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更新日:2014年4月25日 ページID:025433
被爆して一本の柱だけで立つ鳥居の奥。どっしりと立ち、青々と若葉を茂らせる大きな2本のクスノキ。
山王神社のクスノキは、昭和20(1945)年の原爆を受けて幹の上部は折れ、熱線で焼かれ、ガラスや石が幹の中に食い込みました。一時は葉も落ちてしまい枯木同然でしたが、短い時間で生き返り、樹勢を盛り返しました。その姿は、原爆によって「70年は草木も生えない」といわれた土地に住む人々に希望と勇気を与えました。そして、長崎にとって大切な木として、市の天然記念物に指定されています。
この被爆クスノキの二世は、苗として運ばれ、これまで国内外の平和を願うまちに植えられてきました。「被爆カキの木」や「嘉代子桜」と同じように長崎以外のまちでも育っています。平和の樹であり、平和のメッセンジャーでもあるのです。
* * *
長崎出身のふるさと大使・福山雅治さんが、この木を題材にした曲「クスノキ」をつくってくれました。
我が魂は
この土に根差し
決して朽ちずに
決して倒れずに
我はこの丘
この丘で生きる
幾百年越え
時代の風に吹かれ
* * *
こう始まる歌詞は、クスノキの思いであり、クスノキに託した長崎の人たちの思いでもあります。ピアノとギターで始まるメロディーは、これまでの福山さんの曲とはかなりイメージが違います。
私は何よりもこの曲をつくり、新しいアルバム「HUMAN」の1曲目に入れてくれた福山さんの長崎への思いを強く感じました。長崎に生まれ育った人として、自分にできることを考え続けてくれているからこそ生まれた曲なのだと思います。
この曲を聴いた全国の人たちが、原爆のことを知り、長崎の平和への思いに触れてくれることを祈ります。そして被爆クスノキを訪ね、そこで感じたことを、少しでもいいから自分の言葉でだれかに語ってくれることを願います。
* * *
今、長崎では、中学生、高校生、大学生が平和の活動を活発に行っています。5月にニューヨークの国連本部で開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議の準備委員会にも、ナガサキ・ユース代表団の学生8人が参加します。かつて被爆クスノキが芽吹き、長崎の人たちに希望と勇気を与えたように、いま若者たちが被爆者の皆さんに、そして長崎に、希望を与えてくれています。
被爆二世である福山さんの活動も、「伝え続けてきたことが伝わっている」ことの証しなのだと思います。長崎らしくこれからも世代を超えてバトンを渡し続けていきましょう。平和をつくるまちとして。
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