この春、新しく長崎に引っ越してきた人も
たくさんいらっしゃると思います。
生活の中で出会う、さまざまな長崎弁に
とまどうことも、多いのではないでしょうか?
今回は、そんな人たちのために猛特訓。


(行き)

女性A あらぁ、おうち、どこさん行きなっと?

女性B そいがさ、髪のやぐらしゅうなってきたけん
    パーマ屋でも行こうかて、まちさん下(くだ)りよっとよ。

女性A あいやまあ、ほんと。おいかぶって。

女性B へえさ。

《訳》
女性A あら、あなた、どこに行くの?

女性B それがね、髪がうっとうしくなってきたから
    美容院にでも行こうかって、まちへ行ってるのよ。

女性A あらまあ、ほんと。髪が長くなってしまって。

女性B ええ、そうなのよ。



(帰り)

女性B (石段を上りながら)あいたこらきっつぁ。

女性A あらぁ、いま帰りね。きれいになんなって、はつあたまたい。

女性B へえさ、よかろ?

《訳》
女性B (石段を上りながら)どっこいしょっと。

女性A あら、いま帰りなの? 美容院帰りできれいになって。

女性B ええ、いいでしょう?



<ワンポイント>

【おうち】
あなた。
ちなみに「おまえ」は「わい」。「おれ」は「おい」。

【やぐらしか】
うっとうしい。

【パーマ屋】
美容院のこと。
長崎を歩いていると、美容室の数がものすごく多いように思いませんか?
著者も気になったので、全国人口比の美容院数を、ちょっと調べてみました。
1位は高知、2位が秋田。
なんと長崎市は、ベスト10にも入っていなかったのです(実際に何位かは不明)。
なんだか意外なトリビアでした。

【まちさん下(くだ)る、下りる】
繁華街に行く。
長崎の住宅街は、山の手にあることが多いため
繁華街に行くことを「下る」と表現する。
「〜さん」は「〜の方に」の意味。
例/「あっちさん下(くだ)れば、まちに下(くだ)られます」
 (「あっちの方に下りれば、繁華街へ行くことができます」)

【おいかぶる(おえかぶる)】
髪の毛がのびて、うっとうしいようす。

【あいやまあ】
あらまあ。
ちなみに「あいやしもた」は、「ああ、しまった」である。

【へえさ】
そうなのよ。

【あいたこらきっつぁ】
直訳では「ああ、これはきつい」という意味だが
「どっこいしょ」に近いニュアンス。
階段を上り下りするとき、あるいはバスの乗り降りなどで
つい言ってしまい、恥ずかしくなることが、たまにある。

【はつあたま】
美容院に行ったばかりや、切ったばかりの髪。
例/「(犬に)あらペロちゃん、はつあたまたい!」
 (「(犬に)あらペロちゃん、トリミングしてもらったのね!」)


次回へつづく。

【もどる】