さて、2003年になってもあいかわらずの
嫁と姑が巻き起こす壮絶バトルですが
今回、あらたな展開の予感が…!?


(台所)

姑 おうち、なんねこんみそ汁(しゅる)の味は!
  さぶなかて、思わんね!?

嫁 そうですかぁ? うちはそげん思わんですけど…
  ばってん、お義母さんが思いなっとやったら
  ちょっと濃ゆくしましょかね。(ドボドボとみそを入れる)

姑 ああぁあ、そんげんみそば入れたら、からかて〜…
  もうよかけん、おうちはあっちに行っとかんへ!

《訳》
姑 あなた、なんなのこのみそ汁の味は!
  もの足りないと、思わないの!?

嫁 そうですかぁ? わたしはそうは思わないですけど…
  だけど、お義母さんが思われるんだったら
  ちょっと濃くしましょうかね。(ドボドボとみそを入れる)

姑 ああぁあ、そんなにみそを入れたら、しょっぱいって〜…
  もういいから、あなたはあっちに行ってなさい!


(嫁が居間に移動したあと)

姑 ああもう、なんでうちん嫁は
  こがん料理の、下手かとやろうか…。
  うちが死んだら息子は、あん嫁の、あんひどか料理ば食べて
  暮らさんばいかんとやろうか…。

《訳》
姑 ああもう、なんでうちの嫁は
  こんなに料理が、下手なのかしら…。
  わたしが死んだら息子は、あの嫁の、あのひどい料理を食べて
  暮らさなくてはならないのかしら…。


(嫁、ミカンを手に台所に戻ってくる)

嫁 お義母さん、ミカンのぼっくい美味しかですねぇ〜、パクパク。

姑 あらまぁそいは、お隣から貰う(もろう)たはよかばってん
  ぼっくい酸っぽうして、食べられんやったミカンばい。

嫁 そうですか〜?
  ばってん、いっちょん酸っぽうなかですよ、パクパク。

姑 あらそう? パク…。うへぇっ酸っぱか〜!ペッペッ!

嫁 え〜、酸っぽうなかですよ、パクパクパク。

姑 はっ…、こ…こいは、もしかしておうち、妊…?

《訳》
嫁 お義母さん、ミカンがとても美味しいですねぇ〜、パクパク。

姑 あらまぁそれは、お隣から貰ったはいいけど
  とても酸っぱくて、食べられなかったミカンよ。

嫁 そうですか〜?
  でも、ぜんぜん酸っぱくないですよ、パクパク。

姑 あらそう? パク…。うへぇっ酸っぱい〜!ペッペッ!

嫁 え〜、酸っぱくないですよ、パクパクパク。

姑 はっ…、こ…これは、もしかしてあなた、妊…?


<ワンポイント>

【さぶなか】
味がもの足りない、の意味。しかし、現在は使う人も少なくなったようす。

【濃ゆい、濃ゆか】
濃い、をこう表現する。「味が濃い」は「味ん濃ゆか」。
濃口醤油は「こゆくちしょうゆ」という。

【からか】
「からい」の使い方には、2とおりある。
ひとつは香辛料の「からい」で、これは標準的な使い方と一緒だが
もうひとつは「しょっぱい」という意味で使う。


次回へつづく…

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