(校舎のほうから、ざわざわと人がやってくる気配がする)
みどり 先生たちの、よけしここっちにやってきよる。
ガラエマン 心配せんでよか。おいはもう未来に帰(かい)っけん。
ほげ太 ええっ、なして。もっとおいといっしょにおってさ、ガラエマン。
いっしょにおって、ぼくのいたらんとこば叱ってもらいたかと。
ガラエマン そがん気持ちのあったら大丈夫ばい。ほげ太くん。
ほげ太 ガ……ガラエマン!
《訳》
みどり 先生たちが、たくさんやってくるわ。
ガラエマン 心配しないでいい。わたしはもう未来へ帰るよ。
ほげ太 ええっ、どうして。もっとぼくといっしょにいてよ、ガラエマン。
いっしょにいて、ぼくのいけないところを叱ってもらいたいんだ。
ガラエマン そういう気持ちがあれば大丈夫だよ。ほげ太くん。
ほげ太 ガ……ガラエマン!
ガラエマン じゃあ、そんかわしこいばやっけん(ほげ太に渡す)。
ほげ太 (受け取って)ガラエマンの……腹巻。
ガラエマン みしかか間やったばってん、いっしょにおって楽しかった。
元気でおれさ、ほげ太くん!(飛び立つ)
ほげ太 ガラエマーン! 《訳》
ガラエマン じゃあ、その代わりにこれをあげよう(ほげ太に渡す)。
ほげ太 (受け取って)ガラエマンの……腹巻。
ガラエマン 短い間だったけど、いっしょにいて楽しかった。
元気でいなよ、ほげ太くん!(飛び立つ)
ほげ太 ガラエマーン!
(ガラエマンが消えた空を見上げながら)
ほげ太 ガラエマンにがられたり、背中ば押されたおかげで
おいは以前よりちびっと立派になったごたっ気のするばい。
ありがとう、ありがとうガラエマン。
みどり 穂毛くん、腹巻ぼっくい似合うとる。かっちょんよか。
ほげ太 えへ、そがん?(照れる)
モヤシ 穂毛くんば見習うて、おいも勇気ば出すごとがんばっけん。
ほげ太 うん、じゃあいっしょにがんばろうで!
全員 ファイト、オー!
(ナレーション)
未来へ帰ったガラエマン。ばってん子供たちの心ん中で
彼は、ヒーローとして燦然と輝くとやった。ガラエマンよ、こいからも永遠に! 《訳》
ほげ太 ガラエマンに叱られたり、背中を押されたおかげで
ぼくは以前よりちょっと立派になったような気がするよ。
ありがとう、ありがとうガラエマン。
みどり 穂毛くん、腹巻すごく似合ってるわ。かっこいい。
ほげ太 えへ、そうかい?(照れる)
モヤシ 穂毛くんを見習って、ぼくも勇気を出すようがんばるよ。
ほげ太 うん、じゃあいっしょにがんばろう!
全員 ファイト、オー!
(ナレーション)
未来へ帰ったガラエマン。しかし子供たちの心の中で
彼は、ヒーローとして燦然と輝くのであった。ガラエマンよ、これからも永遠に!
<ワンポイント>
【そんかわし】
そのかわり。
【やっけん】
あげるから、あげるよの意。「あげる」という場合には「やる」である。
ちなみに、ガラエマン第6話では
ブルコングが「くれ」という意味で「やれ」を使っていた。
用法がちょっと複雑なことばである。
例/「(犬に)ペロちゃんかわいかね〜、ほらビーフジャーキばやっけん」
「ワンワン、ワンワンワン!(はよやれ、はよやれ!)」
(「(犬に)ペロちゃんかわいいね〜、ほらビーフジャーキをあげるよ」
「ワンワン、ワンワンワン!(早くくれ、早くくれ!)」)
【みしかか】
短い。ちなみに「長い」は「なんか」。
例/足んみしかか、胴はなんか。(足が短い、胴は長い)
【かっちょんよか】
かっこいい。
例/「あん人さ、黙っとったら、ぼっくいかっちょんよかとにねえ」
(「あの人って、黙ってたら、ものすごくかっこいいのにねえ」
次号へつづく!
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