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第36回長崎市原子爆弾被災資料協議会

更新日:2013年3月1日 ページID:006674

長崎市の附属機関等について(会議録のページ)

担当所属名

市民局原爆被爆対策部被爆継承課

会議名

第36回長崎市原子爆弾被災資料協議会

日時

平成23年10月26日(水曜日)午後1時30分~午後3時

場所

長崎原爆資料館2階会議室

議題

協議:平和公園下防空壕について

報告:鎮西学院中学校について

審議結果

協議:平和公園下防空壕について

1 経過説明

事務局
平成23年10月7日に、平和公園入口のエスカレーター工事に伴い、取り外した石垣の場所に防空壕の入り口が露出している旨の連絡を受け、当館職員で現地を確認いたしました。その後、11日に内部に職員を入れて、防空壕の構造、内部の状況などを確認し、以降継続して調査を行っております。平成23年10月14日には作業部会のみなさまに現地視察いただいております。

現段階での調査内容を資料をもとにご説明いたします。資料の1ページをご覧ください。「平和公園防空壕写真位置図」をご覧いただきますと、3.と4.の2本の入口は内部でつながっていること、4.の防空壕の入口から入るとすぐに右に折れ、分岐している様子などをご覧いただけます。また、露出しております3.と4.の2箇所の入口に加えまして、国道側から見て右にもう1箇所11.の入口があることがわかりましたので、平成23年10月24日に確認を行い、幅90センチ、高さ20センチの入口が露出しております。この時の写真をプロジェクターに投影しております。「平和公園防空壕写真位置図」の写真8.をご覧ください。内部の写真をご覧いただいてわかりますとおり、非常に多くの生活廃材等が防空壕の入り口付近に集中して詰め込まれていることがわかります。また、内部の調査に加えまして、被爆資料の収集も行っております。現時点で、50を超える被爆瓦を収集しました。今回収集しました被爆瓦は原爆資料館収蔵の爆心地附近で被爆したものと比べますと、被爆瓦特有の火ぶくれの大きさが小さいため、この防空壕附近で被爆したものではない可能性があります。

事務局
工事の内容について説明します。(パース図、位置図を表示の上、工事について説明)

現在既存の階段の横右側に約1メートルの緑地帯を作り、その右側にエスカレーターを設置します。中は、上り下りの2レーンになっております。中央の黄色い屋根のトイレ部分までを今年度の工事で、その上部を次年度で、2か年で工事を計画しています。今年度計画している入り口部分の石垣を平成23年10月7日にはずしているときに防空壕を発見しました。

一番左の入り口部の防空壕はエスカレーターの構造図と重なります。

左から2つ目の入り口は、エスカレーターの外側の箱を掘削するときに影響が出ます。最後に発見された3つ目の入り口の部分は、現在の工事には影響ありません。

2 作業部会による調査の報告

委員
平成23年10月14日金曜日行った作業部会について報告します。

まず、林重男氏が昭和20年に撮影した、山里町の高台から爆心地方面をみたパノラマ写真を用いて、当該防空壕の確認作業を行いました。しかし、戦後の道路拡幅の際に当時の県道を平和公園側に拡幅しているため、当時の坂段と現在の階段では形状が異なっており、現時点では被爆写真中のどの部分が当該防空壕であるか確認できませんでした。

次に、この防空壕の歴史的な意味合いについて検討しました。この防空壕は、被爆の痕跡は残っておりませんが、昭和19年ごろから焼夷弾を逃れるために作られたものが、原爆の後は被爆者や引揚者の仮の住居になったという、戦争中と戦後の暮らしを伝える遺構として貴重なものであり、できるだけ残したほうが良いというご意見をいただいた一方で、全面的な保存が難しい場合でも、爆心地に非常に近い防空壕であり、一部保存の上で案内板を設置し、平和学習に供したらいいのではないかという意見がありました。

3 協議

1. 防空壕が作られたころの時代背景、被爆後の状況、復興途中の状況について

委員
この辺りの、どの防空壕かはきいていないが、中にいて助かったという話を聞いている。赤迫のトンネルの防空壕とは違い、この防空壕は地域の人たちの命を守るものという意味合いがある。

委員
当時の浦上刑務所付近を撮影した写真でもわかるとおり、今回露出したもの以外にもこの辺りには防空壕がたくさん掘ってあった。

数年前、その中で被爆した方が当時のことを証言されていた。

昭和19年に当時の内務省が各都道府県知事に対して県の整備要綱を定めて通達したため、町内会・学校・職場などで市民の手による防空壕がたくさん作られた。

委員
防空壕は当時の生活状況と密接な関係がある。当時その地域で生活していた方を探して話を聞いたほうがいい。

防空壕は入口がたくさんあって、中で連結しているが、その理由は、空襲を避けるためにすぐにどこかの入口に飛び込めるという知恵と、中で連結することによって家族や知人を探すことができるようにするためだ。

この平和公園下の防空壕のような形態はあまり見たことがなく、珍しいものではないか。

委員
山里町の町の防空壕に原爆の翌日にはいったが、L字型で行き止まりだった。平和公園下の防空壕は個人や隣組、町内会で掘られたものではないか。会社で掘られたものは地下壕が多い。記録としては残ってはいないが、大きなものでは、大波止、樺島町、築町の下にトンネルがあり、原爆の前には完成していたそうだ。防空壕は、昭和19年から急に掘り始めたので、未完成なものもかなりある。

この、平和公園下付近の防空壕に入って助かった、という人は他にもいるが、そのことを公表したくない人もいる。そういう方が証言して欲しい。

委員
私は諫早だが、小さいころ近くの防空壕にはいって遊んだ記憶がある。委員さんがおっしゃったように3本あって奥でつながっていた。

2. 防空壕の歴史的な意味合いについて

委員
赤迫のトンネルもそうだが、三菱電機の裏にも長いトンネルがあり、昭和18年から19年にかけて掘っていた。自分も実際掘る作業を手伝った。これは施設を待避させる場所で、赤迫のトンネルと同じ目的で掘られたものだ。家庭の人を退避する場所として、自宅にも2つの防空壕を掘った。各家庭で、できるだけ1つ以上の防空壕を掘るように言われていた。大体、一般的に掘りはじめたのは19年ごろではないか。

委員
この防空壕には当時のコミュニティを知る意味でも歴史的な価値がある。ここは中心地でもあり、当時の生活者と防空壕をつないで平和活動に活かすことができないか。

3. 防空壕の保存活用について

委員
山里小学校の防空壕は被爆建造物等にランクづけされているが、この防空壕は、作業部会でランクをつけていないのか。

平和公園のそばにある防空壕で非常な価値がある。平和を訴える強力なメッセージがある。いろんな状況を踏まえ、いろんな方の声を聞いて、ぜひ保存していただきたい。どんな保存方法になるか、ランクによって活かすべきではないか。

委員
「長崎市被爆建造物等の取扱基準」を確認すると、今回の平和公園下の防空壕は、第4条(1)の後半「著しいこん跡は認められないが、当時の社会的状況を特に強く示唆するもの」に該当すると思う。貴重な被爆遺構として、Aランクで保存するべきである。

委員
平和公園の玄関口のところにあり、見学する資料として非常に使いやすい。場所がいい。何らかの検討や補強工事も必要と思うが、住民のための防空壕として、最も見学しやすい場所にあるので、ぜひ保存していただきたい。

委員
被爆建造物等ランク付一覧表には山里小学校防空壕以外は出てこない。山里小学校防空壕は、林先生という生き残った先生が、防空壕に飛び込んで助かったと証言されており、見学者が多数訪れるものの、地盤がゆるく崩落の危険があったため、補強工事をするべく被爆建造物等に指定して保存した。

市内には、他にも防空壕がたくさんある。

現在、エスカレーター工事が停止している状態で、支障をきたしている。工事にかかる2つの防空壕に固執しないでもよいのではないか。2つの防空壕はつぶして、工事に影響ない3つ目を残したらどうか。ぜひ防空壕は残したいが、「これしかない」わけではなく、3つ目を保存すれば工事にも支障は出ない。

委員
既にある防空壕には説明板がついているが、その位置づけはどうなっているのか。これらは被爆建造物等ランク付一覧表には記載がないと思うが。

事務局
11.の防空壕から奥に山沿いに回り込んだところにある既存の防空壕には、地元からの要望により石垣で塞いだものもありますが、資料に赤で示したアーチ型につながっている防空壕には、前述した林重男氏撮影写真などを使い、付近に多数の防空壕があったことを説明する碑銘板をつけております。

さるくや碑めぐりのコースともなっております。

委員
被爆遺構は、当時の生活状況を表すものとして貴重であると考える。当時の証言が出てくれば、この防空壕の位置づけがはっきりするのではないか。もう少し当時の体験者の意見をききたい。

委員
今残っている防空壕は、鉄柵等ふさがれており、中の様子を伺い知ることができない。この防空壕はかなり大規模なものと思う。できれば、エスカレーター工事にかからない範囲で残し、平和学習に役立ててほしい。4.と11.の入り口を残して中がつながった状態を保存して欲しい。

委員
防空壕は、当時生き延びるためのホールであった。今、平和のための歴史的メッセージを示すものとして、何らかの知恵を絞って保存して欲しい。エスカレーターの設置以上に意味がある。工事は変更できないのか。平和公園周辺の環境が平和祈念像と連続しているのか、歴史的な重みのあるものとして大事に扱って欲しい。今の平和祈念像は戦後にできたもの、今回初めて、防空壕という当時のコミュニティを伝える物件が出た。これを活かさなかったら恥ずかしい。(委員の求めにより、事務局による防空壕位置図の再説明)

委員
もう少し知恵を出して、設計変更の余地はないか。

事務局
残すとしましたら、どのような設計になるのかを含めて検討中です。その場合のデメリットもあると思います。中心地と祈念像地を結ぶラインとしての整備も併せて検討中です。現在の祈念像地区の整備も、平成6年に計画し直しているので、当時のコンセプトに沿うような代替案があるのかを含めて検討中です。

委員
今日の意見を踏まえて、計画変更の可能性はあるか。

事務局
委員の皆様のご意見を参考にいたします。

事務局
既存の防空壕の説明板が小さいと思います。こういう防空壕が平和公園のところに無数に掘られていたということをしっかり伝えていきたいと考えております。今回の整備工事で広場ができましたが、現在、既存の防空壕を案内するためのスペースが狭いので、案内スペースの確保も含めて方策を考えてまいりたい。防空壕群、という形でしっかり伝えていきたいと思います。

報告:鎮西学院中学校について

1 作業部会による調査の報告

 委員
平成23年8月10日水曜日に作業部会委員の皆さまにお集まりいただき、現地視察及び協議を行いました。

まず、現地視察を行いました。作業部会では、被爆した部分を補強して現在まで利用していた1階と2階を視察しました。既に解体作業が始まり、被爆後に活水学院が使用するにあたり、壁面強化に使用されたモルタルなどがはがされておりました。黒色に変色した部分がございましたが、被爆によるものなのか、コンクリートの経年変化による変色なのか目視による確認はできませんでした。

協議におきましては、説明版の設置が可能かどうか、校舎の部材のうち、鉄筋が用いられている部分が印象的なものであるため、なんとか寄贈いただけないかなどのご意見があり、資料館側にその旨努力していただくということになりました。

2 事務局による調査後の経過報告

事務局
平成23年8月10日、作業部会のみなさまにご視察いただきましたのち、作業部会のみなさまのご指摘がありました被爆資料につきましては、活水学院との協議の上、資料として、鉄筋が入っているコンクリートとレンガを採取させていただきました。

その後、平成23年9月20日に地下壕が地下室跡にあるとの連絡を受け、防空壕外部からの視察を行い、平成23年10月7日に内部の調査を行いました。

これまでの内容を写真を通してご説明いたします。写真1.をご覧ください。右側に重機が写っており、そのすぐ左に見える穴が今回発見された地下壕です。左側に見えるのが、被爆校舎の一部でモニュメントとして保存する部分です。写真2.のように、平成23年9月20日の時点では、地下壕入口付近から内部をのぞきこみ写真等を撮影しております。写真3.をご覧ください。平成23年10月7日の時点での現況です。地面より非常に掘りこまれていることを見ることができます。写真4.をご覧ください。正面に見えている建物が木造校舎で、この下を地下壕はとおっております。この部分について、学校側も何らかの保存をするということで作業を進められています。写真5.が内部の様子を示しています。崩落している部分を乗り越えながら調査となりました。校舎解体のため、地下壕の上部構造物がなくなり、雨水の浸食や振動が直接地下壕に影響を与え、崩落を促進している様子となっていました。

今後も、被爆校舎の一部として保存されたモニュメントや、説明版の設置、地下壕の件などについて、活水学院と密接な連絡を取っていくこととしております。

(質疑応答)

委員
長崎に落ちた原子爆弾は、人類初のプルトニウム爆弾であり、強力な放射性物質を放出している。

今、福島で放射線による被害が問題になっているが、このように、鎮西学院地下壕など新しく被爆遺構が発見されたときは、市として放射線の測定をし、検証をするべきである。

(その他)

委員
今日の協議会で意見が出たが、今後の市のスケジュールは決まっているか。

事務局
ご意見を受けて、内部で検討します。最終的には市の方で判断することになると思います。日程などは詳報します。

お問い合わせ先

総務部 行政体制整備室 

電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(9階)

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