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第2回(平成26年度第1回) 高島炭鉱整備活用委員会

更新日:2014年9月2日 ページID:025894

長崎市の附属機関等について(会議録のページ)

担当所属名

総務局 世界遺産推進室

会議名

第2回(平成26年度第1回) 高島炭鉱整備活用委員会

日時

平成26年5月27日(火曜日) 13時30分~

場所

市政会館5階会議室(東京都千代田区日比谷公園1-3)

議題

高島炭鉱保存管理計画について 

審議結果

【事務局】
第1章は、経緯、目的、計画対象範囲、長崎市の歴史等を整理した。端島の全島を計画の対象範囲と設定した。
第2章は、端島炭坑跡の立地環境や歴史(生産、居住、護岸)、各遺構の概要と保存管理状況をとりまとめた。また特色や課題等についても整理している。遺構については、これまで、生産エリア、居住エリア、護岸エリアの3つに区分して整理していたが、更に島内に残存する「石積み擁壁」と「外周護岸」とを加えて整理した。
第3章は、史跡の価値、保存管理の目標、基本方針、史跡の構成要素等を整理し、要素ごとの課題、劣化度、貢献度を整理した。また、貢献度と劣化度から優先度の考え方を整理した。保存管理計画中心となる現状変更の取り扱い基準を第3章の8で整理した。
端島の歴史、環境、遺構の概要、価値や構成要素などは高島炭鉱調査報告書から整理した。

世界遺産価値の保全という観点から高島炭鉱の保全に求められるポイント
【オブザーバB】
高島炭坑、端島炭坑は、長崎沖の同一の海洋炭田を資源とした海洋炭鉱の発展を示している。1850年代から1910年にかけて日本の製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業が西洋技術の移転を受けて急速な産業化を果たした。これは非西欧諸国において初めてのことであった。高島炭鉱と端島炭坑をセットにしたこのサイトは、石炭産業の初期の西洋技術の導入とその発展期の姿を現しているという価値がある。
価値が評価されるRC(鉄筋コンクリート)住宅については文化財保護法により保護措置が必要となる。また、1910年までに設置あるいは造成、土地利用で整備された部分に対しては保全する。島全体の廃墟としての雰囲気は保持する必要がある。人工的整備、復元的整備、行きすぎた物件の撤去などにより廃墟としての価値を損なうと、世界遺産価値に影響を与える。

2章4 端島炭坑跡の遺構の概要と保存管理状況について
【事務局】
護岸は石積み護岸とコンクリート護岸に区分できる。石積みは天川(あまかわ)を使っているものと使っていないものがある。

【B委員】
島の内部で確認できる擁壁は、島を拡張した際の護岸であった可能性があるのか。

【事務局】
逐次埋立しているため、居住エリアの中の護岸のうちいくつかは、埋立の変遷に関与している。

【A委員】
天川という言葉は長崎地方特有のものか。

【事務局】
長崎地方でよく使われている名称で、一説ではマカオとかかわりがあると言われている。出島オランダ商館跡でも見られ、水回り、井戸などに使うのが一般的で、石灰と赤土を混ぜて作る。

【C委員】
島の拡張を証明する石積み護岸等は確認されていないが、明治26年、明治30年の拡張範囲を決めた根拠は何か。

【事務局】
変遷図は資料『端島礦概要』に記載の拡張図を元にした。

【C委員】
島の拡張の変遷を示す物証を得るための調査が必要になるかもしれない。

【C委員】
護岸については、もう少し整理が必要である。擁壁は石積み擁壁とコンクリート擁壁に分けられる。石積み擁壁は、護岸擁壁と非護岸擁壁に分けられ、コンクリート擁壁は、護岸擁壁となる。特にコンクリート擁壁の中の護岸擁壁については、現況も護岸として機能している。それぞれの保存管理の方法が異なるので護岸の分類は精密に行なうべきである。

【B委員】
保存管理計画に直結する問題なので、生産施設、居住施設、護岸の3つの概念は柱として動かさないで議論した方がよい。護岸はいつどのような工法で作られたとしても守らなければいけない最重要施設である。

【A委員】
護岸遺構の建設年代は、変遷図を重ね合わせて年代を推測しているという注記をすること。

2章5 史跡の特色と課題について
【事務局】
端島炭坑は、

  1. 明治期の島の拡張を物語る護岸遺構
  2. 海底炭坑の開発で4つの竪坑跡が遺構として残存
  3. 各年代の生産施設がそれぞれ残存し、独自の技術導入や技術革新を裏付ける生産施設遺構群
  4. 生産活動と一体となった超高密な居住環境の形成を示す居住施設遺構群であり、最盛期には5267人。人口密度はヘクタール1400人という高密な島
  5. 独特な地域コミュニティを生み出す居住施設の遺構群で、島の形成から閉山、現在までの風化の過程を形成

というのが最大の特徴になる。
本質的価値の保存・継承に当たっての課題は次のとおりである。

  1. 外周護岸の保全・復旧が必要で、放置すれば遺構が崩壊や消滅する。
  2. 価値づけ、劣化状況に応じて優先度をつけながら段階的に保存、延命の措置に取り組んでいくことと記録保存が必要である。優先度の設定の仕方、保存管理方法の確立が必要である。
  3. 地下遺構の調査が不十分なので、確認をする必要がある。また、島の形成の過程や護岸の調査を行なうことにより、護岸遺構について見えてくる部分がある。

【事務局】
劣化の状況を観察する必要がある。そのため2年前に日本建築学会に依頼して居住施設を中心に劣化調査をしてもらった。また、今後10年程度かけて島を調査することになっており、調査結果は、その都度長崎市に報告される。

【C委員】
2-81、「遺構等の崩壊や滅失の可能性を前提とした保存管理の考え方の整理」で、本質的な価値として世界遺産でも位置づけられている生産施設については、崩壊、滅失をさせない、万全の措置を尽くすということを明確に打ち出すべきである。

【F委員】
史跡は永久保存が前提であり、崩壊、滅失の可能性を述べるのは矛盾する。

【オブザーバA】
現実的にはすべてのものを現状のまま維持し続けるということは困難である。一方で、史跡になる場合には現状保存が第一になる。文化庁も考えが明確にできていないところもあるが、単純な見守りという形では難しいだろうと考えている。生産施設や居住施設の代表的な建物については、劣化防止策をとり、それ以外の建物については、劣化状況をモニタリングする。軍艦島の極めて劣化している状況についての取り扱いとして、少し分けて考えるということがよいのではないかと考えている。

【F委員】
木造建築は修理方法が確立しているので永久に残すことも可能だが、RC建築の場合には1回壊れだすとどんどん壊れていくので、端島のように放置されて何十年も経過している例はあまりないので、例外的な扱いとなるのではないか。

【オブザーバA】
史跡として風化の過程に価値があるというとらえ方は、文化財と言えるか整理が必要である。
4.生産活動と一体となった超高密な居住環境の形成を示す居住施設遺構群、5.職住一体の島における独特な地域コミュニティを生み出す居住施設の遺構群はまとめて記述してはどうか。
端島は産業史的な価値があるので、「史跡の現状と特色」として護岸遺構よりも、生産に関する話を先に記述する必要があるのではないか。
史跡指定となる場合、意見具申や文化審議会との整合性が必要となる。

【D委員】
2.海底炭坑の島の開発を象徴する4つの竪坑跡と3.独自の技術導入や技術革新を裏付ける生産施設遺構群とを分けて書くほどの独自性はない。むしろ竪坑を中心とした炭坑開発に伴う技術導入という位置づけのほうがわかりやすい。

【F委員】
保存管理については、居住施設よりも生産施設の比重を大きくした方がよい。

3章1~6について
【事務局】
3章の本質的価値は、調査報告書4章、5章の引用である。端島炭坑跡の価値として、海底炭坑の島、技術変遷の特性を「本質的価値」ととらえ、生産活動と一体となった超高密な居住環境の形成とコンクリート構造物群の科学的な価値を「密接に関連する価値」と整理している。
保存管理の目標として、「炭坑の島としての形成から閉山、風化の過程がすべて読み取れる産業遺産」、生きたミュージアム(史跡の保存と学習・研究拠点)として保存管理をすすめ、価値を国内外に発信していくことを掲げている。基本方針としては、1節の史跡の本質的価値で、史跡を構成する要素を、「本質的な価値を示す構成要素」と「本質的価値に密接に関連する要素」、「それ以外の要素」に区分し、2節、3節、4節では課題・対策と劣化度を整理して、さらに5節では諸要素ごとの貢献度を整理し、6節で優先度と段階的な考え方を整理した。7節では、諸要素の劣化状況やゾーン区分に応じた保存管理の内容と現状変更の取り扱い基準を示している。
史跡を構成する要素を「端島炭坑の本質的価値を示す要素」「端島炭坑の本質的価値に密接に関連する要素」「それ以外の要素」の3つに区分しており、それぞれの区分に価値と要素を整理している。この要素区分した上で、現状からの課題・対策と劣化度を、それぞれ要素ごとに整理している。
本質的価値への貢献については、細分化して、特に貢献度が高いものを◎、貢献度ありを○とし、○の数によって貢献度1)、2)と分類した。居住施設の遺構の価値の貢献に関しては、規模・歴史性、外景観、内景観を◎、○で評価区分をしている。護岸、擁壁も同じである。それらをもとに貢献度と劣化度を組み合わせて優先度を短期A、B、中期、長期、その他と分けて整理している。
島全体を守る外周護岸があって、本質的価値を支えている生産施設遺構、護岸遺構、その後に居住施設ということを同時並行に準備を進めていくという考え方で整理した。

【A委員】
長期というのは、比較的安定しているから少し待ってもいいというものである。緊急度A、B、C、Dなどの表現に変えたほうがよい。
「本質的価値」と「密接に関連する要素」という区分は、主に生産施設と居住施設に分けて表示しているが、「密接に関連する要素」という表現を別の表現にすることはできないのか。
保存管理の目標として、風化の過程がすべて読み取れる産業遺産というのを前面に打ち出すわけだが、これは公開の目的としてはいいのかもしれないが、ここに持ってきて差し支えないものかどうか。

【オブザーバA】
風化の過程が読み取れるということを大きく評価すると、生産施設が風化していくことがいいことだととらえられる。文化財の史跡としての価値と風化は別の価値を有しているので整理する必要がある。

【D委員】
要素は孤立して存在しているのではなく連携して生産システムとして動いているから、産業遺産として何を本質的なものとして残していくのかという全体的な価値判断をした上で個々の構成要素についての判断をすべきである。
構成要素を考えていく上で、大正期以前、昭和戦前期、昭和戦後期の3期に分けて、それぞれのシステムで本質的なものは何なのかというシステムそのものをまず判断するという視点が必要である。

【A委員】
◎の数で貢献度1から5を判定するのは問題がある。貢献度の段階評価を見直す必要がある。

【事務局】
『高島炭鉱調査報告書』の中で居住施設の貢献度を評価したため、同様に生産施設等も評価しなければならないと考えた。生産施設と護岸施設は本質的な価値に貢献するものであるから、それについては貢献度や劣化度ではなく、時代や全体のシステムの中でどういう価値を持っていたのかを評価し整理し直す。

3章7、8について
【事務局】
保存管理の方法は、「保存のための管理」と「復旧」に分けて整理している。
維持管理としては、点検・観察で、日常的巡回、定期点検、異常時の点検、データの蓄積、モニタリング、定点カメラでの監視を行う。維持的な措置では、遺構の劣化の影響、景観を阻害する樹木の伐採、軽微な補修改善を行う。保存施設に関しては、標識や説明板の設置、防災では、自然災害、人為的な災害への対応というのが主たる管理の枠組みである。
復旧に関しては、保存処理ということで、劣化度判定によって区分され、進行防止、あるいは速度を抑えるために構成する材料の性質や劣化の原因等によって保存処置方法を選定しながら優先度を加えて計画的に保存処理とともにモニタリングを行う。劣化度判定が難しいとなった場合には、記録保存を行う。なお、修復の段階では補強・補修、復元の段階では、できるだけ元の材料を用いて行う。
現状変更の取り扱いについては、原則として史跡指定地内においては遺構調査や学術調査、史跡の保存管理及び整備活用上必要な行為以外の現状変更は認めない。史跡指定地内には便益施設もあることから、遺構保存のための補修・補強と、復元修理や公益上の行為に係る現状変更については、史跡の価値に影響を及ぼさない範囲で認める。許容される行為としては、遺構調査、学術調査に必要な行為、史跡の保存管理及び整備活用上必要な行為があり、公益上必要な行為としては、関連する土木工事関係、見学施設の便益に関わる行為、許可が不要な行為としては、維持の措置、あるいは非常時の応急措置がある。
この考え方に基づき、要素ごとのゾーン区分を整理し、現状変更の取り扱い基準の中に書き込んでいる。

【C委員】
保存のための整備と活用のための整備という2つの観点で整理してもらいたい。

【E委員】
何のためにゾーン区分の設定をしたのか。また、ゾーン区分と現状変更の取り扱いの関係は何か。ゾーン分けで許可申請の対象行為が変わるという話か。

【事務局】
現状変更の取り扱い基準は、ゾーンによって書き込む内容が変わってくる。そのためゾーン区分をしている。

【A委員】
「ゾーン区分と現状変更の取扱基準」については、4章か5章の整備活用の中で、現状変更が必要となった際に、どのような手続きが必要で、どのような基準に基づくのかという話の中で説明した方がいい。

【オブザーバB】
世界遺産を推薦するときに保全管理計画を提出しており、この整備活用検討委員会と内容が重複してくるところがあると思うので、その関係性をうまく整理するため保全管理計画の位置付けについてを総論で記述していただきたい。

【事務局】
以上で第2回高島炭鉱整備活用委員会を終了する。

お問い合わせ先

総務部 行政体制整備室 

電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(9階)

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