ある日眼がさめたら、一面が雪景色。
子供のころはうれしかったけど
大人になってからはちょっとねえ…


妻 お父さん、早(はよ)う起きらんへ。
   今朝は、ぼっくい雪んつもっとるばい。

夫 うう〜ん…あと…5分…。
 (そこへ駆けこんでくる小学生の娘と犬)

娘 お父さん、雪!雪!雪ばい!

犬 ワンワワン!ワンワンワワン!

夫 うわぁ!なんばすっとや!
  冷(つ)んたかやっか。背中に雪ば入るんなさー。

娘 エヘヘ〜。眼んさめたろうが。お父さん。

《訳》
妻 お父さん、早く起きて。
  今朝は、ものすごく雪がつもっているわよ。

夫 うう〜ん…あと…5分…。
 (そこへ駆けこんでくる小学生の娘と犬)

娘 お父さん、雪!雪!雪よ!

犬 ワンワワン!ワンワンワワン!

夫 うわぁ!何をするんだ!
  冷たいじゃないか。背中に雪を入れるなよー。

娘 エヘヘ〜。眼がさめたでしょ。お父さん。


(ダイニングルーム)
妻 ほらほら、朝ご飯はもっとゆっくり食べんば。

娘 うんにゃ!そがん段じゃなかと。
  ゆっくりしとったら、間にあわんやかね。
  早(はよ)う学校行って、雪合戦ばせんばと。
  ごちそうさま!行ってきまーす!

妻 …ふぅ。いつもあがんして
  ちゃっちゃかちゃっちゃかしてくれたら
  本当に助かるとばってんね…。
  あ、ほらお父さんも時間…

夫 あ〜まだよかよか!バスも止まっとるし。
  しゃっちがせんばいかん仕事ばしあっごと。
  今日はいちんち寝とこうだい。

妻 ぞたんのごと。こんひゅうなしが!
  雪んふって会社ば休む人の、どこにおりますか!

《訳》
妻 ほらほら、朝ご飯はもっとゆっくり食べなさい。

娘 ううん!そんな場合じゃないわ。
  ゆっくりしてたら、間にあわないじゃない。
  早く学校に行って、雪合戦をしなくちゃ。
  ごちそうさま!行ってきまーす!

妻 …ふぅ。いつもあんなふうに
  てきぱきやってくれたら
  本当に助かるのにね…。
  あ、ほらお父さんも時間…

夫 あ〜まだいい、いい!バスも止まっているし。
  ぜひともしなきゃいけない仕事があるじゃないし。
  今日は一日寝とこうかな。

妻 冗談じゃないわ。このなまけ者が!
  雪がふって会社を休む人が、どこにいますか!



<ワンポイント>

【冷(つ)んたか】
冷たい。反対語は「温(ぬ)っか」
例/風呂の温(ぬ)っかて思って入ったらまだ下は冷(つ)んたかたい。

【〜段じゃなか】
〜している場合じゃない。

【バスも止まっとるし】
丘陵地の多い長崎市。所によってはわずか2センチほどの積雪で
バスが止まるなどの、交通マヒをひき起こすことがしばしばある。
完全装備で坂道を歩いて降りたあげく、街の人間のあまりの軽装に
おのれの格好が恥ずかしくなる人もたくさんいる。

【しゃっちが】
ぜひとも。どうしても。どうあっても。

【ぞーたんのごと】
「ぞーたん」の部分を、高くすっ頓狂なかんじで言うのがミソ。
冗談じゃない、というキツイ意味あいの言葉が、瞬時にやわらかくなる。

【ひゅうなし】
なまけ者、いい加減な人のこと。


次回へつづく…

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