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平成22年度第1回 端島炭坑等調査検討委員会

更新日:2013年3月1日 ページID:006492

長崎市の附属機関等について(会議録のページ)

担当所属名

文化観光部文化財課

会議名

平成22年度第1回 端島炭坑等調査検討委員会

  • 日時:平成22年6月6日(日曜日)午前10時~
  • 場所:市役所本館地下1階 議会第1会議室

議題

  1. 委員会スケジュール
  2. 文化財的価値の検討に必要な調査内容

審議結果

1 委員会スケジュール

  • 委員会スケジュールは平成22年度から24年度までの3年間を予定している。
  • 3年間で保存管理計画書を作ることが目的となる。
  • 特殊な事例なので、調査過程で変更する場合もある。
  • 平成22年度の2回目は調査範囲の方向性、項目、詳細なスケジュール等を決定する。
  • 3回目以降、調査が済んだ部分の結果報告と保存管理の現況把握、それに対する協議を行う。
  • 平成23年度は調査結果報告及びそれに対する協議、調査結果に基づく文化財的価値の検討や、文化財的価値に沿った保存管理計画の検討を行う。
  • 平成24年度は調査報告書及び保存管理計画の策定を行い、最終的には提案という形で締めくくる。

2 文化財的価値の検討に必要な調査内容

E委員
端島の施設整備の趣旨はいいが、景観的に問題を後に引き起こすことがないよう、デザイン的なチェックだけでも専門家に意見を求める必要がある。
D委員
「九州・山口の近代化遺産群」については統一された保存管理計画というのが必要で、一体的な保存管理を進めていくためには、緊密な連絡が不可欠である。計画立案委員会みたいなものを立ち上げて保存管理を進めていくという視点が必要である。
E委員
近代化産業遺産の保存はやはりヨーロッパが進んでいるので、ヨーロッパの人から見ておかしくないものを作らないと、日本だけやアジアだけで作ると後でいろいろなことを言われる。イコモスの審査で来られるような人達が満足するぐらいのレベルのものができれば強い。
「九州・山口の近代化産業遺産群」協議会に設置した専門家委員会の提言書の作成状況としては、まずは海外の専門家の方々に、外の目から見たときにどのようなストーリーになるのか作ってもらって、それを国内の人間も議論に参加し修正を加え、議論しながら作っている。最初に提案書で考えていた時は、産業別に柱を立てて説明していこうとしていたが、海外の人達は全体ストーリーを立て直し、8つのエリアに分けて、その8つのエリアそれぞれ時代的にくくり直している。今年度の末に、海外からの目で見た全体のストーリーと資産群が固まる見込みである。
海外の人達は産業遺産を世界遺産にするということで熱心である。しかし、日本の文化財保護行政のことに詳しいわけではない。
日本の文化財指定にするのに、議論としては非常に大きな山が2つ残っている。一つは稼動資産をどうするのかであり、これはすぐに文化財指定というわけにはいかない。もう一つは保存管理で、地元専門家の方々も考えているように、崩壊の過程を見せる史跡、という考え方が今の文化財のフレームの中で受け入れられるのか、今後国内的な議論のつめが行われる。
その先にも発掘調査をして具体的に保存するべき地区を確定して、実際、国指定に持っていくための作業がある。
B委員
朽ち果てていく施設の意義というか価値が、この端島・軍艦島については一つのキーポイントになる。
オブザーバー
稼動中の資産をどのように文化財指定できるのかについて、史跡の指定の前例はなかなかない。重要文化財の例で言うと、商業施設のものとして、東京駅、高島屋デパートがある。しかし、産業系のものではスクラップアンドビルドが激しいため、史跡の指定ができていない。
従来的な考え方は、指定をするというのは、保存整備・保存修理を行っていくというのがオーソドックスな考え方である。壊れ果てているというのであればそれを往時の姿に戻すのが文化庁の基本的なスタンスである。
現状、文化財として廃墟の評価をしてこなかった。唯一、広島の原爆ドームが例外としてある。原爆ドームは、広島市が保存修理をして、あの形のままで維持していくという先行事例がある。
文化財指定の年代は、概ね昭和20年頃までで、戦後のものについては直接的な評価をしてこなかった。重要文化財の建物だと50年を経れば価値がある。遺跡の観点、歴史的な評価というのがあるという状況から、現代史のほうになかなか踏み込まない状況である。
史跡の指定をしている群馬県の富岡製糸場の場合は、やはり昭和60年代に操業を停止している。そこでは、遺跡の観点から昭和20年までのものは全て史跡の構成要素にし、戦後のものについては、連続している資産なので保存管理計画の中で史跡の構成要素に準ずるものという形で取り扱いを定めている。
C委員
文化財指定をするということは、保存が前提であるため、風化の過程を見せるということの位置付けは本当にチャレンジングで、理論構築が非常に難しい。相当覚悟を持ってやらないといけない。
現在の端島の状況は、「活用」の方が進んでいる。世界遺産になるためには、文化財としての指定が要件になるわけで、端島についてはかなり難しい問題である。
A委員
端島の風化の過程を見せるという考え方は、文化財指定の概念から相当飛躍をしている。ある見方をすれば従来の文化財保護の概念から正面からぶつかる中身を含みつつ、やっぱり文化財としてやっていくとなれば、かなりジャンプした理論構築が必要で相当覚悟してやっていかなければいけない。これまで、廃墟型のものを文化的な遺産として評価したことがない。
無視できない要素は、当初の予想をはるかに超えてお客さんが来ていることである。これは一般の国民の皆さんが新たな関心に目覚めている。壊れてなくて閉山頃のちゃんとした形で残っていたらより魅力的だと思うのか、今の形だから非常に魅力を感じるのかであるが、後者の要素がかなり強い。人は何故あそこに魅力を感じるのかを議論の前提に入れて、これを文化財としてどう位置づけるか考える必要がある。
D委員
現在進行形の近代産業遺跡として、昭和期に作られた佐渡鉱山の選鉱場の跡が残っている。そこは巨大で廃墟になっており、今までの発想で保存するのは非常に大きな問題が残っている。
その他、足尾銅山の精錬所の跡も非常に巨大な鉄骨跡があったが、保存を前提とする指定は不可能であろうということで、文化庁は非常に悩んでいた。
従来の保存ありきという概念で近代産業遺産を考えようとすると、ほとんど不可能なものがぞくぞくと出てくるので、この辺で発想の転換が必要となる。端島は一つのモデルケースとして今後の近代の産業遺産に関する文化財保護行政のあり方に問題を提起する非常に重要なケーススタディになる。今後の文化財行政にある程度の一石を投じる可能性は十分にあるため、未来を見据えた議論が必要である。
E委員
保存管理計画を作る上では、端島と同様の場所で、世界遺産になっているところの保存計画が参考になる。典型的なものに関して、ヨーロッパの進んでいる国々では、どんな論理で保存管理を考え、それを日本に上手く根付かせるためにはどんな議論を練らなければならないかを並行してやる必要がある。そういう基本的なテーマのところを出してもらいたい。
B委員
物を保存するわけだが、理念としては価値を保存することになる。その価値が何なのかを明らかにしないと保存・活用の指標も立てられない。類似遺跡の調査として、海外の事例までも考慮する必要がある。
E委員
端島は、気候上一番過酷なところにあるのだから、建築材料のとして使用されているコンクリートについて、ある意味長期の曝露試験をやっている世界でもまれな場所である。実験場という意味では非常に価値があって、あまり保存措置してしまうと長期曝露試験ができなくなる。そういう側面で、テストケースなんだというような論理もある。
D委員
コンクリートの保存修復をどうしていくかということについては、技術的にはほとんど確立していない。保存がどこまで可能なのかをまず議論しておかないと、まず保存が必要だといっても説得力がない。
B委員
この委員会は平成24年度までを目途として進めていきたい。
事務局
各種調査は委託を考えている。
D委員
産業施設部分がほとんど失われているため、図面だけの文献等資料調査では足りない。経営資料、文献資料、三菱が持っている資料の調査は不可欠である。
端島だけでなく高島炭坑についても同じことが言える。
学生が各鉱山で実習をして大学に提出している実習報文が残っている。その調査をしていくと鉱山の特徴、特質というものが分かってくるので、文献調査をぜひ一本立てて欲しい。
C委員
定点観測的な部分を設けて、特に1年ごとに動きを調べることを、初年度から行って欲しい。
A委員
文献資料調査の中で、行政資料の調査も必要である。
B会長
この委員会は軍艦島だけでなく高島、中ノ島を含めての調査検討委員会であるため、それぞれの項目で、高島、中ノ島も該当すればそこも含めることとする。
D委員
グラバーの調査をすることで、高島炭坑の歴史的位置づけをより明確にできる。
事務局
まず文化財としての価値がどこにあるのかということと、どういった保存あるいは管理の方法があるのかということは一連のものである。本日配付した資料は、文化財として価値づけのための調査として必要なものを提案したものである。
建造物に関しては、ほぼ完全な形で実測調査が行われており、そのままの状態で使用できる。但し、その調査の後に壊れている部分、あるいは失われている部分の現況の把握が必要である。島として今の段階での全体の実測を完了させたい。
文献資料についても、高島炭鑛史をまず研究しているところである。
D委員
三菱に関する資料は、東大の病院近くの旧岩崎邸の場所にある三菱史料館に保存されている。
B委員
池島についてどういうふうに扱うべきか。
事務局
委員会はあくまでも高島炭坑3島を対象としており、池島については別である
事務局
今年度(平成22年度)の調査でまずは、鉱業所施設エリアの測量と、この部分の記録、文献の調査をやっていきたい。
事務局
資料の赤の部分(居住区のエリア)は、東京電機大学の詳細な調査を活用できる。
事務局
実測等やってみた結果、必要に応じて発掘調査まで考えている。
E委員
調査とその後の評価について、上手くバランスを取っておかないとまずい。具体的に往時の施設がどういう機能を持っていてその機能がどれくらい貴重か、価値のことを考えながら、価値がありそうなところはかなり精密にやって、そうでないところはもう少し違うやり方をするような手順が必要である。
事務局
崩れ落ちているものの実測は、現状の保存というのが前提である。文献等での調査の中に、当時の図面等がないかの調査も含め、相互を補完した形で行いたい。
C委員
調査対象としての重要性を抜きにしては、無駄なところにお金をかけることになりかねないので、市のほうが主導して、専門家の意見を聞きながら進めて欲しい。
D委員
ある程度、実習報文などの文献調査を進めた上で着手したほうが、能率的に進む。
E委員
今までの遺跡調査とは全然違う。崩れている状況をすごく精密にやってもまた変わるので、むしろ写真撮影程度に留めておいて本当に資料的なことをまずやってもらいたい。今までと違う発想でやらないといけない。
B委員
文化遺産としての価値付けはむしろ現状の測量よりは文献調査の方が有効である。
E委員
世界遺産のフェルクリンゲン製鉄所(ドイツ)は世界遺産になっていてマネジメントプランも出ているはずである。世界遺産のスタンダードとして、イギリスの炭鉱のブレナヴォンのマネジメントプランの調査が必要である。マネジメントプランは、ICOMOSの本部にも書類が全部ある。また、2000年(平成12年)以降ぐらいならユネスコのサイトにかなり詳しいドキュメントが出ている。
B委員
端島の持っている独特の評価の仕方として、劣化していくプロセス自体に研究する価値がある。日本の集合住宅はすぐに解体されてなくなってしまう。例外的に劣化した状態を残されている例があれば調査対象としてよい。
B委員
劣化のプロセスで比較できる対象を検討してもらいたい。
E委員
世界でも非常にごく初期の高密住宅地計画において何が考えられて、その後の計画、同潤会や公団とか考え方について、ここを出発点として現在にまで至っているのか、それともどこかで消えるのかについて、高密集住宅のRC住宅群という目で住居を見ると、ここが持っている歴史的価値というのも見えてくるかもしれない。
B委員
人口密度が高くて、限界まで達すると最大限まで空間を利用している。それについて、海外の事例、集合住宅の極限みたいな観点も比較のところでは考慮が必要である。
事務局
聞き取り調査についてはすでにいくつかなされているものは十分活用し、それに加え、新たに独自の聞き取り調査をやる。
事務局
九州大学の建築関係から出されている、高密度住宅の生活や境遇等の資料を少しずつ集めている。
E委員
世界遺産にする会の人達との協力関係の中で、全体の意識を盛りあげていったり、理解を深めていったりするような仕組みを考えるとすごくいい。コンサルタント会社に委託して調査を行い、他方で市民の人たちが別でやっているというのは、すごくもったいない。島の生活者であったそういった方々と上手く接点を持ち、そういう関心を集合できるようなしくみが必要である。
また、例えば建築学会などの専門家達に対し、コンクリート工学のような学問にすごく大きく寄与する、というような仕組みを作ればエネルギーが組織化できる。いろんな形で専門家の人達と相談しながら進めてもらいたい。
オブザーバー
三ヵ年の計画の中、場合によっては少しずつ微調整をしながら、しっかりした、将来役に立つ調査をしてもらいたい。
事務局
2回目の委員会は9月下旬で調整する。
(6)閉会

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電話番号:095-829-1124

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