(プールサイドにて)
J太 T郎、わい、海パンの濡れとっぞ。しかぶったとやろ。
T郎 うんにゃちがうて。プールの時間に遅れたら困るて思うて
走ってきたけん、汗じゅっくいになったと。
J太 うんにゃそうて、そいはしかぶりばい。
知ーらんたいこーらんたい。先生にゆうてやろー。
T郎 ちがうて言いよろうが、やめろてー。
《訳》
J太 T郎、おまえ、海パンが濡れてるぞ。小便もらしただろ。
T郎 いいやちがうよ。プールの時間に遅れると困ると思って
走ってきたから、汗びっしょりになったんだ。
J太 いいやそうだ、それはもらしてるんだ。
知ーらないぞー知らないぞ。先生に言ってやろー。
T郎 ちがうって言ってるだろう、やめろよー。
(ちょっと離れたところで)
女子たち …せからしかねぇ。男子たち、なんばあまいよっとやろか。
(ドボーン!という激しい水音)
女子たち ああっ!大変か!
J太くんとT郎くんのプールに落っちゃけた!
《訳》
女子たち …うるさいわねぇ。男子たち、何を騒いでいるのかしら。
(ドボーン!という激しい水音)
女子たち ああっ!大変だわ!
J太くんとT郎くんがプールに落っこちた!
(プールサイドにあわててかけ寄り)
女子たち J太くーん、T郎くーん、大丈夫ねー?
J太 ああ…ゴホッゴホッ…大丈夫。びっくいした、死ぬかて思うた。
T郎は? あいはにぶかけん、大丈夫やろか。
女子たち そいが、T郎くんのいっちょんあがって来んとさ…。
J太 そそ…そいは、T郎、ぶくれよっとやっか!
《訳》
女子たち J太くーん、T郎くーん、大丈夫ー?
J太 ああ…ゴホッゴホッ…大丈夫。びっくりした、死ぬかと思った。
T郎は? あいつはにぶいから、大丈夫だろうか。
女子たち それが、T郎くんがぜんぜんあがって来ないのよ…。
J太 そそ…それは、T郎、おぼれてるんじゃないか!
(ナレーション)
思いもかけん事故にT郎くんの生命の危機がせまる!
さて、子供たちの運命はどげんなっと!?
《訳》
思いもかけない事故にT郎くんの生命の危機がせまる!
さて、子供たちの運命はどうなる!?
<ワンポイント>
【しかぶる】
糞便をもらすこと。「しかぶり」はそのようになった状態や人。
【知ーらんたいこーらんたい。先生にゆうてやろー】
子供が使うはやし言葉。ただし、これが有効なのは小学校低学年ぐらいまで。
また、最近の子供は、方言自体を、あまり使わなくなっているようす。
【あまる】
はしゃいで騒いだり暴れたりすること。
【落っちゃける】
落ちる。
例/「こっから落っちゃけたら怖かなー。しかぶっごたっなー」
(ここから落ちたら怖いなー。小便もらしそうだなー」
【ぶくれる】
おぼれること。おんぶくれる、ともいう。
ものを水に沈めることを「ぶくらかす」と表現したりもする。
次回へつづく…
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