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平成29年度第1回 長崎市原子爆弾被災資料協議会

更新日:2018年8月7日 ページID:031590

長崎市の附属機関等について(会議録のページ)

担当所属名

市民局原爆被爆対策部被爆継承課

会議名

平成29年度第1回長崎市原子爆弾被災資料協議会

日時

平成29年11月22日(水曜日)10:00~11:44

場所

長崎原爆資料館2階会議室

議題

1 会長及び副会長選出

2 議事「被爆建造物等の状況について」

審議結果

1 会長及び副会長選出

 長崎市原子爆弾被災資料審議会規則第4条第1項の規定に基づき、委員の互選により岸川委員が会長に選出され、同条第3項の規定に基づき会長から田中委員が副会長に指名された。

 

2 議事「被爆建造物等の状況について」

(1)事務局より被爆建造物等のランクごとの件数、保存に係る制度、保存対象の被爆樹木、被爆樹木の分布及び保存整備の状況について説明

 

〔質疑応答〕

委員

 核と人類は共存できない。人類だけでなく他の動植物も影響を受けているという意味では被爆した樹木などを保存していくことは非常に大切なことだと思っているが、保存の対象となるのは、幹や葉に目視できるものが何か残っている樹木なのか、あるいは一定の距離に焼け残って今も樹形を保っている樹木なのか。

 

事務局

 保存対象の樹木には、A又はBのランクを付けており、AがBよりもランクが高い。Aランクは、特に被爆の痕跡が顕著なものや、その場所の状況やできごとといった社会的状況を強く示唆するもの、Bランクは、被爆の痕跡が残っているものや、社会的状況を示唆する物としている。

 

委員

 クスの木は巨木で残っているものが多く、そのほとんどは幹の内部が空洞になっている。玉園町の勧善寺に、保存対象の被爆樹木にはなっていないが、市の天然記念物に指定されている樹齢700年くらいのクスがある。

 仮に市の天然記念物で保存対象の被爆樹木でもある場合は、文化財の補助金と重複して補助されるのか。

 

事務局

 文化財保護制度と重複する補助は考えていない。

 クスは非常に樹齢が長く、おっしゃるように被爆当時もあっただろうと思える大きさの樹はたくさんあるが、被爆樹木は痕跡が明らかなものや当時の状況を物語るものをA、Bにランク付けて保存措置の補助の対象にしている。文化財の位置付けで保護されているのであれば、当然その制度の適用を受けていただくことになる。

 

委員

 被爆樹木の分布が地図には2.5Kmを超えた辺りまで示されているが、さらに4km以内の範囲に被爆樹木はなかったのか。

 

事務局

 長崎市は被爆樹木のAランクとBランクを保存対象としており、その場所がちょうどこの被爆樹木の分布地図の範囲に収まっている。4キロメートルとなると、北は道の尾駅を超え、南は県庁よりもさらに先まで含めた範囲になるが、樹木の痕跡や当時の社会的な状況を示唆するものが、ちょうどこの3キロメートル弱の範囲の中で存在している。

 

委員

 カラスザンショウの枯死は大変残念なことだったが、被爆したにしてもしていないにしても植物には一定の寿命があって、いま残されているAランク、Bランクの樹木についても、いずれカラスサンショウのようなときがくると考えたほうがいいのか。

 

委員

 おっしゃるとおり植物は生き物なので、人間と同じように寿命がある。被爆樹木は被爆してから70数年、それまでに何十年かは生きているからほとんど100年以上ではないかと思う。人間で言うとかなりの高齢で、パトロールをして回っても、70数年前に大きな火傷をしていたり、内部が空洞になっていたりしながらもよく回復してきたなという樹木もあった。そういうなかで、これからはできれば継続的にパトロールをしながら、まず延命措置をしていくことが大事だし、延命措置によっていくらかは長生きをさせることができると思う。70年も経つと周囲の環境が変わり、マンションが建ったり、木の周りがコンクリートで覆われたりという状況もあり、できればその辺りも可能な限り改良・改善をしていければと思うが、カラスザンショウのように限界がくると枯れる。

 しかし、枯れた樹木もある程度そのままの形で保存することはできる。枯れたままにしておくと白アリなどが来てボロボロになって、最終的には土に戻るが、それを固結剤のようなものを使って止めることはできるので、そのような処置を行うと被爆遺構としてみることはできると思う。やり方はいろいろとあると思う。

 

委員

 寿命があって一定の時期がきたらカラスザンショウと同じようになることを考えたときに、本数を保つための努力が必要になってくると思う。保存ができるのであれば、Aランク、Bランクは今の状況でいいと思うが、今Cランク、Dランクに位置付けられているものを格上げして保存の対象にしていく努力がいるのではないか。

 

事務局

 (被爆建造物等633件を調査した)当時、候補に挙がったもののなかで被爆当時あったことはわかっても、何ら被爆の痕跡もなく対象から外れたものもある。ただし、被爆樹木は爆心地の方に傾きながら成長するケースもあるようなので、そういったものも含めて慎重に観察しながら、必要であれば新たに被爆樹木として適用する方向についても配慮に入れていきたい。

 

委員

 分かりました。建造物も含めて新たなものも加えて大事に保存していく努力をしていただきたいし、先ほど委員がおっしゃったように植物は特に周辺の環境が大切だと思うので、その辺りもぜひ検討対象に加えていただきたいので、意見だけ申し上げておきたい。

 

委員

 平和公園のエスカレーター下の右側の防空壕跡は保存すると決まったと思うが、そのまま保存するのか、手を加えて保存するのか最終的に決定した内容が分からない。

 

事務局

 防空壕跡が出てきたのを受けて、原子爆弾被災資料協議会を開催してご意見をいただき、その後報告をしていなかったが、できるだけ自然な状況で保存するようご意見をいただいていたので、そのようなかたちで保存し、内部には明かりを灯して、外から見学ができるよう整備している。結構多くの方にご覧いただいており、私どもは特に手は加えず、たまに草を刈るといったかたちの維持管理をしている。

 

委員

 私は、構造物の維持管理に関する研究・教育を専門としているが、最近、長崎県、長崎市からは、老朽化したインフラをいかに維持管理していくかというご相談を承っている。予算が限られているなかでいかに優先順位を決めて進めていくかということが課題となっているが、被爆樹木の保存についても予算が限られ、優先順位を決める必要があるのか。

 

事務局

 当然、その時々の予算の状況などはあるが、私どもとしては被爆の痕跡が残っていれば、その痕跡をどう保存するのか、樹勢をどう保つのか、その辺りは一概にこれが先というのは言えないので、そのときの状況を見ながらできるだけの努力をしていこうと考えている。

 

委員

 山里国民学校防空壕の入り口がセメントで固められて、当時とは非常に様子が変わってしまっているので、それを元に戻してほしい。

 また、爆心地公園の被爆地層展示において原爆瓦の上に釘が何本かのっていたが、錆びて釘が分からなくなってしまっている。火箸も次第に錆びて、金属部分が崩れていくような状態になっている。さらに、梅雨時になるとガラスが曇って中が見えない。そういった点をどう改善したらいいのかお尋ねしたい。

 

事務局

 山里国民学校防空壕は、当時の原子爆弾被災資料協議会で被爆者の委員のご意見もお聞きしたうえでコンクリートで保存することとし、非常に立派なモニュメントとはなったが、当時の防空壕の状況とは違うのではないかというご批判もいただいた。その経験に立つとともに、平和公園の防空壕跡はできるだけ自然な状態で保存すべきとのご意見もいただいたので、そのように整備を行った。今また山里国民学校防空壕を、整備から一定時間が経過したことでコンクリート部分を取り崩して新たに整備し直すということにはならないが、自然な形状の防空壕跡としては平和公園の防空壕跡をご覧いただければと考えている。

被爆地層の展示については、土中の水分の影響や地層そのものが風化していく状況がある。地層に関しては、切り取って樹脂で固めて展示する方法もあるが、技術的な面も含めてもう少し検討させていただきたい。

 

事務局

 爆心地公園は、長崎原爆遺跡の中心地として国史跡の指定範囲に含まれており、被爆地層の展示も含まれる。その長崎原爆遺跡を国文化財としてどのように保存・活用していくか、専門の審議会(国史跡長崎原爆遺跡保存整備委員会)で議論が始まったところである。委員のご意見についても、その審議会で審議をお願いしたいと考えている。

 この長崎原爆遺跡には、原爆が炸裂した直下の爆心地公園のほか、これまで長崎市が被爆建造物として独自に保存・公開を行ってきた旧城山国民学校校舎や山王神社の一本柱の鳥居などが含まれている。

 

事務局

 技術的には、考古学でも遺構をどのように残すのかというのは非常に問題になっている。水と金属との相性は非常に悪いから、水が出入りすることによって鉄が崩壊していくという流れになっていく。これを止めるには、樹脂等で固めるという方法があるが、樹脂を付けることによって今度は光って見えてしまうということがあるので、土層を常に削り続けない限りは、きれいな状態で保ち続けることはできない。質感を変えて固めてしまうのか、それとも新しい面を削りながら常に見せていくのかは、非常に慎重に考えていきたいと思っている。ただ、見学者がこの地層を見て何があるのかよく分からないほど崩れるのは問題なので、そこは審議会で専門家の方々と一緒に考えていきたい。

 

委員

 長崎の場合はまず復興ということで、原爆の遺構を粗末に扱うと言えば語弊があるが、長崎医科大学の門柱がずれたというくらいでは原爆のすさまじさは伝わらない。長崎の浦上の人々にとっては、大学病院の原爆で焼けて真っ黒になった状況や煙突2本のうち1本が折れかかっていた状況が強く印象に残っている。山王神社の鳥居は、一本柱になった二の鳥居だけを見せるのではなく、浦上駅から山王神社に行くまでの状況、今の活水高校にあった鎮西学園も何年も真っ黒な状況で、公共の建物については、被爆当時の状態を説明パネルで現地に残さなければ、遺構を潰したあとには何もない。人が言うことよりも実際に目に入るものが、やはり頭に残ると思う。予算の都合もあるだろうが、この辺りは少し考えたほうがいい。

 

委員

 被爆樹木にはもちろん寿命はあるが、シンボルツリーは2代目、3代目となっているところもあり、それは先代も非常に大切に保存しているので、そういったかたちで保存をすべきではないか。

 

委員

 樹木の保存となると延命が大事になってくる。人間で言えば健康診断を毎年することによって、数値の変化で判断をする。今回は一通りの樹木をパトロールして写真も撮影し、医療でいうカルテが作られている。そのカルテを累積していくことによって、より正確に健康度合いが分かる。

 目視によるパトロールはそれ程費用もかからないので、できれば毎年、もし不可能なら最低でも2年に1回ぐらいはその樹木の変化を比べながら調査すると健康の度合いが分かると思うので、パトロールを継続してほしい。

 

 

(2)事務局から被爆樹木パトロールについて説明

 被爆から72年が経過する中、樹木の成長に伴い痕跡が見えにくくなっているものがある一方、樹勢が衰えているものもあり、改めて被爆樹木の現状や被爆の痕跡を調査するため被爆継承課職員と樹木医で実施したパトロールの結果について説明。

 

 

〔質疑応答〕

委員

 先ほど委員から、目視でもいいから年に1回パトロールをと仰っていたが、大事に成果を見ていくという意味で、年に1回のパトロールはできないのか。

 

事務局

 被爆樹木のパトロールは今年初めて実施し、今後更に精密診断が必要な樹木については、超音波を使った調査を検討しているが、市議会の予算審査を経た後でなければ具体的な話はできない。我々としては樹木医の協力を得て定期的にパトロールを実施していきたいと考えている。

 

委員

 被爆樹木については定期的なパトロールが必須だと思う。城山小学校には嘉代子桜というのがあり、これに多額の予算をつぎ込んで樹勢回復の措置を取られたが、これは被爆樹木ではないので原爆被爆対策の一環として行われたわけではないはずである。そういうものからすると、他の政策よりももう少し重視した取り組みが必要ではないか。

 

事務局

 城山小学校の嘉代子桜は、被爆の痕跡があるものではなく、その後に平和を願って植樹したものである。一定の時間が経過するなかで、非常にモニュメントとしての価値も高いという判断で、樹勢の保持もしている。被爆樹木についても、枯れた後でもある種の平和祈念樹というような新しい概念で捉えないと捉えきれない側面もある。そのような捉え方も今後は大事になってくると思うので、予算全体のなかでどうやり繰りするか非常に難しいところはあるが、両方含めて大切なものということで、今後とも枯れた後に関してもきちんとした措置をしていこうと考えている。

 

委員

 個人の所有の樹木も多いので、どのタイミングで原爆資料館の庭園に移設するのか、枯死の直前でも移設して延命措置をとるのか、枯死した樹木をどのように収蔵庫内で保存するのかといった枯死に至るまでに施す措置のガイドランを今後検討するといいのではないか。

 

事務局

 枯死しても現地で保存処置を行って、現地で見せ続けることが望ましいのか、それとも現地から離して原爆資料館で皆さんにご覧いただいたり、断面を見ることで内部の状態や被爆したときの樹皮の焼け具合の調査につなげるなど別の側面から活用したほうがいいのかは、個々の事例によって少しずつ異なるので、委員の皆様方のご意見をお聞きしながら研究していきたい。

 

会長

 被爆樹木に限らずパトロールというのは非常に大事なことだと思う。ただ、予算等にも限りがあるだろうから、事務局だけでなく地域の皆様の協力をいただくということも非常に大事ではないかと考えている。例えば、自然災害の後などは特に自治会長さん等含めて地元の方々の情報提供等も非常に大事になってくると思うので、その点等も今後事務局でご検討いただければと思う。

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