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更新日:2013年3月1日 ページID:006623
経済局文化観光部文化財課
平成23年度長崎市伝統的建造物群保存地区保存審議会
平成24年2月15日(水曜日)午前10時~
長崎市民会館2階第1会議室
審議事項
(1)伝統的建造物群保存地区内の保存計画における特定物件の追加について
(2)保存計画の修正(案)について
報告事項
(1)平成23年度補助事業について
(2)平成24年度補助事業について
(3)その他
審議事項
事務局
(1)「伝統的建造物群保存地区内の保存計画における特定物件の追加について」
環境物件の特定を行う。町村氏宅石垣の場所は南山手地区のどんどん坂の近辺で、建物は伝統的建造物に特定されている。石垣の規模は東側が17.8メ-トル、南側が10.9メ-トル、高さ2.5メ-トルである。防空壕があるが、全体として造成当時の姿をよく残している。造成年代は、古地図に、明治30年代の石垣の表記があり、町村氏宅が明治中期建設とされていることから、建築年代とほぼ同じ時期か、少しさかのぼると考えられる。岡林先生の所見のなかでも、隅部の曲線に積んだ石垣に特徴があり、明治30年代居留地拡張時の石垣の特徴を示し、伝統的建造物群保存地区の環境物件として指定するのに相応しい石垣であるとの評価をいただいている。
委員
町村氏宅の石垣を追加する意味は何か。
事務局
石垣が崩れたため確認に行ったところ、かなり古いことが判明したので指定したい。
委員
石垣に私的に木を植えているが、石垣に影響はないのか。
事務局
所有者に管理を任せています。
委員
今後、どのように改修していくのか。
事務局
一部崩れているが、全体的には安定しています。石垣の補強などは慎重に検討すべきと考えます。
委員
崩落の幅はどれくらいか。
事務局
約1.5メ-トルです。
委員
石垣に鉢を据えるのは、石垣に影響がなくても、景観形成地区としては問題がある。
会長
町村氏宅石垣を特定物件に加えることに賛同いただけるか。賛同いただけるようなら、保存計画の改正についてはどうか。
事務局
町村氏宅石垣は195番に特定することになります。
会長
保存計画に町村氏宅石垣を195番に特定することでよいか。
会長
出席者の同意が得られたものとする。
報告事項
事務局
1番目は東山手地区の野村氏宅保存修理で、全解体修理です。修理工事の費用は1500万で、このうち補助金が約1000万です。
会長
補足はあるか。
事務局
内部の構造材はあまり使えなかったが、小屋組材と持ち送り材が使えました。外壁から色も検出しました。
会長
他にないようなら、次の案件を説明ください。
事務局
2番目は東山手地区の活水学院茶道部部室保存修理。外壁の塗装の修理が主体で、屋根や建具の修理も行いました。
会長
ペンキの材質について補足されたい
事務局
ペンキはSOP(合成樹脂調合ペイント)を塗料として使いました。
委員
SOPの使用は現存しているものに近づけるという意味か。
事務局
文化庁は重要文化財には実績のないウレタン系ではなく、SOPと指導しています。SOPは素材を傷めずに塗料だけ剥げます。
会長
他にないようなら、次の案件を説明ください。
事務局
3番目は東山手地区の同窓会館保存修理。当初は外壁のペンキの塗替えだけだったが、ベランダの柱や梁の腐食が激しく、また煙突部分も劣化が著しく、追加で修理を行いました。塗装はウレタン塗装です。
委員
塗装の話では、同窓会館よりも茶道部部室の方が建物として価値があるということか。
事務局
そうです。茶道部部室は重要文化財十二番館の附属屋だったためです。
会長
他にないようなら、次の案件を説明ください。
事務局
4番目は南山手地区の町村氏宅保存修理です。場所はどんどん坂付近です。外壁の塗装の塗替えを前年度半分実施したので、本年度はその残りを実施しました。塗装はウレタンです。
会長
これについて、質問はありませんか。ないようなら、次の案件を説明ください。
事務局
5番目は南山手地区の旧羅典神学校保存修理です。この建物は重要文化財です。平成22年度・23年度の2か年事業で、屋根の葺き替え、外壁の修理・塗装、内部の天井のしっくいの補修、半地下部分の止水対策を実施しました。塗装はSOPです。
委員
展示はもとのままか。
事務局
展示はもとのままです。
委員
展示はどこがやっているのか。
委員
たしか、聖母の騎士さんだった。
委員
屋根には下地のスギ板の上に土が載っているのか。
事務局
そうです。
会長
他にないようなら、以上の5件で23年度の保存修理事業の報告は終わります。次に24年度の保存修理事業を説明ください。
事務局
1番目は東山手地区の旧長崎英国領事館本館保存修理。期間は23年度から10か年を予定しています。23年度・24年度で調査工事を行い、今後の方針を決めます。 明治41年以来大きな修理はありません。今回、一部基礎の調査もやっています。
会長
他に、質問はないか。
会長
審議会の要望として、10か年の期間中に、市民に対する現地説明会も安全に配慮しつつ可能な限り実施すべき。また、活用のあり方について広く市民に意見を募るべき。
委員
工事状況のパネル展示を東山手十三番館等ですべき。また進捗状況の動画も公開すべき。
事務局
工事期間中の見せ方も検討していきたい。
委員
それでは、次の案件を説明ください。
事務局
2番目は東山手地区の旧香港上海銀行長崎支店保存修理。レンガ造り3階建てです。正面側と奥側を調査工事します。過去に3回ほど修理しました。従来の樹脂系を用いた修理方法ではなく、石と補修材の界面を水分が行き来できるような修理方法を検討しています。
委員
木材の場合は乾湿の繰り返しは有効だが、石材の場合は単に劣化するだけではないのか。
事務局
そこの判断が難しいです。
委員
水分を寄せ付けないことが正攻法では。
委員
上から金属板でカバーすべき。また雨水が伝わらない工夫もすべき。
事務局
これらの指摘を検討します。
委員
石材を貼ったり、塗装をしたりして、水をシャットアウトすべき。
委員
柱の根元も心配。
事務局
地下の潮も石材の劣化を促すので、潮の遮断も検討しています。また、修理の方法について、文化庁も石材そのものを残すのか、劣化した石材を取り替えるのか、苦慮しています。
委員
石材の産地はどこか。
事務局
西彼杵半島の瀬戸、大瀬戸あたりです。
委員
石の種類は何か。
事務局
花崗岩、安山岩などです。
委員
取り替えは可能か。
事務局
結論はまだ出ていません。個人的には同じ材質であれば取り替えを考えたい。
委員
文化庁にはこのような案件の実績がない。
会長
文化庁が考えることかもしれないが、いつまでも応急処置でしのぐのではなく、石材の取り替えを検討すべき。
事務局
文化庁に、各石に番号をふって保管してどうかと提案したが、断られました。
会長
それでは、次の案件を説明ください。
事務局
3番目は南山手地区の清水氏宅保存修理。腐朽の生じた蔵の屋根および外壁等の修理です。
委員
主屋も伝建に入っているか。
事務局
入っています。
会長
他にないようなら、次の案件を説明ください。
事務局
十三番館はオランダ坂から活水女子大学に向かう途中にあります。平成18年に長崎市が取得しました。外観は水色で、1・2階とも大部屋3部屋、小部屋3部屋あります。平成23年4月から9月まで(社団法人)長崎市シルバー人材センターに利用業務委託し、10月からは洋館活用の方針を検討する社会実験として、NPO法人長崎の風と協働して管理運営しています。1階をNPO、2階を長崎市が担当しており、1階ではガイドサービス(無料、ボランティア)と喫茶サービス(有料)を提供し、各サービスに1人が常駐しています。平日は午前10時~午後4時、土曜日、日曜日、祝日は午前10時~午後5時。休館日は月曜日です。平成23年10月からの入館者数は少し増加しています。
会長
2階(長崎市管理の部分)はどうなっているのか。
事務局
2階はこれまで通り、十三番関係や世界遺産関係の展示をしています。
会長
会議室として貸し出していないのか。
事務局
現在、社会実験中で、位置づけが明確になっておらず、2階を会議室にすることも検討したい。
委員
入館者数だけでなく、どういう風に使っているのか、収支はどうなのか、経済的目標は何なのか、説明をもらいたい。
事務局
長崎の風は食事ケータリングサービスを利用したパーティの開催など様々な努力をしているが、収支は厳しい状況にあります。目標は持続可能な運営です。
委員
収支とは別に社会貢献の要素について聞きたい。イーゼルの保管場所や昼食の弁当を食べる場所を提供するとか。
事務局
収支だけでなく、社会貢献についてもしっかりと考えていきたい。
委員
建物の調度品が時代考証とあわないのではという意見が過去にあったがどうなった。
事務局
時代考証に即した調度品にするのか、現在の調度品を活用していくのか、社会実験で検討していきたい。
委員
審議会の発言をしっかりと受けとめ、結果を伝えるべき。
事務局
そのようにします。
委員
台所を整備して、本格的な食事も出すべき。
委員
事務局から、できないこと・やってみてダメだったことを報告しないと、提言しにくい。2階の活用も考えるべき。
委員
コーヒーが飲めることをもっとアピールすべき。
委員
館内の什器は当時のものではないことを一言書いておくべき。
事務局
検討します。
会長
洋館活用を民間に任せるべき。市はもてあましている。5年ほど前の洋館活用委員会の検討結果をもっと反映すべき。十三番館の収支など洋館活用のデータを公開すべき。十三番館で収益をあげて、南山手・東山手の市有洋館の補修代にあてるのが理想。ところで、長崎の風とどこを競争させたか。
事務局
10月以降未定の状態で、長崎の風からのみ具体的に協働で管理運営したいという提案がありました。
会長
おかしい。
事務局
4月以降は今回とは違う形での運営を考えています。
委員
東山手地球館をモデルとして運営すべき。
委員
問題が発生した時にすぐに問題を解決するシステムを構築すべき。
会長
長崎の洋館も神戸のように民間に活用させるべき。十三番館で最初の成功例を作ってもらいたい。十三番館で収益をあげて、他の洋館のせめて点検代くらいに回すべき。また洋館活用のデータをもっと公開し、様々な方から意見をもらうべき。
会長
十三番館以外に何か質問はありますか。
委員
荒木氏宅について、外壁の色を変える場合に文化財課に相談はあるのか。主屋の状況はどうなっているのか。
事務局
荒木氏宅は個人で手直しされています。文化財課に相談はありません。今後は聞取り調査も行いたい。
委員
洋館の持ち主に文化財課から定期的に手直しの計画があるか連絡するべき。
会長
では、事務局に返します。
より良いホームページにするために、ご意見をお聞かせください。コメントを書く