古今東西、たたかいというものは、
己の土地所有権を主張することに始まる…と云ってよいだろう。
花見の場所も、また然り


中年  うんがこん〜!だごすっぞ!

青年  こっちこそ、うってうってうっつらかしてやるばい!

《訳》
中年  なんだこの野郎〜!ボコボコにしてやるぞ!

青年  こっちこそ、殴って殴って殴りまくってやるぜ!


(ボカボカーッと、両者相打ちでクロスカウンターが決まる)

中年・青年 あいやー!

《訳》
中年・青年 うわあー!


(●●カンパニーの女子社員と■■商店のおかみさんが連れ立って登場)

女子社員 そがんしてケンカばすっけん。ちょいちょ〜いたい。

おかみ  どーまたほんなごて…。
     向こうでこん子と一緒に、様子ば見よったばってん
     おうちらは、仲良うする道ゃ知らんとね?
     ちょっと横にずればよかろうが
     ずって、そこばおもやいすればよかろうが。

《訳》
女子社員 そのようにケンカをするから。ざまあみろだわ。

おかみ  どうしてまた本当にもう…。
     向こうでこの子と一緒に、様子を見ていたけれども
     あなたたちは、仲良くする方法を知らないの?
     ちょっと横にずらせばいいでしょう
     ずらして、そこを共同で使えばいいでしょう。


中年・青年 ぞーたんのごと!こげんととおもやいはイヤばい!

女子社員 声ばあわせて言うごと仲良しやったらよかたい。

おかみ  そうそう、つまらん事でケンカばしたらつまらんよ。
     さ、ゴザどん敷きましょだい。

《訳》
中年・青年 冗談じゃない!こいつなんかと共同はイヤだ!

女子社員 声をあわせて言うまで仲良しだったらいいじゃない。

おかみ  そうそう、つまらない事でケンカをしちゃいけませんよ。
     さ、ゴザでも敷きましょうか。


(ナレーション)

かくして、たたかいの幕はおりた。
あとは、喰うて飲んで歌(うと)おてのお楽しみ。

《訳》
かくして、たたかいの幕はおりた。
あとは、喰うて飲んで歌ってのお楽しみ。


<ワンポイント>

【だご】
団子。またはイビツな団子状に固まったものをいう。
「だごすっぞ」は威嚇の際につかわれる慣用句である。

【うってうってうっつらかす】
ボコボコに殴って殴って殴りまくるようす。
やはり、威嚇の際につかわれる慣用句である。

【ちょいちょ〜い】
「さまーみろ」のような意味で相手をからかう際によくつかわれるはやし言葉。
例/「うわーウンコば踏んだ」「ちょいちょ〜い」

【おもやい】
「共同でつかう」「共有する」の意味。
例/「こん服、お母ちゃんとおもやいで着ようか」
  「お母ちゃんが着たら、服の伸びるけんイヤばい」


次回へつづく…

【もどる】