さまざまな修学旅行生が、街中をいき交うシーズン。
都会から来た子や、のどかな地方から来た子たちが
こん然となって、街にくり出してきます。


(人々が水辺でくつろぐ、中島川のほとり。
 カステラの袋を手にした女子高生たちに、おばさんが話しかける)

おうちらは、ももどばそんげんひっとだして寒うなかとへ?
そんげんスカートの短(みしか)かったら、スースーすっじゃろもん。
どこから来んさったと?ほう、東京から、修学旅行。

《訳》
あなたたちは、太ももをそんなに出して寒くないの?
そんなにスカートが短かかったら、スースーするでしょうに。
どこからいらしたの?ほう、東京から、修学旅行。


こいからどこに行きなっとへ? 浜ん町?
浜ん町は、そこばまっすぐ行って、角ば右に曲ぎって
ずーっと行けば、着くけん。

《訳》
これからどこに行かれるの? 浜町?
浜町は、そこをまっすぐ行って、角を右に曲がって
ずーっと行けば、着くから。


なんね、記念写真ば撮るとね?
よかばい、おばちゃんが撮ってやるけん、そけ並んで並んで
ほら、よかてよかて。

《訳》
なあに、記念写真を撮るの?
いいわ、おばちゃんが撮ってやるから、そこ並んで並んで
ほら、いいからいいから。


(おばさん、ファインダーを覗きながら)

…こんカメラは、どんげんすればよかと?
ああ、こん黄んなかワクに、入ればよかとね。
ちょっと入りきらんけん、すざってすざって
あー、ちがうちがう。前じゃなか。後ろ、後ろにすざっと!

《訳》
…このカメラは、どうすればいいの?
ああ、この黄色いワクに、入ればいいのね。
ちょっと入りきれないから、下がって下がって
あー、ちがうちがう。前じゃない。後ろ、後ろに下がるの!


(「きゃーーッ」 ドボン!ドボボン! …悲鳴とはげしい水音)

あいやー…気のどっかった。みんな川に落っちゃけらした…。

《訳》
あらー…申しわけないことをした。みんな川に落ちてしまった…。


<ワンポイント>

【ひっとだす】
はみ出す。とび出す。「ひっとでる」という使い方もある。
例/「ふとんからひっとでて寝たけん、風邪ひいたばい」

【短(みしか)か】
短い。「長い」は「なんか」。
例/「最近の不良は、なんかスカートば履かんと。短かとば履くと」

【浜ん町】
正しくは「浜町(はまのまち)」。長崎の中心街として古くからにぎわってきた。
メインストリートの浜市アーケードは、今年(2002)100歳になるらしい。

【黄んなか】
黄色い。「黄色」というときは「きな」。玉子の黄身は「きなみ」

【気のどっか】
標準語の「気の毒」は、「かわいそう」「申しわけない」という意味あいだが
長崎では「申しわけない」というニュアンスで、ひんぱんに使われている。
例/「あいやー、こんげんお土産ばもろうて、きのどっかです」


次回へつづく…

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