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第35回長崎市原子爆弾被災資料協議会

更新日:2013年3月1日 ページID:006673

長崎市の附属機関等について(会議録のページ)

担当所属名

原爆被爆対策部被爆継承課

会議名

第35回長崎市原子爆弾被災資料協議会

日時

平成23年6月14日(火曜日)午後10時~

場所

長崎原爆資料館2階 会議室

議題

報告1-1:被爆建造物等の保存整備、山王神社大クス保存整備事業について

報告1-2:被爆建造物等の保存整備 鎮西学院中学校(現活水学院中学校・高等学校1号館)

報告2:常設展示室の照明のLEDへの変更について

報告3:収蔵資料の修復処置の実績について ほか

審議結果

報告

報告1-1:被爆建造物等の保存整備、山王神社大クス保存整備事業について

事務局
平成18年10月から19年3月にかけて、空洞部処置、幹()枝()腐朽部()処置、土壌改良等の樹勢回復工事を実施しており、樹勢は回復状態にあります。しかし、空洞を埋める処置をしたばかりの主幹にとって、枝葉の莫大な重量を支えていくことはまだ困難であり、台風等の暴風時には倒壊することも考えられるため、樹木上部の枝葉の茂っている部分等を剪定して切り口に殺菌剤を塗布し、あわせて、根を健全に保全するための改良材を土壌に投入すること等を行い、樹木を保護していく必要があるという樹木医の診断結果を受け、所有者とともに保存整備を図ったものでございます。

工期といたしましては、平成23年4月8日から5月31日までです。

報告1-2:被爆建造物等の保存整備鎮西学院中学校(現活水学院中学校・高等学校1号館)

事務局
この1号館は昭和5年1月に鎮西学院中学校校舎として完成しており、鉄筋コンクリート4階建、一部地下1階でございましたが、原爆により4階部分が全壊、3階は爆心地に面した北側半分が崩れました。長崎市被爆建造物等の取扱基準のBランクに指定しております。

昭和25年に活水学院に売却され、1階,2階は補修し、3階,4階は破壊された部分を取り除いて新しく造られたということでございます。

次に、これまでの経緯をご説明いたします。

この1号館につきましては、活水学院の方で建て替えを検討されているということでしたので、平成21年8月18日開催の作業部会で状況の確認と、今後の対応についてご協議いただきました。

その結果といたしまして、作業部会といたしましては、現状は、校舎は改築され、被爆の痕跡が見受けられないことから、まずは、活水学院の意向を尊重しつつ、一部を何とか残せないかということ、解体時に被爆の痕跡がある物が出た場合には原爆資料館にご連絡をいただけないかということを、口頭で活水学院にお願いしてはどうかとのご意見があり、平成21年8月31日開催の協議会で、ご了承をいただきました。これを受け、平成21年9月1日、当館館長、課長が活水学院に対して、協議会の要望を口頭にてお伝えいたしました。

施工時期が近くなってまいりましたので、状況を確認しましたところ、1号館の解体時期につきましては、7月から着手されるとのことでしたが、北側・西側の壁面の一部を遺構として残す計画である旨、ご回答をいただきました。また、跡地には原爆に関するモニュメントを設置する予定であるとのことでした。

本市といたしましては、解体前に写真撮影及び壁面の一部を採取し関係各機関と協議を行いたいと考えております。さらに、解体時に被爆の痕跡がある物が出た場合、調査を行い、被災資料としてご寄贈いただけるよう交渉を行う予定でございます。

報告2:常設展示室の照明のLEDへの変更について

事務局
平成23年4月より、原爆資料館常設展示室の展示ケース内の照明の7か所にLED(発光ダイオード)照明を導入しました。従来、展示照明については資料に有害な紫外線を遮断する特殊なフィルムを内蔵した蛍光灯による照明を用いて、資料を保護しながらご観覧いただいておりました。しかし、製品寿命が比較的短く、照明からの被熱が大きいなど、課題点も多くありました。今回、LED照明を導入することにより、つぎのようなメリットが得られると考えております。

1.照明自体から発する紫外線が少ないため、資料が損傷していく速度をゆるやかにすることができる。

2.長寿命であるため、電灯交換時に起こりうる事故防止になり、かつ長期的視点にたつと電灯購入にかかる経費を減らすことができる。

3.照明のつなぎ目がないため、展示ケース全体をむらなく照らすことができる。

4.発熱量が少ないため資料に「熱焼け」という現象を起こす可能性を減らすことができる。

5.消費電力を半分以下に抑えることができる。

報告3:収蔵資料の修復処置の実績について

修復を行った紙資料「爆死証明」、絵画2点の現物を配置

事務局
現在、原爆資料館では、被爆資料を長く保存するため、常時温度22度、湿度55%の前後の環境を維持し、劣化の原因となる紫外線やカビ、文化財を食害する可能性のある害虫の侵入を避けるよう手段を講じてきました。

しかし、被爆から60年以上たち、記録資料を中心に修復の必要な資料がでています。これは、戦時中に用いられた紙や布の品質が粗悪だったことに起因するものです。また、絵画等においては、長期の保存により、表面の変化が起こりつつあり、修復の必要がありました。そこで、紙資料と絵画について、文化財的修復を行いました。

まず、紙資料の修復についてですが、こちらに出しております爆死証明書2点を修復しました。この資料は、原爆被爆後の社会的な状況を後世に伝える非常に貴重な資料であると共に、古くは松尾あつゆき氏の詩のなかでうたわれ、最近はマスコミ等の報道などにより、市民の注目を集めていた資料です。証明書が発行されて65年以上たち、紙自体が酸化し非常に脆弱な状態となっていたため、平成22年12月から4か月をかけ、京都の紙・布製文化財の専門家(国宝や重要文化財などの修復に実績がある方)に依頼し脱酸処理(酸を取り除く)及び本紙を伸ばすなどの修復を行い、保存・展示に適し、資料を傷める可能性を少なくした状態で見ることができ、安全に取り扱いができるよう額装し、従来展示していた表面だけでなく、裏面も展示できるようにしました。

今回修復を終えた爆死証明については、8月の式典に合わせて展示予定でございます。

次に絵画の修復についてですが、高平隆二氏(たかひらたかじ)作の絵画2点を修復しました。この作品は、昭和43年、東京原爆展に多くの資料を出品し、その間館内の展示物が少なくなったため展示させていただいたものや、その後、絵画の作者の遺品として寄贈されたものです。この作品は、被爆から20年程度経過して制作されたもので、長崎における原爆の絵画的表現では比較的初期に制作された貴重な絵画です。

しかし、制作された状態(ベニヤ板が裏面に用いてあることや、額に絵画を固定するため釘で打ち込んであったり、賞状額を用いた額装をしてあること)が、保存に適さない状態であったため、専門家に見ていただいたところ、修復が必要であることがわかり、修復を行いました。この修復は、平成23年1月から約3か月をかけて行われました。この修復にあたって使用したほぼすべての材料が可塑性(元に戻すことができる素材)のあるものを用いており、処理をすることで修復前の状態に戻すことができ、原画を損なわず修復しております。

口頭報告

県庁舎敷地内における埋蔵文化財調査により出土した旧県議事院の基礎部分と思われる遺構の調査について

事務局
旧県議事院は、爆心地から約3.3キロメ-トルの場所にあり、長崎市被爆建造物等の取扱基準に基づく調査、保存及び活用する対象に該当しない建造物です。

平成23年1月18日、2人の委員とともに調査しましたが、原爆による爆風、熱線等のいわゆる被爆の痕跡を認めることはできませんでした。

国立歴史民俗博物館に長期貸出している「柱時計」について

事務局
平成23年3月11日に発生した東日本大震災で、国立歴史民俗博物館においても地震の影響を受けたものと予想されたことから、「柱時計」の状況確認を行いました。国立歴史民俗博物館からは、地震による揺れはあったものの、「柱時計」には影響が無かったとの報告を受けております。

収蔵資料のインターネット公開について

事務局
平成23年3月から、収蔵資料のインターネット公開を開始いたしました。平成22年度には、まず、写真資料の公開を開始し、その後、美術品や現物資料、記録資料へと公開を拡大し、平成26年度までに完成するよう、取り組んでまいります。

ジュネーブにある国連欧州本部での被爆資料等の常設展示について

事務局
ニューヨーク国連本部での被爆資料等の常設展示に続き、広島市と共同で、スイス・ジュネーブにある国連欧州本部においても、被爆資料等を常設展示しようとするもので、本年4月に本市職員がジュネーブに赴き、国連職員等と協議をおこなったところでございます。

今後、秋の常設展設置に向け、被災資料の選定、展示設計等を国連と協議をおこないながら進めていきたいと考えております。

質疑応答

委員
被爆建造物等のAランクは核の破壊力を強く現しており、貴重性が非常に大きく、守っていく必要がある。被爆建造物等が人類、国際社会の遺産として残していくのであれば、特にAランクについては、条例化を考えてよいのではないか。条例化しながら、県、国、国際社会にアピールしていくという戦略を打ち出す考えはありませんか。

事務局
戦後一貫して被爆資料の保存・維持・平和の発信は被爆地である広島・長崎だけが負担してきた経過があります。本来、文化財的にも価値があるものですから、国際的に訴えるという機会においては、長崎市民だけが被爆遺構のために莫大な負担をしていくというのはどうかと思いますので、きちんとした国の関与も必要だと考えておりました。現実、国立の追悼平和祈念館とも一緒に事業をしている中で、国の財源が一部はいってくるという状況もありますので、現時点で具体的には未定ですが、何らかの形で、方策というのは探っていく必要があろうかと思っております。

委員
「爆死証明書」は、裏面も見ることができるので、展示方法についてお尋ねしたい。

事務局
展示の方法につきましては、鏡を用いたり、額装をしておりますので定期的に表面・裏面を向ける方法、写真を撮って並べる方法など色々あるので、検討してみたいと思います。

お問い合わせ先

総務部 行政体制整備室 

電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(9階)

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