのは財政的に非常に苦しいかと思うが、やはりこれは美術館も博物館も同じで、いいものを苦労しながら、我慢しながら続けていって、目の肥えた、耳の肥えたお客様を1人でもふやしていくっていうこと長い期間かけて取り組んでいかなければならないのではないか。そのためにはやはりハードとしていいものでないと長くは続かないというのがあると思う。

【会長】

 そろそろ時間であるが、これだけは言っておきたいという方はいらっしゃるか。

【委員】

 コンセプトについてはもうこれで出尽くして、あと市の方でまとめていただくということでよろしいか。

【会長】

 私は後でコンセプト案について申し上げたいと考えている。

【委員】

 一通り終わったということであれば、会議の度に何度も言っていて申しわけないが、明快な回答をいただいてないので、今日ご回答していただくか、今日できなければ次回には答えをいただきたいと考えていることがある。まず県庁跡地の発掘調査を徹底的にやられると思うが、それをやった後に、もし何か重要なものが出てきて、そこにホールが建たないというふうな事態になった場合は、現市庁舎跡地に建てるという当初の計画を残しておられるのかどうかという点について回答いただきたい。次に進め方の問題だが、この基本構想の段階で、進め方についても案を決めるのかどうか、例えば設計者を決めてプロポーザル方式で進めるのかとかいうようなことまでを、この基本構想(案)で決めるのかお答えいただきたい。それとも進め方については市の方でこんなふうにしますと決めてしまうのか。後者であればそれは少し乱暴かなと思う。3月末の基本構想(案)をまとめるというところで、そこまで決めるのかどうか、あるいは決めないのか。あるいは決めないのであればどこが決めるのか。そこについて回答いただきたい。

【会長】

 今、回答した方がよいか。

【事務局】

 最後に回答したいと思う。

【委員】

 今、いろんな意見が出たかと思う。例えば長崎に来るとオランダのオーケストラがいつも演奏しているとか、ヨーロッパのオーケストラが聴けるんだ、観光と兼ねて行けるんだという様になれば本当にいいと思うが、誰が公演に来てくれるのかという問題がある。例えば前回のコンセルトヘボウのときみたいに長崎県や長崎市が莫大な費用を出すつもりがあるというのであれば確かにそういうこともできるかもしれないが、なかなか、そういうつもりはないのではなかと思う。そうすると、興行の観点からいくと、多分ここのホールを利用するのはブリックホールで2,000席というのはちょっときついけども、1,200とか1,300ぐらいだったらできるかなというアーティストがここを利用することになると思う。だからといって安っぽいホールでいいというわけでもないし、チケットが売れるからいいアーティストだと言うつもりはないが、世界的に有名な方たちが来るのであればブリックホールかアルカスで公演するのではないか。そうじゃない方たちがここを利用して、次のチャレンジにしていくという感じになるのではないかという気がする。

 もう1点、先ほど、現在の出島という話があったが、この場所にせっかくできるのであれば、そういった要素がないと、何でここにホールが建っているのかという話になってしまう。例えば世界的に有名なアーティストがしょっちゅう来るということはなかないことだと思うが、例えば長崎の伝統芸能が毎日ここでやっているとか、毎日ランタンフェスティバルになっているとか、長崎に観光に来た方は、必ずここのホールに寄って何かそういうものに触れてから各地の観光に向かうというようなホールにしないといけない場所にあるかなとも思う。

【委員】

 海外のすごい芸術性の高い部分でいくと、音楽の分野の場合はそうかもしれないが、舞台芸術の場合というのは、逆に1,200だからいい、1,000だからいいという空間もある。従って海外から来てるものが全部2,000席必要かというとそうではない。逆に800席の方がいいっていう場合もあるので、そこはうまく使い分けをしていけばいいと思う。

 それから、劇場とかホールというのは客席と舞台だけで終わるところではない。そこからにじみ出ると言ったらおかしいが、芸術の持っている潜在的な力をどうまちに波及させていくのかということが問われる場所になっている。客席と舞台だけでああだ、こうだと言っている時代はもうとっくの昔に終わっていて、そこで生まれた芸術の力をどう社会とうまく融合させて、このまちを面白くしていくのか、このまちを活性化していくのかを考えなければならない。そこをどう目指していくのかという意味において、このコンセプト案というのは、文言はこれから精査しなければいけないと思うが、考え方としてはそういうことなんじゃないかなと思う。もちろんこの中には、舞台と客席の中からにじみ出る芸術の中には、もちろんそれは市民の方々がやっているものも含まれているし、世界的なものを含めて、それをどうコーディネートしていくのかっていうことが、すごく重要な問題になっていくのではないかと思う。

【会長】

 ありがとうございます。まずこのコンセプトについてだが、少し私のまとめというか意見を言わせていただきたい。先ほど話に出た長崎らしさをどう出すかということについては、2つほどある。1つは先ほど委員がまとめていたが、一緒にやればいいではないかと思う。「長崎は全然違った分野、あるいはその伝統的なもの、古典とかオランダもの同士がなかなかうまくやっているよ」、「ミュージカルじゃない新しい音楽芝居をやっているよ」といったものが長崎でつくれたらいいなと思う。委員の皆さんが今バックに背負ってらっしゃるものがあると思うが、そこからはみ出るというか勇気を出して、外に出て一緒にやっていく、長崎はそれができているよと、それこそちゃんぽんみたいですけど、そういう劇場、それを支える劇場だったらいいなと思う。

 もう1つは鑑賞の話だが、プラハが来ても2,000集まらないような市民じゃ情けない。コンセルトヘボウが来たら2,000人は軽く集まるような市民を育てないといけない。ただ数を育てるのではなくて、長崎のお客さんはなかなか耳が肥えている、芝居見る目が厳しい、絵もなかなかうるさい、そういった審美眼というか、長崎の鑑賞者のレベルをつくることも必要ではないか。長崎は手が抜けない、あそこ行ったら本気でやらないともう二度とやらせてもらえないくらいの、目・耳の肥えた市民、鑑賞者をこのホールを使ってつくっていくというのを長崎の売りにしたい。1つは「ジャンルを超えて」、もう1つはそういう審美、鑑賞者のレベルがちょっと他よりは手ごわいぞという「手ごわい長崎市民」という観点を考えて欲しい。

 そして最後に、そうやって長崎の人たちが生き生きとやっているものを、よそから来た人が楽しんでいく。くんち方式の様に長崎の人が生き生きとやっているようなことを、ほかの人が来て長崎いいなと思って帰ってもらえれば、1つの経済波及効果もあるなとも思う。

 先ほど委員からご質問があった件について事務局は回答をお願いします。

【事務局】

 1つ目の点についてはこれまでも答弁をした内容になるが、平成21年度、22年度に県庁舎跡地の試掘調査を行っており、県と市の共通認識として県庁跡地に遺構が存在する可能性は低いものと考え、現在、議論を進めているところである。仮に埋蔵文化財が出て来た場合のことについては、現時点ではお答えしていない。あくまでも埋蔵文化財が出る可能性が低いというところで議論を進めており、11月議会の方で長崎市、それから県の方もそれぞれの議会の議員さんとかにもお話をしているところである。県の方で、また今度3月議会あたりにも意見を聞けるというふうな状況であるので、現段階ではそのお答えというようなところになる。

 それから大事なのはいわゆる基本構想の中でどこまで盛り込むかというふうなことだったと思う。我々が考えているこの基本構想というのは、今、お示ししているまさにコンセプト、こういう方向であるべきだというふうなところをまとめたいというのが1つと、もう1つ、それをもとにどういった方向でこの施設の整備だとか、大きな運営のあり方というふうなものが出てくるのかということを決めたいと考えている。当然ながら基本計画の方で詳細を決める予定である。ですから基本計画に向けての、今、たくさんの課題が出てきているので、次の基本計画につなげるような課題というのを残していきたいというふうに思っている。それを受けて基本計画の方では基本方針だとか施設の機能、キャパや諸室の配置、それから動線、そういった具体的なものを考えていきたい。その中で中村委員等からも話があっている管理運営の考え方の具体的な手法、それから当然、事業費、運営費、こういったものの試算、考え方というのを出していきたいと思っている。今回は構想なので、こういう方向で新たな文化施設はあってほしいというふうなところを取りまとめる内容だというふうなところである。詳細については基本計画の中で具体的に検討していくと受け止めていただいて構わないというふうに思っている。

【委員】

 今の回答では満足できない。だれがどこでやるのかが問題である。

【事務局】

 ホールの話もそうであるが、文化財についても、非常に責任をもって発言しなければならないので、貴重なものがもし出て来た場合にどうするのかといった問題に対してどういうスタンスで臨めばいいのかというのをちょっと考えてしまうところである。次回までに持ち帰り検討したいと思う。

【会長】

 先ほどのご質問をもう1回整理していただいて、具体的なことというよりは、どうやって進めていくかという根幹にかかわるようなご質問もあったので、整理していただいて、次回回答をお願いしたい。

 今日、皆さんからいただいた意見をもとに事務局に少し整理いただいて、次回の審議会のときにまたよろしくお願いしたいと思う。

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