今回は、長崎の街に多く住んでいる
猫さんたちへのインタビューを、お送りします。
人間さまの知らない、どんなサプライズが
飛び出してくるでしょうか?



(インタビュアー あそこにくつろいでる猫さんたちに
         マイクを近づけてみましょう。失礼しまーす)

ラン なんね、くんくん。

スー そいなんね、くんくんくん。

ミキ くんくんくんくん…あっ、すいませんねえ。
   うったち、鼻ん先になんか近づいたら
   ついつい、においばかずんでしまうとですよ。


《訳》
ラン 何よ、くんくん。

スー それ何よ、くんくんくん。

ミキ くんくんくんくん…あっ、すいませんねえ。
   わたしたち、鼻の先に何か近づくと
   ついつい、においを嗅いでしまうんですよ。


(インタビュアー 普段から、ここに暮らしている猫さんたちですが
           ここが住みやすいと思うのは、なぜですか?)

ラン 道の、狭かとこですね。

スー 坂や階段ばっかしんとこが、よかです。

ミキ 車の通られんけん、しかるっ心配はなかですよ。

《訳》
ラン 道が、狭いとこですね。

スー 坂や階段ばっかりのとこが、いいです。

ミキ 車が通られないから、轢かれる心配はないですよ。


(インタビュアー では、次にお聞きします。
         皆さんおすすめの、長崎の食べ物は何ですか?)

ラン やっぱり生ん魚がうまかですよ。アラカブとかクツゾコとか。

スー うちは、揚げかんぼこば、おすすめします。

ミキ 飲みすけの人には、からすみがよかて思います。

《訳》
ラン やっぱり生の魚がうまいですよ。カサゴとか舌ビラメとか。

スー わたしは、揚げかまぼこを、おすすめします。

ミキ 飲んべえの人には、からすみがいいと思います。


(インタビュアー それでは最後のしつもんです。猫さんたちに
         ご自分のチャームポイントをおしえていただきましょう)

ラン こん優雅でなんか、しっぽです。

スー こんかわいらしゅう、丸か、しっぽです。

ミキ こん個性的かくの字の、しっぽです。

《訳》
ラン この優雅で長い、しっぽです。

スー このかわいらしく、丸い、しっぽです。

ミキ この個性的なくの字の、しっぽです。


ラン …なんね。しっぽは、なんか方がきれかに決まっとろう。

スー そがん一般的かしっぽのなんがよかね。丸かとがかわいかたい。

ミキ くの字がいちばんかっちょんよか。くきくきしとるし。

《訳》
ラン …何よ。しっぽは、長い方がきれいに決まってるでしょう。

スー そんな一般的なしっぽの何がいいのよ。丸いのがかわいいじゃない。

ミキ くの字がいちばんかっこいいわ。くきくきしてるし。


ラン おうちはどげん思いますか、インタビュアーさん!

インタビュアー え、ぼくは何でもよかです。…犬んほうが好いとるし。

スー ああ、いまなんて言うた?

ミキ ゆゆ…許せんばい!

ラン・スー・ミキ そん顔ば、かっさいでやるー!(ばりばりばり)

インタビュアー ギャー!

《訳》
ラン あなたはどう思いますか、インタビュアーさん!

インタビュアー え、ぼくは何でもいいです。…犬のほうが好きだし。

スー ああ、いまなんて言った?

ミキ ゆゆ…許せないわ!

ラン・スー・ミキ その顔を、引っかいてやるー!(ばりばりばり)

インタビュアー ギャー!



<ワンポイント>

【かずむ】
においを嗅ぐ。
例/「こん牛乳、まだ飲まるっか、ちょっとかずんでみてくれん?」
 (「この牛乳、まだ飲めるか、ちょっと嗅いでみてくれない?」)

【猫のしっぽ】
長崎には「尾曲り」「短尾」と呼ばれる、しっぽの短い猫が多い。
驚くことに、長崎の猫の8割が、しっぽが短いという調査結果がある。
中国や東南アジアの船に乗っていた猫の、なごりだということ。
猫のしっぽだけ見ながら歩くのも、楽しいかもしれません。

【かっさぐ】
引っかく。すりむく。
例/「どげんしたとね、そん傷」「猫にかっさがれたとさ」
 (「どうしたのよ、その傷」「猫にひっかかれたんだ」)


次回へつづく…

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