2002年も残すところ一日となると
大掃除におせち作りetc.…
嫁も姑の闘いも、どうやら大詰めです。


(姑、窓の桟に指を走らせて)

姑 ちょっとちょっとおうち!
  何回言うたらわかっとやろうねぇ、まったく
  窓の桟の汚なかとの、いっちょんあえとらんたい!

嫁 す…すみません、お義母さん

姑 あーも、もうよか! ここはうちがすっけん
  おうちは玄関ば、はわきで掃わいてきなさい。

《訳》
姑 ちょっとちょっとあなた!
  何回言ったらわかるのかしらねぇ、まったく
  窓の桟の汚れ、全然落ちてないじゃないの!

嫁 す…すみません、お義母さん

姑 ああ、もういいわ! ここはわたしがするから
  あなたは玄関を、ほうきで掃いてきなさい。


(玄関先。夫は車を洗っているところ)

嫁 そがん言われたっちゃ、こっちも一所懸命しよっとに…。

夫 わいん気持ちは痛かごてわかっけん、今は我慢してくれろて…。

《訳》
嫁 そんなに言われても、こっちも一所懸命やってるのに…。

夫 君の気持ちは痛いほどわかるから、今は我慢してくれ…。


(時間経過ののち…茶の間。テレビは紅白歌合戦)

姑 …ふう、よーやっと掃除もおせち料理も終わったばい。

夫 なんとか今年じゅうに、間に合(お)うたたい。

(チラリと嫁を見ながら)
姑 誰(だい)かさんの、いっちょんはかどらっさんけんねぇ…。
  ばってん、一所懸命がんばってくれらしたし
  年越しソバなっと、出前ば取りましょうだい。

嫁 あ、いえお義母さん…。

姑 よかよか、こんくらいうちが出すけん。

嫁 いえあの…そがんじゃなくて。わたしたち今から
  ハ○ステ○○スのカウントダウンショーに行くとです…

夫 (小声で)あー…そいば今言うたら…

姑 んまぁ!ハ○ステ○○スのカウントダウンショーげな〜〜!?

《訳》
姑 …ふう、ようやく掃除もおせち料理も終わったわ。

夫 なんとか今年じゅうに、間に合ったじゃないか。

(チラリと嫁を見ながら)
姑 誰かさんが、ちっともはかどらないんですものねぇ…。
  でもまあ、一所懸命がんばってくださったし
  せめて年越しソバでも、出前を取りましょうかしらね。

嫁 あ、いえお義母さん…。

姑 いいわいいわ、これくらいわたしが出すわよ。

嫁 いえあの…そうじゃなくて。わたしたちいまから
  ハ○ステ○○スのカウントダウンショーに行くんです…

夫 (小声で)あー…それをいま言ったら…

姑 んまぁ!ハ○ステ○○スのカウントダウンショーですって〜〜!?


<ワンポイント>

【あえる】
汚れが落ちる。

【はわき】
ほうきの事。ほうきは古語で「ははき」と表現されたりもする。
方言には、むかしから言いならわされていた言葉が
そのままに近いかたちで、残っている場合も多い。

【掃わく】
掃く。
「どんなに気取っていてもついうっかり使ってしまう長崎弁ベスト10」
なるものを決めるとしたら、必ずランクインと思われる言葉。

【〜なっと】
「せめて〜でも」の意味。
例/「納豆なっと食べて行かんね」(「せめて納豆でも食べて行きなさい」)


次回へつづく…

もどる