2月14日は、愛のバレンタインデ−。
愛しい愛しいあのひとへ、勇気を出して告白…
そんな乙女たちへの、エールをこめて
お送りいたします。


(ボウルと泡だて器を手に奮闘する少女)

むずかしかねえ、こん「ガナッシュクリーム」
っていうとば、作るとも…
ばってん、本には「チョコ作りの、基本中の基本」て
書いてあるけん、がんばらんば。

(首をかしげる少女)

…なんかこい、固すぎるごた。
まちょっと、生クリームの入っとるほうがよかかな。
(生クリームを入れるが、思ったよりドボドボと入ってしまう)
うわーっ! すずるっ、すずるっ…

(気をとりなおして)…ま、よかたい。
うちの、すずるっごた愛ばあらわしとる
ということで。

《訳》
むずかしいわねえ、この「ガナッシュクリーム」
っていうのを、作るのも…
でも、本には「チョコ作りの、基本中の基本」と
書いてあるから、がんばらなくちゃ。

(首をかしげる少女)

…なにかこれ、固すぎるみたい。
もうちょっと、生クリームが入ってるほうがいいかしら。
(生クリームを入れるが、思ったよりドボドボと入ってしまう)
うわーっ! あふれる、あふれる…

(気をとりなおして)…ま、いいわ。
わたしの、あふれるような愛をあらわしている
ということで。


ちっと、味見ばしてみましょうだい。

(ガナッシュクリームをおそるおそる口に入れる)

うわーっ! ばり甘!
なんこい! ぼっくい甘たらしか!

(気をとりなおして)…ま、よかたい。
うちの気持ちは、こんくらい甘かとですばい
ということで。

《訳》
すこし、味見をしてみようかしら。

(ガナッシュクリームをおそるおそる口に入れる)

うわーっ! 超甘!
なにこれ! ものすごく甘ったるい!

(気をとりなおして)…ま、いいわ。
わたしの気持ちは、このくらい甘いんですのよ
ということで。


(ガナッシュクリ−ムを冷蔵庫でしばらく冷やしたあと)

さて、こいば丸めれば、トリュフチョコの完成たいね。
あれ? あれ? こい、きれいに丸まらん…
ひょっとして、冷やしすぎ?
ああ、うわー! がんにゃ…!

(気をとりなおして)…ま、よかたい。
うちのルックスは、こんくらい不細工か
ということで。…って、よーなかってーー!(ひとり突っこみ)

《訳》
さて、これを丸めれば、トリュフチョコの完成だわね。
あれ? あれ? これ、きれいに丸まらない…
ひょっとして、冷やしすぎ?
ああ、うわー! 変なカタチ…!

(気をとりなおして)…ま、いいわ。
わたしのルックスは、これくらい不細工だ
ということで。…って、よくないってーー!(ひとり突っこみ)


< ワンポイント>

【すずるっ】
あふれる。
例/「風呂ん水のすずれよっぞー」
 (「風呂の水があふれているぞー」)

【ばり】
おもに10〜20歳代の若年層が使う「すごく」という意味の、新たな長崎弁。
いわゆる標準語での「超」である。
このように、方言にも流行語があったり
世代別で使う表現が、すこしずつ違っていたりするのだ。

【甘たらしか】
甘ったるい。

【がんにゃ】
でき上がりに失敗した手作りのモノに対して、よく使われる表現。
例/「ちょっと…がんにゃになってしもうたとけど…」
  「よかたい。なんか、かえって気持ちのこもっとるごたっもん」
 (「ちょっと…変なカタチになっちゃったんだけど…」
  「いいさ。なんか、かえって気持ちがこもってるみたいだよ」)


次回へつづく…

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