ああもう、はがいか。
わがの息子が、こがんひょたくれの、ひえじごの
そがん思うたら、えろうはがいかばい。
サンタクロースの二代目、ともあろうもんが
煙突にうっぱさまって、出られんごとなるて。
ああもう、はがいか。
《訳》
ああもう、悔しい。
自分の息子が、こんな根性なしで、臆病者で
そう思ったら、ものすごく悔しいぜ。
サンタクロースの二代目、ともあろうものが
煙突にはさまって、出られないようになるなんて。
ああもう、悔しい。
よかや、息子。
かんころ餅ば、ぱくぱく食うとる段じゃなかとぞ。
今年はお前の、特訓の年ぞ。
一年間、猛特訓ばして
今年の冬には、立派か二代目サンタクロースの姿ば
人々に、見せつけてやるとぞ。
《訳》
いいか、息子。
かんころ餅を、ぱくぱく食っている場合じゃないんだぞ。
今年はお前の、特訓の年じゃ。
一年間、猛特訓をして
今年の冬には、立派な二代目サンタクロースの姿を
人々に、見せつけてやるのじゃ。
そいけんが、息子。
とろくすんば、ぱくぱく食うとる段じゃなかとぞ。
血ーば吐くごた、猛特訓ばして
今年の冬には、立派か二代目サンタクロースの姿ば
人々に、見せつけてやるとぞ…って、聞いとっとかー!
(以上、サンタクロース二代目の
「初がられ」のシーンを、お送りいたしました)
《訳》
だからな、息子。
煮豆を、ぱくぱく食っている場合じゃないんだぞ。
血を吐くような、猛特訓をして
今年の冬には、立派な二代目サンタクロースの姿を
人々に、見せつけてやるのじゃ…って、聞いてるのかー!
(以上、サンタクロース二代目の
「初怒られ」のシーンを、お送りいたしました)
<ワンポイント>
【ひょたくれ】
根性なし。情けない人。おもに男性に対して用いる。
【ひえじご】
臆病者。「じご(じごんす)」は「肛門」の意味。
(前にも出しましたが、復習のために再登場)
【かんころ餅】
さつまいもを薄く輪切りにして茹で、寒風にさらした「かんころ」
を、餅といっしょにつき合わせた、五島地方の名産品。
【とろくすん】
白インゲンマメ。たてに10個並べると6寸になることから
十六寸(とろくすん)と、呼ばれている。
隠元和尚が中国から長崎に伝え、日本全国に広まった。
【がられ(る)】
怒られる。
次回へつづく… |