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平成23年度第1回端島炭坑等調査検討委員会

更新日:2013年3月1日 ページID:006677

長崎市の附属機関等について(会議録のページ)

担当所属名

企画財政部世界遺産推進室

会議名

平成23年度第1回端島炭坑等調査検討委員会

日時

平成23年6月3日(金曜日)午後1時~

場所

ホテルセントヒル長崎絹笠の間

議題

  1. 平成22年度の調査報告について
  2. 保存管理計画策定について

審議結果

1.平成22年度の調査報告について

ア 類似事例調査(国内の近代化産業遺産)

D委員
公開という点で非鉄金属鉱山と炭坑の場合はかなり状況が変わってくるので、そういう違いの部分も議論の参考になる。

夕張について、テーマパークの現状、財政的な面も含め今後の夕張市としての今後の計画あるいは将来像がどんな状況にあるのか調査が必要である。

事務局
炭鉱に関する学習の機会、観光の機会の提供については、他都市の事例を参考に、作られたテーマパークではなく残っているものを現状として観ていただきたい。例えば、過去の遺構については端島、体験的に体感するという部分についてはつい最近まで稼動していて、まだ一部坑道に入ることができる池島、資料を見る部分については高島という3つの要素の組み合わせで活用することも検討したい。

C委員
集客・観光客が来るとどうしても荒れてしまう部分がある。石見銀山では、中核のセンターを作りそこに車で行ってそこからは徒歩もしくはバスを使っている。エリアごとの交通規制、交通機関アクセスについて参考事例を調査した方がよい。

緊急時の体制について今後大きな問題になってくると思うので調査したほうがよい。

事務局
アクセスの部分と緊急時の体制について早急に調査を行う。

C委員
コンクリートの建物の保存の件で、志免鉱業所が解体の意向を市民運動で保存されるようになったということだが、危険性との兼ね合いで、コンクリートの櫓の保存状況、現状を知りたい。

事務局
志免鉱業所の遺産については、志免町が九州産業大学を中心として専門家の先生方に保存可能性に関する検証を依頼した結果、地震等外部からの強い衝撃等がなければ耐久性は十分にあるとの検証結果に基づき、平成17年秋、「公共・公益の用に供する」ということを条件にNEDOの方から無償譲渡された経緯がある。

B委員
櫓の保存のために補強なり手を加えられたのか知りたい。

事務局
保存の方法について調査を行う。

C委員
どういう風に劣化してきたのかのチェックのため、カルテを作っていくような形が必要である。どういう体制でその保管維持をされているかが参考になると思う。

D委員
志免鉱業所には竪坑だけではなく斜坑もある。炭坑遺産というのはどういうゾーニングが必要なのかということのひとつの事例として、色々な資産を地域全体で総合的に捉らえる事例は比較材料として重要である。

A委員
志免では部分的に鉱石が残っているボタ山とかを含めた構想をある時期考えていた。それがその後どうなったかということも含めて確認しておく必要がある。

事務局
志免鉱業所の資産としてどの程度地元で考えられているかを確認する。また、「志免竪坑櫓を動かす住民の会」がその後どのような活動を担っているのかを調査する。

A委員
各資産、遺産について端島との比較という項目があるが、関連づけがバラバラで今後端島の保存にどういう風に活用していくかという視点で、一貫した比較にならないので書き方を考えたほうがよい。

C委員
生野・明延では、銀が運ばれたところも含めてかなり広域に捉えようとする活動がある。石炭も連携のとり方が市町村を越えるので、広域のつながりをどうするかの参考になるので調査して欲しい。

別子銅山の関連遺産である四阪島の製錬所は当時のままで残っている。新居浜市は西条市との調整も含めて四阪島をどうするかという構想も作られている。海との連携、島をどういう風に連携して観光もしくは文化財として守るかという取り組みについても尋ねれば参考になるものが出てくると思う。

日立鉱山について、日立の大煙突が日立鉱山が管理していても突然、3分の2くらいが折れた事例がある。倒れる前と倒れた後と文化財の保存について変わったかというのも参考になると思う。

D委員
佐渡は、ゴールデン佐渡が所有して、公開について積極的にやっているが、企業ベースでやっているという問題と文化財として保護しているかというのでは必ずしも方向性が一致するわけではない。どういう状況のもとで運営されているのかという前提条件のようなものをしっかりおさえていったらいい。

わたらせ渓谷鐵道全体について有形文化財になっていて、群馬県に渡って足尾銅山関連遺産というものが広がっている。どの範囲で資産を考えるかという問題のひとつの例として重要である。指定範囲を考えていく場合に歴史的背景状況を考慮しなければならない。

C委員
生野・明延のシルバーロードの範囲は遊歩道、馬車道みたいな感じで進んでいたのでかなり長い。全体の中で拠点を作ってそういった道として見てもらうよう、広域にわたって市町村が協力している。拠点を作ってそこに至る道も市町村の協力で整備している非常にいいやり方だと思う。

C委員
施設にお金を投資すれば人が来るのは当たり前だけれど長続きはしない。地元の人たちが誇りにしないような観光施設をいきなり鉱山の中に作っても意味がない。やはりきちっと意義を相手に伝える文化というもの把握して、それを残すような投資が必要である。常に投資しなくてはダメだというようなやり方はやめて、他のところで少ない投資でどれだけやっているかというところを調べてもらいたい。

A委員
端島の場合は逆にそれがなしにどんどん人が増えているという非常に稀有な例で、そこを一番重要なポイントと認識した上で考えるべきである。

D委員
海外の世界遺産の事例では、生産エリアと生活エリアというものがセットになって指定されているというところに大きな特徴がある。生産空間の中には人の生活・文化が流れているのであって、それを形として残し指定していくかは非常に大きい問題であり、そこをきちっとやっている例というのは、いくつかのところで努力していることは間違いないが、近代遺産の場合にはまだ日本では例がない。動力としての水車、水路を残し、全体として景観を残すために建てかえを極力避ける努力をしている事例もある。鉱山に限らず、手法の面で参考になるところを平行して調べることが大事である。

C委員
長浜市で黒部という鉄道と黒部の蔵を利用した事例で、民間主体で第3セクターを作っている。民間との連携を大切にするのであれば鉱山とかに限らず、官民の連携をうまくやっている地域のことを調査するとよい。

2.保存管理計画について

ア 保存管理計画策定の骨子及びスケジュール

事務局
端島については、多岐の分野に渡って奥が深いものである。文化庁から、調査結果はひとつの成果として書物にしてはどうかとの意見がある。全てを短期間で調査するのは難しいが、ただ3年間の節目ということで、炭坑史的部分の学術的な報告書を作成し、その中のエッセンスの部分を保存管理計画に盛り込んでいく方向で考えている。

B委員
「九州・山口の近代化産業遺産群」の世界遺産登録のための推薦書を最終的にまとめる時に保存管理計画そのものが求められる。一方で調査の成果というのはそれなりの単独の意味があり、その保存管理の枠を越えた意味を十分持つ。あまり保存管理の枠組みに抑えない方向がいいかと思う。

C委員
全体をどう保存するのか保存というのは現状維持なのかモニタリングなのかそれとも積極的に手を加えていくのかという大きな骨子が必要である。保存管理計画の文章の前段に、この端島においてどういうものをどういう風な価値付けで残していくかという大前提を記述し、現状に対してこういう保存方法をとるといった構成が必要である。

A委員
どうやることが保存だと思っているのかの大前提の考え方がまずないと保存管理計画は作れない。これまでの保存管理の概念で制度的な枠組みでいくと、どこがはみ出しどこが処理できないのかということを踏まえた議論をやらないといけない。その前提としては、従来の文化財の保存管理の制度的な前提、もしくは法制度的な前提っていうものをきちんと洗って、それとつき合わせる中で端島の場合、それでは対応できない部分がどこなのかを議論した上で組み立てる必要がある。

B委員
この1年、2年の間に調査の成果というのは相当のものが蓄積されると思う。評価のプロセスがかなり大事な部分になる。現在の文化財保護法のカテゴリーに当てはまらないような価値付けがここで出てくる可能性が大いにあり、そういうものを踏まえた上で保存管理計画を作る必要がある。

A委員
端島の文化財指定の難しさの問題は、専門家以外の方たちにも浸透していて、非常に多くの人が注目している。

イ 検討対象区域現況の整理

D委員
端島の場合は生産エリアそれから生活エリアの残存状況が全く違う。確かに生産施設の部分、うわものはほとんどなくなっているが、それなりに遺構としてあるいは一部建築物として残っている。居住エリアの保存計画と別にして考える必要がある。

島内における生産エリアの持っている地理的位置付け、意味、居住エリアとの関係性の問題が明らかになってくるので、保存管理計画を立てていく場合にはそれぞれ別の考え方が可能なのではないか。居住エリアの保存の仕方と生産エリアの保存の仕方を柱としてちゃんと組み立てて計画を作る必要がある。

事務局
大事なのは生産エリアと認識している。今後、生産エリアの建築物の構造や用途の調査を行っていきたい。

A委員
居住区分との対比で生産遺産は残っていないように感じるが、何が残っているかをきちんと確認するのが重要なことだと思う。

C委員
保存対象がどうしても文化財保護法だと不動産になってしまうが、基本的に生産遺産、遺跡では、建物と同時にそこで行われていた機能が必要である。不動産を中心に分類しているが、例えばこの中から動産だけを一覧にしてみるのもよい。また、動産を外から持ってくることも出来る。当時の生産遺産はこうだったっていう、この機能を復元、保存していることに繋がるので、積極的にそういった動産部分、外から持ってこれるものも含めてどう保存するかということを考えられれば、この端島の価値を外へ出すことにあたっては役に立つと思う。

B委員
機械類の動産と同時に古い写真とかそういうものも何らかの形で集約する必要がある。

C委員
古い図面などの保存についてもここで触れておいて全然問題ないと思う。

B委員
そういうものに関してもまだどこにどういうものがあるか十分に発掘しきれてない。併せて管理の一環としてそういうものを統括的に調査して将来の構想を立てる、という方向が大事である。

D委員
佐渡で北沢選鉱場を復元しようという計画がある。復元することによって資産の環境がよりわかる可能性が十分ある。

B委員
再現構想みたいなものがいるという感じがする。併せて活用という面で見学者、上陸者数に関する計画も必要になる。

C委員
具体的な形で保存する場合についての現況、どこにどういう制約があるのか、技術的な部分を含めて整理すると検討しやすくなる。

D委員
保存管理計画の前提となる実際どう生産されていたのか生産施設がどのように関係していたのか現実の生産システムをもう一度再現した上で計画は立てなければならない。そういう意味でここに書いてある様々な施設が一体どのようなシステムを変遷して最終的にどういう形で残っているのか。そういうことの解明が必要と思う。

A委員
文献調査だけでなく、ヒアリングも必要である。

D委員
高島の場合は稼動中からそこに住んでいる方がいるのでヒアリングが十分可能である。

ウ 対象資産の保存のあり方

事務局
対象資産の保存のあり方として建築構造、材料を中心とした研究について、東京大学大学院工学系研究科の野口貴文先生を中心とした9名の研究者の方々からなるワーキンググループを建築学会内に設置していただくこととなった。

調査期間は来年9月を目標として一定の成果を出していただく予定である。

調査項目は大きく4項目。コンクリート躯体の劣化の状態の調査、鋼材の劣化の状態の調査、その他建築材料の劣化状態の調査、季節ごとの劣化の作用の調査である。

なお、調査項目については、本委員会の議論を踏まえ、随時ワーキンググループに要望を出す予定である。

C委員
おそらく護岸は島を守るためにはどうしても必要なところなので文化財の保存という概念を越えて、もう修復しないといけないところがある。護岸は安全上の問題も含めてどういう風な残し方ができるのかということを予め想定した上で調査をやってもらいたい。

事務局
オリジナル護岸で、天川(あまかわ)で固めていた部分が露出をしている護岸は、是非保存できるのであればどのように保存できるかとかについてご意見をいただきたい。

A委員
校庭部分の土が底の方でかなり持っていかれているが、浸水の経路はすでに確認しているのか。

事務局
確実なところの確認はできていないが、おそらくこうなのではないだろうかというようなのは現地で確認している。長崎県の方にも現場を見ていただいている。

長崎県
今年から港湾課が護岸全部を担当することになっている。昨年度に現地調査を行い、また、今年度の早い時期に調査を行いたいと考えている。

C委員
建築学会の調査期間は1年ちょっとだが、長期的なモニタリングについて将来的な問題とか体制的なものを明示してもらいたい。

B委員
この業務とは別に学会独自でもっと長期の調査研究をしたいというような計画があがってくるかもしれない。

事務局
色々な研究者の方からは色々やりたいという話はある。色々専門があるので今後波及をしていくのではないかと思う。今回は建築学会に委託をしたが、その研究成果については広く学会内で共有をしていただき、今後に繋げていただきたい。その成果を元に今後研究の輪というのが広がっていくのではないかと考えている。

B委員
個別に調査のリクエストがその研究者の方からあがってきたらどう対応するかのガイドラインはあるのか。

事務局
上陸に関するガイドラインは作っている。

B委員
この調査に関する報告というのはやはり中間的なものをいつかいただけるのか。

事務局
建築学会の調査については次回にできればもう少し詳しい内容をご説明できればと思っている。

3.その他

ア 九州伝承遺産ネットワーク報告書

事務局
九州伝承遺産ネットワークというのは、九州の貴重な「伝承遺産群」を次世代に語り継ぎ、豊かな未来を構築するということを目的として活動している市民団体である。本年4月に端島を視察していただいた時のメンバーのうち7名の方から報告書を提出していただいた。

今後考えていく見せ方とか、民間団体との関わり、もしくは外国人の観光客に対する視点など様々な観点からの意見について今後参考にしていきたいと考えている。

D委員
整備・保存について軍艦島の中に軍艦島の説明をする施設を作るのではなく、別のところに作る必要がある。現在、高島にはあるが非常に利用しにくい。展示施設をどこにどのように作るかは活用という面から非常に重要だと思うので具体的な形で盛り込んでもらいたい。

B委員
模型展示あるいはビジターセンターの計画構想があるのか。

事務局
阿久井先生(東京電機大学名誉教授)が作られている模型が明治村にあり、それを活用させていただくというのもひとつ手だと思う。システム自体を説明するセンター、そういったものがどこに必要なのかということも含め見せ方についてご意見もいただきたい。

A委員
全体像をきちんと視覚的なものも含めて予め提示してその上で見に行ってもらうという形は、最終的には必ず求められる。情報伝達の仕方との関連で模型だけじゃなく映像的な情報もきちんと伝達できる方法を最終的には考えなければいけない。

C委員
公開のあり方について統一されたガイドラインをひとつ現状で作るべきである。この委員会の中で議論しながら作成してもいいと思う。

B委員
見学コースとして一応コンクリートで歩道を護岸上に作った。その見せ方は、実はTICCIHの人達には不評である。

D委員
ビジターセンターについて模型だけというのでは十分とは言えない。やっぱりある程度のスペースと説明が必要で、大波止に作るのが一番いいと思っている。事後じゃなくて事前に見ていただくという形、それも自然に見てから船に乗れるというようなスペースの取り方を工夫する必要がある。軍艦島の注目点、どういう点が大事か、なぜこれが世界遺産として今、候補として検討中なのかというようなことも含めて、かなり詳細な説明が望まれていると思う。

上陸した後の歩道があまりに軍艦島と景観的にそぐわないという部分があり、あの柵を越えるとここに見えないバリアがあって軍艦島に入ったなという実感がそこで消えてしまう。見せ方の問題と安全性の問題というのは非常に難しい問題だとは思うが、やはり更なる工夫が必要という気がする。

B委員
見学者は依然増えつづけている状況か。

事務局
増えている状況で、スタートの年が約5万人、昨年度が約7万人、今年度も7万人程度を見込んでいる。

事務局
次回、第2回の委員会を平成23年9月29日木曜日、午後から東京で開催予定である。

本日、検討対象区域の現況の整理についての資料について、今後我々が抜けている部分をどんどん書き足していき、その都度、過不足の部分についてご指導をいただきながら23年9月の委員会にある程度できたものを示したい。次回はそのやり取りをしながら資料を作成していきたい。

お問い合わせ先

総務部 行政体制整備室 

電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(9階)

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