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クルーズ船の感染

更新日:2020年7月1日 ページID:034876

ホッとトーク

 4カ月ぶりの「ホッとトーク」のコーナーです。
 今年、ランタンフェスティバルが始まった頃には、短期間でこれほどまでに世界が変わってしまうとは思いもしませんでした。この半年の間に、長崎でも、日本でも、世界でも、想像を超える出来事が発生し続けています。
 起きているのは、世界中で40万人を超える人が亡くなっているパンデミック(大流行)。
 その中にあって、長崎県の場合は、陽性が確認された人が比較的少なくて済んでいます。特に長崎市では、この原稿を書いている6月17日現在、市民の市内での感染はまだ確認されていません。これは、市民の皆さん一人一人が、それぞれの行動に責任を持ち、気をつけてくれたからにほかなりません。本当にありがとうございます。

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多くのかたに見送られ出航しました

 新型コロナウイルスの感染は、長崎市内には広がっていませんが、4月下旬、三菱重工の香焼工場に停泊中のクルーズ船コスタ・アトランチカ船内で集団感染が確認されました。
 乗員623人全員を検査した結果、149人が陽性反応を示し、特に南部地区を中心に、多くの皆さんが市内への感染拡大を心配される事態となりました。おかげさまで感染は市中に広がることなく、5月31日、検査で陰性が確認されたクルーたちを乗せて、フィリピンに向け出航しました。
 重症者が増えて、市内の病院の感染症用ベッドが足りなくなることも心配されましたが、結果的に重症化したのは一人だけで、医療崩壊も起こさずに済みました。この問題の解決には国から派遣された専門家チーム、自衛隊、長崎大学、医療NPO、国、県、市など、本当に多くの人たちが連携しながら取り組みました。素晴らしい連携プレーだったと思います。
 出航の日に、私は中村県知事や長崎造船所の椎葉所長と一緒に手を振って船を見送りました。デッキに並んだ乗員たちの手には「ありがとう」という横断幕を、そして岸壁には「よい航海を」というメッセージを、それぞれ手にした人たちの交流の姿がありました。それはまさに、関係者全員が目指してきた出航の姿でした。
 この姿が実現した背景には、直接の関係者の力はもちろんですが、それ以外にも大きな力がありました。それは、乗員の皆さんを励ましてくれた市民の力です。
 思わぬ集団感染によって船室から一歩も出ることのできない乗員を励ますお便りや差し入れなど、多くの市民の皆さんが温かい思いやりを届けてくれました。子どもたちからの英語のメッセージも届きました。長崎商工会議所の青年部は、稲佐山電波塔を船会社のシンボルカラーにライトアップする案を実現させました。
 多くの人たちの思いが通じ、お互いを思いやる中での感動的な出航の情景が生まれたのです。それはずっと港を通じて海外と交流してきた、とても長崎らしいシーンでした。
 コスタ・アトランチカをめぐる出来事は、長崎が港町として発展するための多くの教訓とヒントを残してくれましたが、長崎の歴史にはきっと素晴らしい交流の物語としても残ることでしょう。

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