ここから本文です。

第10回(平成27年度第3回)高島炭鉱整備活用委員会

更新日:2016年1月21日 ページID:027980

長崎市の附属機関について(会議録のページ)

担当所属名

総務局 世界遺産推進室

会議名

第10回(平成27年度第3回) 高島炭鉱整備活用委員会

日時

平成27年10月6日(火曜日) 13時45分~

場所

都道府県会館 408号室

議題

1.高島北渓井坑跡の整備について
2.端島炭坑跡の整備検討に際しての前提条件

審議結果

1.高島北渓井坑跡の整備

【事務局】
北渓井坑跡では、第1期は現状の公開活用のエリアの整備、地下遺構の調査、不要物の撤去、史跡の価値を伝えるための説明板、古写真等を活用した模型等を古写真の視点の方向から見える形で整備することを考えている。またエアサイネージ等による携帯端末等のコンテンツを利用した情報発信などに取り組む。エリアの西側は遺構がそのまま露出すると劣化が激しくなるため、レプリカの作成等、全体として歴史的な景観に配慮した形の整備を考えている。
第2期は集落排水処理施設の撤去、遺構の調査、学習見学のための施設、竪坑跡への土砂堆積の防止、西側崖面の整備を考えている。
第3期は南側の民有地の公有地化するとともに発掘調査等による遺構確認、遺構が確認されたものについては顕在化する。この段階までで史跡全体の整備は完成と考えている。
高島全体の活用というイメージは、高島全体、端島、中ノ島を含めたエリアを高島炭鉱跡のミュージアムと大きく捉え、高島石炭資料館を炭鉱全体を紹介するための施設と位置づける。島内に点在している坑口や炭坑施設の遺構の顕在化を行い、特に高島北渓井坑跡に近い場所にある石炭積み出し港、グラバー別邸跡も北渓井坑とつながるような形で整備したい。
グラバー別邸跡については、地域住民から建物の復元を望まれている。既に発掘調査等を行い、建物の規模、付属屋の基礎、トイレ等の施設、それらをつなぐ通路等が確認されているが、全体像をすべて把握できるまでには至っていない。グラバー別邸跡は文化財には指定されていないが、市の文化財指定などについて、市の審議会の委員からも話が出ている。

【D委員】
煙突跡、ボイラーはどういう手段で顕在化させるのか。

【事務局】
煙突跡、ボイラー等は埋め戻した上にレプリカ等を作成して地表で見せる形が好ましいと考えている。

【C委員】
石炭の積み出しのルートは集落排水処理施設の敷地を通っており、ここから石炭が積み出し港までの展望を確保した上で、整備を進めていくことが必要ではないか。

【D委員】
集落排水処理施設が撤去されるのであれば、史跡範囲の外側のスペースが空くので、そちらを展望スペースとして活用できるのではないか。

【B委員】
集落排水処理施設の位置から見せるのが写真の角度に合う。石炭はどう運ぶかが炭鉱にとっては最大の問題で、ここからすぐ港だということを見せたほうがよい。

【E委員】
展望デッキには、こう見えたはずだというこの古写真を貼りつけておく。サインや説明板は写真を撮るときに邪魔になることがよくあるので、慎重にチェックして欲しい。舗装は、夏の照り返し等には注意しないといけない。レプリカはあまりお勧めしない。

【事務局】
「歴史的景観に配慮した舗装」というのは、例えば遺構の周辺は土系舗装にし、施設として推定される位置に遺構場所を表示し、展望デッキ側から写真と共に俯瞰で確認できるような形をイメージしている。具体的にどういう舗装がいいのかは今後検討していく。

【E委員】
トロッコレールは、道路整備のときに建設部局と折り合いをつけ史跡の外側に出ていても、極力それを表示していくほうがよい。

【C委員】
積み出しの港まで史跡に指定するのが理想だと思う。

【E委員】
グラバー別邸跡の写真が少ないので史跡の復元建築は難しい。世界遺産関連なので、それなりに根拠がないと、重大な誤解を与えてしまう。

【A委員】
現時点の資料で復元するということは控えるということでよろしいかと思う。

【C委員】
北渓井坑から始まって、最後の大規模な二子坑からの採炭まで非常に長い間続いているというところが高島のポイントである。そういう歴史的変遷が全体としてわかるような構成で島全体を高島炭鉱跡ミュージアムにしてもらいたい。
長崎の炭鉱群は炭質が非常に良好で、高島では石炭を容易に積み出せる港が近いといった運搬にかかる優位性があった。また、坑道を斜めに掘り下げていくという海底炭坑の中でも特殊な掘り方をしており、海底炭坑自体が技術としては世界的に珍しい。

【オブザーバA】
煙突遺構等の保存はしっかり行って欲しい。

【事務局】
トイレやベンチなどの便益施設は第3期までのイメージの中に入れていない。史跡の近くの公園にトイレが設置されているので周辺の設置状況等も考えながら、史跡の中に含めるかどうか検討していきたい。古写真をもとにした模型の設置を考えているが、屋外展示の場合屋根をつけることなどを考えている。

【オブザーバB】
世界遺産の決議文の中には、勧告の中に修復・整備活用計画を作ることになっている。基本は史跡の保存整備や整備活用計画を母体にしながら、世界遺産としての修復・整備活用計画にブレークダウンすることが必要になる。

2.端島炭坑跡の整備検討に際しての前提条件

【A委員】
産業革命遺産の中でICOMOSからも最も厳しい注文がついているのが端島炭坑の保存である。世界遺産ではOUV(顕著な普遍的価値)に直接貢献するのはわずかな部分しかない。それ以外については直接OUVには貢献しているわけではない。世界遺産のOUVに直接貢献する部分を優先的に保存計画を作るという意見もあると思うが、本委員会でそういう方向性で進めていいかどうかも含めて意見をいただきたい。

【事務局】
保存管理計画はOUVとは齟齬がないように作っている。瓦礫については、景観に重きを置くのか、保護に重きを置くのか、景観と保護が両立されたバランスの中で検討することが必要と考えている。

【E委員】
護岸整備が優先されるのは当然だが、屋根の瓦礫が落ちるとそれに付随して何かをやらなければならないので、その整理を最初にする必要があるのではないか。

【A委員】
大破のものは保存措置を取るのか、諦めるのかという方向性もどこから手をつけるかというのには必要な条件になってくるだろう。

【E委員】
護岸整備のために車両を入れたり安全に施工したりするためには、まず通路の瓦礫を撤去しなければならない。

【事務局】
JCI(日本コンクリート工学会)の調査は劣化、破損したRC構造物を対象としており、護岸は対象ではない。護岸の話は次回の委員会で、護岸の専門家を入れた中で協議したいと考えている。

【B委員】
護岸の内側にある瓦礫はコンクリート建造物から壊れてきたもので、復元の素材に活用できるか等の考え方は作っておいたほうがいい。その場で復元等に再活用するかどうかとは別に、そのままのものや、どこかに置いておいてもいいようなものもあると思う。

【D委員】
細々としたコンクリートの破片や木の建具の破片はごみだと思うが、劇場が崩れた後の大きな煉瓦の部品や生産施設遺構の中の擁壁が大きく崩れているものはごみとは言い難い。

【A委員】
現状維持、補強の施工のために邪魔になる瓦礫は片付けるというぐらいになるのか。しかし、どの部分がそうなのかというのはどういう手順で見極めればいいのか。

【E委員】
セレクションしてデザインするのはものすごく時間のかかる仕事になる。生産施設のところでも下に落ちているものはみんな遺産の構成要素になっていると考えないといけない。施工上問題があるとしたら、どこかに集めておき捨てられないというルールが決まっていれば考えやすくなる。

【C委員】
何が大事なのかの判断基準はそれぞれ違うと思うので工区ごとにやらないといけない。

【事務局】
今後居住施設遺構を維持していくことを考えるときに、補修プラス補強という選択が出てくる。劣化、廃墟感というものは外観のみならず、建物内部でも醸し出しているため、内部構造の変化は最小にとどめるのがいいのではないか。また、建物をほかの用途へ再利用したり、建物の中に人を入れたりすることは考えていない。補強レベルが上がれば上がるほど内部形状の変化も大きくなり、コストも大きくなってくることから、自重で壊れるのを防ぐぐらいの補強が妥当ではないかと考えている。

【A委員】
今日、本委員会として出す方向性としては、ブロックごとに考えるということ、工区ごとに優先順位を考えるということ、補強や保存措置のための施工に阻害要因となる瓦礫を優先的に除去することはやむを得ないという認識でよいか。

(異議なし)

【事務局】
屋上の瓦礫の荷重は建物に決していい影響は与えない。また、防水工事を行う際に支障となる。保護と安全を優先に考えるならば撤去したほうがいい。景観を優先で考えるならばそのままにしておいたほうがいい。

【A委員】
安全は優先である。今日のところは、危険箇所の屋上瓦礫は優先的に撤去するという方向とする。

【事務局】
16号棟と17号棟の上に昔の屋上庭園があり、それを残したままでは塗装はできない。JCIに調査をしてもらった結果、躯体の上に防水膜として敷かれたアスファルト自体が劣化し、防水機能を果たしていない。一度保護コンクリートを取り払って、またアスファルトを敷いて保護コンクリートを打つと元の構造になる。

【C委員】
端島にはX階段のある建物等、建物としての特徴があるところがいくつかある。建物ごとの個別的特徴というものをどう評価したらいいのか。

【A委員】
最優先価値ではないかもしれないが、残せるものは可能な限り残したいというのが共通意見だと思う。具体的な構造物を取り上げて評価をしないといけないのではないか。

【B委員】
端島は石炭の生産に特化して、超過密な住居を無理やり狭いところに建てている。設計者も非常に無理をして造っているところがいくつもあり、そこが端島の本来的な性格からもたらされる非常に重要な建築上の特徴になる。

【A委員】
超過密な住空間と全体のシルエットというのは、かなり優先順位の高い保存の目標だと思うが、技術的に可能かどうかはまた別の話になってくる。

【A委員】
施工を考えた上で、ブロックごとに1つ1つの建物に特化してどう処方するかということを詰めていかないと、結局は方向性が出てこない。コンクリートや施工の専門の先生がいるので、事務局ではブロックが妥当かどうかも含めて、それぞれの遺構に特化した形で処方箋を考えてもらいたい。瓦礫の問題については、かなり優先的にやらないといけないということは合意がされたと思う。

【事務局】
居住施設の補強程度の目標を「自重による倒壊を防止する」としたい。

【E委員】
補強程度はその目標でいいのではないか。それ以上考えると何が起きるかわからない。

【D委員】
JCIが考えている補強は、鉄骨なり何らかの部材を入れるのが最初からの想定である。補強程度が上がっていくにつれて中に入る部材がどんどん大きく多くなるが、その目標値であればかなり絞った補強部材で達成できるのではないか。それはオリジナルが残せるというところにつながっていく。「自重による倒壊を防止するのを目標とする」ということをこちらで決めないと、JCIの委員会もどこまで補強すればいいのかわからない。

【E委員】
最終的には倒壊するというのが前提である。それがどの程度延ばせるかという程度問題になってくる。史跡のあり方として考えたときに、それを全面的に評価すると維持しないといけなくなる。RCの問題というのはそういう問題を含んでいてなかなか厳しい。

【オブザーバA】
地震があったとしても居住施設の優先度上位の6棟が50年後に残れば軍艦のシルエットはある程度残る。もう少し議論を深める機会を持って欲しい。
瓦礫自体も、建物の部材のなれの果てである。それはそれとして大事に考える必要がある。破片等は処分せざるを得ないが、大きな部材については保管、保存という形も必要かと思う。

【オブザーバB】
「現状維持」や「登録時の状態維持」という言葉が誤って理解をされていないか気になった。「現状維持」とは、より望ましい改善する状態、改善した状態を維持していくということである。

【A委員】
保護すべき現状が何かというのは、すぐ答えは出てこないと思う。事務局には具体的な点を更に進めて欲しい。

【事務局】
次回は護岸の専門家の方2名ほど入っていただいた中で護岸について議論したい。

お問い合わせ先

総務部 行政体制整備室 

電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(9階)

アンケート

アンケート

より良いホームページにするために、ご意見をお聞かせください。コメントを書く

観光案内

平和・原爆

国際情報

「行政運営・審議会・指定管理者・監査」の分類

ページトップへ