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更新日:2022年6月29日 ページID:038846
令和4年6月29日(水曜日) 午前11時00分~午前11時45分
▶ 会見の様子(YouTube動画)は、こちら(新しいウィンドウで開きます)。
田上市長
おはようございます。本日もお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
それでは、まず、私から3点、報告とお知らせをさせていただきたいと思います。
1点目に、6月18日から25日までの日程で、核兵器禁止条約の第1回締約国会議などに出席するため、オーストリアのウィーン市へ出張しましたので、その概要についてご説明をいたします。
この第1回締約国会議は、6月21日から23日までの3日間の日程で、国連ウィーン事務所に隣接するオーストリア・センターで開催されました。
今回の会議は、核兵器禁止条約を世界のルールとして確立するための出発点となる重要な会議であり、ウクライナ情勢により、核兵器使用のリスクが高まっている中で開催された核兵器に関する国際会議ということになります。
私も、会議の中で発言する機会をいただきましたので、最初に、条約成立に尽力された全ての皆様の、世界から核兵器をなくそうとする強い意志と勇気ある行動に敬意と感謝の意を伝えました。そして、現状における条約の意義を強調した上で、今こそ被爆者が訴えてきた「長崎を最後の被爆地に」を合言葉に、力を合わせ「核兵器を絶対に使わせない」という共感の連鎖を世界中に広げていくことを呼びかけました。
会議の中で特に印象深かったことは、ドイツやノルウェーなどオブザーバー参加した国々が、条約に署名・批准しない理由を明確に示した上で、核兵器廃絶というゴールを共有していること、独自の努力とできる限りの連携協力を行うことなど率直に意見を述べる姿であり、それを聴いた後に締約国から拍手が起こったことです。互いの立場は違ってもリスペクトし話し合おうとする姿こそ、平和構築のあるべき姿であり、その場に立ち会えたことに感動しました。
会議の最後には、核兵器のない世界の実現を目指す政治宣言と、核兵器廃絶に向けた具体的な取り組みをまとめた「ウィーン行動計画」が採択され、会場は大きな拍手と熱気に包まれました。私は参加者の皆さんと一緒に拍手をしながら、ようやく大事な一歩を踏み出せたという安堵感と、いよいよこれから始まるという高揚感を感じたところです。
会議の合間に、「条約推進国」のタイとメキシコ、また、オブザーバー参加国の中からオーストラリアとノルウェーの代表とそれぞれ面会をしました。今後の取り組みや連携のあり方などについて話すことができました。
特に、オブザーバー参加国からは、条約についての考えや立ち位置、また、オブザーバー参加した理由として、「核兵器のない世界」の実現に向けた議論に関与することの重要性など直接話を聞くことができ、日本政府にオブザーバー参加を求める上でも参考となりました。
さらに、国連、赤十字国際委員会、包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)、それから国際NGOのICANの代表とも面会を行い、意見交換を行いました。
先ほど説明した4カ国もですが、特に若い世代の育成が大切であるとの考えで一致し、この取り組みにおいて連携していくことを確認しました。
締約国会議の前日には、核兵器の人道的影響に関するウィーン国際会議が開催されました。その中で、参加国、国連、ICRCなどのメッセージが「核兵器をなくすしか道はない」など、これまで被爆地が発信してきたメッセージと同じであったこと。そして、そのメッセージをそれぞれが自分の言葉として訴えていることに感銘を受けました。
平和首長会議とICANの共同サイドイベントでは、深堀議長が被爆者として、また被爆地の議長として、これまでの取り組みなどを紹介しながら核兵器廃絶に向けた強い決意を発信されました。
また、平和首長会議役員都市による会議に出席し、各都市の取り組みや、今年広島で開催される平和首長会議の総会について意見を交わしました。
今回の出張の総括としましては、核兵器禁止条約第1回締約国会議は、この条約を世界のルールにしていく道の確かな一歩となったと感じました。
そして、今後は、国や国際機関、都市、NGO、専門家などがそれぞれの立場で条約の意義を多くの人たちに伝えていくことが必要であり、平和首長会議及び被爆地としてその取り組みを強化していく必要があると思いました。
また、繰り返しになりますが、様々な方々と話をする中の共通項目としてあがってきたのが、「若い世代の活動の重要性」でした。実際に、若い人たちによる活動が増えており、核兵器のない未来をつくっていく活動を応援していくことが重要であると改めて感じたところです。
核兵器をめぐる国際状況は依然として厳しい中にありますが、今回の締約国会議での成果、特に核不拡散条約(NPT)との補完性を強調した行動計画を受け、8月に開催されるNPT再検討会議で最終文書を採択できるのか。また、どのような最終文書を採択し、核軍縮に向けた具体的な道筋を示すことができるのかが重要になってくると考えています。
課題解決のために前向きに取り組まれている国連や、NPT再検討会議議長を支援し、被爆地として、平和首長会議として核兵器廃絶に向けてNPT再検討会議を成功に導く力となりたいと考える人々と連携を強化しながら、被爆地の役割をしっかりと果たしていきたいと考えています。
田上市長
続きまして、2点目ですが、「ながさき防災フェスタの開催」についてです。
昭和57年7月23日の長崎大水害から今年で40年を迎えます。大水害を知らない世代が増え、また、当時を経験した方の記憶も時間とともに少しずつ薄れてきている中、若い世代を中心とする幅広い世代に伝承し、防災意識を高めるため「ながさき防災フェスタ」を開催します。
日時は、7月16日土曜日の10時から15時としています。場所は、出島メッセ長崎の1階イベント・展示ホールです。参加費は無料となっています。
実施内容ですが、災害があった場合に連携をする自衛隊、警察、消防、民間事業者等の協力のもと、会場内に5つのエリアを配置し、災害を見て、聞いて、体験して、楽しく防災を学べる内容となっています。
なお、地震体験車や防災ゲーム、ヘリ飛行見学は時間指定がありますので、あらかじめ確認の上、ご来場いただきたいと思います。
今年は、長崎大水害から40年を経過する節目の年になります。多くの方にご来場いただきたいと思いますので、周知と当日の取材をよろしくお願いいたします。
田上市長
最後に、もう1点、3点目ですが、新型コロナウイルスワクチン接種にかかる集団接種会場での「ノババックスワクチン」の接種についてです。
現在、長崎市の新型コロナウイルスワクチンの3回目集団接種会場ではモデルナワクチンを使用しています。アレルギー反応によってモデルナやファイザーを接種できなかったり、2回目のモデルナやファイザー接種で副反応が強く出たことで3回目接種をためらっておられる方等がいらっしゃると思います。そのため、7月14日からホテルニュー長崎においてノババックスワクチンの接種を行うこととしました。
対象者は、2回目の接種から6カ月以上が経過した18歳以上の方となります。市民の皆さんには、ぜひ、ご自身や身の回りの大切な方を守るため、積極的なワクチン接種をお願いしたいと改めてお願いを申し上げます。
私からは以上です。
記者(西日本新聞社)
冒頭のところでの発言と重なる部分はあると思うのですけれども、改めてお伺いいたします。
今回のウィーンでの核兵器禁止条約締約国会議の参加を通じてご発言もされたと思うのですけれども、そういう中で感じた核兵器禁止条約の意義というのを改めてお願いします。
田上市長
はい。今回、非人道性の国際会議から締約国会議2つの会議に参加をさせていただいたのですが、非人道性の国際会議からずっと多くの国々が核兵器はなくさなければならないということを明確に発言されていました。この核兵器の危機から逃れるためにはなくすしかないというメッセージは、被爆地、被爆者の皆さんが源流となってずっと発信し続けてきたメッセージですけれども、それと同じことを多くの国の代表が自分の言葉として力強く発信されていたこと。これは、非常に大きな意味があると改めて思いました。
そして、そういう国々がNPTとの補完性についても明確にしながら、その参加国を増やしていこうとする意志を明確に表明されている。最後の1カ国が参加するまで諦めないというメッセージもウィーン宣言の中で示されたことと、今後進む第一歩として改めて明確に参加国の意志を示した、締約国の意志を示した非常に大きな意味のある一歩を記した会議だったというふうに思います。
実際には、条約自体は今後多くの国々の参加、あるいは保有国の参加、そしてそれが実効ある検証の体制も含めた実効ある条約となっていくためには様々なプロセスが必要です。そういう大きな全体のプロセスから考えると、本当に最初の一歩ということだと思いますけども。ちょうど生まれたての赤ん坊のような条約が、一歩自分の足で歩いた。これは小さな一歩だけど非常に価値のある一歩であるという、そういう会議であったと思います。
記者(西日本新聞社)
そして、冒頭の中でもありました、今回の参加を通じてオブザーバー参加国との面会もあったということで、そこでのお話の中で日本政府に条約への参加を求めていく上で参考になった部分があるというふうにお話をされていました。具体的にどんなところでそのようにお感じになったのでしょうか。
田上市長
オブザーバー参加国の中の一部が、会議の中でそれぞれスピーチをされました。また、その中のノルウェーとオーストラリアについては直接代表の方とお会いしてお話をすることができたわけですけれども。そういうスピーチの中で、率直に核兵器のない世界というゴールを共有しているというメッセージ。それから、こういう理由で今核兵器禁止条約に参加することができないということを明確に発信されている。そして、条約についてまだまだこういう足りないところがある。しかし、協力できること、そして自分たちの国の立場で核軍縮に向けてできることについてはしっかりやっていくというメッセージを発信されたこと。これは、非常に率直なスピーチとして感じました。そして、そういうメッセージの内容そのものは、今も日本政府が言っておられること、ゴールは共有しているということ。それから、今参加できない理由があるということ。それから、核軍縮に向けてできる役割を果たしていくというメッセージ。これは、今も日本政府が発信されているメッセージですので、そういう意味では、今後の締約国会議にオブザーバー国として参加する可能性はあるのではないかと感じましたし、そういったことも今後、参加を求めていく中ではお伝えしていきたいと思っています。
記者(長崎新聞社)
今回、先ほどもお話がありましたけれども、行動計画とウィーン宣言というものを採択したが、中でも特に先ほどNPTの補完性の話もありましたが、そのほか行動計画についてどういった部分、注目された部分とかはございますか。
田上市長
そうですね。ウィーン宣言のほうは、まさしく明確に核兵器の非人道性に言及した上で、核兵器の完全な廃棄を目指すという決意を再確認している。非常に内容的にも力強い内容であったというふうに思います。
また、行動計画の中で、先ほどのNPTとの相互補完性について明確に述べられていることと。そのNPTとの連携協力を進めるための調整役を具体的に任命するということであったり、あるいは、科学的なアドバイザーを今後設けて、そういう新しいチームもつくるということであったり、第一歩、次に向けての準備となる一歩を示す内容は非常に具体的であったと思います。
特に、NPTとの調整役の分については、今後どういった形になっていくのかというのはまだよく分かりませんけれども。相互補完性ということをNPT側に発信する非常に重要なメッセージではないかなと思います。そういう意味では、次はNPT再検討会議が8月にあるわけですけれども、NPT再検討会議が今後は核兵器保有国、あるいは核の傘の下にいる国々も参加する会議なわけですけれども、そこがどう答えるのかということは非常に重要なポイントになるのではないかなと思います。
記者(長崎新聞社)
もう1点なのですけれども、先ほどからもお話が出ていますけれども、日本政府に関してオブザーバー参加を引き続き求めていくということなのですけれども。今回、岸田首相がNPTに歴代首相として初めて出席を表明されていらっしゃるのですけれども、具体的に日本政府にNPTでこういった役割を果たしてほしいといった求めたい部分というのはいかがでしょうか。
田上市長
今回のNPTでは、先ほども申し上げましたけど、最終文書が採択できる会議になるのかどうかということ、今非常に混沌とした情勢の中で最終文書がきちんと採択できるかどか。これは、NPT体制が崩壊せずにNPT体制がしっかりとした基盤なのだということを示せるかどうかという非常に重要なポイントになると思いますので、最終文書が採択されるために保有国、非保有国のまさしく橋渡し役としての力を発揮していただきたいというふうに思っていますし、保有国側には、やはり核軍縮に向けて6条を守るということが第一条件になりますので、そこに向けた核軍縮を超えて進めていくということをできるだけ具体的に示す必要があると思いますし、そういったことを核保有国側に働きかける役目もぜひ果たしていただきたいと思っています。
記者(西日本新聞社)
今回、このフェスタというのは、初めての開催ということでいいのでしょうか。
田上市長
フェスタという形ではないですけれども、これまでも長崎大水害から20年目ですから今から20年前に「こども防災フェスタ」という、今回とは少し対象等が違うイベントですけれども開催した実績があります。
記者(西日本新聞社)
はい。あと、会場内に5つのエリアを配置してということなのですけれども。この資料にあるこちらには軽く説明が書いてあるのですけど、もう少しどんなことが体験できるのかとか、その辺を伺えればなと思います。
防災危機管理室長
当日は、今、お手元にパンフレット的な資料を配布させていただいておりまして、防災体験エリア、長崎大水害エリア、防災啓発エリア、車両展示エリア、それから災害支援エリアということで大きな5つのエリアに分かれてそれぞれ展示を予定しておりますけれども。
お手元の資料の裏面のところに、もう少しそれぞれのエリアでご協力いただいている出展団体の具体的な内容をお示しをさせていただいております。
例えば、防災体験エリアということで言いますと、先ほど市長からも説明がありましたとおり、地震体験車で地震の揺れを体験していただいたりですとか、屋外で消防局から実際の火災のときの煙を体感していただけるようなそういう設備ですとか、あと、上下水道局から給水車を持ち出して、実際に給水車から給水を受ける体験をしてみるとか、そういった体験が得られるようなエリアになっております。
次の車両展示エリアというのもあるのですけれども、そちらは自衛隊ですとか、警察ですとか、そういったところからの車両が展示してあって、どういった車が活躍をするのかというところを見ていただけるようなエリアになってございます。
一番中心になるというか、こちらとして訴えたいところが今年水害から40周年というところで、長崎大水害エリアということを設けておりますけれども。この中では、当時残されている被災地の写真を現在の様子と見比べることで、実際、今身近な景色が水害のときにこういった状況までなるんだというところを見て感じ取っていただけるような展示を心がけたいと思っております。
そのほか、災害支援エリアとか、防災の啓発エリアというところでは、私たちだけではなくて防災や減災に関して協定を結んでいる各種機関や民間事業者等と連携しながら、普段から心がけていただくことを体感していただけるような展示を行う予定としております。
大きくは以上でございます。
記者(西日本新聞社)
もう一つ、ノババックスワクチンについても一つだけ質問させてください。
7月14日からホテルニュー長崎で使用されるということですけれども、今後会場が増えたりそういうご予定はあるのでしょうか。
ワクチン接種事業室長
ノババックスワクチン会場が増えるかということですけれども、取りあえず、今回ホテルニュー長崎さんでまず7月14日に60人程度から開始させていただくと。その予約状況を見ながら会場数を増やすとか、時間を増やすとか、人数を増やすとか、そういったところを検討させていただきたいと思っています。
なお、予約開始については記載させていただいておりませんでしたが、明日の朝8時45分からホームページ、コールセンターで予約を受け付けたいと考えております。
以上です。
記者(西日本新聞社)
今の点、確認ですけれども、6月30日、明日。すみません、時間は決まっていますか。
ワクチン接種事業室長
予約の開始ですね。
記者(西日本新聞社)
そうです。
ワクチン接種事業室長
8時45分からです。
記者(西日本新聞社)
では、ずっと質問が定例会見のときには出されていると思うのですけれども。来年のご自身の任期満了に伴う市長選へのご自身の態度というのは、今どのように考えておられますでしょうか。
田上市長
現在の状況の中で様々な課題、夏に向けての課題もありますし、その他まちづくりの面でも様々な動きが同時進行で動いている状況の中ですので、今の段階ではまだそれに集中しているという状況です。
ただ、時期がくれば判断をすることになると思いますし、しっかり考えて判断をまた後援会の皆さんと関係する皆さんともお話をさせていただきながら判断していきたいと考えています。今はまだ市政に集中したいということです。
記者(西日本新聞社)
いつまでに態度を表明したいとかそういった時期の目安というのはあるのでしょうか。
田上市長
まだ具体的にそのことについても、とにかく今は市政の課題が非常にスケジュール的にも迫っているというか詰まっている状態ですので、まずこれを一つ一つしっかり仕上げていきたいと思いますし。夏まではそういった状況が続くのだろうと思っています。
記者(朝日新聞社)
ノババックスワクチンの件で1点伺いたいのですけれども。ホームページとコールセンターの電話番号とか、ページのリンクとかって教えていただけますでしょうか。
ワクチン接種事業室長
予約はホームページとコールセンターでできるんですけど、ホームページは長崎市のホームページトップページから入っていただいて、バナーで新型コロナウイルスワクチンとございます。そこから入っていただければ予約のページにつながっていくという形です。コールセンターの番号ですけれども、0120―095-827になります。
記者(NIB)
締約国会議の話に戻ってしまって申し訳ないのですけれども、各国政府の代表であったりNGOの方と面会する中で、被爆国日本政府が参加しないことについて何か残念だというのだったり、意見交換の中で出てきたのかということと。
あと、被爆地への期待というのはどんなことを受け止められたか教えてください。
田上市長
日本の参加については、国の代表の方からは直接言及はありませんでしたけれども、ICANのフィン事務局長は、やはり参加をしてほしいという声もありました。
それから、被爆地の役割については、いくつかの皆さんからやはり被爆地の存在があってこそ、私たちも今の動きを始めるその最初のきっかけになったのが被爆者の存在なのだということをお聞きしましたし。今後、この条約が広がっていく過程でも被爆地の役割は非常に大きいので期待しているというお話は伺いました。
記者(NIB)
それを受けての市長の思いを改めて教えてください。
田上市長
核兵器禁止条約を、これはウィーンの行動計画の中でも示されていることですけれども、これからどうやって広げていくのか、参加国を増やしていくのかということが一つのテーマにもなるわけですけれども。その中では、国がアプローチできる、国同士でアプローチするというルートもありますし。また、国連が得意分野とするところもあると思います。また、NGOが得意とするところ、そして市民社会が得意とするところ、それぞれあると思いますので、被爆地として市民社会への働きかけをしていく。この条約の意義を伝えて、そしてこの条約に参加しようという声を上げてもらうということ。それを市民社会に働きかける。あるいは平和首長会議を通じて世界中の都市に、あるいは都市の中にいる市民に発信していく。そういう役割が市民社会に近いところにいる私たちにはあると思いますので、今後とも被爆地として、そして都市の代表として働きかけをしていくことが非常に重要であるというふうに感じました。
記者(日本経済新聞社)
いくつかご質問したいのですが、まず修学旅行の受け入れについて今取材をしておりまして、それに関連して市長のお考えをいくつかお聞かせください。
当然、長崎市というのは、平和教育も含めて修学旅行の受け入れは熱心にされています。それで、最初のお話で、今回のウィーンでの会議で若い世代の活動が重要だというお話で、この観点から長崎市が行ってきた修学旅行の受け入れ、それから今後の課題について市長のお考えをお聞かせください。
田上市長
修学旅行の受け入れは、まず交流人口という意味でコロナが少し収まったときに最初に戻ってきたのがやはり修学旅行で、修学旅行を受け入れる素地があるまちでやはりそういう意味では長崎は修学旅行のおかげで助かったということが言えると思います。それは、経済的な側面ですけれども、もう一つ、今ご質問にあった平和を伝えていくという側面では、ますますこれからその役目は大事になっていくと思います。
そして、その中で一つやはり重要なポイントになるのは、これまで長崎においでになったときにも被爆者の方のお話を聞く機会が多かったと思うのですね。そういうことがなかなか今後難しくなっていったりするときに、被爆者ではない方が伝えていくという、そういう人材を育てていくこと。それから、新しい伝え方、今の若い皆さんの、あるいはこれからの世代の人たちが受け入れやすいメッセージの伝え方、あるいは情報の伝え方といったようなことをさらに工夫していく必要があると思いますし、そういうことを若い世代と一緒に開発していくことで、長崎に来る意味、修学旅行として長崎に来る意味というのをこれまで以上に大きくしていくことができるというふうに感じています。
記者(日本経済新聞社)
最初にお答えいただいた交流人口の点なのですけれども、確かにおっしゃるように、最初に修学旅行生が戻ってきたし、今も結構たくさんいらしてますが。これはDMOのほうでやっていますけれども、修学旅行ナビというものをやって平和教育も含めて、あるいは最近はSDGsと絡めてアピールしています。こういった交流人口を増やすという点でこれからどういうふうに取り組んでいきたいか。あるいは、課題があれば教えてください。
田上市長
修学旅行ということではなくて全体にということですか。
記者(日本経済新聞社)
そうです。修学旅行全体を。見るところはグラバー園とかいろいろあると思いますので、全体的に修学旅行の誘客を長崎市に呼び込んでくるという視点です。
田上市長
今の平和の側面が一つあると思いますし。また、今の若い世代は社会のありように関して非常に関心をもっている、関心は高まっているというふうに思います。これまでの世代、例えば私たちの世代であったりもう少し下の世代よりも、社会のありようであったり地域のありように関心をもつという子供たちが増えてきているというふうに感じています。
そういう意味では、長崎の様々なまちがたどってきた経過であったり、歴史であったり、それは教科書の中の歴史じゃなくて、そこで人がどういうふうに関わってきたのかという問題、あるいは、長崎が例えば坂のまちという課題をどんなふうにそこと取り組んで、そして今解決しようとしているのかといったようなそういう地域の課題、社会の課題について、先ほどSDGsのお話もありましたけど、そういった要素も絡めていくことで、よりそこで子供たちが感じて持ち帰ったことが今度自分のまちで応用されるといったようなことにつながる。それもすごく大きな意味があると思っていますので、今後はそういった平和教育だけではなくて、また歴史教育という側面ともちょっと違う、今動いている長崎の取り組み等についても伝えていくのは有効ではないかなというふうに思います。
記者(日本経済新聞社)
もう一つ、交流人口という観点で別のテーマで伺います。
おくんちのことなのですけれども、何回かご質問をしていますが、週末に福岡に行ってきたら、もう山笠のあれですごい盛り上がって。残念ながら今年神事は中止ということですけれども、一つは神事以外で観光客の方に見せるものはどういうものがあるかというのを、もし決まっていれば教えてください。
田上市長
その点については、くんちが3年連続奉納踊りが奉納できないということで、多くの皆さんが特に市民は四季から秋がなくなってしまったようなそういう気持ちになっている方がすごくたくさんおられると思うのですけれども。
今回、長崎くんちのそういった市民の皆さんの少し喪失感みたいなものを埋めるイベントをしようということで、今、伝統芸能振興会等と、あるいは踊町の皆さんとの力を借りながら準備が進められています。いろいろな引き物、担ぎもの、そういった出し物とか傘鉾とかを展示するようなイベントが検討されていまして。ある程度まとまった段階で恐らくお知らせができると思うんですけども。それは、恐らく余りこれまでになかった初めて見る光景が多分出現すると思いますので、そういう意味では、観光客の皆さんも含めて少し楽しみにしていただけるようなイベントになるのではないかなと、私も期待をしています。
記者(日本経済新聞社)
もう一つは、県外から来た者としても期待するのですけれども、来年こそは、ぜひ、伝統的な形でとは思うのですね。国の伝統的なものに指定されておりますので、それを実現するために今から何か取り組まなければいけないとかということがもしあれば教えてください。
田上市長
そうですね。3年連続中止になるということ自体が想定していなかった、恐らく誰も考えていなかった事態なわけですけれども。やはり、長引くと特に7年に1回という踊り手の順番が回ってくるというサイクルでずっと動いていますので、かなり今後、今までみたいな形で残していくというところへの影響が大きくなってしまうと思うのですね。
ですから、来年はやはりぜひ開催をできるようにしないといけないというふうに思っていますし、そういう意味では、今回開催できなかった理由の一つは、やはりコロナであって、練習が特にくんちの場合は長いので、その練習の期間にもある程度大丈夫な形というのですかね。それをまず見つけていかなければいけない。コロナが収束するか、コロナが完全に収束しない状態であれば、そういう練習の仕方も工夫をすることになると思いますし。その辺りは、踊町の皆さんが一番現場をご存じですのでいろいろお考えいただけるのではないかなと思います。
もう一つの諏訪神社との関係の件については、いろいろお話しできる立場ではありませんけれども。やはりそういったことも来年はしっかりと基盤として環境が整った形の中でみんなで10月7日を迎えられるような、そういう形になればというふうに思っています。
記者(読売新聞社)
NPT再検討会議についてなのですが、前回の会見でスピーチは今できるように関係機関と調整しているということだったと思うのですけれども。発言の有無については、その後、進捗はありますでしょうか。
田上市長
先日ウィーンに行く前の会見でお話しした時点からまだ進展はしていません。まだ8月なので、いつも結構調整は最終的な決定はかなり迫ってからになるので、もうちょっと時間がかかるかなと思っています。
記者(読売新聞社)
分かりました。岸田首相がNPTに参加して初日にスピーチする方向で調整しているということだと思うのですけれども。市長、3日から行かれるということで、特段それを踏まえて前倒しするとか、そういう考えはなくて。もうこちらで聞いてから向こうに行かれるという形でしょうか。
田上市長
そうですね。こちらの用務もいろいろあってなかなかスケジュールが難しいので、3日に行って7日に帰ってくるという非常に短いスケジュールの中での行動になりますけども。いずれにしても、向こうに行って広島も今回は松井市長が参加できないという中で、被爆地としてのメッセージを発信する意味は非常に大きいと思っていますので、特にNGOセッションに向けて参加をしたいと思っていますので、できるだけスピーチもできるように最大限、いろいろな皆さんのお力をお借りしながら努力をこれからも重ねていきたいと思いますし。そこに向けてが、最低限の役目を果たすということだと思いますので、いろいろな国と折衝したりする時間はなかなかないんじゃないかと思いますけども、今のスケジュールの中でとれる時間ということで3日出発を今予定しています。
記者(長崎新聞社)
締約国会議の関係とも重なるのですけれども。今回、ICANの市民社会フォーラムの中で被爆体験者の方がオンラインで現地に向かってご自身たちは被爆者だという訴えをされていらっしゃったんですけれども。市長、ご自身としては、今回核被害者というまだ定義というのはこれからになると思うのですけれども。被爆者以外というか、被爆体験者であったり、被爆二世だったり、そういった方々が支援の枠の中に入ったほうがいいかどうかというのは、いかがお考えでしょうか。
田上市長
今回の核被害者の分については、まだ恐らくこれから世界中の核実験の被害者も含めていろいろな研究が進んでいくというふうに思っています。そういう意味では、今スタートしたばかりだと思いますけども。そういう中でも、当然、被爆体験者の皆さんもそういう精神的影響が認められた皆さんですので、そういった中に入ってくるのではないかというふうに思いますけれども。今後のその分野に関しては、今スタートしたばかりというふうには捉えています。今後、様々な検討がされていくものというふうに考えています。
記者(長崎新聞社)
一方で、先般、原援協さんとかも、今回要望で日本政府に対して改めて黒い雨の降雨地域と同様の取り扱いをしてほしいという要望をされていらっしゃるかと思うのですけれども。改めて、今回の締約国会議なども受けて、今後改めてそういった被爆体験者の問題についてどのように取り組んでいきたいとお考えでしょうか。
田上市長
黒い雨訴訟の件については、締約国会議を待たなくても、これはやはり広島と長崎の対応が分かれるということはあってはならないと思いますので。今後とも、今知事とともに要望にいくという日程の詰めをしているところですけれども。そういった形も含めて、国には求め続けていきたいと思っています。
また、合わせて、いろいろ黒い雨訴訟の件が例えば解決したとすればそれで終わりなのかということでもないわけで。様々な課題がまだありますので、その点も今後とも求め続けていくことになると思っています。
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