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世界遺産、勝負の年

更新日:2013年1月1日 ページID:021352

ホッとトーク

 新しい年の訪れです。
 『新長崎市史・近世編』を開くと、江戸時代の長崎の正月の行事が挙げられています。
 2日には「商家では商初(あきないはじめ)と呼んで、未明から店を飾り、新しい暖簾(のれん) を掛けた」とあります。今でいう初売りでしょうか。
 「明け方には魚商が俵子(とーらご)と呼ばれた海鼠 (なまこ)を売り歩き、家々では競って買い求めた。(中略)長崎では干さない海鼠は俵子と呼ばれ、その形状が米俵に似ていることから、新年に米俵を買うという、まさに縁起物であった。そこで、この日は雑煮のほかに、海鼠を刻んだ膾(なます)を食した」とあります。
 そのほかにも長崎の正月の行事は実にさまざまで、当時の人たちが年中行事を大切にして暮らしていた様子がうかがえます。
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 江戸時代の長崎の正月で行われていたことの一つに「踏絵」があります。「踏絵は、正月4日から8日までそれぞれの町で行われた」と『新長崎市史・近世編』には、年中行事とは別の項目に書かれています。
 遠藤周作の『沈黙』など一連の作品を思い出しても、踏絵をめぐる歴史には、息が詰まるような重苦しさがあります。その中で250年以上も秘密を守りながら信仰をつないできたという事実は、人間の生き方として、想像を絶し、胸に迫るものがあります。
 そのような長い迫害と潜伏の歴史を経て、明治以降に「自分たちの教会を建てられる!」という喜びの中で建てられてきたのが長崎の教会群なのです。
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 ご存じのとおり、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は今、世界遺産の登録を目指しています。
 “思い出の品”であれば、小さな石も古い人形もかけがえのない宝物です。“形のあるもの”は、楽しかった思い出や、だれかの愛情といった“形のないもの”を伝える力を持っています。
 世界遺産も同じだと思います。形のあるものを世界の宝として指定し、保存していくことで、形のない価値を伝えてくれるのです。
 ヨーロッパなどにある古くて大きな教会に比べると、長崎の教会はずっと小さくて新しい教会です。でも、それが伝えてくれるものは、西洋と東洋の交流の歴史であり、人間が持つ奇跡のような力でもあります。その独特の経緯は「世界の
宝」と認められるのにふさわしい価値を持っています。その「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界遺産登録に向けて、今年はとても大切な年です。
 日本からユネスコに世界遺産の候補として推薦される文化遺産は、毎年1件だけ。今年、国から推薦されれば、潜伏していたキリシタンが大浦天主堂で名乗り出た「信徒発見」から150年目に当たる2015(平成27)年の登録にちょうど間に合います。
 そのためには「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」のことを、もっと多くの人に知ってもらうことが必要です。今年は世界遺産にとって勝負の年。市民の皆さんの応援をお願いします。

お問い合わせ先

広報広聴課 

電話番号:095-829-1114

ファックス番号:095-829-1115

住所:〒850-8685 長崎市桜町2-22(本館3階)

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