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第33回 原子爆弾被災資料協議会

更新日:2013年3月1日 ページID:006433

長崎市の附属機関等について(会議録のページ)

担当所属名

原爆被爆対策部 被爆継承課

会議名

第33回 原子爆弾被災資料協議会

  • 日時:平成21年8月31日(月曜日)午前10時~
  • 場所:原爆資料館2階 会議室

議題

報告事項

  1. 三菱兵器住吉トンネル工場保存整備工事の仕様について
  2. 第31回作業部会報告について

おしらせ 委員の交代のお知らせ

審議結果

報告事項1

(進捗状況等)
三菱兵器住吉トンネル工場跡の概要と進捗状況については、前回までの被災資料協議会で承認をいただいているように、1号トンネルから6号トンネルまでのうち、3号から6号トンネルまでの4本は、地中に埋設保存しております。道路拡幅部分は橋梁構造として、1号、2号トンネルについて、公開に向けて保存・整備工事をしております。現在、橋台と橋梁部分を施工中でございます。橋梁構造の下部分では、説明板を読んだり、トンネル内部をトンネル入口の防護柵越しにご覧いただいたりできる見学スペースとしております。2号トンネルについては随時公開を考えており、内部見学希望の団体等には安全面の確認等をした上で門扉の鍵を貸与し、入壕して見学できるような公開や、国連軍縮週間の土曜日曜又は原爆祈念式典の8月9日前後の日等、期間を限定して、原爆資料館職員等を見学スペースに配置しての公開を考えております。なお、入口から約8メートルより奥は民有地なので、それより奥への立ち入りは禁止したいと考えております。
(報告)これまでの協議会の結果を踏まえまして作成した、三菱兵器住吉トンネル工場保存整備工事の仕様について説明します。

  • トンネル入口の防護柵の仕様について
    このような(サンプル提示)アルミ丸材を15センチメートル間隔、暗めの茶系色で、トンネルのアーチの形状に合わせて作成し、トンネルのアーチ部分に接触する部分にできるだけ負担がかからないように、基礎のみで支える構造にしたいと考えております。なお、防護柵の格子の間隔に関しては、強度的には防護柵の設置基準を準用しつつ、基本的な見学方法としてトンネル外部から内部を見学とするので、できるだけ視界の妨げにならないこと、また、子供のすり抜け防止等に配慮しております。
  • 境界フェンスについて
    トンネル前に隣接する駐車場との境界部分に、長さ約20メートル、高さ約150センチメートルのスチール製、暗めの茶系色、縦横の網状のものを、設置いたしたいと考えております。
  • 説明板の仕様について
    説明文を表示する板面を縦約120センチメートル、横約200センチメートルに、約100センチメートルの脚部分を付けたものを、見学スペース内に3枚設置したいと考えております。
  • 雨水対策について
    トンネル内部については、トンネル入口から約2メートルの位置から約20メートルの位置までを厚さ約20センチメートルのコンクリートで補強するが、このトンネル入口から約2メートルまでの床部分に雨水対策を施したいと考えております。この入口床部分は、従来からトンネル奥方向に若干傾斜があるため、入口から約2メートル部分に雨水が溜まる可能性があります。雨水が溜まると、内部見学の際に支障をきたすおそれがあるので、内部補強のコンクリートで20センチメートル床を上がったところから見学スペースの方向にスロープ状の傾斜をつける形でのコンクリート舗装を考えております。この施工により段差が解消されるので、見学者のつまづき防止にもなると考えております。なお、スムーズな排水を行える傾斜をつけるため、入口床部分の表面を若干削つる必要があります。
  • トンネル入口の防護柵の設置場所について
    児童等のトンネル内部への迷い込みや、死角での犯罪等を防止するため、トンネルの入口に防護柵を設置します。防護柵を基礎のみで支えることを考えておりますが、そのための基礎は縦横約50センチメートル、深さ約50センチメートルが必要です。この方法で、トンネル入口と防護柵の間に人が入れるような隙間ができないようにするためには、トンネル入口の床面に約30cm基礎が食い込む形になります。なお、防護柵の基礎部分が食い込むのは、雨水対策のため床面を削つる範囲に入るものになります。
  • 民地駐車場との境界に設置する擁壁について
    隣接する民地駐車場地権者との協議のその中で、駐車場スペースの地面の高さを数10センチメートルかさ上げするとのことを受け、見学スペースと駐車場との境界に、高さ約70センチメートルの擁壁ができることになりました。なお、境界フェンスは、この擁壁の上に設置することとなります。これにより、見学スペースからのフェンスの高さは、擁壁の高さが加わり、約2.2メートルということになります。
  • 案内標識について
    見学スペースが道路下ですので、見学者に場所がわかりやすいように、案内標識による道路からの誘導を考えております。標識の設置場所は、道路の階段入口部分に1本、見学スペースに入る階段中途の折り返しの部分に1本を考えております。この標識の仕様については、長崎市内で使われている、一般的なものを考えております。なお、4か国語を表記したいと考えております。また、来年度以降に、電車通りからの入り口にも案内標識を設置したいと考えておりますが、当面の間は仮の看板などを用意したいと考えております。
  • バリアフリー対策について
    前回の協議会で意見がありましたので、検討をさせていただきました。例えば、一番可能性がある方法といたしまして、境界フェンスの一部に間口を開け、見学スペースへの新たな入口を設定するということ等について隣接の駐車場の地権者の方と改めて協議をしましたが、地権者として責任が持てないということで、ご賛同が得られませんでした。また、他に効果的な手法を見出せていない状況です。
  • 橋脚やトンネル内補強等コンクリートの色について
    通常の施工に用いるコンクリートは、白っぽい見た目になりますので、これに若干の色味をつけることができないものか検討をいたしております。

(質疑応答)
委員
立山防空壕には案内と監視を兼ねた人がいるが、住吉トンネルについては、このような配置は必要ないのか。
事務局
これまでの被災資料協議会で承認をいただいているが、住吉トンネルには立山防空壕のように常時の監視員を配置することは考えておりません。その代わりに、保安上の問題や、見学のしやすさを勘案し、見学スペースの常夜灯や、壕内を照らすセンサー式のライトを設置したいと考えている。また、随時公開として、祈念式典の前後や、国連軍縮週間中などには職員等を配置したいと考えているし、また、どうしてもトンネル内部を案内したいという場合には、注意事項等を十分に説明して了承を得た上で、例えば届出を受けて鍵を貸与し、二号トンネルの8メートルのところまで入って見学ができるような形で、運用をしたいと考えている。なお、入口からのコンクリート部分の先に素掘り(補強を行わずに掘削すること)の部分になるが、その岩面が見られるように、民地との境界の入口から約8メートルのところからライトで奥の方を照らすように考えている。また、見学スペースがたまり場等にならないように、そこがいつも見渡せるような、高い輝度の照明を設置するように考えている。また、保安上の対策として、すでに浦上警察署の生活安全課にも、パトロール上で注意をして欲しいということをお願いした。
委員
この場所の管理は原爆資料館が行うのか、それとも市として行うのか。
事務局
原爆資料館が管理責任を負うようになると考えている。
委員
案内標識は4か国語表記ということだが、説明板はどう考えているのか。
事務局
案内標識、説明板共に4か国語表記で行いたいと考えている。
委員
入口から8メートルの間に、隣のトンネルとの通路は残らないということになるのか。
事務局
6本のトンネルは隣同士横につながっている通路があるが、その通路は相当奥であり、今回1号・2号トンネルの取り巻き補強することで閉塞される通路はない。なお、トンネル奥の素掘りの部分は非常に落盤をしやすい状況で、また、足元も非常にぬかるんでおり、非常に危険である。
委員
完全に閉塞しないということは、動物が壕内に住み着き、衛生環境が悪化することは考えられないか。
事務局
猫等の出入りはあるかと思う。これを防止するようにすると、外からの見学に支障があると懸念される。今のところはその防止というのは特別考えていない。
委員
照明の点灯はどのような仕組になるのか。
事務局
トンネル内の入口側、奥側とも、トンネル入口外側の人感センサーで同時に点灯を考えている。見学スペースの常夜灯は、自動タイマー(日没タイマー)を考えている。

報告事項2

事務局
(平成21年)今月8月18日に第31回作業部会が開催された。被爆建造物等の取扱基準Bランクにある、現在の活水学院中学校・高等学校である鎮西学院中学校と山里小学校の防空壕の現状確認、および、現在事務局で調査中の懸案についてご協議をいただいたので報告します。被爆建造物等の対象になるのは、活水中学校・高等学校校舎1~4号館のうち1号館になります。この1号館は昭和5年1月に鎮西学院中学校校舎として完成しており、鉄筋コンクリート4階建、一部地下1階の建物だったが、原爆で4階部分が全壊、3階は爆心地に面した北側半分が崩れました。昭和25年に活水学院へ売却され、1階、2階は補修し、3階,4階は破壊された部分を取り除いて新しく造られたということです。この1号館については、活水学院の方で建て替えを検討していることであったので、現況の確認と、今後の対応についてご協議いただいた。
その結果としては、作業部会としては、本日の被災資料協議会で報告し、他の委員の賛同が得られたら、まずは、活水学院の意向を尊重しつつ、南側の一部を何とか残せないかということと、解体時に被爆の痕跡がある物が出た場合には原爆資料館にご連絡をいただけないかということを、口頭で活水学院にお願いしてはどうかという意見でまとまった。
次に、山里小学校の防空壕については、壕内の土壁を固めていたものの表面が剥離しているということで、現況の確認と、今後の対応についてご協議いただいた。
その結果として、作業部会としては、今後のメンテナンスを考える意味でも、専門性が高いことなので、業者に見てもらうということで意見がまとまった。
最後に、現在、長崎市でランク付けしている被爆建造物等ではないが、昭和20年当時から存在しているので市で言う被爆建造物等として認めるべきではないかという進言があった山里小学校周辺の木および石垣についてですが、事務局では証人や確証を得ることができませんでしたので、今後の対応についてご協議いただいた。
作業部会としては、まずは現場が写っている写真がないか、確認を行うこととなった。
(作業部会長報告)

  • 鎮西学院中学校について
    現在の建物自体については、地下の食堂はしっかりしていたが、上の建物のほうは鉄筋が膨らんでいた状態で、腐っていて劣化しているようだった。また、これまでの校舎の補強や増築によって、被爆のこん跡を見ることは出来なかった。耐震的に問題があるようであり、現状を見ると、解体もやむなしかという意見が部会員の多くを占めた。しかし、その中でも一部分でも残すことはできないかという意見もあった。
    活水学院側としても、校舎を何らかの形で残したいというような意向は持っている印象を受けており、そのことは歓迎したいと考えている。被爆建造物等としてBランクのものを残すとなると、1号館の南側の部分が最も適しているのではないかということで作業部会の委員では一致している。実際に解体した場合には、何らかの被爆の痕跡のあるものが出てくることも、皆無では無いと思われる。ただ、活水学院は私学ということもあり、あまり強く申し入れるというのもいかがかなものかということで、例えば1号館の南側の一部を何とか残せないかということと、解体時に被爆の痕跡があるものが出た場合には原爆資料館にご連絡をいただけないかという要望を、まずは口頭でお伝えすることとしてはどうかという結論に至った。
  • 山里小学校の防空壕について
    これは(平成21年)7月末日に事務局に連絡が入り、偶然その場に私が居合わせていたので、事務局職員と現場を下見に行っていた。その時の状況と作業部会での調査時の様子に特段の変化はないように思えた。こうした中で、作業部会での考え方としては、人が中に入らないのならば、自然の成り行きにまかせてもいいのではないかという意見、地質の状態的にその上にあるマンション等の建物に影響が出ないのであれば問題ないのではないかという意見、防空壕の危険性や、自然の時間経過を見せることの意味もあるのではいかという意見、いろいろあった。これらを踏まえてしかし、山里防空壕については、最初に整備した際の反響が大きかったことも考慮し、慎重にこれから対応する必要があるのではないかという意見にまとまった。技術的な専門性の高い事柄であるので、施工した業者に見てもらって、措置を行うことを部会としての結論とした。剥離した表面の土は、除去してもよいと作業部会としては考えている。
  • 山里小学校周辺のクスの木と石垣について
    被爆しているものであるのか、現地を見たが、被爆建造物等として可能性があるのは、今回の3本のクスの木うち1本だけだろうという意見にまとまった。作業部会としては、被爆当時の写真から、被爆したことの確証が取れるかということ確認をしたいと考えている。
    石垣の保存についてはこれまで調査してきた多くの石垣との整合性も取らなければならないので、保留とした。

(質疑応答)
委員
被爆資料協議会の中の作業部会として写真の調査をしております。現在いろいろ写真を集めているが、現時点では確証は取れていないが、今回の3本のクスの木のうち1本は、当時のものであろうことが写真から解りそうな感じである。他の2本は写真で現場を見た限り、多くの木からの特定ができないのと、年代的に少し小さいと思われる。現地調査をしたいと思う。鋭意いろいろ写真を集めて調査を続行したいと思う。
委員
被爆の痕跡が認められる、認められないという認定の方法、またどういう形でこれがされるのか、疑義がある。前回の作業部会で調査してもらった物件であるが、その後も知人から言われるので、再考してほしい。認定をどういう形でするか、科学的か疫学的か知らないが、その方法について検討する必要があるのではないか。
事務局
木で言えば、見た目の樹齢や、はっきり断定できないが例えば爆心地の方向に非常に損傷を受けているような跡があるとかで被爆したのか検討をする。新たに被爆建造物として取り上げるには、信頼できる写真や複数の証言といった資料、基盤が欲しい。前回の作業部会での調査に上がったもの、そうした根拠たる資料、基盤がなかったのが保留もしくは却下になった大きな要因だったと事務局では考えている。
委員
例えば、これまで調査された中で、どういった理由でランク付けの対象になったのか、ならなかったのか、挙げていって、基準作りのプロセスにしていってはどうか。このプロセスについては、懸案事項として事務局のほうに預かっていただくということで、いかがか。
委員
鎮西学院についてだが、私は当時、ここから近いところに住んでおり、あの日から、この周辺に1週間くらいは居たので、この状況は当時見ている。しかし、現在の活水になってからは、これだけ被爆して痛んでいるところを取り除いてたり、増築している状況なので、被爆の痕跡は外見上は今から見つけることは困難だと思う。何らかの調査をして、これは被爆したんだという何らかの形が出てきたにしても、外見上はまずほとんど見つからないと思う。そういったことでも、資料として残せば見学その他、そういった経路になると思うが、一般の見る人が納得するようなものにはならないんじゃないかと思う。今後、調査検討はしていいとは思うが、現時点での所感を申し上げました。
事務局
住吉トンネルですが、補足説明があります。内部に20センチメートルの崩落防止の為に、20センチメートルの巻き立て工法ということで、コンクリートを巻き立てる部分の、入口から8メートルの部分の真ん中の上部のほうに、開口部ということで、巻き立てする前のコンクリートの壁面を見えるような形にするために、約50センチメートル×50センチメートル枠の開口部を考えている。
会長
基本的には報告があった通り、当委員会で了承したということになります。今後検討事項として、山里小学校の木の件について、写真部会の協力を仰ぎつつ写真等で検証をしていただくこと、被爆建造物等の認定に関することは事務局の方でまたご検討をしていただく、ないしは、今後検討を加えていただくということで意見をまとめます。

お問い合わせ先

総務部 行政体制整備室 

電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

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