会期 〜平成13年12月2日(日)

ギャラリートーク/11月20日(火)、22日(木)、24日(土)、27日(火)、29日(木) いずれも午後2時〜

開館時間 9時〜17時(入館は午後4時30分)月曜日・休館
※11月30日(金)は午後7時まで開館(入館は午後6時30分)

会場 長崎県立美術博物館
長崎市立山1-1-5 TEL(821)6700

観覧料 一 般 1000円(800円)
    高大生  500円(400円)
    小中生  200円(160円)

    (県内の小中学生は第2・4土曜日は無料/70歳以上は無料/障害者手帳所持者及び介護者1名無料)


●JR長崎駅からのアクセス
市電/長崎駅前電停から蛍茶屋行きに乗車し桜町で下車、徒歩3分。
バス/バス停長崎駅前東口から市役所経由(中央橋行き他)に乗車し桜町公園前下車、徒歩3分。

車/長崎駅前から約5分。


ミュージアム探検隊初仕事
『オペラと美しき女性たち展』会場へ潜入!

 東京、大阪とわずかな期間で十数万人の来場者を記録した本展。
プッチーニ作 歌劇『蝶々夫人』の舞台、つまりオペラゆかりの地として長崎が最終開催地になったという何とも歓迎すべき展覧会だが、たとえ『蝶々夫人』の舞台であっても長崎人のオペラへの知識は『ある晴れた日に』を口ずさめる程度。
『オペラ』と聞いただけで、日常とはかけ離れた無縁の世界のように感じる人も多いのが現実じゃないだろうか。
でもこの展覧会、東京・大阪の評判を聞いても貴重で興味深いものであることは間違いない……。

 そこで、ド素人精神丸出しで探検隊いざ潜入! その魅力に迫ってみた。


オペラ!ドレス!女性の一生!
イタリア文化の“華
が満開


 会場の入口はオペラの舞台裏へ足を踏み入れるかのような気分にさせられる、檀幕をくぐるよう演出されている。
演出と言えば、本展の監修・構成をしたマダウ・ディアツ氏は演出家であり、元ミラノ・スカラ座演出・制作部長さん。
すでに来崎され、記念特別イベントとしてギャラリートーク(展示に関して見所や解説を交えて案内してくださる)も行われたが、赤いスポットライト、天井からのピンスポット、マネキンにかぶせたマスク、鏡とライトを利用したトリック……
照明や演出技術など、そう言えばこれまで美術館では行われなかったような斬新な演出も随所にみられる。
ゆったりとしたスペースにオペラの名曲が流れる中、場内奥に足を進めると、気品に満ちた「美しき女性」の仲間入りをした気分になれる。(錯覚?)


おすすめチェックポイントベスト5



1. メディチ家やヴィスコンティ家などイタリアの偉大な家族の相関図がわかる色分け&当時のドレスを再現したものは、イタリアに訪れたことある人などには興味深いもの。
その横にあるミラノの大聖堂(ドゥーモ)の模型もしかり!

2. イタリア女性の一生を表現しているところにあるドレスや宝飾品(イミテーション)、装飾品なども実際にオペラの舞台で使用した大道具&小道具。
オペラの舞台で使われる宝石はイミテーションだが、本物同様の制作行程を経たものだとか。かなり精巧!

3. オペラ史の流れを現す中でドレスの存在は大!
女性ならば、このドレスのデザイン、素材、装飾などに感心が集中するのは当然。
ジョルジョ・デ・キリコなどイタリア近代芸術の巨匠をはじめとした衣裳デザイン画とドレスを比較しながら観るのも楽しい。
マリア・カラスが着用したドレス、三浦環着用の着物などは1階で絵葉書として購入できる(1枚100円)。

4. 歌劇『蝶々夫人』を演じた三浦環の写真もある意味観もの!
1階には『親子で楽しむオペラと美しき長崎』と題し、『蝶々夫人』の時代背景である幕末、明治の長崎の風景写真を交えた『蝶々夫人』のあらすじが紹介されていて、すこ〜しはオペラを身近に感じられる。

5. 衣裳やデザイン画と共にオペラのあらすじの解説にも注目!

長崎が舞台の『蝶々夫人』を作ったプッチーニは中国を舞台にした『トゥーランドット』も作っているがプッチーニ自体は日本も中国も訪れてはいなかったらしい。
日本にあるイタリア大使館から情報収集をしてかいたものだとか。
さらに、同じく日本を題材とした怪し気なデザイン画で衣裳が表現された歌劇『イリス』に興味が湧いた。
盲目の父親を残して吉原に連れ去られた女性の話だが、その中にでてくる悪党の名前が「大阪」「京都」というから笑える! 



 ルネサンスの立て役者である女性にスポットをあて、その象徴であるオペラにまつわる展示品、さらには結婚、出産、祭典(パーティー)、葬儀と、イタリア女性の一生を、実際オペラの舞台で使用したドレスや装飾品、貴重な美術品などで表現されている本展。
『オペラ』に関する認識を深めるというよりは、そのきらびやな時代の美しい女性に出逢い、オペラの世界におのずと興味を抱いてしまうような構成になっている。
オペラへの興味有無に関わらず、美を愛する女性はチェックしてみて。



●『オペラと美しき女性たち展
  〜ルネサンスからローマのオペラへ〜』 展示概要



 イタリアの文化や芸術が大きく花開いた中世ルネサンス期。
その背景にあったのが女性たちの自我の目覚めだった。
その中世ルネサンス期に活躍する女性の魅力的な姿が生き生きと描かれ、表現されて続けているのが『オペラ』の世界。

 オペラは音楽としての芸術性だけでなく、舞台装置、小道具、衣裳なども往時の人々の生活ぶりを語り継ぐ、視覚的にも優れた総合芸術。

 今回の展覧会はローマ歌劇場の全面的な協力を得て、未だ知られていない貴重なルネサンス期の美術品や歴史資料、オペラのためのデザイン画、衣裳、当時の伝統を継ぐ職人の手による道具類などを展示。
オペラを切り口に麗しの街・ローマと中世からルネサンス期の宮廷生活、そして歴史を華やかに彩った女性たちの姿を劇場の演出を取り入れながら立体的に紹介されている。


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