嫁と姑、あっというまに何ヶ月か経過してます。
はてさて!どうなるのか!?


(茶の間に嫁が寝ている。部屋は散らかり惨たんたるありさま)

姑 こないだあんがん言うたとに、いっちょん聞いとらんとね〜。
  (片付けながら)…食べたら食べっぱなし、飲んだら飲みっぱなし
  脱いだら脱ぎっぱなし、置いたら置きっぱなし…

嫁 だって、お腹の重うして、きつうして。

姑 そいけんておうち、そがんゴロゴロしてばっかいで
  元気な赤ちゃんの生まるって思うとへ!
  ほらほら、赤ちゃんのためにトイレぐらい掃除して来(こ)んへ!

嫁 わかりました、わかりました。
  (おっくうそうに立ち上がる)…あーいたこらきっつぁ!

《訳》
姑 こないだあんなに言ったのに、ぜんぜん聞いてないのね〜。
  (片付けながら)…食べたら食べっぱなし、飲んだら飲みっぱなし
  脱いだら脱ぎっぱなし、置いたら置きっぱなし…

嫁 だって、お腹が重くって、きつくって。

姑 だからってあなた、そんなにゴロゴロしてばっかりで
  元気な赤ちゃんが生まれるって思うの!
  ほらほら、赤ちゃんのためにトイレぐらい掃除して来なさい!

嫁 わかりました、わかりました。
  (おっくうそうに立ち上がる)…あどっこいしょっと!


(茶の間を片付けながら)

姑 あ〜あ、あん子ば育てよっ時は
  あがん嫁さんばもらうことになるては、思いもせんやったとに。
  幼稚園の時にあん子は、ちんじゅうっちゅうて、からかわれて
  わたしが、いじめっ子ば怒ってさらいた事もあった。
  気の弱あしてやさしか子やっけん、だまされたっさ、あん嫁に…。

(トイレから嫁の悲鳴)

嫁 あ、いたたたたた…。

姑 どど…どげんしたと!?

嫁 う…生まるっ、生まるーっ!

《訳》
姑 あ〜あ、あの子を育てている時は
  あんな嫁さんをもらうことになるとは、思いもしなかったのに。
  幼稚園の時にあの子は、くせっ毛といって、からかわれて
  わたしが、いじめっ子を叱ってまわった事もあった。
  気が弱くってやさしい子だから、だまされたのよ、あの嫁に…。

(トイレから嫁の悲鳴)

嫁 あ、いたたたたた…。

姑 どど…どうしたの!?

嫁 う…生まれる、生まれるー!


<ワンポイント>

【食べたら食べっぱなし、飲んだら飲みっぱなし
 脱いだら脱ぎっぱなし、置いたら置きっぱなし】
方言かどうかはさだかではないのだが、少なくとも県外において
このように言っているところを、筆者は聞いたことがない。
ひとつひとつ片付けながら、あきれたように(散らかした本人に向かって)
責めるように、これ見よがしに言うのがポイント。

【あーいたこらきっつぁ】
立ち上がるときや、そのほか気合を入れる場合において
思わずこの言葉が出たならば、まちがいなくあなたは長崎人
しかも、年寄り。

【ちんじゅう】
天然パーマ。くせっ毛。


次回へつづく…

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