とうとう春が、きましたね。しかし、昨年末の
あのアクシデントがまだ堪えているのでしょうか。
まだ、例の親子の奮闘はつづいていますよ。


(必死の思いで、父親を背負い神社の石段を登る息子)

息子 父ちゃん…もうダメ、のさん。もう一歩も歩けんばい。

父親 なんば言いよっとか、息子!
   おいばかろうて、こん神社の石段の、てっぺんまで
   登ってしまわんば、わいの晩メシは抜きぞ。

息子 ひえええ…。ひどか〜(必死に登る)。

《訳》
息子 父ちゃん…もうダメ、たまらない。もう一歩も歩けないよ。

父親 なにを言ってるんだ、息子!
   俺を背負って、この神社の石段の、てっぺんまで
   登ってしまわないと、お前の晩メシは抜きだぞ。

息子 ひえええ…。ひどい〜(必死に登る)。



(必死の思いで、踊り場にたどり着いて)

息子 父ちゃん…やっぱし、もうダメ。

父親 なんば言いよっとか、息子!
   よし、こんどは、おいばちんちんかんかんして
   残りの石段ば、登れ。

息子 ちんちんかんかん〜!? (あわてて)いやムリ。そいはムリ。
   だいたいさ、そがん危なかことば石段の途中でするて
   陸トレにしても、ムチャじゃなかとですか〜。

父親 ばかたれ! サンタクロースたるもの
   空ば飛び、屋根ばつたい歩くとが仕事たい。
   バランス感覚ちゅうもんが、なんしたっちゃ大事かったい。
   ほれほれ。早う、おいばちんちんかんかんせんか。

息子 はい…。

《訳》
息子 父ちゃん…やっぱり、もうダメ。

父親 なにを言ってるんだ、息子!
   よし、こんどは、俺を肩車して、残りの石段を、登れ。

息子 肩車〜!? (あわてて)いやムリ。それはムリ。
   だいたい、そんな危ないことを石段の途中でするとは
   陸トレにしても、ムチャじゃないんですか〜。

父親 ばかやろう! サンタクロースたるもの
   空を飛び、屋根をつたい歩くのが仕事だ。
   バランス感覚というものが、なによりも大事なんだ。
   ほれほれ。早く、俺を肩車しないか。

息子 はい…。



(必死の思いで、石段のてっぺんに、肩車でたどり着いて)

息子 はあ、はあ、はあ…。

父親 ようやった息子。すればでくっやっか。なあ。

息子 うん。ああ、風の気持ちんよか〜。

(2人して、しばし風に吹かれたのち)

父親 よし。そしたら、ここん神さまに参って帰ろうで!

息子 え……父ちゃん。おいたち、サンタクロースばってん…。

《訳》
息子 はあ、はあ、はあ…。

父親 よくやった息子。やればできるじゃないか。なあ。

息子 うん。ああ、風が気持ちいい〜。

(2人して、しばし風に吹かれたのち)

父親 よし。そしたら、ここの神さまに参って帰ろうか!

息子 え……父ちゃん。俺たち、サンタクロースなんだけど…。



<ワンポイント>

【ちんちんかんかん】
「肩車」を意味する幼児言葉。
地域などによって、さまざまな表現のしかたがあるが
筆者の場合は「ちんちんかんかん」と言っていた。
幼いころ、よく、くんちや精霊流しなどで
ちんちんかんかんを、してもらったものです。


次回へつづく…

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