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令和5年度第1回 長崎原爆資料館運営審議会

更新日:2024年2月6日 ページID:041613

長崎市の附属機関(会議録のページ)

担当所属名

原爆被爆対策部 平和推進課

会議名

令和5年度第1回 長崎原爆資料館運営協議会

日時

令和5年7月7日(金曜日) 15時30分~

場所

原爆資料館地下1階平和学習室

議題

(1)開会 (委員紹介)

(2)議事

ア 会長(互選)・副会長(会長指名)の選任について

イ 報告事項

(ア)原爆資料館の運営状況

ウ 協議事項

(ア)展示更新基本計画について(計画の概要、策定スケジュール)
(イ)小委員会について(議題、委員構成、開催方法等)

(3)閉会

審議結果

1会長・副会長の選任について

委員互選により会長を選任し、会長の指名により副会長を選任した。

2報告事項

(1)原爆資料館の運営状況について

事務局説明
原爆資料館の運営状況(入館者の分析、修学旅行の地域の割合)について事務局から説明した。

主な質疑等
なし

3協議事項

(1)長崎原爆資料館展示更新基本計画の策定について

【事務局】
それでは次に、長崎原爆資料館展示更新基本計画の策定について説明します。まず説明の順序として、展示更新および展示更新のための基本計画を作成、策定しようとする経緯などについて説明し、その後、A4横の「別冊長崎原爆資料館展示更新基本計画の策定について」を用いて、基本計画で定めようとしている内容について説明します。
まず、A4縦の資料3ページをご覧ください。「ア概要」ですが、被爆の実相の継承・平和発信の拠点である原爆資料館の展示について、更なる充実を図るため、被爆80周年という節目に当たる令和7年度に記念事業として、特に常設展示のC・Dコーナーを中心に展示更新を実施することとし、今年度は展示更新に係る基本計画を策定しようとするものです。
次に、「イ策定の経緯」についてですが、原爆資料館は、平成8年の開館から27年が経過し、被爆60周年にあたる平成18年度、被爆70周年にあたる平成27年度に一部改修を行っていますが、展示内容については大きく変更していません。しかしながら、開館当初に比べ、戦争が遠い時代だと感じる世代が大多数を占めるようになるとともに、被爆者数も年々減少し、「被爆者のいる時代」から「被爆者のいない時代」へ移行しつつあります。
また、核兵器をめぐる国際情勢も大きく変化してきました。このような中、これからも被爆者の思いを伝え続け、平和な世界を次の時代に繋げていくためには、時代の変化に対応した展示へ見直す必要があると考えています。
本審議会ではこのような社会変容も踏まえて、令和元年度および2年度に審議会において、Cコーナーの展示について意見交換を行いました。
審議会では、「核兵器をめぐる国際情勢について近年の動きを十分に紹介できていない」、「被爆から復興までの歩みなどの展示を充実させてほしい」、「年表『日中戦争と太平洋戦争』について、表記の検討が必要な部分がある」といったご意見をいただいております。
続く令和3年度の審議会では、県外の平和関係資料館のリニューアルについて調査した内容をご紹介し、原爆資料館全体の展示について意見交換を行いました。
審議会では「資料館全体を通してストーリー性のある、子どもたちや外国の方にもわかりやすい展示にしてほしい」、「周辺の被爆遺構などの関連施設へ誘導するような展示が必要である」、「訪れた人が最後に希望を持てるような未来志向の展示をしてほしい」といったご意見をいただきました。
そして、昨年、令和4年度の審議会では、これまでの意見を踏まえ、展示更新にかかる基本的な考え方を示すとともに、展示更新までのスケジュールや計画策定にあたっては引き続き本審議会を中心に検討を進めることなど、検討体制について説明し、専門的な視点から検討する必要があるものについては、小委員会の設置について検討すべき、といった様々なご意見をいただいたところです。
次に、今年度策定しようとしている展示更新に係る基本計画について、A4横の別冊を用いて説明します。別冊の2ページをご覧ください。改めて原爆資料館の開業、設置目的、役割について記載しています。原爆資料館条例に規定している設置目的は、「原子爆弾により被爆した都市の使命として、被爆の実相と長崎市民の平和への願いを広く国の内外に伝え、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に寄与するため、原爆資料館を設ける」としています。これは、原爆資料館の基本理念ともいえるようなものですが、今回の展示更新においても、この目的については当然変わるものではなく、これを踏まえたうえで、社会情勢、時代の変化に対応した展示に向けて、必要な見直しを行う必要があると考えています。
資料3ページから8ページまでは、これまでの審議会で説明した内容、審議会で委員の皆さまからいただいたご意見等を記載しています。
5ページをご覧ください。展示更新の方針を検討するにあたっては、現状と問題点を把握し、展示更新によって目指す姿とのギャップ、課題を整理し、早急に対応すべき喫緊の課題、すぐには着手できないものの被爆100年を見据え展示更新後に長期的に取り組むべき課題など、優先順位をつけて取り組む必要があると考えています。
資料6ページをご覧ください。今回策定しようとする基本計画の概要として、展示に対する問題点の把握、課題の整理を行い、展示更新についての基本方針、個別の展示内容、工事までのスケジュールや概算の事業費の算定について具体的に検討し、策定していくこととしています。
資料7ページをご覧ください。先ほども説明しました、これまでの審議会でいただきましたご意見、ご要望の主なものを記載しています。
先ほど説明したものの他に、展示全体に係るものとして、「自分たちにもできることを考え、行動してもらえるような展示にしてほしい」、「平和学習における原爆資料館の位置づけを明確にする必要がある」といったご意見をいただきました。
また、個別の展示に関するものとして、「被爆者の苦しみやその後の被爆者運動について触れてほしい」、「原爆症についても新しい知見がたくさん出ており、医学の進歩も取り入れてほしい」、「若い世代の平和活動を紹介してほしい」といったご意見もいただいています。
資料8ページをご覧ください。そのほかにも、技術的、専門的な意見として、観覧動線や被爆資料の保存、多様な観覧者への対応、デジタル技術を活用した展示手法の工夫などについてもご意見をいただいております。
このように、審議会においては、多岐にわたるご意見をいただいておりますが、これらのご意見・ご要望については、すぐに対応できるものや、対応に時間を要し長期的に取り組む必要があるものなど、内容を整理・分析し、専門的な視点から特に整理が必要なものについては、学識経験を有する委員で構成する小委員会を中心に検討を進めたいと考えています。
具体的な検討内容、小委員会の設置については、次の議題の際に説明します。
なお、実際に展示をご覧になられた方、特に初めてご覧になられるような方のご意見も参考にしたいと考えており、今後、観覧者向けのWebアンケートを実施することを検討しています。実施できましたらその内容については次回の審議会で報告したいと考えています。
次に、資料9ページから11ページには、本日ご意見をいただきたい内容として、展示更新により目指す姿、展示更新の基本的な考え方、取り組みの優先順位について記載しています。
資料10ページをご覧ください。展示更新に当たっては、わかりやすく伝わる展示となるよう、館全体のコンセプトやストーリーを共有し、関連施設や周辺の被爆遺構などとの連携も踏まえて検討する必要があると考えています。
そのうえで、展示更新により目指す姿を、「原爆の被害を遠い昔の出来事ではなく、今の自分にも起こり得ることとして受けとめ、自ら平和を考え、行動することに繋がる資料館になっている」としています。
この目指す姿は、次に説明します展示更新の基本的な考え方が実現された状態を表しています。
その基本的な考え方ですが、昨年度の審議会でも一定ご説明した内容とはなりますが、資料の冒頭で説明しました資料館の目的や基本理念は変えず、時代の変化に応じて展示内容を更新することとしています。
まず、⑴戦争から遠くなった世代に、戦争、核兵器によって、日常が壊されることを自分ごととして捉えてもらうことで、原爆の被害の実相や被爆者の苦しみと願いを分かりやすく伝えること、⑵誰もが今も核兵器のある世界に生きる当事者であると同時に、平和な未来を創る当事者であることへの気付きに繋げること、⑶一人一人が身近なところから平和について考え、行動するきっかけを作ること、とし、以上の内容を踏まえて今後基本方針を定めていくこととなります。
また、加えて、展示内容・手法を検討する際に必要な視点として、予備知識の乏しい子どもたちへの対応、ユニバーサルデザインへの対応、展示物の視認性の向上、資料保全の視点などが必要であると考えています。
資料11ページをご覧ください。今回の展示更新における優先順位について記載しています。今回の展示更新においては、Bコーナーについては現在被爆資料の整理と各資料にまつわる背景やエピソードの追加聞き取りを行っており、資料の劣化対策や入れ替え等の調整にも時間を要する一方で、Cコーナーについては、昨今の国際情勢も踏まえ、時代やニーズに応じた展示へ早期に見直す必要がある、そういったことから、特にC・Dコーナーを中心に、展示更新を行うことと考えています。また、被爆資料に係る聞き取り調査の常設展示への反映、資料館の建て替えや大規模改修をあわせて検討すべき課題については、今回の展示更新後も継続して検討、対応していくこととしています。
最後に、13ページには今後審議会及び小委員会において整理・検証していく項目について記載していますので、後ほどご参照ください。 

【委員】
10ページの展示更新の基本的な考え方3点のうち、「ユニバーサルデザインへの対応」、とありますが、我々一般市民にはなじみがない言葉で、どのような意味でしょうか。 

【事務局】
例えば、障害をお持ちの方や外国の方、多様な環境の方に対応できるような展示のあり方を検討する必要がある、という趣旨で記載しています。 

【委員】
入館者が多様である、ということですね。展示の仕方で「ユニバーサルデザイン」というものがあるのかなと思ったのですが、そうではないということですね。 

【委員】
「ユニバーサルデザイン」について、事務局からは「障害者」、「外国人」が例示されましたが、文科省による定義はもう一つ、「高齢者」もあります。平成11~13年だったと思いますが、「優しい博物館作り」を日本博物館協会が行った際に、心身含め障害を持つ人、翻訳等の言語バリアーを持つ外国人、あと一つは高齢者をあげています。最近では「インフォメーションアクセシビリティ」いわゆる「情報へのアクセスのしやすさ」についても「ユニバーサルデザイン」と言っています。日本語に訳すと、「普遍的な」と訳せるかと思いますが、通じるかどうかわかりません。「アクセスのしやすさ」も、「接近のしやすさ」と訳すと変な日本語になりますから。 

【委員】
同じく基本的な考え方3点のうち「予備知識の乏しい子どもたちの対応」について、小さな子どもには結構ショックが大きく逆効果になることもあるのかな、と思いましたが、そのようなことも対応に入るのでしょうか。 

【事務局】
確かに子どもさんの年齢によっては、大きなショックを受けてしまうこともあるかと思います。現在、市内小学校児童の見学者は小学校5年生以上程度を想定していますが、一定年齢以上でもやはり戦争や原爆についての予備知識自体をお持ちでないお子さんもおられますので、どなたでもわかるような展示を目指していきたいと思っています。 

【委員】
予備知識がないというだけで小学校5年生以上でもショックを受けることがないように、ということではないのですか。 

【事務局】
知識がなくてもわかりやすく、を目指しておりますが、やはり被爆の実相を知っていただく上では、ショックを受けることは少なからずあるだろう、と思っています。 

【委員】
若干のショックはいいと思うのですが、子どもによってはすごく衝撃を受けすぎることがあるのかなと思います。大学のゼミの生徒でも、小学生の頃にショックを受けたという方が結構いましたので、そのように思いました。 

【事務局】
子どもたちのショックの件ですが、そのような点も含めまして皆さんのご意見をいただきながら、あるいは小委員会の意見を伺いながら、慎重に検討していきたいと考えています。 

【委員】
テーマが変わりますが、11ページの取り組みの優先順位については、「昨今の国際状況から考えるとC・Dコーナーを喫緊に見直す必要がある」と記載されていますが、被爆者の高齢化を考えると、Bコーナーも時期を逸しては聞き取りが難しい状況かと思いますし、どちらも優先順位が高いと思います。
加えてBコーナー関連で、現在、「被爆資料の収集と背景の聞き取り」と資料にありますが、どのような問題意識で取り組まれているかが極めて重要な項目になるかと思いますので、状況をお尋ねします。 

【事務局】
委員が言われた部分に関しては、まさしく今、被爆継承課で昨年度から取り組んでいる追跡調査で、令和4年度第2回審議会の際に一度報告しています。
2万点を超える原爆資料館内収蔵資料の多くが、寄贈者名や収集場所、爆心地からの距離等の基礎的な情報は台帳として記録していますが、寄贈物を所持していた方々の生き様や遺族がどのような思いで保管されていて最終的に寄贈されたのか、まだ掘り下げられていない部分があるため、連絡を取ることができる方に限られるものの、追跡調査を実施しています。
調査の目的は、情報をより深くお聞きしておけば、将来的に、例えば展示会やリニューアルする際に、より自分事として捉えてもらえるような、1個1個のものが語りかけるような資料を目指して、語ることができる方がおられるうちに情報を収集することです。今後更に整理し、深くより良い語りかける資料としてBコーナーに生かせるよう目指してはいますが、その前段階として現在は資料整理と聞き取り調査を行っているところですので、喫緊で80周年を目途としている今回の審議内容の、その次の段階の位置付けとせざるを得ません。最新情報となっていないCコーナーの更新を優先させていただきたい、との整理をしています。 

【委員】
私も現在RECNAで被爆前の日常を調査する作業を行っていますが、2万点の整理作業は本当に大変な作業だろうと想像します。
広島の平和記念資料館の更新の際には、予算や調査人員を増やすことも実施されていました。予算や人員増の取り組みが必要ではないかということ、2万点の資料についてどのように優先順位をつけていくのかということ、が改めて重要だと思います。
例えば昨今ですと「ジェンダーと核軍縮」というテーマがトレンドになっていますが、基礎的な聞き取りの中で「女性の被爆者は男性の被爆者に比べてどのような被害があるのか」等を聞けるか、私が実施している調査のように、被爆前の日常についてどこまで聞きとればよいかなど、その聞き取りにはやはり「意図」が必要です。「どのような展示をしたいから何を聞き取るのか」ということが必要であり基礎情報のみでは足りないこともあるかと思いますので、方針が必要なのではないかと思いました。

【会長】
今の発言に対して、特に追加のご意見ございませんか。

【委員】
財源的、時間的な問題についてご指摘がありましたが、資料館に寄贈された皆様方の資料が埋もれつつあり、どう新しい展示に生かしていくのか、再度掘り起こすように、ということが、当審議会での指摘です。
もう一点は、被爆80周年に向けた館のあり方、この箱ものの寿命が間もなく到達します。平和会館については既に45年経過し、欠陥建造物です。平和会館内の様々な施設も、移転時期が間もなく到達します。予算的な整理については、新資料館の想定も含めて、基本的には対広島予算に値する程度の国庫補助を当然国の責任において行うべきだろうと思います。
隣接の弔意施設である追悼平和祈念館についても、国立施設ですが資料館と祈念館との繋がりが非常に薄い状態にもあり、総合的に被爆80周年の一つの目標を基本に置いた形で、資料の作成をお願いしました。予算については、日本政府が整理し、被爆者の皆様方の財産をきちんと守っていくという基本姿勢はヒロシマ・ナガサキにおいて変わっていない、ということは私から申し上げて過言ではないと思います。 

【委員】
委員からの質問に関連するものと、それ以外のものもあります。まず、当審議会にどのような、どこまでの役割が求められているのか、という点を明確にしたいと思います。
つまり、資料の中では、将来的により大規模な「建替えを念頭に置きながら」とある一方、優先順位という書き方ではあるものの「より具体的に審議する内容としては、C・Dコーナーである」とあります。どこまで想定して考えるのか、により今後の考え方の基本に関わってくるのではないか、という印象を持っています。
実は、私は長崎大学の授業として、「もしも学生である自分たちが長崎原爆資料館のコンサルティング担当チームであると仮定したら、どのような提案をするか」との課題を出し、グループワークを行い発表させることを過去約4年間毎年実施しており、今年度も継続中です。
発表は、市職員が見学に来たこともありますが、今年は更に、英語の授業で実施しているため、三分の一程度が留学生です。ウクライナの学生からアジアの学生まで、非常に多様なメンバーです。現在、調査と今月末の発表を予定しています。若い学生、特に海外の学生からの意見については、資料館の良い点も多く発見しているものの、全体の構成やストーリー、或いは展示室に入る前の螺旋型スロープや、全体を含めた新しい提案がみられます。そのような背景から、例えば今回の時間的・費用的制限をどこまで念頭において計画を考えたら良いのか、という点を図りかねています。
例えば、Dコーナーをビデオルーム以外の用途で使ってもいいと考えるのか、あるいは用途は変えないものの上映内容を考えるのか、で全く入り口が変わってくると思いますので、何を審議会に求めているのかという点をお聞きしたいと思います。
併せて、学生たちのアイディアの中で半数程度みられるのが、原爆資料館は決して来館する方たちだけのものではない、ということです。つまり、今多くの美術館や博物館が、実際に長崎に足を運ばなくても中の展示を見ることができるバーチャルツアーや、一部の展示についてより詳しい内容をオンラインで学ぶことができる、といった様々な工夫を取り入れています。したがって、将来世代あるいは海外への発信を重視するのであれば、原爆資料館の中身のみではなく、外にどう発信するかという点も不可分である、と思います。冒頭からそういった点も念頭に置きながら検討をスタートするというのがよいのではないか、という印象を持ちました。
本日は第1回目の会議ですので、自分の心積りというか、どのような点を考えるためにここにいるのだろう、というスタート地点を確認させていただければと思ったところです。 

【事務局】
A・Bコーナーについては、聞き取り調査等が被爆の実相を伝える上で一番柱になってくる、という考えで説明いたしました。
ですので、A・Bコーナーを全く触らないということではなく、喫緊の課題があれば、例えば機器の改修など当然対応可能なものは対応していきたいと思いますし、お話のあったAコーナーに至る入り口スロープの活用については、これまでの審議会でも被爆前の町並みや暮らしも発信できないかといったご提案ご意見もありましたので、観覧動線、滞留の懸念も併せて検討をしていきたいと思っています。
ビデオルームについては、部屋のように閉じた空間1と、開かれた2と二つあります。2については比較的自由に検討ができるかと思いますが、ビデオルーム1、映画館のような形式の空間は、構造上の問題もあり、改修には制約がかかるかと思います。
ですので、上映内容の検討か、構造自体まで手を入れるかという点は、今の時点ではまだ結論が出ておりませんが、今回の審議会の中で検討していきたいと思っています。
最後に、昨今のデジタル技術の進展等を踏まえ、外からでもアクセスできるような、あるいは、来館者が後から振り返りができるようなものも技術的には可能になってくるかと思いますので、この基本計画の中にどのような形で入れるかはまだわかりませんが、しっかり検討していきたいと思います。 

【委員】
最初のご発言での確認ですが、ABCDという基本的な役割というか分割というのは変えない、との理解でよいでしょうか。承知しました。

【委員】
今の関連で事務局にお尋ねしますが、それでは諮問にならないのでは。以前は、一応状態は今のものがあるが、変えなければならないところ、それから資料で新たに発掘されるもの、今の時代に合うもの、将来に向けてやるもの、これをテーマとして質問をかける、というのが、次の審議会での話をするための基本的な考え方だったのではないですか。
委員が言われている問題は、全て前向きに検討するべき課題ではないでしょうか。どこで考え方が変わったのですか。 

【事務局】
これまでの説明と基本的な考え方は変わっていません。このC・Dを検討するに当たっても、当然幅広にご議論いただきたいと思っていますし、先ほど申し上げたのは、ABCDコーナーに至る形と言いますか、全て白紙から考え直すというよりもC・Dコーナーは当審議会でしっかり検討していただきたい、という趣旨です。
Dコーナーのビデオルームについても、違う用途へのご検討もご議論もいただきたいと思っていますし、反映させていきたい、と考えています。 

【委員】
今のお話で、基本的にコーナーは今の置き方で、内容を検討してもらいたいということで理解はしました。しかし、コーナーの在り方自体についても、予算や技術的な問題もあると思いますが、例えばBコーナーに展示するような被爆資料は、開館以来年々増え、収蔵品の中でも、より表に出したいものというのは多くあると思います。そのためにBコーナー面積が増える可能性はありますか。 

【事務局】
長期的な視点で検討する中では、その点も含めて検討していく必要があるかと思っています。 

【委員】
必要な視点の中で「ユニバーサルデザイン」の話があった際に、「入館者の視点」ということを言われていたため、質問します。入館者の視点で考えたとき、多くの荷物を持参する方等もおられます。SDGsなど考えると、高齢者とか多様性に対応したハード・ソフト面含めて、全ての人が展示品を見やすくすることを考えて行く、という理解でいいのか、確認だけです。 

【事務局】
そのような視点もしっかり持って検討していきたいと思っています。 

【委員】
冒頭に委員が言われた「メッセージ性」ですが、最近資料館を見学した際に、展示物の陳列の仕方などが「資料館」である印象を受けました。
そもそも「資料館」と「博物館」の違いというのは、資料の収集、保存、保管が「資料館」で、調査研究、教育、普及が「博物館」と理解していますが、長崎原爆資料館は、「博物館」のようなメッセージ性、ストーリー性が若干欠けているという印象です。
先日、広島平和記念資料館を見学した際は、メッセージ性を強く感じ、資料がただ陳列されているというよりは、スポットライトを個別に当てながら、きちんとストーリーが考えられている印象でした。名称からしてメッセージ性が必要だという視点が抜けてしまうのではないかと思いましたので、名称を「資料館」ではなくて「博物館」に変更することができないのかと考えましたが、いかがでしょうか。 

【委員】
原爆資料館は、英語では「ミュージアム」ですね。
「資料館」という名称は、最初の設立の際には、名は体を表すという言葉のとおり、散逸を防ぐという意味で「資料館」となったのではないかと思います。
名称の変更は、恐らく条例変更ということにもなるかもしれませんし、法的な手続きはわかりませんが、国際的に言いますと博物館であろうと資料館であろうと、基本的に「ミュージアム」です。
「所沢航空発祥記念館」という、発祥を記念するための館がありますが、英語名は「ミュージアム」です。外国の方に分かりやすくするための名称です。ですから、日本語の名前と英語の名前は必ずしも厳密に一致していません。
この件は審議会で議論したとしても、おそらく法的な条例や議会などで行うものとなると思いますので、私にはお答えできませんが、よろしいでしょうか。 

【委員】
当初は「資料館」で良かったと思うのですが、やはり今後メッセージ性をということであれば、日本語の名称も「博物館」として、博物館法の下に設置するなど、将来の検討課題にできるのではないかと思います。 

【委員】
私の考えは、名称よりもまず「ミッション」、資料館の入り口などに、資料保存、国際発信など簡単に数個掲げて、使命、ミッションを打ち出すのが先決だと思います。それが博物館の運営哲学で一番大事だと思います。 

【委員】
事務局の説明の中で、「C・Dコーナーを昨今の国際情勢を踏まえて時代やニーズに応じた展示へ早期に見直す必要がある」のは、正にこのとおりだろうと思います。
皆さんご存知のとおり、現在の国際社会の動きについて不安を感じる方が非常に多いと思いますが、戦後の日本人の歴史観は方向がおかしいと、正直私はそう思っています。端的な例で言いますと、日本が戦ったのは「大東亜戦争」の筈ですが、それを「太平洋戦争」と言っています。「太平洋戦争」は、GHQが描いた、軍国日本がアジア太平洋を侵略したというストーリーの呼称です。
このような歴史観が根底にある中、Cコーナーの歴史展示は、事実とは相反する疑問の多い展示がありますので根本的に見直すべきであると思っています。
事務局の言われる「優先順位」とは、具体的にもう少し踏み込んだ考え方を披露してもらえると次の話が展開できるかなと思いますので、差し支えない範囲、差し支えたとしても、現時点での話を説明してほしいと思いますが、いかがでしょうか。 

【事務局】
Cコーナーの原爆投下に至るまでの歴史の展示については、当審議会でも議論があったと思いますが、様々なご意見、考え方がありますので、次の議題になりますが小委員会を設置しまして、審議会のご意見を十分お聞きしながら、慎重に検討したいと考えています。 

【委員】
私は国際政治の歴史を大学で教えていまして、まさに今、委員が言われた「歴史の展示をどのように見るか」を専門としています。関連して、館全体のコンセプト或いはストーリーに何度か言及がありましたが、あくまでも私の考えですが国際政治の歴史の専門家として常に感じているのが、世界に対して長崎にしか発することができないメッセージは、「1945年8月の長崎の原爆投下以来、77年一度もその後戦争で核兵器を使われていない」ということです。
しかし現在、プーチン大統領がウクライナ戦争で実際に戦術核を使うかもしれないという状況となり、「長崎以来使われていない」歴史が終わろうとしていると思います。勿論、終わらせてはいけませんが、恐らく世界の認識はこれまで「さすがに核兵器は使われることはないだろう」と楽観的なものだったと思います。しかし、もしかしたら次回会議開催までに、この歴史が終わっているかもしれません。
広島サミットでも言及された件ですが、「長崎以降77年間一度も戦場で核兵器が使われていない」ことは、資料館や当審議会の先生方などが様々形でメッセージを送り運動しておられた成果でもあると思います。
そこで改めて今回、長崎以降二度と戦場で「核兵器が使われてはいけない」というメッセージを、戦争が行われている中で発する非常に良い機会ではないかということを感じています。恐らくコロナが収束しつつある中で、広島サミットを通じ、広島だけではなく長崎も今大変注目されていますので、今後は前例がないほど多くの外国の方々が来館されると思います。カナダのトルドー首相も、サミットの際は見学時間が足りなかった、と再度広島平和記念資料館を訪問されていますよね。ですから、このように要人の方も長崎にも来ていただいて、メッセージを世界にアピールできるのではないかと感じています。
次に、また質の違う課題かもしれませんが、去年の今頃にアウシュビッツ博物館とワルシャワ蜂起博物館、また、先月はソウルの大韓民国歴史博物館を訪ねましたが、デジタル化が非常に進んでいました。長崎原爆資料館でも二次元コードをかざすとスマートフォンで案内が聞ける取組みをされており、素晴らしいことだと思います。
今後は、被爆者の方々の肉声をデジタル化し、それを聞きながら展示を観る、といったことも可能になると思います。ご存命でお元気な方々がおられる間に、訪問された方が将来的に長く聞くことができるようなデジタル化による充実というものは、今後、様々な世界中の資料館、博物館が取り組んでいくでしょうし、大規模な施設には新しい機器が入っているのではないかと思います。 

【委員】
被爆者がいなくなる、ということが本当に目の前に来ています。被爆の実相、被爆により被爆者がどんな苦しみを受けてきたか、偏見と差別、特に広島・長崎から他県に転出した方たちは猛烈な差別を受けています。長崎の被爆者だけではなく、全国各地に移動した被爆者がどのような苦難を抱えてきたか、ということもやはり重要ではないかと思います。
また、これまで78年間核兵器が使われなかったことについては、被爆者を中心とした「核兵器を絶対使ってはいけない」、「再び自分たちのような苦しみを味わわせてはいけない」という被爆者の声、またその声を支援し広げていってくださった人々の闘い、それも重要な要素なのではないかと思います。そしてこれから先も、核兵器をなくしていく重要な参考になるのではないかと私は思っていますので、そのような点にも力を入れてほしいと思います。 

【委員】
優先順位の中で、「国際情勢も踏まえたC・Dコーナーの展示の更新」とありますが、国際情勢というとやはり、「核兵器禁止条約の採択と発効」が一番大きな動きなのかなと思うのですが、そのことを念頭に展示を見直すということかどうか、確認します。
委員からもご意見ありましたし、「ヒバクシャ」の文字は核兵器禁止条約にも入っていますが、資料館は、核兵器のない世界に向けた光として「核兵器禁止条約の意義」を大きく発信していくべきではないかと思います。
小委員会でも協議されると思うのですが、事務局としても核兵器禁止条約については念頭にあるのかどうか、確認したいと思います。 

【事務局】
ご意見のとおり、「直近の動きがなかなか情報発信できていない」の「直近の動き」には、まさに核兵器禁止条約の動きや取り組みも含まれます。更新後はこれまでより発信できるようにしたいと考えています。
現在はDコーナーにパネルを設置し、暫定的に情報も発信していますが、見づらい点もあるかと思いますので、今回の見直しの中でも検討していきたいと思っています。 

【委員】
毎年のように締約国会議も開催され進捗していることですので、展示更新自体は何回もできませんが、随時、即応した情報が発信できるような見直しも考えていただきたいなと思いますし、本日も、より良い原爆資料館に向けて本当に大事なご発言が多くありましたので、事務局としてもそれに応えられるよう、お願いしたいと思います。 

【委員】
入館料が200円であることは皆さんご存知でしょうか。広島も同額ですが、入館料が資料保管等の資金になっていますよね。今後、入館料を上げる予定は無いのでしょうか。 

【事務局】
入館料は、ご指摘のとおり200円で広島も同額です。現時点で入館料を上げるという考えはありません。

【委員】
「入館料」との発言がありましたのであえて発言しますが、今「観覧料」ですよね。前回審議会で、広島と同じように「入館料」にした方がいいのではと意見したのですが、事務局も「入館料」と言われたので。変わったのでしょうか。 

【事務局】
「観覧料」です。

【委員】
ぜひ変えるようにお願いします。

【委員】
関連質問ですが、変更しない理由があれば教えてほしいのと、展示の動線上にお土産コーナーがありますが、そこも充実させた方がいいのではないかと思っています。いわゆるデジタル化の中で、遠方でも学ぶことができるという視点の大事さと、資料館でより深く学びたいと思った方たちが手にとるのはやはりお土産コーナーではないかと思っていまして、この点も審議会で議論できるのかできないのかを知りたいと思います。 

【事務局】
小委員会では専門的な視点の議論を、と思っていますが、展示室のみではなく、ご意見のミュージアムショップ(売店)も含めた全体的な配置や、効果的な観覧動線なども検討できればと思います。

(2)小委員会の設置について

事務局説明

【事務局】
それでは縦の資料の4ページをご覧ください。これまでの審議会の中で、専門的な視点から検討する必要があるものについては小委員会の設置について検討すべき、といったご意見をいただいていました。
また今回の委員の改正においては、展示更新に関して専門的なご議論をいただくため、これまでより多くの学識経験のある委員にご就任いただいています。
小委員会については、長崎原爆資料館条例第22条第1項において「審議会は、必要があると認めるときは、小委員会を置くことができる。」と規定しています。また、同条第2項に「小委員会は、会長の指名する委員をもって組織する。」と規定しています。
事務局としては、専門的な視点から、特に調査・検証が必要な論点について検討するため、小委員会を設置し、今回、学識経験のある方として選任しました長崎大学教授の西田委員、同じく長崎大学原爆後障害医療研究所所長の中島委員、長崎歴史文化博物館館長の水嶋委員、佛教大学名誉教授の原田委員、慶応義塾大学教授の細谷委員、長崎大学准教授の中村委員の6名で、小委員会を構成していただきたいと考えています。そこでまずは、小委員会の設置および委員構成についてお諮りいただければと思います。 

主な質疑等

【会長】
私としては、事務局の説明のとおり小委員会を設置し、学識経験を有する6名の委員を指名したいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。他に何かご意見ありませんか。
それでは事務局の説明のとおり、小委員会を設置し6名の委員を指名することにいたします。次に、小委員会で検討する内容について、事務局より説明をお願いします。

事務局説明

【事務局】
小委員会で検討する内容および運営について説明します。原爆資料館条例第22条第3項において、「小委員会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。」と規定しています。
事務局としては、先ほど別冊の中でも触れました、専門的な視点から特に調査・検証が必要な論点としまして、核兵器をめぐる最新の国際情勢に関する展示については核兵器に関する専門的な視点から、被爆医療や放射線等に関する展示については原爆被爆に関する専門的な視点から、展示全体を通したストーリー性あるいは展示の配置や観覧動線などについては博物館学に関する専門的な視点から、原爆投下に至る歴史に関する展示については日本近現代史・国際関係に関する専門的な視点から、若い世代に自分事として捉えてもらうための展示あるいは未来志向の展示については平和教育に関する専門的な視点から、それぞれご意見をいただき、検討を行いたいと考えています。
なお、小委員会で調査・検証された内容については、次回の運営審議会にて報告するとともに、計画素案作成に向けた協議に繋げていきたいと考えています。
次に資料5ページ、小委員会の運営についてですが、構成員の過半数が出席しなければ会議を開くことができないものとしたいということ、また、会議は原則公開で行うこととしたいと考えています。
最後に、オとして、今年度の審議会及び小委員会の開催予定、会議の内容について案をお示ししていますので、ご参照ください。 

主な質疑等

【会長】
ただいま事務局より説明がありました、小委員会で検討する内容および会議の公開について、ご意見、ご質問はありませんか。 

【委員】
会長指名ですので小委員会のメンバーについて苦言を申し上げるつもりはないのですが、被爆者が入っていないのです。
先生、お忙しいでしょうが、小委員会に入り被爆者の立場、医者の立場でのご意見をいただけないでしょうか。先生の指名について、お諮りいただきたいと思います。 

【会長】
委員から提案がありましたが、事務局の方から何か意見がありますか。 

【事務局】
ご提案いただきましたように、先生におかれましては原爆症の専門であり、「学識経験がある者」にも該当しますので、もしよろしければ、入っていただくこともご検討いただければと思います。 

【委員】
審議会にいても役割を果たせるのではないかと思っていますが。 

【会長】
せっかくのご指名ですので、先生に頑張っていただければと思います。 

【委員】
お受けします。 

【会長】
ありがとうございます。小委員会で検討する内容および会議の公開につきましては、事務局の説明のとおり、公開ということで決定したいと思います。本日予定しております議事は全て終了しましたけれども、他に何かご発言が最後にあれば、挙手をお願いします。 

その他

【委員】
事務局にお尋ねですが、審議会の公募委員について、今回何人か応募があって選ばれたと思うのですが、その選考基準は何か、教えていただきたいと思います。 

【事務局】
公募委員の選考については、今回、「次世代に伝わる原爆資料館の展示」というテーマで募集しました。応募者は4名ですが、そのうち資格の要件を満たす3名の方を対象に選考を行い、定員が2名でしたので、結果的に1名の方は落選という形になりました。選考に当たっては事前に選考審査要領を定めていまして、原爆被爆対策部の部長級職員および課長級の職員6名によって審査を行っています。 

【委員】
応募の時に、応募者はそれぞれ自分の思いを文章にして提出されていると思います。それから、事務局は日常的な応募者の活動をご覧になっていると思います。選考された方は、私はいいと思うのですが、選考されなかった方について、選考しなかった理由がありますか。理由があればお話ししていただきたいと思います。 

【委員】
今の発言については、きちんとした一つのルールに基づいて審査しているのですから、この場で、その結果について、審議会のメンバーに公表するべきなのでしょうか。
きちんとした委員会が役所の中にあって、決められた手続きによって今日2人の公募者が出席されているわけでしょう。1人が落選されたと聞きました。ただ、その落選された方の理由を公表するようにと言われても、それはこの審議会の場ではないのではないですか、会長。 

【会長】
私も、この審議会の任務ではないと思います。この件については、今日の新聞で読みました。驚きましたが、当審議会としては、落選された方が述べておられる「原爆資料館の展示がどうあるべきか、根本的な問題が問われているのではないか。原爆を多角的に検証する展示をしないと世界の目に耐えられない」、この発言を、各委員が肝に銘じて議論すればいいのではないかと私は思いますので、先ほど経緯については事務局の方で説明がありましたし、それでこの審議会として終了としたい、と思います。
他に何かありませんか。事務局の方で最後に何かありますか。 

【事務局】
では、次回の審議会についてですが、日程は後日調整しますが、遠方からご出席をいただいている委員の方もいらっしゃいますので、次回以降、直接出席することが困難である場合は、オンラインでの参加も可能にしたいと考えています。
オンラインでの参加の可否につきましては、会議で決定をすることとなっていますので、皆様にお諮りいただきたいと存じます。 

【会長】
オンラインでもよいでしょうか。はい。それではこれで終わりたいと思います。

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