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平成24年度第4回端島炭坑等調査検討委員会

更新日:2015年5月25日 ページID:027076

長崎市の附属機関等について(会議録のページ)

担当所属名

総務局企画財政部世界遺産推進室

会議名

平成24年度第4回端島炭坑等調査検討委員会

日時

平成24年12月21日(金曜日) 午前9時30分~

場所

都市センターホテル(東京都千代田区平河町2-4-1)

議題

  1. 今後のスケジュール 
  2. 調査報告書について

審議結果

1 今後のスケジュール
【事務局】今後のスケジュールとして年度内にあと1回の委員会を開催し、3月末に報告を完成したいと考えている。文化審議会の委員への説明ほかいろいろな準備等を勘案すると、この端島等の文化財指定は早くて来年の7月末の意見具申が最短のスケジュールである。なお、端島、北渓井坑跡に加え中ノ島も含めて意見具申を考えている。
平成25年度以降は「(仮称)整備検討委員会」を設置し保全方法の検討、具体的な整備方針を定める予定である。
【オブザーバA】仮に7月の意見具申だと、10月、11月の諮問答申の文化審議会というスケジュールが考えられ、今年度末に出る本委員会での結論を踏まえ、文化審議会の先生方、専門調査会の先生方に対し説明等をし、かつ文化庁内での合意形成を経る必要がある。
【A委員】印刷・製本スケジュールは4月から6月となっているが、その際、委員会開催の予定はあるのか。
【事務局】本日の委員会の議論の内容にもよるが、委員会として開催をさせていただくか、もしくは個々の委員の先生方に個別に意見をいただくかの手順を踏み、異論のないように進めていきたい。
【C委員】整備検討委員会を設置するにあたり、メンバーは増強する必要がある。

2 調査報告書について
【事務局】調査報告書の説明の前に、前回10月19日の委員会における指摘への対応を整理したので説明する。
それから、調査報告書の1章に山口大学の千々和先生に依頼した高島炭田の調査報告を、2章に小風先生の「19世紀における交通革命と日本の開国・開港」を、それから3章は各種調査を取りまとめた章だが、新たに長崎大学の中西教授に依頼した端島の植物調査報告を記載した。
【事務局】3章の高島炭鉱の調査について説明する。北渓井坑跡は新たに発掘調査を実施しており、平成24年度中に、古写真から鍛冶を行うような建物があった場所ほかの発掘調査を実施する予定である。それから古写真から想定される当時の姿の想定図を作成した。北渓井坑跡から北側に向かって、積み出しの施設があったのではないかと想定をしたものである。グラバー別邸跡は発掘により主屋、付属屋の配置や規模などが大まかにわかる結果が出ている。中ノ島炭坑は、炭坑が廃止された明治期以降、公園としての利用あるいは火葬場としての利用以外にほとんど使われたことがないことから、そのまま手つかずの状況で残存している部分もある。竪坑、採掘の施設が集中した場所の発掘による遺構の確認を一部行った。
次に、第4章は前回の委員会の指摘を受けて整理した。第1節「高島炭鉱跡の歴史的・文化財的価値」ということで(2)で北渓井坑跡の歴史的意義(価値)について、(3)で端島炭坑跡の歴史的意義(価値)について記載した。「端島における鉄筋コンクリート構造物群の科学的価値」は、「端島炭坑の歴史的意義」から別の節(第2節)に分ける構成とした。
【C委員】この全体の資料は、高島炭鉱全体の文化財指定に向けて必要な資料全体を整えるという形か。
【A委員】この報告は、文化財指定のための価値整理と理解している。
【B委員】高島炭鉱の鉱の字は、「かねへん」「つちへん」「いしへん」が混在してるので全体の言葉の整理が必要かと思う。
【事務局】端島、高島、中ノ島全体を高島炭鉱というかねへんの「鉱」でとらえ、端島炭坑の「坑」は、つちへんの「坑」と整理している。また、炭田という言葉や、石に広いの「砿」の定義を事務局で整理する。
【C委員】第4章で全体の価値づけが整理されたような気がする。1つ大きいのは小風先生の論文をうまく引用して、世界史的な中で位置づけたのはすごく重要で、何か全体のストーリーを世界の側から論じるということ、日本の港で石炭を供給できることが、世界全体の交通システムを完結させたのだという話はもう少し書き込んでもいいと思う。
日本の文化財に指定するだけなら、ここに書いてあることでもうほとんどいいと思うが、世界遺産の位置づけみたいなものを考えると、海外の人の共通の歴史認識の中にすっと入っていき、上手く世界遺産の議論につなげられるのではないかと感じた。
【C委員】この報告書では資料集的な目次のつくり方が必要で、目次にも著者名を記載して、これがその部分をやっているのだということが明確にわかる方が自然ではないか。
【A委員】執筆がどのようになされたかという説明はどこかに必要である。委員長の名前で何か書かないといけないのであればそうすることとする。全体の構成は3月までに詰めたい。
【B委員】4章の「北渓井坑跡の歴史的意義」という枠囲いの中の、1つ目の○と2つ目の○はむしろ上の枠に入れた方がいい。
【A委員】「跡」という言葉をつけたりつけなかったりしているのは使い分けているのか。
【オブザーバA】歴史的な用語のときには「跡」はつかないが、遺跡として言うときには「跡」をつける。それが意識されていればいいが、全体を通覧して実際に読んだときにどうかというところもあるので、最終段階で詰めていきたい。
【B委員】グラバー別邸跡の調査の部分で「グラバー別邸跡は」「高島北端に隣接する属島である小島に所在する。」と書いてあるが、その「小島」は固有名詞か、それとも単に小さい島という意味か。
【事務局】これは固有名詞で「小島」と言われている。
【B委員】固有名詞であるのであれば鍵括弧をつけたほうがよい。
それと、4章の端島の話で居住施設、「コンクリート造高層集合住宅」となっている部分について、当時としては高層だと思うが、建築の立場から高層と言っていいか。
【C委員】端島の住居施設は8階~10階ぐらいあるので高層としてよい。
【C委員】北渓井坑跡の将来的な発掘の計画を聞きたい。
【事務局】竪坑櫓の奥に板塀のようなものが存在しており、この塀の内側までを採炭に関連するエリアとして調査を進めている。
【A委員】北渓井坑の建物という以上には、その機能とか説明がまだつかないものが多いのか。
【事務局】施設の配置図等が今のところ確認されていないので、どうしても写真の見た目でしかその機能を類推することができない状況である。わかっているのは、竪坑櫓、煙突、煙突下の燃焼機関、蒸気の吹き出し口がある恐らく火を使うような鍛冶場としての施設などが推定できる。より一層、資料分析を進めていきたい。
【A委員】それから、写真資料としては、この北渓井坑周辺と、それから港の積み出しのほかの古写真はあるが、例えばグラバー別邸跡とか南洋井坑とかの古写真は今のところ見つかっていないということか。
【事務局】南洋井坑は稼働している時期の古写真が残っている。グラバー別邸は対岸あたりから、俯瞰して見た写真が何枚かあるが、松の木の陰で建物がほとんど見えないという状況であり、建物全容がわかるようなものは発見されていない。
【A委員】この報告書の資料集にそういうものを全部集めると有意義である。
【オブザーバA】北渓井坑の写真のさらに奥の方に集落のようなものが続いているが、これは北渓井坑とは関係ないものか。
【事務局】奥の方の建物群は、元からある集落なのか、それともこの石炭の採掘にかかわるものなのかというところは、今の段階では全くわからない状況である。
【B委員】建築学会の建築材料のチームの調査はどのような進捗で、報告書中にはどういう情報まで収録することができるように考えているのか。
【事務局】建築学会の調査は、第3章の各種調査報告に編綴をする予定である。建築学会のチームは、今、1冊の報告書をまとめつつあるそうで、それについても長崎市の方に提供していただき報告書の別冊の取り扱いを考えている。
【C委員】東京電機大学の阿久井先生による膨大な調査報告があるが、その資料をどこかで言及したりするようなことになっているのか。今の時点で当時のことを振り返ってもらってコメントをもらうとか、意見をもらうとか何か工夫をして、阿久井先生がやられたことがきちんとこの作業全体で感じられるように配慮する必要がある。
【事務局】阿久井先生の調査は、先生とも相談をしながら、必ずこの報告書の中に含めていきたい。
【事務局】第5章、保存管理の基本的考え方ということで、第4章で整理した高島炭鉱の歴史的な意義(価値)に基づき、端島炭坑、北渓井坑跡、中ノ島炭坑の保存管理の基本的な考え方をあげている。
第1節「端島炭坑の保存管理の基本的考え方」の、(1)保存管理の対象範囲とで、端島炭坑は、「炭坑の島としての形成から閉山、風化の過程がすべて読み取れる産業遺産」という意義(価値)を示す要素が島内の各地に存在し、度重なる埋め立て・拡張によって形成された、それ自体が歴史的変遷を示すもので、それに伴う護岸遺構、生産施設、関連施設の遺構が島内全域に分布していることから、保存すべき範囲を部分的に限定するということではなく、端島全域を保存管理の対象としたいと考えている。
(2)構成要素の区分・整理では、島の東側に集中している生産施設は、その採炭事業そのものを直接的に伝える遺構群であり、本質的な価値を示す構成要素としてとらえる。それから、島の西側に主に所在する居住施設は、生産施設と一体となって炭坑の島を形成したもので、特に大正時代から鉄筋コンクリート造の高層住宅の建設が進められて、現在の独特な景観をつくり、さらには独特な地域コミュニティを形成していったものとして、関連する要素と位置付けている。そのほかの施設として、島内には灯台、それから後に整備された見学通路・広場は端島炭坑そのものに全く関連する要素ではないので、それ以外の要素としている。このように本質的な価値を示す要素と、関連する要素と、それ以外の要素ということで、3つの属性に分けた。本質的価値として位置づけた生産施設跡、島内の各地に分布する護岸遺構は、その価値を損なうことのないような保存管理を行い、きちんとした形で現状の保存・維持を図っていくとしている。
(4)の本質的価値に関連する要素である鉄筋コンクリート構造物群は複数のパターン分けをして経費を含め検討した。居住施設はコンクリート構造物の文化財の保存技術の研究にかかる資源として、直接的に、例えば史跡としての価値とは異なるが、鉄筋コンクリート構造物の長期保存方法が確立されていくことによって、端島についてもそれがフィードバックされるのではないかということを希望とし、当面は学術検討の暴露試験場としての取り扱いを行っていくべきではないかとまとめた。
続いて第2節、「北渓井坑跡、中ノ島炭坑跡の保存管理の基本的な考え方」では、北渓井坑跡を史跡指定し、重点的な保存管理を行うと提示した。この史跡の範囲等についても確認調査を現在行っているところであり、継続した調査が必要である。
中ノ島炭坑は高島炭鉱を支えた炭坑であったことは明らかで、今後も調査を継続していく必要ある。同じく史跡に指定し保存管理を図っていきたいと考えている。
【事務局】「保存パターンの検討」を説明する。1.すべての居住施設を対象として風化の過程を見守り、モニタリングによる記録保存、2.すべての居住施設に関して、外観維持あるいは内部の構造補強というものを手を入れていくということ、3.ある特定の部分に関しての居住施設というものを対象に手を入れていくということである。
最後に「公開活用の検討」で、軍艦島の上陸ツアーが平成23年度は9万9,000人であり、接岸の状況から考えると、これ以上頻度・回数を増やすという考え方はとりにくいので、船会社が努力して船を大きくするなどしても、最大で1.8倍、18万人と予測でき、この中で、コントロールしていくこととする。また、生産あるいは産業遺産としての紹介という、ソフトの部分を充実していく必要がある。
【C委員】端島の史跡指定は全島か。それとも、ここでいう本質的価値を構成する要素の部分のみか。
【事務局】保存すべき範囲を全島ということで、史跡指定も全島を対象と考えている。
【C委員】5章の選択肢は、完全復元から全然手を入れないとする順番が普通ではないかなと思う。全然手を入れないのは、モニタリング等による記録保存だが積極的な意味でのデータ収集を行うことを記述する必要がある。
端島の場合は一体的にできているので、生産施設か居住施設かの別はあるが、考え方によっては、全部、本質的価値だと言えるので何か表現の仕方が要る気がする。
それと経費の計算をしてあるが、どれくらい試算としてはかかるかというぐらいは報告書に載せてもいいと思う。また、現地において資料のデータをとり続けないといけないので、作業にあたる者のための最低限のシェルターなどが必要ではないかと思う。
【B委員】4章において、本質的価値を言ってしまうと残さなければならないので、史跡の取り扱いをクリアするためにこういう書き方をしたのかと感じた。北渓井坑とか中ノ島炭坑の件で、それぞれの文章の最後のところに、「今後とも継続して調査をかけていく必要があるが、我が国初の洋式炭坑として史跡指定することで、保存管理を図っていく。」と書いている部分は、「史跡指定をした上で、適切な保存管理を図っていく。」といった書き方にした方がよい。
5章「公開活用の検討」はコンクリートのモニタリングのような研究資源としての活用の話があるので、「活用の検討」として、その活用の1つのあり方としては観光活用であり、別のあり方としては学習研究資源という活用である、といった書き方の方が整理できると思う。
【オブザーバA】本質的価値に関連する要素の居住地区の建物の扱いは、関連する要素としては差別化するとした場合でも、ただ風化の過程を見守って、そのまま朽ちるのに任せるのだという理屈で、大きな全体の合意形成が得られるのかが、文化庁としては大変懸念を持っているところである。膨大な費用がかかるだろうということは重々承知の上、手つかずのままでよいのかということは、いろいろな方からご意見をいただくことが予想されるところである。最終的には居住地区の部分はほとんどの建物が倒壊するという最終形をイメージしながら保存管理していくのかということが1つ大事である。
また、その保存のお金のかけ方の程度により、最初に初期投資として何億円かかるのか。あるいはその後の維持経費、ランニングコストとしてもどのような経費がかかるのかということの意見を入れ、報告書の中で検討結果、より現実的な方向を展開する必要がある。
部分的には失われた建物を積極的に復元整備して、過去のこういう居住施設というものを積極的に示して、活用していくというやり方もある。
【C委員】例えばその本質的価値を有する生産施設の部分と護岸だけを史跡にして、住宅の部分はまさに関連する遺産だから別だということもあり得る。
【オブザーバA】全島を史跡指定にするのか、居住部分を抜くのか、そういういろんなパターンがあるかと思うので、そのパターンに応じて、文化財保護の考え方なり、あり方からして、どんなメリット、デメリットがあるかという形で議論し本委員会として、全島が望ましい、あるいは居住部分は外した方がいいのではないかというような展開をする必要がある。
【A委員】住宅部分が副次的、二次的な価値しかないような感じはあまり好ましくない。どちらにも本質的な価値はあるので何か表現が考えた方がいい。
【A委員】護岸の施設は、例えば史跡指定されても、港湾関係の予算で保護されるということあり得るということか。
【オブザーバA】それはあり得る。
【事務局】経費についても報告書の中に入れた方がいいということなので、1.から5.のパターンに対して経費試算したものを報告書に記載する。
【オブザーバC】護岸は長崎市を事業の主体と置きながら、県、国、市が、どのような事業を使って保護していくのかを検討していく。
【A委員】今後、世界遺産としての保存管理を考えるときには、しっかりした保存体制や管理体制をつくれるかということが1つのポイントになる。
【C委員】復元の可能性も若干残しておいた方がいいという話があったが、廃墟の島に何か復元されると非常に異質な感じがするので、復元の書き方はすごく慎重にするべきである。
【事務局】次回の委員会は、冒頭でも話したが3月をめどに事務局側で日程のスケジュールを調整する。

お問い合わせ先

総務部 行政体制整備室 

電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(9階)

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