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パパラギ

更新日:2012年9月1日 ページID:021348

ホッとトーク

   『パパラギ』という本の表紙には、「はじめて文明を見た南海の酋長(しゅうちょう)ツイアビの演説集」と書かれています。
 「南海の」というのは、ハワイのずっと南にある島国サモアのことです。今から百年近く前、自然の中で暮らしていたツイアビが初めてヨーロッパに行きました。そこで見たヨーロッパの様子を、島に帰って人々に語って聞かせました。その内容を本にまとめたのが『パパラギ』というわけです。
  *  *  *
 ツイアビは、文明の中で暮らす人々の滑稽(こっけい) さや愚かさを、さまざまな例を挙げて話します。
 パパラギ(白人)はわれわれに向かって、貧しい、物を持たないという。確かに人間がつくったものは持たないが、大いなる心(神)がつくったもの、たとえばヤシの実や貝やバナナはたっぷり持っている。
 パパラギは、自分の家の前のヤシの木は自分のものだという。誰のものでもないのに…。
 熟したヤシは、自然に葉を落とし実を落とす。パパラギは「これは自分のものだ」と、まるで葉も実も落とすまいとするヤシの木のように生きている。でもヤシは、葉を落とし実を落とすから、新しい実を結ぶことができる。ヤシはパパラギよりずっとかしこい。
  *  *  *
 この本は、違う視点から見ることの大切さを私たちに教えてくれます。と同時に、ツイアビの言葉は、目に見えない大切なものを失わないように、という警告のようにも読めます。
 わたしたちの周りには、当たり前のように見えて普段は忘れがちだけれども、大切なものがたくさんあります。
 平和公園に長崎の平和への思いを集める平和祈念式典。亡くなった故人への思いを込めて送る精霊流し。魚やビワやかんぼこやちゃんぽん…おいしい長崎の食べ物たち。小学校の前で毎日、「おはよう!」と声をかけてくれる交通指導員さん。「おばあちゃん、元気やった?」と汗をふきふき声をかけて回る民生委員さん。みんなが会社に行っている時間に、地域のために駆けずり回ってくれる自治会長さん。いつも見守るようにいてくれる地域のシンボルの山々。カメが産卵にやってくる砂浜。青い空を紅に染めながら日本の西の端に沈んでいく夕日。毎週あちこちから集まってまちなかの掃除をしてくれるボランティアチーム。被災地の子どもたちを思い切り外で遊ばせようと、夏休みに福島から子どもたちを呼ぶ若者グループ。桜並木の下でみんなが歓声をあげる日を楽しみに、桜を植え続ける人たち。狭い道をすり抜けて、毎日多くの人を運んでくれるバスの運転手さん。間違った時、叱ってくれる先生。
 ……こんなふうに長崎の大切なものを挙げていったら、きっと何千何万となります。それがみんな集まって長崎をつくっています。数字で表せないもの、お金で買えないものの中に大切なものがたくさんある。そして長崎は、そんな目に見えないけれど大切なものがとても豊かなまちだ。久しぶりに『パパラギ』をめくりながら、そう思いました。

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