ここから本文です。

平成30年度第1回 高島炭鉱整備活用委員会

更新日:2019年1月11日 ページID:032045

長崎市の附属機関について(会議録のページ)

担当所属名

企画財政部 世界遺産推進室

会議名

平成30年度第1回 高島炭鉱整備活用委員会

日時

平成30年7月19日(木曜日) 16時30分~

場所

都市センターホテル 605会議室

議題

(1)整備事業の進捗報告
(2)端島炭坑跡 第3竪坑捲座の整備 
(3)高島炭鉱整備活用委員会の工法検討会議の開催について
(4)端島炭坑跡のモニタリング
(5)端島炭坑跡 護岸の検討状況 

審議結果

(1)整備事業の進捗報告
 平成29年度 端島炭坑跡 第3竪抗捲座の構造調査
 平成29年度 高島北渓井抗の整備
【事務局】
(平成29年度 端島炭坑跡 第3竪抗捲座の構造調査の報告)
煉瓦壁を整備していくためには、一体となっている背後の総合事務所の現況把握が必要なため、平成29年度に総合事務所の構造調査を行った。調査は破損調査、鉄筋調査、コンクリートの材料試験、常時微動測定、基礎調査、煉瓦壁と総合事務所の接合状況の目視調査を行った。調査の結果、コンクリートの圧縮強度は梁だけが低い、中性化は進行していない、柱と梁の塩化物イオン含有量が高い、遺構の固有周期は20.4~33.3Hzであり、地盤の固有周期と比較すると大きな共振現象は起こらない、基礎は無筋の独立フーチング基礎、地中梁は存在しない、基礎の一部が煉瓦壁の基礎石の上に乗っている、一部の小梁の荷重が煉瓦壁アーチ上部にかかっていることがわかった。

【事務局】
(高島北渓井抗跡の整備事業の報告)
現在第1段階として、説明板やジオラマを見て史跡を見学できるよう、史跡の北側に展望所の整備を行っている。平成29年度はスロープ2箇所の設置、フェンス及び転落防止柵の設置、インターロッキング舗装、ジオラマの展望所への移設、史跡の説明板と明治の操業期の古写真を使ったジオラマ模型の説明板の設置を行いました。

【D委員】
コンクリートの材料試験のサンプリング基準は何か。

【事務局】
あまり劣化していない箇所から選んだ。

【D委員】
塩化物イオン濃度の変化と腐食との相関関係があるのかどうか知りたい。もしあれば、酸性雨により高くなると思われる塩化物イオンの処理をどうするかという問題になる。

【事務局】
梁は圧縮強度が低いが塩化物イオン濃度は鉄筋位置で腐食限界まできていない。柱と床は圧縮強度が低くないが、塩化物イオン濃度は鉄筋位置で腐食限界にきている。このことから相関関係がないデータになっている。

【D委員】
梁だけが強度的な劣化が起こっている原因を知りたい。

【C委員】
同じコンクリートを打設している中で床と基礎の圧縮強度が高い理由は何か。

【D委員】
サンプリングが1箇所のため、たまたまそこが高かった可能性がある。平均でないからあまり参考にならない。一番問題なのは壊れてくるところなので、1カ所では厳しい。柱や梁が低い原因が塩化物の影響であれば、塩化物を遮蔽した形で補強を行うという結論になる。サンプルについては、1カ所では少ないため、きちんとデータを出してもらいたい。

【D委員】
建築学会の調査データで塩化物の濃度が鉄筋などに影響を与えていたら、同じ状況で推移してきているため参考になると思う。どのような原因が考えられるのか、海水を使ったコンクリートがあるのかどうかも含めて学会等に聞いてもらいたい。

【C委員】
地震による大きな共振現象は起こらないと推察されているが、煉瓦壁はもっと低い振動数ではないのか。

【事務局】
煉瓦壁の測定は平成27年度に行っているが、地盤の固有振動数とは少し離れているため、共振は起こらないと推測している。

【C委員】
報告書は過去のデータなどもまとめて示してもらいたい。

【D委員】
その煉瓦壁の固有振動数のデータは補強した後のデータなのか。

【事務局】
補強する前のデータ。

【D委員】
補強をした後でどのように振動数が変わったのか測定した方がよい。

【C委員】
煉瓦壁を一番に保全するのであれば、この壁の振動特性は把握していた方がいいのではないか。

(2)端島炭鉱跡 第3竪坑捲座の整備
【事務局】
 第3竪坑捲座の整備は修復・公開活用計画における生産施設遺構の整備方針である「安定的な状態で維持」、「現在の形状を維持」を整備方針として整備していくよう考えている。目標構造性能については、石炭の生産システムの理解に影響がない細部の多少の欠落については許容するものとし、耐震性能を目標2(震度3~4による倒壊を防止)、耐風性能を目標1(建築基準法第87条に規定する風圧力による損傷を防止)として基本設計を行いたい。また、最終的な目標決定は、補強案の審議後と考えている。考えられる補強事例として、煉瓦壁と総合事務所の一体化、総合事務所構造躯体の補強、考えられる補修事例として、アーチクラウンの煉瓦の脱落部への新規煉瓦追加、煉瓦壁天端等の雨水進入対策を考えている。基本設計の中で検討していきたい。今後のスケジュールは9月に委員会と工法検討会議で整備概要報告と現地視察を行い、平成31年度に基本設計で構造設計と補強案作成を行い、工法検討会議で技術的な審議と委員会で審議を得て、平成32年度に実施設計で補強図面作成を行い、工法検討会議と委員会で審議を得て、平成33年度に補強・補修工事を実施するよう考えている。

【D委員】
 煉瓦体自体には煉瓦の欠落部に煉瓦を入れるだけで、煉瓦壁自体の補強は必要ないのか。

【事務局】
今、考えられる事例を揚げている。基本設計の中で検討していきたい。

【D委員】
煉瓦目地に石灰モルタルを使うということであるが、専門の方たちの意見も聞いた上で判断してほしい。

【D委員】
煉瓦壁の補強について、下を強く固定することで剛構造になり、基礎は安定するが上が柔構造なので、何かあった場合は全部倒れる恐れがある。補強したために倒壊したとならないよう、地震の振動周期も含め、十分検討していただきたい。

【C委員】
補強設計は煉瓦構造をモデル化し、耐震性能2(震度3か4)と台風の風圧でもつかどうか検討しておいた方がいい。石灰目地の煉瓦のモデル化は簡単にできるのか。

【E委員】
韮山でやったが、モルタル目地が均一でないため大変であった。

【C委員】
耐震性能2(震度3か4)が確保できているかどうかは、数値計算かモデル実験等で確認しないとわからない。

【C委員】
事例の補強では上の壁がもたないため、上も鉄骨による背面補強や壁を作る等が必要。

【D委員】
下を接着アンカーで固定すると、途中まで強くなるため上が弱くなる。

【E委員】
常時微動をもう一回やり直すことは必要であり、壁を全部一から積みなおすわけではないので、目地の検討も必要となる。

【オブザーバーA】
第3竪坑捲座の煉瓦と鉄筋コンクリートが一体となっている建物は、一体で世界遺産の要素としてみているのか。

【事務局】
鉄筋コンクリートの部分は世界遺産の要素ではなく史跡の要素と考えている。

【オブザーバーA】
コンクリートの補強は見えない部分の内側の部分なので、現状を守るための最低限の補強を認めるということなのか。

【E委員】
居住施設を内側で補強することと同じイメージというふうに受け取った。外から補強が見えないような方法で行うという提案がJCIの方から出ていた。

【A委員】
居住施設の方については、一定の補強というのがやむを得ないという方向だったように思う。

(3)高島炭鉱整備活用委員会の工法検討会議の開催
【事務局】
高島炭鉱整備活用委員会の工法検討会議の開催については、前回、工法検討部会という形で説明していたが、その後、組織の形・会議の形態について検討した結果、工法検討会議という形で考えている。目的については前回と同様、高島炭鉱整備活用委員会の審議の前に補修、補強工法の詳細について、専門分野の委員の方々と構造分野の関係人の方々、オブザーバーという形で入っていただき、会議を開催するという形で考えている。
会議の内容については、前回の説明のとおり、専門的な知見から建造物の補修、補強の工法の中身、詳細について助言をいただくという形。会議は委員会の委員3名とオブザーバーの方々で行い、検討した内容と結果を、高島炭鉱整備活用委員会にお伝えし、詳細検討を踏まえて委員会で審議をいただくという形を考えている。
委員として、本委員会の委員である鈴木委員、中山委員、藤井委員に参加をいただき、関係人、オブザーバーとしまして4名の方々に参加をいただき、会議という形で行いたいと考えている。先ほどの今後のスケジュールでもご説明したとおり、9月に高島炭鉱整備活用委員会と合同で現地視察を合同で行いたいと考えている。

【A委員】
この委員会の場で、オブザーバーの4人の先生方の承認手続きが必要か。

【事務局】
オブザーバーの方々には、内諾をいただいており、会議という形でのご参加なので、了解をいただければご参加いただきたい。

【A委員】
では委員会が事務局からの報告で了承するということでよいか。

【事務局】
そのような形を考えている。

(4)端島炭坑のモニタリング
【事務局】
モニタリングは3号棟屋上のカメラによるモニタリングの他、30号棟や70号棟の変位・振動の計測、気象観測等を行っている。モニタリングの結果、70号棟は下部埋戻し工事による建物の傾斜や沈みは生じていない、埋戻すにつれて固有周期が大きくなっていることがわかった。また、30号棟は南面1階の柱が傾斜している状況となっている。
劣化速度の確認は、鉄筋コンクリート建物では自然電位測定により16号棟と総合事務所で測定している。煉瓦造は目視により第3竪坑捲座で行っている。第3竪坑捲座の煉瓦では冬場に塩類が析出しているが、このことによる煉瓦の劣化は確認されていない。

【A委員】
外部の方によるモニタリングは定期的に報告があるのか。

【事務局】
日本コンクリート工学会から定期的に報告をいただくようになっている。また、3号棟のカメラの映像データはサーバーに蓄積している。

【D委員】
台風時の波による瓦礫の移動が建物に影響を与えることから、瓦礫の挙動把握のため、3号棟屋上に360度監視できるカメラを設置し全体を把握していた方がいい。

【事務局】
検討したい。

【A委員】
3号棟の屋上に長崎市で設置したカメラはないのか。

【事務局】
カメラは長崎市で設置し、計測は大学と共同で行っている。

【A委員】
モニタリングのグループの方や技術者とのコミュニケーションは可能か。

【事務局】
可能。16号棟の電位計測は長崎大学で行っており、日本コンクリート工学会とデータのやりとりをしながら研究していくことになっている。

【D委員】
第3竪坑捲座の煉瓦は冬場に塩類劣化が確認されているが、塩が吹き出しているのか、それとも海水の付着か。

【事務局】
どちらの影響かわからないため、今後、工法検討会議の先生方に意見を伺いながら確かめていきたい。

【D委員】
煉瓦にこれだけ塩が吹いているということはコンクリートにもこれだけの塩がついているということであり、相当、表面の塩類は高いということになる。煉瓦の塩類風化の劣化速度の目視調査の状況をもう少し明らかにしてほしい。

【E委員】
煉瓦の中に入っている塩が外へ出てくるのだろうと思う。塩類の析出とはそのようなメカニズムだと思う。塩がこれだけ出てくるとなると、内部には相当な塩分があるのではないか。

(5)端島炭鉱跡 護岸の検討状況
【事務局】
端島の護岸の整備については、修復公開活用計画での基本方針でもある、島の存続維持に大きくかかわるので、保全の優先順位としては一番高くなっている。特に、石積の護岸については、世界遺産としての顕著な普遍的価値にもつながるので、最優先ということになっている。護岸整備については、現在、検討中ということで、まだスケジュールの中に入っていない。これまでの護岸整備の検討状況は平成26年12月から国、県、市で検討を行ってきており、平成29年9月に長崎地区管理保全協議会の下部組織として、端島炭坑の護岸保全に関する検討部会を立ち上げることになった。平成30年4月23日に、この検討部会の第1回目が開催された。次回は7月の24日、第2回目を開催予定している。今後、護岸の整備の検討の基本スタンスとして、護岸の整備の技術的な課題等については、長崎市としては専門的な知見がないので、出席者に意見や助言をいただきたいというスタンスで臨みたいと考えている。またこの会議の内容は、この委員会でご報告をしたいと考えている。

【A委員】
3カ月に1回位のペースを考えているのか。

【事務局】
特にどれだけの頻度でということではないが、それぐらいのペースで開催するのではないかと考えている。

【A委員】
事務局というのは長崎市か。

【事務局】
内閣官房と長崎市との共同。

【E委員】
この会議で護岸の方針を決めたが、それは無しになっていたのか。

【オブザーバーB】
本体自体は安定をしていて、修復の観点からいうと、方法についてここで議論していただいた結果が、あの結果だと考えているが、経費の支出の観点からいうと、港湾の方に経費支出をお願いしなくてはいけないことも十分想定されるので、港湾施設としてはどういう観点が新たに必要になるかということを検討していくという会議になっている。なので、あれが無しになっているということでは決してないと思うが、そういう面での新たなファクターでの検討が加わる。その新たな観点での検討が加わった時点でもう一度この場でもご報告をするということになっている。

【C委員】
可能な限り検討を行って、交付金事業で実施することが可能となったので、下部組織を設置したのか、それとも交付金事業が可能かどうかを下部組織で議論するのか。

【事務局】
平成26年の当初から、交付金事業ということで可能か国土交通省の九州地方整備局で協議を行ってきたが、なかなかそこから進展がなく、技術的な観点から、島そのものを守る護岸の整備というところで、国土交通省の知見も必要だろうということで、これは個別の協議ではなくて、組織の中で検討しないと進まないということで、長崎地区管理保全協議会の下部組織として、平成29年度に立ち上げた。以後、この組織の中で検討を進めているということになっている。

【A委員】
この協議会は世界遺産の管理の組織である。そのような下部組織をつくらないといけないという事情は世界遺産委員会からも護岸は最優先すべき課題だという指摘もあることが前提となっている。

【オブザーバーB】
日本が護岸の優先を認知しているということは、世界遺産委員会からは言われているということ。

【A委員】
日本はこれが大事だと言っているのに、事業が進まないではないかということになるのではないか。自分たちが大事だ、大事だと言っていれば、何も言われないのかと。

お問い合わせ先

総務部 行政体制整備室 

電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(9階)

アンケート

アンケート

より良いホームページにするために、ご意見をお聞かせください。コメントを書く

観光案内

平和・原爆

国際情報

「行政運営・審議会・指定管理者・監査」の分類