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平成31年度第1回 長崎市人権教育・啓発審議会

更新日:2019年5月30日 ページID:032918

長崎市の附属機関について(会議録のページ)

担当所属名

市民生活部人権男女共同参画室

会議名

平成31年度第1回 長崎市人権教育・啓発審議会

日時

平成31年4月25日(木曜日)15時00分~17時00分

場所

長崎市民会館中央公民館第4研修室

議題

人権課題における性的少数者の実情について

審議結果

【事務局】ただいまより、平成31年度長崎市人権教育・啓発審議会第1回会議を開催する。

はじめに、日向市民生活部長よりご挨拶を申し上げる。

- 部長 挨拶 -

【事務局】次に、本日、出席している市及び教育委員会職員をご紹介する。

- 職員紹介 -

【事務局】本日の審議会委員の出席は14人のうち、10人であり、「長崎市人権教育・啓発審議会規則」第5条第2項の規定により、委員の出席が過半数を超えているので、本日の審議会が成立していることを報告する。なお、「長崎市附属機関の設置等に関する基準」第5条第4項の規定により、本審議会は公開となっている。

それでは、議事に入る前に資料の確認をする。

本日の配布している資料は、A4サイズ縦1枚の右上に資料1.及び資料2.と記載のある2種類の資料と、前回の会議で使用したA4サイズ縦1枚の資料である。

お手元にない資料があれば、お申し付けいただきたい。

≪不足資料の確認≫

【事務局】それでは、お手元の「次第」をご覧いただきたい。本日の流れを簡単にご説明する。このあと議事に入る。本日の議題は近年、話題となっている性的少数者の現状について理解し、今後の人権教育・啓発につなげるため「人権課題における性的少数者の実情」となっている。本日は関係人として「Take it! 虹」(テイクイット虹)の方をお招きしているので、性的少数者の実情について30分程度ご講義いただく予定である。その後、事務局から、昨年7月の前回会議の資料「同性カップルを対象としたパートナーシップ制度導入の検討について」に基づき、振り返りをさせていただく。振り返りが終わったら、性的少数者への理解をより深めるために、委員の皆様から関係人及び事務局に対し、ご質問等をいただきたい。

その後、長崎市が現在検討を進めている「パートナーシップ制度」について資料に基づきご説明させていただく。委員の皆様からは、内容等についてご意見をいただきたい。

それでは、「長崎市人権教育・啓発審議会規則第5条第1項」の規定により、会長が議長となることが定められているので、この後は、会議の進行を江頭会長にお願いする。

【会 長】長崎市が導入を考えているパートナーシップ制度について皆さんからご意見をいただきたい。関係人に来ていただいているので、まずは関係人の話を聞きながら勉強をして、後ほどパートナーシップ制度について存分に意見を出していただきたい。

【関係人】私たち「Take it! 虹」という団体は、長崎県の中で7年前から性的少数者の方々をサポートしたり、啓発をしたりするための活動を中心に行っている。

「同性パートナーシップ導入のための一歩」というタイトルでお話をさせていただくが、今日は市の方から性的少数者についての簡単な説明と今後導入を検討するにあたっての補足というところを中心に話をして欲しいと依頼を受けた。

最近、テレビの中でもLGBTという言葉をよく耳にするようになってきた。Lはレズビアン、女性が好きな女性。Gはゲイ、男性が好きな男性。Bはバイセクシャル、男性女性どちらにも恋愛感情を抱くという方の総称。Tはトランスジェンダー、出生時に割り当てられた性に対して違和感を抱える人達の総称。よく耳にする性同一性障害という言葉もこのトランスジェンダーの一部と言われている。

性には、大きく分けて3つの指標がある。戸籍上の性別、性自認、性的指向の3つである。時々これに対してジェンダーというものを加えて4つの指標があるとも言われているが今日は3つについて説明をする。

まず初めに、戸籍上の性別というのは、出生時に主に医師が外性器、外陰部を見て判断するころが多い。母子手帳あるいは出生届などに記載されている戸籍上の性別になる。母子手帳にその他という欄があるのをご覧になったことがある人もいるかもしれない。性分化疾患と呼ばれるケースでは、男女両方の性器を有している、あるいはどちらも有していない、あるいは片方だけがその形が未発達である等様々な特徴を持って生まれてくる方がいる。時々メディアの中で性分化疾患のケースの方々を指して、「第3の性」と表現するが、この「第3の性」という表現に当事者の方は非常に苦しんでいる。

次に、性自認は、自分自身が自分の性別のことをどのように捉えているかということである。概ね戸籍上の性別と性自認が一致している方が多いが、中には一致しない、あるいははっきりしないトランスジェンダーの方が存在する。違和感があまりにも強いので医師を訪ねて2名以上のドクターから診断を受けた診断名というのが性同一性障害という言葉になるが、トランスジェンダーの方すべてが診断を受けているという訳ではない。何より大切なのは、その人の性はその人自身が決めるものである。性自認に沿ってその人の性を尊重していくことが重要である。

最後に性的指向は、恋愛や性愛の傾向がどこを向いているのかを指す指標である。例えば、異性を好きになる人もういれば同性を好きになる人もいる。恋愛感情を抱かないAセクシュアルという人もいる。また、エッフェル塔と結婚した人など対物性愛者という人もいる。そのどれもがおかしいということはない。最近では、「SOGI」という言葉が世界的に知られるようになってきた。セクシュアルオリエンテーションジェンダーアイデンティティという言葉の略称で、恋愛傾向はどうか、性自認はどうかという二つの指標に沿って人の性を見つめていこうという概念である。シスジェンダーは性自認と戸籍上の性別が一致している自分の体に違和感を感じていない人のことで、ヘテロセクシュアルは異性愛者の総称であり、こういった人々も多様な性の当事者の一員である。

こうした性的少数者は、人口の8.9%いると言われている。主に左利きやAB型の人と同じくらいの割合だと言われている。「性的少数者」と言っても、私たちの人数は決して少数ではない。しかし、身近に感じていない人もいるかもしれない。私たち性的少数者は目に見えない少数派であり、カミングアウトをしなければいないものとして扱われてしまう。カミングアウトする人が少ないのは、性的少数者を取り巻くたくさんの課題があるからである。性同一性障害の方の約6割が小学校入学前の時点から自分自身の体に違和感を抱いていたという統計データがある。性的少数者は置かれている課題の多さから自殺のハイリスク群として自殺総合対策の取り組みが必要な集団として扱われている。私たちの周りには、多様な性の在り方に対して否定的あるいは、

不確かな情報があふれている。

10年ぶりに学習指導要領の改訂があり、パブリックコメントで368件も多様な性についても盛り込むべきだと言及があったが、結局今回も性の多様性は反映されなかった。同性を好きになった子どもたちが教科書を見たとき、自分自身はおかしな存在なのではないかと孤立感を覚え、悩みを抱えるひとつの原因になるのではないかと改訂を求める声が今でもあがっている。学生時代に関するアンケート結果では、当事者の7割近くがいじめ経験があったり、周囲からの偏見で自死が起こっている。その人が隠している性の在り方を第三者が勝手に暴露するアウティングによる自死など命に関わる重大な問題となっている。また、進路選択への迷いや選択肢が狭まるということがあったり、実際に就職してからもたくさんの差別や無理解に苦しむことがある。同性カップルで暮らしていても家族として認められないため看護休暇が取得できなかったり、パートナーが亡くなった際に遺族から葬儀への出席を断られたり、パートナーとの財産をすべて没収されてしまったりということがある。また、カミングアウトしている人たちに対して、飲み会の席でハラスメントがあったり、トランスジェンダーの方が性別適合手術を受けて復帰する際にクビになってしまったり、営業職から事務職に転向させられたりということが起こっている。こうした課題の多さから、性的少数者の方の自殺の割合は、一般平均と比べると、3倍近くリスクが高いと言われている。

長崎市の平成27年度の市民意識調査では、性的指向や性自認に関して嫌な思いをしたことがあるという人が、前年度よりも増加傾向にあった。また、平成29年4月長崎市へ10代の方からパートナーシップ検討を求める投書があっている。平成29年度の春には、長崎市内でレズビアンのカップルが結婚式を挙げている。

こうした流れを受けて、平成30年6月市議会の一般質問でパートナーシップを求める声が起こった。それに応えるような形で市長の方から導入検討の発表が行われている。他地域でもすでに導入が行われているが、利用者のいない地域もある。札幌での導入時には800市民の方から反対意見があったが、札幌市行政は、この800の反対意見を受けて、「これが差別だ、だからこそきちんとこの制度を導入して理解を進めていかないといけないという姿勢」をとった。しかし、市民からの反対意見を受けて、導入を見送っている自治体もある。長崎市においても、導入検討が加速するにつれて反対意見があがってくる可能性があるが、その時にこそ、必要であるという姿勢を持ってくれたら心強い。制度がなくて選べないのと、制度があって選ばないのでは全然違うため、選択肢があるということが重要である。制度があって、理解があって、当事者達の意思によって選択できるということが非常に重要となってくる。

県内でもLGBT電話相談デーの開設やLGBTフォーラムの実施、性の多様性ロゴデザイン募集などの取り組みが行われているが、サポートと啓発の両輪で実施していくことが重要である。民間レベルや教職員、市民団体との連携も必要となってくる。制度の導入にあたっては、当事者の方に聞き取りをし、使いやすい制度にしてほしい。ハッピーな時だけでなく、不慮の事故でパートナーの意識がない状況やDVの被害の対応等、悲しいときにも使える制度がよい。また、同性のカップルだけでなく、トランスジェンダーやシングルの方等、性的少数者全体の取り組みも進めてほしい。鹿児島市や熊本県では、性別記載欄を可能な限り削除する取り組みを行っている。長崎市で安心して暮らしていくためには、制度だけでなく、周囲への啓発、理解を進めていくことも重要である。また、性別記載欄削除なども含めた日々のつまづきを軽減するための改善も必要となってくる。

【会 長】今の話を受けてご意見ご質問ありましたらどうぞ。

【委 員】性的少数者の方の話はずいぶん前から耳にしている。ここ2、3年アメリカやカナダに行く機会が多いのだが、普通にどこにでもそのような人達がたくさんいる。そう考えると、日本でそのような場面を目の当たりにすることが少ないので驚いている。

教科書の学習指導要領に、いまだに一定の年齢になったら異性を好きになるという記述でしか出てこない。

【関係人】今回、学習指導要領の改訂についてたくさんの署名活動が行われた。パブリックコメント中の12%にあたる人々から多様性の在り方について教えるべきだとの声があった。今回、学習指導要領の中には反映されなかったが、いくつかの教科書会社は、多様な性の在り方について記載している。しかし、教科書に載っていたとしても、教師がスルーしたり、教師側にきちんとした理解がなく揶揄するような言葉で終わることもあり得る。

【委 員】テレビや映画でそのようなテーマを取り上げられることがあるが、何となくエンターテインメント的な取り上げられ方で、現実のものとして取られていないように感じる。

【委 員】私達は労働者の団体であるが、福岡に行ったときに普通の公園でLGBTのイベント(アイダホ)を行っていた。こういったイベントをすれば少しは皆さん理解してくれるではないかと思う。

【関係人】昨年度に国会議員の「同性愛者の方々は子どもを産むことができないため生産性がない」という発言に対する抗議デモがあった。この時初めて当事者の連携を深めようと街頭のアクションをするために集まったが、当事者がサングラスや眼鏡をかけて広場に集まったのを見て、自分の生活圏内で顔と名前を晒すというのはまだ抵抗があるのだと感じた。

【委 員】日本の文化では、男子の役割、女子の役割を生まれた時から親から言われ、どちらかに属さないとやっていけないということと、個性を認めない、類型に属さないものは異端視されるという文化があると思う。

確かに男性だけども女性というのは少し違和感を感じるが、私自身は中身がどうであれあまり関係ないと思う。

以前、17、18歳の女性に第二性徴が現れないので病院に行ったら実は男性だったという例があった。その時に、人間の性というのは、生まれた時に遺伝子的に女性か男性かはあまり問題ではなく、本人が自分の性をどのように認識しているかが重要だと思った。

関係性が認められていないが故に、自分が一番大事だと思っている人の手術に立ち会えなかったり、財産関係で問題がでてくるのは差別だと思う。

昔は、結婚そのものに対する概念というものが、子孫を残すというのが第一の目的であって、子どもが生まれることを前提にしていたのでお見合い等あったが、今は婚外子等たくさんの例があるし、もう少し学習指導要領に個体差があって当然なのだということを入れるべきだと思う。

【関係人】先ほどおっしゃった例はおそらく性分化疾患のことだと思う。インターネット等で情報は得られるが、インターネットの情報がすべて正しいわけではないので、学習指導要領にもとづき一定期間にみんなで同じことを学ぶことが重要となる。その時は自分が当事者かどうか分からなくても、肯定的に学ぶことによって、あとで好きな人ができたとき、あるいは違和感を感じた時に、肯定的に自分を受け止めることができる。また、当事者以外の方にとっても街中や職場で当事者と出会っても当たり前のこととして受け取ることができる。教育というのは、当事者のサポートと多数派の教育という両側面がある。

自分自身も以前、パートナーが入院にした際にパートナーとして認めてもらえず手続きに手間がかかってしまった経験がある。また、カミングアウトができない状況で誰に助けを求めていいか分からなかったということがあった。長崎市内でもこのような思いをしている人がいるかもしれないが、どこに相談してよいか分からないため表面化せずにうやむやになっているケースがたくさんあるのではないだろうか。

【委 員】利用希望者への聞き取り=使える制度とあるが、使える制度とはどのようなものを希望するか。

【関係人】長崎市の中だけでも構わないので、法的拘束力が欲しい。例えば、同性パートナーシップの制度を利用しているカップルが病院に行った際に、パートナーとして扱ってもらえないなど不利益が生じた時に、病院に対して長崎市から勧告を促すことができたり、あるいは、好意的な対応やきちんと学習会を行っている病院を列挙したり、当事者が困ったときに恐る恐る手続きに行かなくてもいいという制度にして欲しい。使いやすくしていくためには、制度自体の枠組みだけでなく、理解を促進していくことも重要だと思うので、学習会を市民向けにもっと増やして欲しいと思っている。

【委 員】パートナーシップというのは、いわゆる婚姻という形式ということか。

【関係人】自治体が持っている権限がそこまで強くはないので、法律的に異性カップルと同じような制度運用にはおそらくならない。

【委 員】パートナーシップ制度において法的に証明するということは、行政的にどういうことか。

【関係人】例えば、意識不明の意思決定ができない状態のパートナーが救急車で運ばれてきた場合に、本来であれば面会は家族のみが許されるが、パートナーシップを提示するとパートナーも家族として認められるという取り扱いが病院すべてにおいてできているかどうかということだ。

【会 長】議論そのものは後になると思うが、長崎市が考えているパートナーシップ制度とはどういうものか大きな主旨だけ説明いただきたい。

【事務局】どのような性的指向や性自認であっても、ありのままの姿で社会の一員として認められ、性の多様性が尊重される社会づくりに努めるというのが、性的少数者の人権課題に対する長崎市の基本的な考え方である。性的少数者の人権課題として、「性的少数者への市民の認識と理解」、「生活環境の未整備」、「社会制度の未整備」の3つが大きな課題として挙げられるが、「社会制度の未整備」の一つとして、性的少数者のカップルは、互いを人生のパートナーとして経済的又は物理的、かつ、精神的に相互に協力し合う関係であっても、社会の理解不足に加え、男女の法律婚のように関係性を公証する制度がないため、住宅の借り入れや職場の福利厚生、病気入院時の対応等の社会生活上の様々な場面で支障を抱えているという現状がある。

こうした現状を踏まえて、性的少数者のカップルが互いを人生のパートナーとし、日常生活において経済的又は物理的、かつ、精神的に相互に協力し合う関係であることを宣誓した事実を行政が証明するパートナーシップ制度の導入を考えている。

【会 長】長崎市が考えている制度は、正式な法に基づく制度ではなくて、お互いが精神的に助け合うパートナーであるということを宣誓した事実を行政が証明するという形である。概ね他県で先行実施しているところもそのような制度になっているようだ。

【委 員】長崎市の性的少数者の割合8.9%はどこからはじき出された数字なのか。

【関係人】8.9%は、電通のダイバーシティラボの調査における統計データである。色々なところで性的少数者の方のパーセンテージが出されているが、マーケティングに使われることが多いので、パーセントが高すぎたり、低すぎたりする場合があるのだが、概ねこのパーセンテージが主流である。

【委 員】少なくない数字である。ということは、もっとこれはきちんとした形で対応が必要である。昔から男と女しかいない世界はおかしいと思っていた。このように数字が出てきたということはかなりの進歩だと思うし、性的少数者の方達の人権を確立していく必要がある。数字としては大事な数字だと思う。

【関係人】私も数字は大事だと思っている。電通のダイバーシティラボが毎年アンケートを行っているが、パーセンテージが少し増えている。パーセンテージが増える背景としては、単純に人数が増えたのではなくて、カミングアウトしやすくなった、あるいは、自分が当事者であるということをきちんと知ることができるようになったということがある。

今度、長崎県と共同で長崎県民対象に性的少数者の実態調査を行うことになっていて、少しずつデータの蓄積ができるようになっていくのではないかと思っている。

【会 長】先行して長崎県の人権教育啓発基本計画の中では、すでに性的少数者の問題は重要課題としてあがってるが、そこには7.8%という風に示されている。

私は長崎大学に勤めているが、長崎大学の学生は1万人いる。大体8%と考えた時に、800人という数字をどう見るかということだろう。グローバル化で留学生がたくさんいるが、日本人学生も含めて事務局には、トイレや更衣室がどうにかならないかという施設設備も含めた様々な要望が出てきている。

その一方で、おかまカフェなどの様子を動画共有サービスにあげたりする学生もいる。要するに、800人がその様子を見るということについて全く無感覚ということである。制度を作ったからと言って、自分が不利益を被ったり、差別を受けるという状況の中では制度は機能していかない。

【委 員】アメリカやカナダには、養子縁組がすごく多いが、日本ではあまりない。いろいろな事情がある子どもを引き取って養子縁組するということが日本で根付くには、まだまだ時間がかかる。

【関係人】現在、フォレスタケアという同性カップルの方の養子縁組をサポートするような団体が東京や大阪にある。また、ステップファミリーといって、一度異性同士の結婚をして子どもを授かったが離婚をして、その後同性パートナーと子どもを育ててるというカップルが長崎市にもいる。親がカミングアウトをして制度を利用することによって、子どもたちにも影響があると考えると躊躇してしまう。このようなケースが1件ではなく、特別ではないどこにでもあるケースだと認識されるようになるといいが、現状として厳しいので、まずはサポートという形を示していく必要があると思う。

【委 員】10~20年前の中学校の道徳の授業の中では、たくましい男らしさや繊細な女らしさという違いが男女にはあり、お互いに理解し合って協力しながら仲のいい学級を作っていこうというのはあった。男らしさ女らしさとはすこし違った人もいるが受け止めていこうという授業は指導書もなく行っていないが、これからの世の中は多様性を認めるようになっていかないといけないと思う。教科書や道徳の授業ではないが、職員間で意識を変えていこうという話はしている。

【関係人】文科省から、性的少数者に対するきめ細やかな対応についてということで、学校生活におけるサポートをするように通達があっている。また、長崎市全体の性的少数者に関する授業実践 のパーセンテージが増えてきている。長崎県内のスピーカーの数が少ないので、スピーカーの数を増やすより、教師達一人一人が私事として目の前の生徒達にも当事者がいるという意識をもって教育していくという取り組みが必要だと思う。学校教育の中で重要だと思うのは、カミングアウトをしなくてもみんなが安心できる環境を作ることである。

【委 員】先ほど、男らしさや女らしさの話があったが、道徳の授業で教えるのか。

【委 員】10~20年前はあったが、今はない。

【会 長】男らしさ女らしさを超えて、自分らしく生きやすい社会を作っていく必要があり、文部科学省も一応教師用の手引書も出している。

【委 員】長崎市が作ろうとしているパートナーシップ制度の対象は、同性カップルが対象だが、対象を同性パートナーだけでなく、性的少数者まで広げたらどうだろうか。例えば、親は男の子として認識していた子どもが、実際本人は女性だという場合、子どもが病気や事故にあった際に、母親が「この子は見た目は男性だが、女性として扱って欲しい」と言えるようにできないか。対象を広げることで、成人になってから救われるのではなく、その前に、父親として、母親として自分の子どもを守ることができるのではないか。

【関係人】今回長崎市が導入を検討しているのは、同性パートナーシップ制度であり、性的少数者という大きな枠組みの中の特に同性愛者あるいはトランスジェンダーの方々で、かつパートナーがいる人限定の制度である。だが、日常生活におけるサポートをする別の制度が必要だと思っている。性的少数者に対する差別を禁止するような制度を希望している。パートナーとして暮らしていくことを守る一方で、トランスジェンダーやシングルの方への対応も必要になってくる。差別の禁止や理解の促進については別枠で話を進めていく必要がある。個人的には、パートナーシップ制度は、事実婚を含めた異性の婚姻関係を利用しない人たちも使える制度を希望する。

【委 員】海外でレインボーフラッグをよく見るが、日本で見たことがない。日本にもあるのか。

【会 長】貴重なお話ありがとうございました。

質問の中で、長崎市が考えているパートナーシップ制度の主旨までは理解できた。宣誓したことを証明することによって、具体的に何が変わるのかということについて、説明していただきたい。

【事務局】法的に同性婚が認められていないためできない手続きがありながらも、パートナーシップ制度導入によって可能となる手続き等があるため、制度を作ることで同性カップル等の社会生活上の支障を軽減することを目指している。

先行自治体における制度活用の例としては、行政サービスにおいては、公営住宅の申し込み、職員互助会の申請、公立病院の入院時の家族としての対応等がある。民間企業においては、住宅ローンの夫婦共同ローン、携帯電話の家族割引、航空会社のマイル共有、私立病院の入院時等の家族としての対応、社員の扶養手当や休暇等である。

性的少数者が抱える「性的少数者への市民の認識と理解」、「生活環境の未整備」、「社会制度の未整備」という大きな3つの課題があるが、今回長崎市は、社会制度についてパートナーに絞った制度を構築していきたいと考えている。制度を導入するだけでなく実効性のあるものにしていきたいので、委員の皆様にご意見をいただきたい。

【関係人】ゴールデンウィークに東京でパレードが行われるが、そこでたくさんレインボーフラッグが掲げられている。那覇市や宮崎市でも応援の気持ちを持っている企業や行政が掲げている。当事者ではないが、サポートの気持ちを持っている人のことをアライというが、アライの人もぜひカミングアウトして応援の気持ちを発信してほしいと思う。 

【会 長】質問、意見はないだろうか。皮切りとして、パートナーシップ制度によってできる可能性のある例とあるが、この可能性とはどう読み取ればいいか。

【事務局】長崎市としては要綱に基づき宣誓した事実を証明するという制度であり、法的拘束力が難しいところである。法的拘束力がない中で、この制度を有効に活用していくためには、行政や企業にお願いをして理解をしてもらいながら、サービスを適用してもらう必要があるので、「可能性」と記載している。

【委 員】性的少数者が生きていきやすい社会にしていくことは、市民の皆さんが生きやすい社会になっていくことだと思う。皆さんの心の持ちようを変えていくには、教育がとても大事だと思う。考え方は子どもの頃から刷り込まれてしまうので、人権教育は徹底して行う必要があると思う。

【会 長】先行自治体が導入しているパートナーシップ制度も、資料2.の制度によって可能性がある例についてはほぼ同様のものとして考えていいのか。

【事務局】すべて〇になっているわけではないが、ある程度のものはクリアされているものと考えてよい。

【委 員】やはり教育現場での刷り込みはとても大事だと思っている。毎年、小中学校の教師を対象に研修会を行っている。障害者、自分の子どもについて教師に知ってほしいということが発端で、今年13回目を迎える。なぜ10年以上も続いたかというと子どもに伸び伸びと教育を受けさせるためにはどうしたらいいかという親の思いからである。ダウン症の啓発活動の一環で、旗を持って歩くというバディウォークというものがある。歩いていく中でダウン症について広報する手段だが、広報はとても大事である。長崎市が現在パートナーシップ制度について考えているが、とても良いと思う。障害者のための制度についても考えていただけたらと思う。

また、可能性のある例についてあったが、当事者にとって本当に必要なものなのか話を聞いてみることが大事だと思う。そして、一番大事なのは、知ってもらうことである。教育の場面で少数者の存在を広報することは、制度を利用する人が増えることにも繋がると思う。少数と言われる人にとって使える制度でないといけない。

【委 員】全国各地の先行しているところを参考に制度を考えていくといいのではないかと思う。色々な自治体で制度導入が増えていることについては、勇気をもらっている人がいると思うし、市が制度を作ることは素晴らしいことだと思う。期待している。

【委 員】パートナーシップ制度の導入は第一歩として良いと思う。市がすべきことは、パートナーシップ制度導入を市民へどう伝えて偏見なく受け入れてもらえるかということだと思う。例えば、窓口に当事者が来た時の対応である。勇気をもって来た方にすぐ対応できなければ、その人は二度と来なくなる。しっかり対応できるよう準備しておく必要がある。

また、周辺住民の偏見を取り除くことも必要である。自治会長を集めて制度を周知徹底したり、公民館での勉強会を開いたりできればいいと思う。

【会 長】学校教育の他に、社会教育や家庭教育も重要となる。子どもたちが歪んだ男女観を持つに至る教育がどこでどのようになされてきたのかきちんと捉えていく必要がある。家庭や地域の偏見が刷り込まれたかもしれない。学校教育だけでなく、親の教育も地域の大人達の教育も含めて行っていく必要がある。

また、この制度は市民に発するものであるが、実施主体である市の職員が歪んだ意識を持っていたり、適切な事務処理ができないことがないよう、外部よりも内側に重く発せられるものだという意識を持ってほしい。

【部 長】制度を実効性あるものにしていくには、我々がしっかりと制度そのものと性的少数者の実態について市民に説明し理解を得なければならない。また、内部の職員にしっかりと意識付けをしてあたたかく迎える準備をしていく必要がある。自治会については、行政のパートナーとして自治会長に説明をして理解を深めていきたいと思う。先行自治体に調査をした上で、衣食住に困らないようできる限りのことをやりたいと考えている。併せて、関係事業者の理解と協力を得られるようしっかりと説明をしていきたい。また、御協力をお願いしたい。

【委 員】女の子はさん付けで赤いラベル、男の子はくん付けで青いラベルというのが当たり前という中で、変えていくことの難しさがあるが、これだけ性的少数者の割合が9%近くある中で、ハードルが高いのは分かるが、なぜ民法が変わらないのか疑問である。やはり法律を変えるのは難しいのだろうか。

【会 長】制度を作り運用してく自治体がどんどん全国的に広がっていくということが、結果的に法を動かしていくことに繋がっていくのだと思う。貴重な第一歩だと私達は前向きに捉えていかないといけない。ただ、これを固定的なものではなく、変わっていくものだと捉えておいた方がいいだろう。

【委 員】私はPTAの立場から参加させていただいているが、子どもたちの環境から言わせてもらえば、一番気になっているのは中学校からの制服問題である。一律に、女性はスカート、男性はズボンというように型にはめられてしまい、「もしかして自分も?」と感じている子どもたちもなかなか発言ができない環境にあるのだと思う。トイレや更衣室の問題もあると思う。

小学生の親についてだが、男の子がリカちゃん人形で遊んだり、女の子とばかり遊ぶととても心配する。先ほどの男らしく、女らしくというのが保護者にも根付いているのだと思う。私が今感じているところでは、逆に中高生の子どもたちは、多様性に敏感で情報もすぐに入ってくる。テレビドラマや映画でもLGBTが話題になっている。たとえ間違った情報であっても受け入れる体制は子どもたちの方があるように感じる。親が思っているよりも子どもたちは、それならそれで受け入れるという姿勢でいるようだが、いじめに繋がる問題も出てくると思うので、もし教育現場で指導をするのであれば、小学校においては、まず親子一緒に学ぶ場を作っていただきたい。中高生になると恋愛感情が芽生えてくるので、当事者であると気付く子どもも出てくると思う。それぞれの段階で正しい教育をしていただきたい。

【会 長】今後の取り扱いスケジュールについて事務局から説明していただきたい。

【事務局】本日、まずは性的少数者の実情を踏まえて長崎市が進めようとしているパートナーシップ制度の概略について説明をし、ご意見をいただいたところである。その後、長崎市として制度をどのように組み立てていくのかの検討を進めていく。例年7月頃進捗状況について確認しているが、その時期に合わせて、長崎市としてあらかた組みあがったものをご説明したい。その後、早急に制度として実施したい。

【会 長】もう一度皆さんのご意見を賜る機会があるということである。制度あり理解ありの長崎市になるきっかけになるといいと思う。事業所に理解を求め、制度運用をお願いすることも市として大事な仕事として出てくるだろう。

以上で、本日予定していた議事については終了となるが、非常に多面的な意見を得ることができたと思う。それでは議事を終了し、進行を事務局へお返しする。

【事務局】本日の会議録については、後ほど事務局案をお送りするので、ご確認いただき修正があればお伝えいただきたい。最終的に市のホームページにて公開させていただく。

また、本日委員の皆さま方にいただいた貴重なご意見については、制度構築の参考にさせていただく。それでは、これをもって、平成31年度長崎市人権教育・啓発審議会第1回会議を閉会する。

お問い合わせ先

総務部 行政体制整備室 

電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(9階)

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