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更新日:2013年3月1日 ページID:006495
文化観光部文化財課
平成22年度第2回 端島炭坑等調査検討委員会
議事
事務局
第1回端島炭坑等調査検討委員会における委員の意見及びその後個別に委員等と協議し、今後調査すべき項目を次のとおり整理した。
E委員
端島炭坑等調査検討委員会が調査しようとしている内容は、研究素材としても非常に関心の高い課題なので、例えば建物自体や材料などについては建築学会や土木学会などと連携するなど、様々な分野と連携するような仕組みづくりが必要である。
F委員
端島炭坑等に拘わらず、産業遺産と言われている構造物等を将来的に保存活用していくためには、従来の文化財の保存方法とは別のスキームを新たに用意することが必要ではないかという議論くらいはしてもよいのではないか。
C委員
風化が避けられないだろう遺産をどう位置付けていくのかという考え方については、端島だけに留まらずその考え方が他にも及んでいくため、それぞれの価値との関係の中で、どれが良くてどれがだめかという仕分けをしながら、相当理論的に納得していただけるようなものを構築していかなければならない。構造材的な解析と定点観測調査は関連したものとして位置付けることが必要である。
E委員
海外に所在する産業遺産は、その機能を維持することを要求するような法律で守られている場合が多いので、どのような国内法で守られているのかということを調べて欲しい。
E委員
島の護岸そのものは島自体を守っているので文化財的な観点から保存するけれども、暴露試験の材料として価値がある部分については、逆に保存をしてしまうと学問的な価値を減ずるので保存の手は入れないなどという理屈で理論立てしていくことができれば、保存すべきところと保存しないところの仕分けは全く不可能ではないと思う。
D委員
文化財保護法とは別の法律やその他の法律が重層的に適用されているものについて、(文化財保護法と)どのように矛盾が存在していて、具体的にどういう問題があるのかということについても整理していたほうがよい。例えば鉱山保安法や港湾法など。
D委員
資料は、九州大学で出版されている目録にリストアップされている実習報文及び卒業論文についてピックアップしたものである。
事前調査ということで、九州大学と東京大学の資料について調査した。九州大学には膨大に報文があるので、重要なものになるだろうし、東京大学のものは一番古い時期からかなり体系的によく残っている。秋田大学と熊本大学、九州工業大学、大阪大にも残っていた。しかし、東京大学には、失われていて現存しないものもあるとわかった。
見た中では、昭和26年の報文には建築物の図面があった。昭和32年の報文には第1竪坑から第4竪坑が残っているので、第1竪坑の場所が確認できるのではないかと思っている。
端島に関しては、地質に関する調査が多いようである。写真資料もたくさん残っている。
事務局
公有水面埋め立て申請書は、以前は行政文書として県立長崎図書館に所蔵されていたが、今は長崎歴史文化博物館に保管されている。年代ごとに長崎県の所管部門の事務簿として綴られており、届出の名称、届出年月日、届出者、申請地番などが記載され、図面が添付されているものもあった。
E委員
事業者側の調査をしたほうが早いのではないか。
事務局
三菱マテリアルが所蔵している資料調査も随時進めていきたい。
A委員
資料調査したものについては、目録の作り方に気をつけてやって欲しい。
事務局
端島炭坑等に類似する事例の調査ということで、世界遺産に登録されている世界の鉱山関連遺跡、それと国内にあります幕末から第二次世界大戦終了時ぐらいまでの鉱山関連遺跡を抽出する。その中から端島炭坑等に類似する遺跡に絞り込み、端島炭坑等の比較、それから分析を行い最後に報告書の作成を行う。
F委員
鉱山は金や石炭など採掘しようとするもので仕組みが違っているので、それを考慮して調査したほうが良い。また、先進国に所在するものと発展途上国に所在するものを切り離して調査した方が良い。
F委員
大規模な産業遺産を従来の文化財の補助金で賄うのは難しいので、保存するためには、どのような経済的な枠組みをつくるのかが非常に大きな要素になる。世界の事例から産業遺産を使ってどのように地域振興をやっていく仕組みをつくっているかということも考慮したほうが良い。
C委員
それぞれの構成要素ごと(住宅、鉱業施設、炭坑等)にどのような取り扱いがなされているかいう観点を持っておく必要がある。
B委員
「九州・山口の近代化産業遺産群」には、海外の専門家がいるので、その会議の場で議題を出して、彼らから意見をもらうのもよい。
長崎大学
軍艦島の3Dレーザのデータの利活用ということで、この島の最大規模のアパート65号棟を対象に計測を行った。なお、分析にあたり、既存の図面は、東京電機大学の阿久井先生、滋賀先生の資料を参考にいる。
三次元の情報で例えば何割欠損しているとか何割欠損したときの構造的な耐力はどうなのかということもチェックすることができる。また、三次元計測した膨大な量のデータをコンピュータ処理することによってアニメーション化した動画にしたり、3Dプリンタとういう装置を用いて三次元の情報から立体模型を作ったりすることもできる。
F委員
最終的には崩壊するかもしれないけれども、このような技術を応用して崩壊に至るシミュレーションが実施できないかいろんな分野の先生を集めて検討したほうが良い。
長崎大学
長崎大学インフラ長寿命化センターでは、コンクリートの塩分量とか、あるいは中性化とか、実際に橋とかターゲットとして調査を行っている。コンクリートの特質で、日光が当たるところと日光が当たらないところで中性化の具合もまた違う。端島の構造物がどのくらいの力で壊れるのかをコンピュータの中でシュミレーションすることが可能となる。
D委員
このような技術を利用した建物毎の問題点などの把握と整理が可能であれば行った方がよい。
事務局
平成21年は8月の1カ月間に34平米ほどを発掘した。発掘調査は古写真を基に、竪坑の位置からどれくらいのところに建物や蒸気機関等があったのかということを考えながら、調査を進め、現在、発掘調査で幾つかの遺構を確認はしている。歴史文化博物館所蔵の渡辺文庫(長崎の郷土史家渡辺庫輔の旧蔵資料)の文書の中に北渓井坑に係る記述が見られ、発掘成果とも対応する部分が確認された。
平成22年度は10月末まで発掘調査を実施し、その後、その調査の成果についてまとめる。発掘調査により北渓井坑の敷地自体の概要がある程度判明していけば、それにあわせて指定の範囲も今後見直しが必要になる可能性もある。
D委員
国指定史跡で他にも事例があるので、歴史的な価値からいって、史跡、国指定史跡の可能性はあると個人的には思う。本格的に調査を進めていただきたいと思う。
(端島の除草について)
事務局
端島の緑がかなり増え、樹木の影響で通路が通れないとか各構造物に影響を与えている。そのため、樹木の伐採について検討を行なっている。
B委員
植生の関係もあるので、早急に進めない方が良いのではないかと思う。
F委員
本来であれば伐採は慎重にと思うが、尋常じゃないほど傷んでいるコンクリートもあるので、ゆっくりはできないと思う。
C委員
悪い影響があるので、早い時点で処理した方がいいと思う。
今後のスケジュール
事務局
次の委員会は(平成23年)3月下旬に開催を予定している。
(4)閉会
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