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令和3年度第2回 長崎市平和宣言文起草委員会

更新日:2022年4月3日 ページID:038244

長崎市の附属機関について(会議録のページ)

担当所属名

原爆被爆対策部 平和推進課

会議名

令和3年度第2回 長崎市平和宣言文起草委員会

日時

令和3年7月10日(土曜日) 10時00分~

場所

長崎原爆資料館地下1階 平和学習室

議題

令和3年長崎平和宣言について

審議結果

【委員長】

おはようございます。

今日は起草委員会としては最後の委員会開催となります。雨が降って足元が悪い中、お集まりいただきましてありがとうございます。

さて、今回の平和宣言ですけれども、前回の会議でお示しさせていただいた最初の素案に対しまして、さまざまなご意見をいただきました。ご意見をもとに修正を加えて、今回の案を作らせていただいております。すべてのご意見を入れることは難しいですが、全体の趣旨に沿った形で、できるだけ皆さんのご意見を反映させたいということで修正をかけさせていただきました。

その中でも、やはり今年が核兵器禁止条約発効の年ということであったり、あるいはこのコロナ禍が二年に渡って続いていく中での多くの皆様の心理の中でのメッセージであったり、あるいは被爆76周年から次の100周年に向かう25年のスタートの年であるということ。そういったことを今年発信しなければいけないメッセージとしてきちんと入れながら全体の方向性はぶれないようにしながら、少し工夫をさせていただいた案になっています。

まだ表現等については、手を入れる余地はかなりあるというふうに思っておりますので、全体のポイントを押さえたうえで、文案を完成させていければと思っておりますので、今日もさまざまなご意見をいただければと思います。

そして、これは最後にいうべきことかもしれませんけれども、今日ご意見をいただいた中で、また必要に応じて最終の微調整が必要になった場合には、数名の皆さんにお願いしてご意見をいただくかもしれません。これについては、今日の委員会の内容次第ということになりますけれども、その場合は、お声をかけさせていただいた委員の皆さんにご協力をお願いしたいと思います。

それでは、今日も2時間となりますけれども、有意義な時間となり、被爆76周年の平和宣言としてしっかりとしたメッセージを出せるように、皆さんから忌憚のないご意見をたくさんいただければと思っております。よろしくお願いします。

それでは議事を進行させていただきます。まず私の方から、平和宣言文案を朗読させていただきます。

(素案朗読)

以上が今回お送りしている案になります。それでは早速ですが、お一人ずつご意見をいただければと思います。

【委員】

まず平和宣言で大事なことは聞いている人の心に届くかどうかということだと思いますが、今、委員長が読み上げられたものを聞きながら、やはり心に届く、よい平和宣言になっているのではないかとまず思いました。ですから、ここをもっとこうした方がよいというより、何がいいのかというところで私が考えていることをいくつかお話ししたいと思います。

まずは、前回と比べると構成が非常にわかりやすいと思います。要素自体は同じもの、あるいは少し修正が入っていますが、全体として、まず小崎登明さんの言葉が出てきてその後に、今年の最重要事項でありもっとも緊急性の高い、核兵器禁止条約について述べて、それから、日本政府、国会議員、それから核保有国と核の傘の下にいる国のリーダーに対する要請、最後に、地球に住むすべての皆さんに繋がる。そして、その呼びかけの中に、前回は少し違った場所にあったと思いますが、「長崎を最後の被爆地に」という言葉があり、非常に内容的にわかりやすくて聞きやすい構成になっていると思います。それが一点目。

それから、第二点目ですが、これは意図しているわけではないと思いますが、小崎登明修道士のつながりで、コルベ神父が語られ、アウシュビッツの聖者という形容詞、修飾語が入っているわけですが、第二次世界大戦の二つの大量虐殺、二つだけではないのかもしれませんが、原爆とホロコーストがあります。そのホロコーストについてまさに第1行目にアウシュビッツという名前が出たことで、聞いた人はやはりそれを思い浮かべると思います。だからそういう意味でも、そこのところは、どういったらいいかわかりませんが、原爆の惨禍に見舞われた人、それに加えてアウシュビッツの悲劇を体験した人たちの思いもそこに向かうというふうな感じがするのでこれもとてもいいのではないかと思いました。

それから三点目として、「長崎を最後の被爆地に」というところですが、被爆者の方は必ずいなくなる、この世界からですね。だけど被爆地は、いろんなことが起こってなくなることがあるかもしれませんが、だけど基本的には被爆地長崎は歴史の中にずっと残っていく。そうすると歴史の中でどういう姿を長崎は留めればいいのかということがあります。その長崎の姿を考えたときに、やはり最後の被爆地というのは、やはり文案に書かれているとおり、永遠に保っていかなければならない姿だと思います。そういう意味でここの箇所も強く心に響きました。ということで、これをなにか修正するというのは、私の方からは特に意見としてありませんが、非常に聞きやすくわかりやすい、そして心に響く宣言文にこの段階でもかなり近づいているというふうに私は思いました。以上です。

【委員】

前回の議論を必ずしもすべて把握しているわけではございませんので、すでに議論が済んだ話もあるかもしれませんけれども、私はぜひこの案の中で、述べてほしかったのは、やはり核兵器禁止条約が発効し、今後正念場を迎えていく中で日本がどういう立場をとるべきなのかということについて、明確な意見を申し述べてほしいと思います。

日本政府は橋渡しをすると言っているわけですから、具体的にその橋渡しは何なのか見えない中で、やるべきことをちゃんとやってくださいということを言ってほしいということを5月に書面で意見したのですけれども、まあこういう文章になるのかなと思いまして、これについてこれ以上何かということは特にございませんし、日ごろ私が考えているコロナ禍の次の世界についても言及されていますし、「パンデミック収束後に元に戻るのではなく、元よりもいい未来を築くためにどうすればいいのか」ということについて書かれていて、これはこれでいいのかなと思いました。

それから、今、委員長の読み上げをお聞きしながら思ったことですが、最後のところ、70行目からのところです。「『平和の文化』を広め」というところがあります。これは、やや唐突感があるのかなという印象がある気がして、いわゆる核兵器が使われないことをもって平和というのではないということは誰もがわかることと思うのですが、私自身が考えている平和とはなにかというところも含めて、平和を文化として広めることは大事なことだと思いますが、あまりにもそこを述べないままに『「平和の文化」を広め』と出てくると、何を言いたいのかなと正直感じましたのでまたご議論いただければと思います。やっぱり、美術でも音楽でもあるいは日常生活の中にも平和はあると思いますし、その辺のイメージが伝わらないのではないかと思いました。以上でございます。

【委員】

最初に、委員長がポイントを三つ挙げられましたが、それがよく伝わる内容だったと感じました。この点はさきほどの委員と同じです。

特に、15、16、17行目のところで、これから先の新たな四半世紀という問題と核兵器禁止条約を上手く結びつけているのですけれども、これは62、63、64行目の趣旨と首尾呼応していまして、一通り聞きながらここでポイントが強調されていますので、よく言っていることがわかります。

それから、感じたことですが、47行目、ここはコロナ禍と結び付けて一人ひとりの当事者としての考え、行動が言われているのですけれども、53行目、「未来を守るために市民社会から」というふうに少し抽象化されたものになっているのですけれども、47行目と53行目を呼応させて、「市民社会の一人として」、とすると市民一人ひとりの当事者意識が強まるのではないかと感じました。

それから66から69行目のところですが、10年が経過したということ、その間に福島で起こったこと、その10年間に起こったさまざまな困難を考えたときに、まず10年前には、原発の安全神話が破綻しました。それから、この10年間に起こったこととしては、十分な保障はまだできていないということ、県の調査では3万6千人の避難者ということですが、自治体間の集計を合わせた共同通信によると6万7千人になるということで、まだいまだに避難者は捨て置かれたままになっているということです。それは、ちょうど被爆から50年間に、長崎と広島の被爆者が経験したことと同じであるということがいえます。そういうことで、二つの点で、長崎と広島の被爆者と重なるところがあると、原爆が使われないという安全神話もわからないわけで、福島で起こったことから伝えられた教訓と長崎で起こったことから与えられた教訓と二点があると思いますので、これ以上長くなるのはあれでしょうけど、福島で起こったさまざまな困難を少し具体的に書くとすれば、その二点を押させていただければと思いました。私から以上です。

【委員】

前回の素案に比べて委員の皆さんの意見を取り入れていただいてすごくいいようにまとまっていると思いました。私が提案した部分も取り入れていただきありがとうございます。

まず、小崎登明さんの言葉の部分で、前回の素案で挙がっていた部分ではなく、その後の2行目のところをぜひ入れていただきたいということで最後のところに、10行目ですが、入れていただきました。ありがとうございます。ただ、小崎登明さんの言葉で、「地獄」を「惨禍」に変えていると思うのですが、基本的に私たちが朗読する場合は、ご本人の言葉は変えないで、そのまま引用するようにしているのですが、意図があって惨禍としているのか、それともほかの文献で惨禍という言葉があったのかというところが疑問に思いました。小崎登明さんはやはり地獄という言葉で、それまで誰も経験したことのない状態だったということをこの地獄という言葉で表現していると思うので、ここはそのまま地獄という言葉を使っていただきたいと感じました。

「長崎を最後の被爆地に」という言葉を立てて55行目に持ってきたのは、やはり被爆者の思いというのがここに込められているので、すごくよかったと感じました。委員長に頑張ってもらって、被爆者の気持ちに寄り添ってもらいながら言っていただきたいと希望します。

あと59行目の「長崎が永遠に最後であるように」というところは、文字でみると文章的におかしい気がしたのですが、委員長が読み上げたのを聞くと被爆者の言葉なのだと感じましたのでそこもよろしくお願いします。さきほど他の委員がおっしゃったように、68行目の福島のところですが、10年経っていますので忘れている方も大勢いらっしゃると思いますし、これは世界の方々も聞いていますので、何なのだろうと思われる方もいらっしゃると思いますので、さきほど他の委員がご提案されたように、長くなるかもしれませんが、少し具体的に入れていただけるとわかりやすい文章になるのではないかと思いました。以上です。

【委員長】

さきほどのご指摘にあった小崎さんの文章が変わっているのは間違いです。文章を変えることは基本的にないので、写し間違いです。申し訳ありませんでした。

【委員】

非常によくまとまっていると私も思っていますけれども、何かしらもう一押し力強さっていうのかな、そこがほしいなと思います。

そういった点で、例えば、16、17行目ですかね、「核兵器は違法」と書いてあるわけですけれども、これをもう一つ押して、「核保有国は無法者だ」ということが、やっぱり必要じゃないかと思います。

それは私たち被爆者が十数年間放置されて、そしてアメリカに対しても何の保障も要求できないと。そして、サンフランシスコ条約において、原爆の被害についても日本政府は放棄したわけです。だからアメリカの政府を訴えようとしても訴えられないわけです。やはり第二次世界大戦で、ドイツ・日本の軍国主義がしたこととアメリカが原爆を投下したことは同じものだと私は思います。無差別的に殺戮を行ったわけですから。そういった点で、核保有国は無法者になっているということです。

それから、23、24行目くらいで、核兵器が近代化され、爆発力のある核兵器を開発し配備をしていると、それによって緊張感が高まって、核兵器の使用が強まっていると思います。特に、中国の覇権主義とアメリカの覇権主義がぶつかって、核保有国同士が対峙する、そういう中で、日本という国が、日米安保条約において、それが都市ごとに同盟の強化ってことをいわれて、そして日本の自衛隊の質も変わってきているし、いろんな戦争法案も出てきたと思います。そういった中で、非常に日本の自衛隊が世界中についてまわるっていうかな、アメリカと一緒についてまわる、それは近頃の訓練ではっきりしているわけです。特に、九州がそういう米中の危険性の中で重視されて、自衛隊の配置なんかもどんどんされているし、辺野古に代表される基地問題、それから馬毛島も訓練基地化されているということで。そういったことをちょっとでも匂わせていただければなと思うわけです。

それと、福島の問題で、「エールを送る」となっているわけですけども、今まで10年間ずっと苦しめてきて、そしてまた汚染水を再来年から流すって言われているわけですけども、これ以上福島の人を苦しめないでくださいっていう、そういう一言っていうかな、それを当然と政府に対して言ってほしいなということです。以上です。

【委員】

今まで何回も申し上げてきたかもしれませんけれども、実際に被爆体験者としてこういった場に出席するというのは、おそらく今回が最後ではないかと思います。

今朝も家を出てくる時に、家内の方から「あなたはもう最後かもしれませんよ。しっかり言うべきことは言ってきなさい」なんてことを言われて出てまいりました。

12歳の時に被爆したわけですが、その時の状況なんていうのは語ることのできない状況でした。この宣言文を見て、私は全くその通りだと思います。ですから、安直に反戦・平和といったことを安っぽく言う連中に簡単に利用させないように、それなりの権威をもった形で、この文案を提供するべきところには提供する。そういった意味では、私は、これは単なる一反戦・平和運動家がつくった文章とは違うわけですから、もう少し国際的な、世界の一隅から世界に向かって声をあげたという、国際的な声としてこれはあげるべきではないかと思います。そういったことも含めて、ぜひご検討いただければと思います。

国際的に、こういった声を被爆都市から世界に向かって問いかけるということが、ほかの都市ではできないことですから、ぜひ長崎という都市から、安っぽくない反戦・平和論者として、叫んでいただければ私は大変ありがたいです。

いろいろご苦労いただいているこの文章、私は大変立派な文章であると思います。

ぜひ、只今お願いしたようなことも含めてですね、今後世界の反戦・平和主義者に安直に利用させないためにも、被爆都市だから言えるという重みをもって叫びを広げていただければと思います。

まさに、12歳の年に目に余るような状況をまざまざと思い浮かべながら、ちょうど私の親父は浦上に搾油工場を持っとったものですから、親父はたまたま出島にいて直接被爆は受けなかったのですけれども、従業員の安否を尋ねるために「お前もついてこい」ということで親父について行って、その時に道中で電車がそのまま止まって、中にはもがき苦しんでいる方がまだおられたということ、そういった状況がほんとに昨日のような気がいたします。そういったことで、複雑極まりない思い出となりました。

そういったことを今後世界のどこからも経験させることがないように、貴重な経験者の経験談として、反戦・平和主義の一環として、長崎から叫び声をあげていただければ、ほかの都市が安直な形で叫び声をあげるとはまた違った重みがあるのではないかと思います。

私の生涯における最後の反戦・平和に対する考え方ではないかと思いまして、ただいま申し上げた次第でございます。以上でございます。

【委員】

今、さきほどの委員のお話をお伺いして、貴重なお話を直接お伺いできるこの場にいられることに感謝いたします。ありがとうございます。

私も、今回の案に関しましては、前回の議論が踏まえられていて、とてもすんなりといろんな立場の人が理解しやすい構成で、とても分かりやすい文章だと考えております。

なので、これから少しだけ感じたことをお伝えするのですけれども、基本的にはこのままで十分伝わるものだと考えておりますので、その中でちょっとだけ感じたことを述べさせていただきます。

まず、最初に小崎登明さんのお話があって、「核兵器は、普通のバクダンでは無いのだ。放射能が持つ恐怖は、体験した者でなければ分からない。」これはほんとに体験した方でないと分からないというふうに思います。ただ、多くの方が戦争で家族を亡くされたりされているのは、長崎だけではない、原爆だけではないという事実があることを考えますと、核兵器だからこその恐怖というか、そういう部分がもし言葉でも伝われば、体験していない人たちにもその様子が想像できるのではないかということを感じました。

私たちは長崎で生まれ育って、比較的そういう話をお伺いしたりとか学んだりする機会が多くありましたが、8月9日が長崎の原爆の日であることさえも知らないような方もほんとにたくさんいらっしゃるので、少しでもこの普通ではない部分というものが想像できるといいのかなというふうに思いました。

ただ、先ほど原爆の地獄という言葉をお伺いした時に、その言葉の重みというところも感じましたので、いろんな制限とかを考えますと、このままでもいいのかなというふうに思っております。

それから、20行目の「すべての国の努力と多くの作業が必要です」という言葉ですけれども、ほんとにこれは簡単なことではないと思います。ですから、「多くの作業」といったときに、気持ちの部分が見えないといいますか、手続き的なものというような形に少し捉えられてしまったので、議論なのか対話なのか、このプロセスの中で大変なことがたくさんあると思いますので、違う言葉であってもいいのかなというふうに感じました。

それから、25、26行目のところで、「老朽化した核兵器を高性能のものに置き換える近代化計画」ですとか、「これまでにない形の核兵器を開発する競争」というのがあって、その前にイギリスの話で具体的に国名が出て、ショックが大きく捉えられるその後の内容なので、もし可能であればもう少し具体的に、そういう計画が身近にあるのだと分かるとより恐怖が増すというふうに感じました。

それから、53、54行目のところですけれども、先ほど「未来を守るために市民社会から声を挙げ」のところが、「一人ひとりが声を挙げ」の言葉がいいのではないかというご意見がありましたけれども、その後の「世界の英知を結集して」という部分が、市民社会の一人ひとりが声を挙げるときに、知識がなくてもいいからまず声を挙げようよという意味合いがあると思うのですけれども、英知を結集してとなると一部の人たちのプロフェッショナルな話に捉えられてしまうかなと感覚的に感じました。

それから、最後に、71行目の「平和の文化を広め」という部分が唐突ではないかというご意見がありましたが、その時に日常の中の平和というお話があって、どうしても核兵器廃絶という部分が一般の方の日常に入りにくいということを考えたときに、「平和の文化」というのはとても大事なものだと思うので、ぜひここの部分をいかに日常生活の中で必要なことなのか分かるような説明に付け加えていただければ、この言葉の意味が生きるのではと思いましたので、ぜひそういう形に残していただけたらと思いました。私の方からは以上です。

【委員】

本日もどうぞよろしくお願いいたします。

全体的に、皆さんの意図が汲まれていて、自分の意図も汲まれていて、前回より聞いていて心に響くものだなという印象を受けました。

特に、私が「若い世代が被爆者の声を直接聞ける最後の世代である」ということを入れてほしいというところを汲んでいただいて、ほんとに嬉しく思います。

今年は核兵器禁止条約が発効したっていうこととか、福島の東日本大震災から10年経ったという節目の年でもありますし、そういうところに触れられているところに、すごくいいなっていうふうに感じました。

このままでもいいと思うのですけど、強いて言わせていただけるのであれば何点か述べさせていただきたいと思います。

26行目の「これまでにない形の核兵器」というのが、たしかにこれまでにない形ですけど、もう少し具体的に、これまでよりも使われる危険性が高まっているとか、22行目と重複してしまうかもしれないのですけど、もう少しここが具体的になっていると、危機感が高まるのではないかなと思いました。

あと、とてもいいなと思ったところなのですけど、「地球に住むすべての皆さん」から「一人ひとりが当事者として考え」のところが、ほんとに私たち一人ひとりが考えていかなければならないというところを強調されていて、当事者意識が高まるのではないかなと思いましたし、「行動する必要がある」もすごくいいなと思っていて、もちろん全く興味を持たずに考えていないよりは考えているだけでも素晴らしいと思うのですけれども、やはり行動に移していかなければならない時代がきている、それはもうコロナ禍におけることだけではなくて、核兵器廃絶のための動きとかも行動する必要があるということを強調されているのかなというふうに感じて、とても素晴らしいなというふうに感じました。

あと、これは少し重複してしまうのですけど、「市民社会から声を挙げ」のところで、「市民社会一人ひとり」というふうにした方がいいのではないかというところは、私もすごく共感していて、一人ひとりが集まって声を挙げることで大きな声になって、時には世界を変えることもできるっていうのを核兵器禁止条約で強く感じたので、そういう一人ひとりが大事というのを伝えられればいいなと感じました。

あと、具体的ではないのですけど、一人ひとりが協力し連帯していくことがすごく大事だと思うので、54行目くらいのところに「協力」とか「連帯」とか、もし字数が許せば入れられるといいのではないかなと感じました。

63行目の「被爆者の声を直接聞ける最後の世代である若い皆さんとも力を合わせて」ということころが、私たち若い世代が次の世界をつくっていかなきゃいけないという責任を自負しているつもりではあるのですけど、やはり若い世代はなかなか力がないところもありますので、力を合わせてと言ってくださるところが、若い世代だけではなくて一緒に世界を変えていこうというのが、一人ぼっちじゃないというか、協力していただけるという温かみをすごく感じられました。そして、「伝え続けます」というところで、今一番大きな課題となっているのは継承だと思っていて、私たち若い世代は、経験はしていないですけど、被爆者の方とか二世の方のお話を聞いて想像してそこから行動することができるので、伝え続けるのが大きな一歩になるということで、とても良い表現だなというふうに感じました。

字数がもし許せば、長くなってしまうかもしれないのですけど、被爆者の方のことを66、67行目で述べてくださっているので、被爆二世の方のお話も少し入れられたら、被爆二世の方からいろいろお話を聞かせていただいている私としては、入れていただけたらと思いました。私からは以上です。ありがとうございました。

【委員】

私もこれをいただいて、読ませていただいたときに、とても伝わりやすく、すっきりした、そして言葉が分かりやすくなって良い文章だなと思いました。

やはり宣言文というのは時代に沿って変化する部分と、決して基本を外してはいけない部分と二つあると思います。それが今回しっかり書き込まれている文章だと思いました。

宣言文というのは、文字で読むとき、それから耳から入ってくるとき、それぞれちょっとニュアンスが違うと思います。大多数の方は市長の宣言文を聞かれて、そこから感じる方も多いと思うので、字で書いて読むと理解できることが、すっと通しながら聞くと非常にインパクトが薄くなるというようなことも出てくるのではないかと思います。

特に大きな問題はありませんが、私が一市民として聞いた時に感じた部分を申し上げさせていただきたいと思います。これは他の委員のご意見の中にもありましたけど、小崎登明さんの6行目「核兵器は、普通のバクダンでは無いのだ」という、ここはとてもインパクトが大きいと思うので、ここにかぎ括弧でもつけて、少し区切りをしてもいいのかなというふうに、バクダンという言葉が今回、新しいインパクトを持たせる言葉ですので、そのあたりは感じました。

それから23行目の「核兵器国」という言い方を見た時に、私たちはよく「核兵器保有国」という言い方で聞くものですから、「核兵器国」という言い方がスッと伝わるのかなというのがありまして、その後にも「保有」という言葉があるので、ちょっと工夫がいるのかもしれませんけど、できれば「核兵器保有国」とすると、耳から聞いても分かりやすいのかなと思います。

それから36行目のところの「戦争をしない」という憲法の部分ですが、これは昨年も入れていただいて、昨年はここに「戦争をしないという決意を込めた日本国憲法」というのと「理念を永久に堅持する」という強い言葉を入れていただきました。今回とても文章が長いというふうにお聞きしているのですが、ふっと聞いたときに非常に憲法問題って遠からず話題になってくると思いますので、できればこういう強さを持った訴えにしていただけると、もっと印象が強くなるのではないかと思いました。

それから、52行目ですが、「核兵器を持ち続ける未来を選ぶのでしょうか」という、私は、これは「選んではいけないのです」というぐらいに、こういう緊急事態になっているので、もう選んではいけないのだということをむしろ、長崎から強く発信した方がいいのかなというふうに思いました。

それから54行目の「英知を結集して考えるべき時」というふうにあるのですが、もちろんいままで問題意識がなかった方には考えていただかなきゃいけないのですが、考えるだけの人って結構多いと思います。ですから「考え、行動すべき時にきているのではないでしょうか」という、やっぱり一歩踏み出すことを強く訴えていったらどうかというふうに感じました。

それから62行目のところで、「核兵器のない世界に向かう確かな道にしていきましょう」っていうふうにあるのですが、ちょっと長くなるかと思いますが、「確かな道にしていくために、長崎は若い人たちと一緒に手を携えて」っていう、長崎がする目的はこういうことだよというふうに繋いでいった方がより分かりやすいのではないかなと思いました。

それから71行目「平和の文化」というのは、たしか良い言葉なのですが、私もここで読んだときに、皆さんが平和の文化をどう捉えるのかが、やっぱりいま平和っていうのは核の問題だけじゃなくて、入口を、間口を広くしないと、なかなか核兵器廃絶まで到達していただけないということがあるので、ここは皆さんからご意見があったように少し相互信頼の上に立つとか、そういうことも含めて多少の説明がないとなかなか伝わりにくいのかなというふうに感じました。以上です。

【委員】

それでは一箇所だけですね、私が感じていることを申し上げます。

18行から21行のところですね。条約のところの「もちろん条約発効によってなくなるわけではありません」という言葉が、何となく浮いているというか、安易にそういうふうに言っちゃったっていうところで、少し核兵器禁止条約についての評価と言うか、我々、一市民が持つ評価を少し壊すような感じがします。これは結局、核保有国が条約に一刻も早く参加しない、加盟しない、そういう前提があって、こういう言葉になるわけですけども。もう少し、核兵器国の責任を明示するような言葉がここに、18~21の間に入ってこないと、核兵器禁止条約の大きな重要性が少し平坦に扱われているという印象を受けました。だから、ここは少し掘り下げた方がいいのではないかなと思います。

それから日本政府のことなのですけども、たしかに日本政府は2017年の核兵器禁止条約の採択時に、日本は署名しない、できないけども、橋渡し役をすると、外務大臣が声明を出しました。そういう橋渡し役という言葉は、国民の皆さんも常識になってきていると思いますけど、「日本政府が自ら宣言した」という意味を込めないと、このリーダーシップを発揮してくださいというお願いにはならないと思いますね。まだ、橋渡し役で何をするかということを日本政府自身が分かっていないような気が僕はしているのですけども、そういう行動をまだとってないわけですよね。どういう内容でやるかということを発表してないし、行動が伴ってない。そういうところが、日本政府にはもう少し厳しい言葉を出して、発揮してくださいというお願いをした方がいいのではないかと思います。

それから53行ですね、文章としてちょっと、「核兵器がもたらす危険についても未来を守るために市民社会から声を上げ」という、ここが二つ声を上げることが羅列されていて、未来を守るためには、後ろにいった方がいいかなと思いました。「核兵器がもたらす危険についても市民社会から声を上げ、未来を守るために世界の英知を結集する」と。そういうふうにしたほうが分かりやすいのではないかと思います。

前回の、昨年の委員会でも、その前からか、「平和の文化」は何回か議論をしているところですよね。これが、「平和」ということを目的として、市民国民に訴えるときに、対象である平和を、例えばここで「平和」だけを使うことと「平和の文化」という言葉を使うことで、受け止め方が違うのかどうかですね。そういう意味では、別の言葉もあったのかもしれません。いまちょっと思い浮かんでいないのですけども。「平和の文化」は少し、我々が目指す平和を的確に表す言葉として、あるいは日常性を維持して暮らしを立てていくという、そういう平和の一番基本的なところが「文化」と言っていいのか、そこが煮詰まっていない気がして、そういう言葉の持つややボヤっとした感じは否めないかなと思っております。

【委員】

とてもよくバージョンアップされていて、このままでもいいのではないかと思ったのですが、皆さんのお話を伺っている中でいくつか思ったことがあるので、付け加えさせてください。

16行目の「人類史上初めて『核兵器は違法』」と明記した」というところを強調する意味と、核兵器は部分的に違法だという条約があるように思いますので、「人類史上初めて全面的に核兵器は『違法』」とした方が正確な意味であるかなと思いました。

それと18、19行目の、他の委員のご指摘で思い至ったところですけども、18行目の代わりに、「条約発効にもかかわらず、核を持つ国は背を向けています」で19行目につなげるといいのではないかなと思いました。

もう一つですね、何人かの方がご指摘された26行目の「これまでにない形の核兵器」ですね、ここは明確に「使いやすい核」とか「使われやすい核」とか、「使われやすい核の競争さえ」もう始めていますので、「始めています」と書くといいかと思いました。

36行目の憲法のところですが、「理念と決意」を一言入れるとニュアンスが強くなるかなという感想を持ちました。

次は40行目、冒頭に「安全のために」とあるのですが、安全と安全保障は違うとよく言われますので、安全保障の方のニュアンスを出した方がいいかなと思って、核抑止に頼る論理によると、国を守るために核は必要だとする核抑止の考え方でいかがでしょうか。

文書の削りしろとしては、41~43行はNPTの話が2回出てきていますので、ここは1行半ぐらいに短くしていいかなと思います。

それから、53~54行目の大事なパートなのですが、「核兵器がもたらす危険についても、未来を守るために『私たち一人ひとりが声を上げ、この危険な世界を変えるべき時がきているのではないでしょうか』」というふうな方がストレートかなと思いました。

最後、「平和の文化」なんですが、64行目のこの文章の後に、熟した文章ではないのですが、参考文例として読ませていただければと思いますけど、「芸術や文化など幅広い交流を通じて相互理解を深め、問題は話し合いで解決していく」というふうな平和の文化を広げていくことに長崎は努力しますということを入れておけば、あと71行目は「連帯して核兵器廃絶」云々に繋げていけば、最後にもう一回入れる必要はないというふうに思いました。

それとこれは、今回の文言に生かせるかどうかは置いておきますが、広島・長崎は「原爆」と言っているわけですよね。ところが、他は「核兵器」と言っています。あの時だけは「原爆」と言っている、最初そう言ったから残っているということもあると思うのですけども、逆だと思います。広島・長崎だけが、遠いあの時の戦争で使われた爆弾だというふうに惹起していてですね、いまの核兵器の存在とは逆に断絶感をもたらしているところもあると思いますので、去年、ウィリアム・ペリーさんが長崎でのシンポジウムにオンライン参加された時に、「広島・長崎は核攻撃だ」とおっしゃっていました。ということを考えると、今年は無理なのですけど、いつの時点かで、あの被爆は核攻撃だと、だからこそいまの核も使われちゃいけないということを、もっと明確にした方がいいかなと私は思います。ここは感想ですので、具体的な修正の提案ではありません。ありがとうございます。

【委員】

よく整理されていて、携わられたかたはご苦労だったと思います。

方向性としてあまり大きな意見はないのですけど、送られてきた手紙に例年以上の文字数になっておりますということがすごく心に留まっておりまして、どこか削らないといけないのかと思いつつ読ませていただきました。具体的にどこを削るかという提案はできないのですけど、何点か意見を言いたいと思います。

一つは、先ほど出たことなので、私がもっと発言すべきと思ったことは26行目です。「これまでにない形の核兵器」というのは、前回私が申し上げたことを反映した言葉だと思いますが、言わんとしたことは使われやすいという方に動いているということではなくて、今、大陸間核魚雷というのがもはや配備されようとしているということ。要するに魚雷に核兵器を積んで、魚雷の推進力が水の中、太平洋横断して、ロシアがアメリカに核兵器を届けるというふうなことが実験段階に入っている。プーチン大統領が3年前にそれを発表して、それに対してどうするかということが議論されている。それが一つ。それから大陸間弾道弾の弾道に極超音速の核弾と呼ばれているのですけど、空気中に入ってから自由自在に軌道修正できるような弾道が開発・配備されている。それから、最近の新聞で中国もそれをやろうとしている報道があったのですけど、巡行ミサイルいわば空気中を飛ぶミサイルですけど、弾道ミサイルではないミサイルです。そのエンジンを原子力にして、ですから、航続距離がある意味無限になる、例えばロシアが開発したのはアメリカをいつも攻撃される側ではなく、背中側から巡行ミサイルを使って核を届けて核爆発を起こすというような、これまでの運搬手段ではない形で核兵器競争が既に始まっている、その危険性を言いたいということです。

ただ細かいことを言うには、ちょっと大変で唐突感がありますし、説明をするスペースもないし、ということで、こういう言葉になったのだと思うのですが、やはりおっしゃられたように半ば伝わらないということはあると思います。ちょっと悩ましくてすぐに代案はないのですけど、そういうことがエキゾチックという英語を使っていますけど、これまでにない形での核兵器というものが現に競争段階に入っているということを警告したいというのがあります。これが26行目に関するコメントです。

それから、34行目の「橋渡し役」というのがかなり引っかかりました。先ほど他の委員がおっしゃったのですけど、日本政府がずっと言っていて、核兵器禁止条約ができてからも国連総会が4回ありました。日本政府は核廃絶決議という提案をしているのですけど、どの提案を読んでも橋渡し役をするという意図は全く読めない。どちらかというと溝を深めるような、結果的にはですね。そういうことをやってきていると思います。具体的には、NPTでこれまでせっかく合意してきたことを、これまでは合意を守ることを中心に言っていたのですけど、それを言わなくなって時代に合わせてもう一度見直そう、みたいなことを、アメリカが核軍縮の環境ということを強調し始めました。軍縮をするためには環境が必要だと。そのための環境をつくろうということをアメリカが言い出したことに並んだような姿勢で日本決議も、これまで積み重ねてきた合意を守ろうということに主力を置くのではなくて、新しくリフレッシュした気持ちでやろうというふうに日本政府はなってきたと思ってですね。果たして「橋渡し役」という言葉をどういうふうに使うのかなというのが、我々が使うときになかなかイメージが湧かない。日本政府が言っていることだから、これは橋渡しになるということをやってほしいことは、もちろんスタンス、言葉を見つけていきたいと思うのですけど、どうするかということを含めて引っかかりました。

もう一つは、最初の締約国会議の議長になるのがオーストリアということになっていると思います。そのオーストリアの立役者であったクメントさんに共同通信がインタビューした記事を読んで、一つ気づいたのですけど、日本政府を誘いこむためのクメントさんの知恵だと思うのですけど、「禁止条約は核兵器の被害者救済ということを重要な柱にしている。そこに被爆国たる日本政府が来てくれると非常に助かる」というメッセージを言われました。

これは非常に日本政府に対してオブザーバー参加してほしいという場合の一つの鍵になるメッセージかなと思いました。

今の文章で例えば32行目からいきますと、「核兵器がもたらす惨禍を最もよく知るわが国だからこそ、第一回締約国会議にオブザーバーとして参加し、核兵器禁止条約を育てるための道を探ってください」。幸い核兵器禁止条約を育てるという概念を目玉として使っておられるので、それを育てる一つの方法として被爆者救済ということで育てていくという道は一つの道としてあると思います。そういう道を日本政府は探れるのではないか、ということを込めて先のような「核兵器禁止条約を育てるための道を探ってください」で、そのことの説明としては、条約には被害者救援も義務付けられています。という言葉を付け加えてかなりここを簡略化して、そのあとに一日も早く署名・批准することを求めます。ということを入れて、短くなってそのことに絞ってはどうかというふうに思いました。

それから42行目です。NPT再検討会議、来年まで延びそうですけど、それについて述べるときに、その前に米ロの軍縮交渉が始まるべきだと思います。実際には、NPT再検討会議そのものが米ロのリーダーシップということにはならないのですけど、NPTでの議論を前進するために米ロが軍縮交渉を始めているというのが、前提となると思うので、ここの表現は、どちらかというと42行目からですけど、そのためには米ロがまず更なる核兵器削減に努力すること、そして次の再検討会議で全ての核兵器国というか、核保有国というか、実質的に進展すべきというふうに変えたほうがいいと思います。

かなり短くできると思ったのが、長崎を最後の被爆地にという言葉をキーワードにした55行目から62行目までのあたりが、もう少し短くなるのではないかというふうに思いました。

どういうふうにという提案はできないのですけど、この前も感じたのですが、この問題提起がすごく私にとってインパクトがあったのが、最初の被爆地というのは事実です。けれども最後の被爆地にというのは事実ではなくて、願いというか目標だということが、非常にインパクトのあるメッセージだと思うので、そのことはぜひ言ってもいいのではないかと思いました。57行目から58行目にかけて、「長崎は最後の被爆地として人類の歴史に刻まれ続けなければなりません。最初の被爆地は事実です。最後の被爆地にというのは願いです」というふうに対比させるほうが、インパクトがあるのかなというふうに感じました。

願いという言葉でいうのが祈りだけのようになっちゃうので、どうやって目標とか、次の25年につなげるのか、行動ですよね、そういう言葉につなげるのかというのは、ちょっと文章としては工夫する必要があると思うのですけど、最後の被爆地という言葉を最初の被爆地と対比するやり方として、もう少しインパクトをつけてはどうかという感じがしました。とりあえずその四点です。

【委員長】

ありがとうございました。今一通り皆さんから一巡お話をお伺いしました。全体的にはこういった方向性でということを受け入れていただいたうえで、さまざまな修正点についてご指摘をいただきました。ちょっと手を入れないといけないかなと思っていたところを鋭くご指摘いただいた感じがします。その中で文字数の話も実は結構重要でして、これまでで一番多くなっているということで、昨年も実は結構長くて、全体として少し長かった、長いなという印象を持たれた方が結構おられたということもあって、あんまり長すぎると全体の印象がかえって散漫になってしまうということもあって、なるべくコンパクトに、伝えたいことがきちんと伝わる、かつ読んでいる人にも共感を得られるようにすることを目指していきたいと思いますので、少し削れる所がないか、少し短くして端的に伝えられる表現がないかということも探してみたいと思います。

それから平和宣言についてはいつもさまざまな、先ほど委員がおっしゃっていましたけれども、読むのか、聞くのかというのも結構難しい問題あるのですけれども、私はいつもその場で聞く人を第一に考えたいと思っています。YouTube等が普及していることもあって、そういう意味でそれがますます大事かなと思っています。ですから、文章的に見ると少しどうかなと思うけれども、その場で聞いたらむしろ伝わるというような表現の方を選びたいなと思って平和宣言文の起草にあたっているのですけれども、そういう意味で今回もその方向のもとで再整備を行っていきたいと思います。

一つ、何人の方からお話があった、「平和の文化」の話ですね。これはここ数年、「平和の文化」という言葉を使っているのですけれども、これからの25年を考えた時に重要なキーワードになると思っています。これまでの言葉では伝わりにくい部分というのが出てきていて、伝わりにくい世代というのも出てきていて、それをどういった表現で伝えていくのかということももちろん重要になってきていますし、その中で「平和の文化」を、例えば来年の平和宣言で平和の文化をきちんと伝えるということがあってもいいのかなと私は思っているのですけれども、今までのさまざまな議論であるとか、平和首長会議とか色んなところで話の中で私が感じているのは、「平和の文化」を使う時には、二つの側面があって、一つは入口を多様に用意する、スポーツであっても音楽であっても、そういう入口を多様に用意するところから核兵器の問題に入って行けるようにしないと、核兵器の例えば被爆体験をはじめとして、直接そこに入っていくという入口だけではなかなか難しくなってきているという状況があって、「平和の文化」のことを一緒に考えてもらう入口を多様に用意するということが一点。もう一つは基本的な考え方として、昨年か一昨年の平和宣言の起草委員会で述べましたけれども、「戦争の文化」という言葉があって、「戦争の文化」と「平和の文化」、その対比する意味合いもあるという話もありました。そういう意味では、世界の中にいろんな文化があって、いろんな生活様式があって、暮らし方があって、もちろん経済レベルも違う中で、そういう違いが分断の方向に行って、かつ不信感につながって、それを力で解決しようとするような方向性というのが「戦争の文化」とすれば、違いが多様性を受け入れる、認める方向に行って、多様性があることで世界が素晴らしいという方向性に進んで、かつ信頼をつくり出していって、それが対話によってさまざまな課題を解決につながるのが「平和の文化」であるということ。そしてそれは、国際社会の戦争の話にだけに通じるのではなく、私たちの身の回りでも同じように「平和の文化」というのはつくり得るし、そしてそれを実践していくことができるというような意味のメッセージでもあるのかなと。だから「ピース・フロム・ナガサキ」という言葉は、核兵器を長崎からなくそうというメッセージでもあるけれども、一方で長崎自体がそういう「平和の文化」を持つ街になろうというメッセージでもあるという捉え方もできるし、したいと思っています。そういういろいろなことを考えると、「平和の文化」は結構いろいろ議論をしていて、それからメッセージとして価値のある言葉でもありますけれども、今回ご指摘があったように中途半端に使うと何か意味がよく分からないという捉え方をされることもあって、まだこれから皆で育てていかないといけない言葉の一つであると思っています。今回どうするかは、全体の文字数や、あるいは分かりにくさなど全体の中で検討していきたいと思います。いずれにしても、もしなくなったとしても長崎の中でこれから重要なキーワードであることは変わらないのではないかと思っています。

今、いろいろ皆さんからご意見をいただいた中で、特に国際関係の中での、政府に求めるものであったり、あるいは核保有国に求めるものであったりする部分の表現についてかなり改善していく余地があるということですので、そこは集中的に少し改善を図っていきたいと思います。

これからもう少し時間がありますけども、一巡した中で、更に今回は2回目の起草委員会ですけども、最後の起草委員会となりますので、この部分だけは是非言っておきたい、指摘しておきたいということがありましたら、是非手を挙げていただけたらと思います。

【委員】

「平和の文化」ですけれども、長崎が戦後復興する時に国際文化都市として復興することが決まりました。特別法ができて、特別法ですから長崎市の住民の投票がいるわけですね。そしたら90数パーセントが賛成した。永井博士なども国際文化が大事だとおっしゃっていた。これは建築関係の根拠、予算の根拠法のようになっていますけれども、今これをもう一回考え直す時が来ているのではないかと。広島は平和都市、長崎は文化都市として復興する。その「文化」はどういったものだろうかともう一回考えていく必要があるのではないかということを申し上げたいのと、それから「対話」という言葉がこの中にないと思いますので、あったかも知れませんがちょっと気が付かなかったのかも知れませんけども、例えば「対話と協働の平和の文化」のように、ちょっとした修飾語を加えて残していただけたらと私自身は思いました。

【委員】

単語の問題なのですけれども、22行目の「核軍備競争」は、ふつうは「軍拡競争」と言っているのではないのかと思ってですね。「軍備拡張」とか「軍拡競争」とかですね。「核軍備競争」はあまり聞かないなと思ったのですけれども、さっきネットで調べたらないわけではないみたいなので、そこは趣味の問題で、指摘だけさせていただきます。

【委員】

すみません、欠席した委員のご意見は読み上げないのでしょうか。

【委員長】

すみません、今日はご欠席の委員からご意見をいただいていますので、事務局から読み上げさせていただきます。

【事務局】

欠席委員からのご意見になります。

まず一点目になります。「発効から一年以内」の「一」を数字に置き換えるというところ、20行目のところです。

それから23行目、「核軍縮交渉の義務を負っているはずの核兵器国は」の「はずの」を外すということです。

三点目は23行目です。「英国が公然と保有する核弾頭数の増加を発表するなど」の、「公然と」の位置を「増加を公然と発表するなど」に場所を入れ替えるというところです。

あと33行目の「第一回締約国会議」の漢数字の「一」を数字の「1」に。

それから五点目です。28行目の「各国の指導者たちの核軍縮への意思」の「意思」の漢字を志の「意志」、成し遂げようとする強い気持ちの場合に使うということで、志の「意志」に入れ替えるというところです。

最後に六点目、66行目です。「被爆者の平均年齢は83歳を超えています。日本政府には、被爆者援護のさらなる充実と、被爆体験者に対する救済を求めます」というところで、先ほどもご意見がありましたけれども、被爆二世問題への言及ができないかと。二世も苦しんでいるというところで意見をいただいています。以上です。

【委員長】

他にも何かありませんか。

【委員】

66行目の「日本政府には、被爆者援護のさらなる充実」ということが書かれていますけれども、私たち被爆者は全国から集まって被団協をつくっているのですけれども、その中で最終的には国家補償に基づく被爆者援護法というのをずっと要求として掲げています。

そういった点で、これは1980年に、それ以前に、国に対して色んな裁判を起こしていく中で、国がずっと裁判に負けていったのです。そこで国はこのことを重要視して諮問委員会をもったわけです。東京大学の学長だとか裁判官とかですね。そういう中で答申案が出たのが、命を奪われようとも、財産を奪われようとも、負傷させられようとしても、戦争の被害は受忍をしなさいと。そういう受忍論というのが出てきたわけです。そういう中で、国は国家補償の援護法というのをずっと拒否してきたわけです。だから今の援護法というのは、原爆医療法と原爆に対する処置法が合併して、いくらか改善をされて、今の援護法ができているわけですけども、しかしそれは国家補償ではないわけです。例えばもし日本がこの先、戦争をした場合、将来にわたってもこの受忍論というのは通っていくのだろうと思います。だからそういった点で私たちは国家が戦争を起こしたのですから国家がちゃんと責任を持ちなさいというわけで国家補償に基づくというわけで、やはりここは私たち被爆者の要求を入れてほしいなと思います。以上です。

【委員】

先ほど他の委員が述べられたことなのですけれども、核禁条約の6条、7条に世界に散らばっている核被害者の支援・救済ですね、締約国は支援・救済する義務があるという条項がありまして、それについて議論をしようということで、実は今日の午後、広島の、あるいは東京のNGOの方々とここのホールでワークショップをしようということだったのですけれども、向こうから見ると長崎は大雨でとても行けないということで中止せざるを得なくなりました。その時に準備段階でいろいろ考えてみると、確かにこの6条、7条の持つ意味というのは潜在的な爆発力があるように思いました。

少しご紹介しますけれども、核兵器国が核実験をした。核兵器国が広島と長崎に原爆を落としてその被害者が出たわけです、沢山。今でも多くが苦しんでおられると。国家補償という話は核兵器国に対してではなくて日本政府に言っていますけれども、核兵器国に対して核被害者というのは補償してほしいとか訴えるというともあったと思います。そういうことをやりなさいという義務規定が入っている核禁条約なのですけれども、よくよく考えるとやはり本当に締約国会議でこの救済の方法などが議論されて、本当に世界レベルで救済をする仕組みが出てくると、これは責任論なのですけれども、実際それをやった核兵器国にとっては、非常に大きなプレッシャーになってくると思いますね。それはひいてはやはり、核禁条約の一番の根本的なところである、9項目にわたる禁止条項について、それを真剣に核兵器国は受け止めて、彼らなりに対応を決めていかないといけないという新たな潮流を生んでいく隠し玉みたいな感じがしてきています。

広島の被爆者団体、それからNGOでは10年ぐらい前からこの世界の核被害者、核実験場とかウラン鉱山の労働者とか肺がんになるとか、そういう色んなところに手を差し伸べて、救援まではいかないですけれども、色んな状況についてシンポジウムなどを開いています。特に2015年ですかね、6年前に大きな世界大会をやりまして、我々、長崎のNGOも招かれて発表してきたわけですけれども、非常に多くの被害者の団体とか被害者が参加されました。非常にいいレポートが出ています。そういう意味で、ここは新たな展開という感じがしていまして、今回の平和宣言にはこの核被害者というのはもちろん入っていなかったのですけれども、他の委員が指摘されて、もう入れていいのかなと思いました。長崎はあまり被爆者団体あるいはNGOが世界の核被害者に手を差し伸べるということにはあまり取り組んで来なかったのが正直なところですね。そういう意味でいよいよ大きな点を指摘されたのではないかと思います。

【委員長】

ありがとうございます。他に付け加える点ないでしょうか。なければ今年度の平和宣言文起草委員会も昨年同様、コロナ禍の影響を受けて、2回の会議ということになりましたが、皆さんからお寄せいただいたさまざまなご提案、それから素案に対するさまざまな的確なご意見を数々いただいて、今回も起草委員会の流れとしては全く通常の年と遜色のない運営、中身になったのではないかなと思っています。平和祈念式典も縮小した形になっていますが、昨年もそれで発信力が低下することがなかったと思います。今年も起草委員会同様、平和祈念式典も充実したものに、思いのこもった、思いの伝わるものにしたいと思います。

今回いただいたご意見をもとに、またさまざまな修正を加えさせていただいて、それから最初に申しあげましたように、少しご意見を伺うために何人かの委員の皆さんにお集まりいただく場合もあるかもしれませんけれども、そういった準備をして、もう7月20日ぐらいには仕上げる形になりますので、これから仕上げの段階に入っていきたいと思います。土曜日の貴重な時間、また出席するまでにもさまざまなお考えをしていただく時間を、皆様に貴重な時間をいただいた起草委員会となりましたことを感謝申し上げて、今年の起草委員会の終了とさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

以上

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