日々の暮らしも旅の計画も、旬を逃せば味気ないもの。祭りや旬の味、自然の美が織りなす風景…。歴史と文化に彩られた長崎でも、今が旬!という瞬間の連続だ。そこで、、長崎の春を満喫すべく旬を逃さないための長崎カレンダー・春版を製作!


ズバリ!今回のテーマは

「旬を知れば、暮らしも旅行も大満足!春版」 なのだ




優しい風が吹き、春到来
春爛漫の長崎カレンダー(4月〜6月)
 

長崎の春もお花見でスタート!


春といえば自然界はもとより、寒さで家にこもりがちだった人間までも蠢く季節。まずは、長崎市内では4月上旬に見頃を迎える桜に誘われて、行楽ムードが高まる! 長崎の桜の開花標準木は、グラバー園下、南山手の小高い丘にある長崎海洋気象台の桜。毎年3月24日頃に待ちに待った開花の一報がニュースで告げられると、さぁ、始動だ! 長崎の「桜の名所」では、例年風頭公園(約370本)、立山公園(約700本)が定番だが、近頃では新興住宅地の三京町にある桜の里付近も◎。染井吉野、八重桜、寒緋桜約8,000本が咲き誇る景観は圧巻だ。

また、今年生誕100年を迎えた故・永井隆博士が贈った桜の苗木1,000本が、原爆の被害を受けた山里小学校や城山小学校、浦上天主堂をはじめとした浦上エリアに点在。「永井千本桜」と命名されたこの桜は、春の息吹とともに長崎市民の生命力を感じさせてくれる特別なものだ。
 


城山小学校の桜
 

気がつけば長崎の空も春模様

日本では夏以外は飛んでいるといわれる「黄砂」。中国大陸に近い長崎は、3月はじめに黄砂の洗礼を受け、どんよりとした空模様に春を感じる風物詩でもある。多く飛ぶのは3月から5月にかけて。その中でも特に多いのは3月下旬から4月下旬だ。近年は中国の環境汚染で黄砂に化学物質が付着しているといううわさもあり、煙った町を見ると不安に駆られるが、そのどんよりした空を一掃してくれるのが、大空高く舞う「長崎ハタ」。市街地を取り囲む山々における伝統のハタ揚げ大会の季節到来だ。

長崎では凧(たこ)をハタといい、これは出島のオランダ人の従者として来崎したインドネシア人達が伝えたモノ。オランダ船の旗や花、鳥など独特の図柄が特徴だ。この大会では高く揚げることを競うだけではなく、ビードロ(ガラスの粉)をつけたヨマ(凧糸)を絡ませ、相手のハタを切り落とす“ハタ合戦”の妙技が楽しめる。大規模なものでは、今年も4月6日(日)に唐八景公園で行われる「長崎ハタ揚げ大会」(雨天の場合、次週日曜日に順延がある)。親子ハタ揚げ教室なども行われるので初心者でも気軽に参加できる。



ハタ揚げ
 

長崎が全国に誇るフルーツも収穫開始!

4月に入ると、長崎名産「茂木びわ」の季節到来! 江戸時代からびわ栽培の歴史がある茂木エリアは、海に囲まれ、温暖な気候に恵まれたびわにとって絶好な環境。日本で最大のびわ産地だ。

びわの出回りはじめには愛情豊かに育てられたハウスびわが登場。露地栽培よりもひと足早く2月から4月が収穫期なのだ。東京や京都などの料亭などに多く出荷される大ぶりの美しいハウスびわは、贈り物にも最適だ。一方、露地栽培では2月から3月に傷つきやすいデリケートなびわの果皮を守るため、果実ひとつひとつ丁寧に袋がけが施され、その袋でいっぱいのびわ畑は定番の長崎風景。大切に育てられた露地びわの収穫時期は5月〜6月。小さくても凝縮された甘いびわは長崎の春の味覚だ。



枇杷畑風景
 

海から春風に乗ってやってくるもの

ハタ揚げに対し、new waveな長崎祭りのひとつが、「長崎帆船まつり」。今年の日程は4月24日(木)〜28日(月)の5日間。白い帆をはためかせた帆船が長崎港へ入港する姿は帆船ファンならずとも胸が躍る光景。体験クルーズや打ち上げ花火で賑わう会場では春の心地よい風を感じることができる。春風に乗って海からやってくる贈り物といえば海産物もある。特異な姿で一瞬たじろぐが、味は伊勢エビにも負けずとも劣らない「ウチワエビ」の旬も4月から5月だ。ほかにも、「ウニ」や塩焼きで美味しい小ぶりの「レンコ鯛」、この季節ならではの命名、「桜鯛」も春の海の幸。いちばん美味しい旬に味わおう!



帆船まつり



レンコ鯛の塩焼き
 

大地からの恵みも春満開!

桜鯛同様、5月に入ると端午の節句ならではの食べ物が、町のあちこちで目につきはじめる。長崎の場合、子どもがいない家庭でもこの端午の節句を堪能する。それは食べ物から! 鯉の形をかたどった鯉菓子や鯉かまぼこ。近頃では鯉栗まんじゅうまで登場している。

それらはやはり子どもの成長を願う縁起物だが、かつては家庭で手作りされ、今でも町中の和菓子店などで見かける「唐灰汁(とうあく)ちまき」は、大人になっても端午の節句を楽しむ必須アイテム。ちゃんぽん麺に独特の風味とコシを加えるためにも使われている“唐灰汁”を溶かした汁に餅米を一晩浸し、サラシでできた棒状の袋に詰めて煮込んで完成。輪切りにしたちまきに、きな粉や黒蜜をかけて食べる。このもちもちとした食感は長崎の春の味だ。


唐灰汁ちまき

また、大地の恵みで最近の注目株は、「桃」や「アスパラガス」。全国へ出荷されている地元の味も、ぜひ堪能してみよう。
 

シャギリの音色でカウントダウン開始!?

6月1日、諏訪神社と鍛治屋町の八坂神社で行われるのは、長崎くんちの「小屋入り」。この行事は長崎くんちのはじまりを意味するもので、神社で「清祓い(きよはらい)」を受けて、けいこはじめの報告と本番の成功を祈願する儀式。昔は小屋を建て、身を清めて練習に専念していたので「小屋入り」というのだ。この日を迎えると、長崎っ子(大人も子どもも共通の俗称)は、シャギリの音色に敏感に反応。4ヶ月も先に控えた長崎くんちまでのカウントダウンがはじまる!


長崎しゃぎり
 

長崎の市花・紫陽花の見頃で初夏を感じる

梅雨入り間近になると、雨にぬれてなお風情を感じさせてくれる紫陽花が町を彩る。長崎の市花は、この紫陽花。出島に商館医として訪れたシーボルトが愛した日本人女性・お滝さんの名を日本で見つけた紫陽花の学名「ハイドランゲア・オタクサ」にしたことは有名な話。紫陽花は町で目にするたびに愛着を感じてしまうやっぱり特別な花だ。今年も5月17日(土)〜6月8日(日)まで、長崎あじさいまつりが開催され、シーボルト記念館や中島川公園一帯があじさい一色に染まる。数え切れないほどの種類がある紫陽花に目を丸くする人も多いだろう。


紫陽花
 

春は気持ちが浮き立つ季節。このカレンダーを見ながら、春の長崎を楽しんでみてはいかがだろうか。




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