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平成28年第5回長崎市議会定例会における「行政報告」

更新日:2019年12月4日 ページID:029163

平成28年11月25日、平成28年第5回市議会定例会の冒頭において、市長が行政報告を行いました。

行政報告

本会議冒頭の貴重なお時間をいただきまして、長崎大学のBSL-4施設整備計画の事業化に、地元自治体として協力することといたしましたので、ご報告をさせていただきます。

BSL-4施設は、エボラウイルス等の危険度が高い病原体を扱うことができる施設で、学術的な基礎研究や、ワクチン・治療法開発等の応用研究、研究者の人材育成を目的に、長崎大学が坂本キャンパスへの設置を計画しているものです。

国際的に脅威となる感染症につきましては、グローバル化が進み、国境を超えた人の交流が広がる中で、わが国にも侵入する可能性が否定できない状況となっています。

西アフリカにおけるエボラ出血熱の感染拡大をはじめ、さまざまな感染症の広がりが身近となり、わが国全体の危機管理の観点から、BSL-4施設を早急に整備し、感染症研究機能の強化を図る必要が指摘されています。 

これは、外国人観光客が増加している長崎市にとっても、決して対岸の火事ではありません。長崎市民の安全・安心を守る観点からも、感染症対策は喫緊の課題といえます。 

そのような中にあって、長崎大学によるBSL-4施設の設置は、わが国のみならず、世界の人々の命を救うことにつながるものであり、「平和都市」「世界都市」としての長崎市のあり方にもふさわしいものであると考えます。

大局的見地から、この施設は、長崎、日本、世界に大きな貢献をする可能性を持つといえます。 

しかしながら、この施設は、危険性の高い病原体を扱うため、その設置には「安全性の確保」と「市民の理解」が前提となります。このことは、これまでも繰り返し申し上げてきました。 

そのような中、平成26年12月、長崎大学から市議会に対し提出された「感染症研究拠点の早期整備を求める請願書」が採択されるとともに、県議会におきましても同趣旨の意見書が可決されました。 

これを踏まえ、平成27年6月、長崎大学・長崎県・長崎市は基本協定を締結し、同年8月からは、施設整備に向けての課題の明確化とその克服のための方策について、「三者協議会」を設置して議論を開始しました。 

「市民の理解」を深める取組みとして、今年4月には、「三者協議会」の下に「地域連絡協議会」を設置。現在まで7回開催し、地域住民をはじめとする委員の皆様からの70項目を超える質問等に対して、長崎大学が一つひとつ回答を重ねてきました。 

また、長崎市においては、事業主体である長崎大学に対し、徹底した安全対策の検討と市民の視点に立ったわかりやすい丁寧な説明を求めてきました。これを踏まえ、大学におかれましては、地域での住民説明会、各種団体への説明会やシンポジウムの開催など、市民の理解を得る努力を重ねられてきました。 

そういった取組みの中で、施設自体の必要性については、ほとんどの皆様からご理解いただいている状況となっております。 

一方、設置場所に関しては、日本学術会議の提言において、「大学等の研究機関がある等、科学的基盤が整備されている場所が望まれる」とされていますが、この点、坂本キャンパスには、国内でトップレベルの感染症研究を行なっている熱帯医学研究所があり、医学部や近隣の大学病院を含め、150名におよぶ感染症研究者や専門医が在籍しています。 

この場所に設置することで、感染症研究や人材育成の成果を最大かつ迅速にあげることが期待できる一方、隣接する大学病院と連携することで、感染患者が発生した場合の迅速な診断・治療が可能となります。

また、検査のための病原体搬送についても、搬送に係る時間や事故のリスクが抑制されるなど、市民の安全・安心の向上にも貢献できると考えられます。 

これらのことから、坂本キャンパスを設置場所とすることは、一定の合理性があるものと考えています。 

坂本キャンパスへの設置については、市民の中に、現在も賛成、反対の両論が併存していると認識をしています。

しかしながら、大学による説明が重ねられる中、地域連絡協議会等での議論の状況や、シンポジウム等での意見、また、医療・経済関係の団体等から早期整備を求める要望が提出されるなどの状況からも「市民の理解」は着実に広がっているものと認識をしています。 

一方、大学単独で万全な対応を期すことは、セキュリティー対策等の面で限界があることから、国に対しては、感染症対策の当事者としての関与を強く求めてきました。 

このような経過の中で、今年7月には、国から責任をもって関与していく姿勢が示され、市民の安全・安心の両面から、大きな前進となりました。

また、今月14日には、内閣官房長官、文部科学大臣、厚生労働大臣政務官から直接、県と市に対し、BSL-4施設設置に対する協力要請がありました。

その際、「安全性の確保」「市民の理解」に関わる大切な要素として、私は「予算の確保」「第三者の立場からチェックする仕組みの構築」「万一の事故等が発生した場合の対応」の3点について確認をし、内閣官房長官から、「政府として万全の対応を講じていく」との考えが示されました。

さらに今月17日には、関係閣僚会議において、国策であるBSL-4施設の設置に対する国の関与について、文書で明確に示されました。

責任ある立場の方から、直接、国の方針が示されるとともに、内閣総理大臣が主宰する関係閣僚会議で決定されたことは、最も強く、しっかりとした形で、国の関与が約束されたものといえます。

その上で、今月22日には、長崎大学学長、知事と私の三者で協議を行い、大学に対し、「世界最高水準の安全性の実現」「地域との信頼関係の構築」「国と連携したチェック体制の構築」の3点について確認しました。

学長からは、地域と共生するという真摯な姿勢で、しっかり取り組むとの回答が文書で示されました。

それを受け、さまざまな状況を総合的に勘案する中で、地元自治体として、長崎大学によるBSL-4施設設置に協力するべきであるという判断を、知事とともに、いたしました。 

市としましては、一連の経過を通じて、設置の前提と位置付けてきた「安全性の確保」と「市民の理解」の実現に向けて、地元自治体として、緩むことなく真摯に取り組みを進めてまいりました。 

今後は、大学および国により事業が具体化することとなりますが、安全性の確保および地域との信頼関係を築く作業は、これからも不断に続くものです。

長崎市といたしましては、BSL-4施設が安全に運営され、その研究の成果が最大となるよう、また、地域との共生を図りながら、地域の誇りとなる存在となるよう、引き続き、大学と国に最大限の努力を求めていくとともに、地元自治体として、事業を側面から支援してまいりたいと考えております。

市議会の皆様におかれましても、ご理解を賜りますようお願い申し上げまして、私の報告とさせていただきます。

お問い合わせ先

市民健康部 感染症対策室 

電話番号:095-829-1172

ファックス番号:095-829-1221

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(11階)

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