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更新日:2015年11月27日 ページID:027773
科学者などによる平和の会議「パグウォッシュ会議世界大会」が、先月長崎で開かれました。これまで広島では2回開かれていますが、長崎では初めての開催でした。
核実験の禁止や核不拡散条約(NPT)の制定などいくつもの功績があり、ノーベル平和賞も受賞したこの会議が、被爆70年という節目の年に長崎で開かれたことにはさまざまな意味があります。
世界中から集まった多くの科学者に、被爆地長崎を見てもらい、被爆者の話を聴いてもらえたことは大きな成果でした。ヤングパグウォッシュ会議に出席した若い科学者たちと長崎や全国の若者たちとの交流が行われたことも、未来につながる有意義な企画でした。
パグウォッシュ会議が受賞したノーベル平和賞のメダルの複製が長崎、広島両市に贈られ、長崎ではすぐに原爆資料館に展示されました。これも、同会議と被爆地が同じ目標を持ち連携していることを示す、一つの成果だと思います。
そして、最後に出された「長崎宣言」の「長崎を最後の被爆地に」「対立を超えた対話を」という二つの言葉は、永遠に変わらない人類のメッセージとして残ることになるでしょう。パグウォッシュ会議の開催は、議論の内容だけでなく、さまざまな意味で、長崎の歴史に残る出来事でした。
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ベルギーにイーペルという小さな市があります。
人口は3万5千人ほどで、以前は繊維産業が盛んなまちでした。その栄華を物語るように、市の中心部にはとても立派な繊維会館があり、今は市庁舎として使われています。
このまちには、忘れてはならない歴史があります。第一次世界大戦で激戦地となり、60万人以上が犠牲になったのです。ドイツ軍が最初に本格的な毒ガス攻撃をしたまちでもあります。
連合国軍が戦場に向かう起点となったメニンゲートという石造りの大きな門の下では、毎日午後8時に戦没者追悼のための式典が行われます。ラストポスト協会という民間団体に所属する市民がトランペット演奏をして、厳かな雰囲気に包まれます。世界中から戦没者の家族が訪れ、花を捧げます。
戦争の悲惨さを伝えようとする人の営みが、世界中にあります。どこも長崎の仲間です。
被爆70年の今年は、交流し、お互いのことを知り、仲間を増やすことが確実に平和をつくる力になる、ということを改めて感じた一年でした。パグウォッシュ会議もそうです。これからも世界と交流し、平和をつくるまちになる、という長崎のビジョンに向かって、着実に歩いていきましょう。
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被爆70年の今年は、市民の皆さんと一緒になって、多くの発信をした一年でした。
記念事業ではありませんが、12月には長崎を舞台にした映画「母と暮らせば」の上映が始まります。吉永小百合さん、二宮和也さんの主演です。どんな映画に仕上がっているのか、とても楽しみです。
被爆70年に、山田洋二監督が、長崎を舞台にした平和の映画をつくってくださったことに感謝します。ぜひ皆さんも映画館にお出かけください。
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