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施政方針(平成27年6月19日)

更新日:2015年6月19日 ページID:027130

平成27年度施政方針

平成27年6月19日、平成27年第3回市議会定例会の冒頭において、田上富久 長崎市長が市政運営に対する所信を述べました。

目次
1 はじめに
2 大きな変化の時代
3 大きな変化の時代を乗り切るために大事なこと
4 もっと進化する長崎へ
(1)人口減少に歯止めをかける
(2)長崎型暮らしやすいまちをつくる
(3)交流人口を増やす
(4)平和の発信
5 おわりに

1 はじめに

平成27年第3回長崎市議会定例会の開会にあたり、議員の皆様、そして市民の皆様に、市長就任3期目における私の所信の一端を述べさせていただきます。

このたび、三度、4年間の市政の舵取りを担わせていただくことになりました。

改めまして、市民の皆様、議員の皆様に対し、日頃からのご理解とご協力に深く感謝申し上げますとともに、多くの皆様の期待に応えなければならないという強い使命感で身の引き締まる思いです。 

私は、平成19年4月の初当選以来、市民の皆様が暮らしやすいまち、訪れる人にとっても魅力あふれるまちをめざして、変革の時代をしっかりと乗り切り、常に進化しながら、次の時代の基盤をつくることを信念として市政の推進に全力を傾けてまいりました。

3期目の市政運営につきましては、今後、より一層、市民の皆様の声をしっかりとお聴きし、わかりやすい丁寧な説明に努めていくとともに、市民の皆様、議員の皆様との活発な意見交換、ご議論を重ねさせていただきながら、初心を忘れることなく、誠心誠意、長崎市長としての重責を全うしてまいります。

2 大きな変化の時代 

日本は今、「人口減少時代」という新たな局面を迎えています。

私たちは、既に、これまで経験したことのない「人口減少社会」に突入していることを、まず、共通認識として持たねばなりません。

なぜならば、人口減少は、私たちの生活の様々な分野に広く影響を及ぼすだけでなく、将来の人口動態によってあらゆる政策の方向性が大きく左右されるからです。 

国立社会保障・人口問題研究所の試算によると、戦前、戦後を通じてほぼ一貫して増加を続けてきた日本の人口は、平成20年をピークに減少に転じ、今後、長期にわたって減少が続くものと推計されています。 

一方、長崎市の人口は、昭和50年頃に、それまでの増加傾向から横ばいへ移行し、昭和60年を過ぎた頃から、減少に転じています。今、長崎市の人口は約43万人です。これまでの30年間で約7万人減少しました。これからの約30年間は、さらに10万人以上が減少すると推計されています。 

高齢者が増加し、子どもや支える側である働く世代が減少するといった人口構造の変化も、私たちの生活に徐々に影響を及ぼしてきます。 

それは、総人口が減ることによる消費・経済力の低下、労働力不足による産業の低迷をはじめ、人口が増え続けていた頃につくられた学校等の公共施設の余剰や、年金や医療保険などの社会保障制度の時代に合った仕組みへの見直しといった形で現れ始めています。 

もちろん、既に30年間人口減少が続いている長崎市においては、国の動きを待つまでもなく、これまでも市政の喫緊の課題であるとの認識のもと、「第四次総合計画」においても、平成32年の推計人口40万4千人を42万人にすることを目標に、人口減少に歯止めをかけるための各種施策を主体的に進めてきました。 

しかしながら、依然として人口減少は続いており、更に有効な手を打てなければ、将来の世代が大きな重荷を背負うことになります。 

経済のグローバル化の進展も大きな変化の一つです。 

東西冷戦の終結や情報通信技術の発達などにより、地球規模での経済活動が自由かつ活発に行われるようになりました。ライバルだったはずの大企業同士が経営統合するという、以前では考えられなかった動きも起きています。 

また、発展途上であったアジアの経済が急速に成長し、長崎にも中国や韓国はもちろん、タイなど東南アジアからの観光客も増えてきている状況です。 

一方、国と地方の関係においても、長く続いてきた中央集権型が、少しずつ「地方のことは地方で決める」地方分権型に変化してきました。 

国は「地方創生」を掲げ、地域の特性に即し、地域独自での課題解決と発展を促しています。 

これ以外にも、私たちの周りでは様々な変化が起きています。現代は間違いなく、大きな変化の時代なのです。

3 大きな変化の時代を乗り切るために大事なこと

大きな変化の時代を乗り切るためには、いくつか大事な考え方があると私は思っています。 

1つは、「自分たちが持っている個性や強みを確かめる」ということです。

変化の時代だからこそ、足元を確かめることが大切であり、どこに長崎の強みと弱みがあるのかをしっかりと見極めることが必要です。 

例えば、長崎は日本の西端に位置しており、首都である東京からは遠く離れています。しかし、今最も発展しているアジアに一番近い場所にあるともいえ、この距離の近さが長崎の個性であり、強みでもあります。 

特に、長崎港は、アジアに近いという地理的優位性に加えて、入港する際に船から見える景観の素晴らしさや、港が市街地に近接し、船を降りるとすぐに観光ができるという利便性を有しており、長崎港を訪れた国際クルーズ客船の船長からも高く評価されています。 

市街地の約7割が斜面地という地形的特徴も長崎の個性の一つです。 

坂道が多いことは暮らすうえで不便なこともありますが、それが長崎のまちの魅力的な夜景をつくりだしており、それを更に磨きあげることで「世界新三大夜景」という高い評価にもつながりました。 

また、長崎は、鎖国政策が行われていた江戸時代には、西洋に開かれた唯一の窓口として、海外の進んだ文明を受け入れ、人・モノ・カネ・情報などが行き交う交流都市として独自の発展を遂げてきました。 

交流によって栄えてきた長崎のまちには、まち全体に過去からの“交流のDNA”が脈々と引き継がれており、市民の中には自然とおもてなしの心が育まれています。これも交流都市長崎の世界に誇れる個性や強みの一つであると私は思っています。 

長崎のまちには、住んでいる自分たちが気づいていない個性や強みがまだまだたくさんあります。都市の独創性や多様性が見直されつつある、今だからこそ、個性や強みを再認識し、その価値を活かしたまちづくりを進めていく必要があります。 

2つ目は、「すでに起こった未来を探す」ということです。 

「すでに起こった未来」という言葉は、ピーター・ドラッカーの言葉です。未来は突然やってくるのではなく、最初は小さな変化として表れ、やがて重大な影響を及ぼすようになる。だからこそ、その変化の兆候、すなわち「すでに起こった未来」を探すこと、その小さな変化に気づき、必要な対応をとることが、未来への備えへとつながっていきます。 

国が、外国人旅行者の訪日を拡大させる「ビジット・ジャパン事業」をスタートさせたのは、12年前の平成15年でした。その当時、既に、外国人旅行者が今後の重要な観光の要素になっていくことが指摘されていました。その指摘どおり、500万人を超える程度だった訪日外国人旅行者の数は、一昨年ついに1千万人を超えました。

長崎においても、昨年は、外国人延べ宿泊客数が21万人を超え、長崎港に入港した国際クルーズ客船の乗客・乗務員数も19万7千人に達し、いずれも過去最高を記録しました。これはここ数年、出入国の際に必要な手続きを行うCIQ体制の整備、多言語表記案内板の整備やクルーズ客の商店街への誘導など、外国人観光客受入れ態勢を国、県と連携しながら、市民の皆さんの協力のもと、しっかりと整えてきたことにより、外国人観光客の増加にも対応することができたものです。 

今後も受入れ態勢の整備を進めることで、更に多くの外国人観光客を受け入れることが可能になると考えています。 

一方、国内の人口減少により、国内観光客が今後減少していくという予想にも着目する必要があります。今の段階から外国人観光客に加え、ビジネス客などの新しい訪問客を増やす準備をすることで、国内観光客の減少に備える必要があると考えています。 

3つ目は、「新しいやり方に挑戦する」ということです。 

市役所の仕事の仕方も、職員が仕事を組み立てて、市役所の中だけで完結させる「自己完結型」だけでなく、市民、企業、学校、病院、大学など、いろいろな人や組織と力を合わせることで、より大きな成果を上げる「協働型」の仕事を増やしていくことが求められています。協働することで、単独ではできなかったことができるようになったり、思わぬ効果が出てきたり、眠っているパワーを引き出すことができたりします。企業と大学、大学と行政、地域と企業、NPOと企業など、「協働」の事例は、確実に増えています。 

例えば、「車みち」の整備です。長崎の斜面地には、車が入らない狭い道路や階段がたくさんあります。すべての道を基本ルールどおりに4メートル幅でつくることはとてもできません。そこで、地域の皆さんの協力を得て、工夫を重ねながら、現在の道幅を少し広げ、車が通行可能となるように改良することにしました。暮らしやすさの工夫は、その都市によっても、地域によっても異なります。「車みち」整備事業は、長崎の暮らしに合わせた良い事例だと思います。 

もちろん新しいやり方には難しい側面があり、きちんとシミュレーションをしながら進めることも重要です。ただ、これまでのやり方だけではこれからの時代に対応できないことは確かであり、新しいやり方に挑戦する意気込みは、変化の時代には欠かせない重要な要素であることは間違いありません。 

私は、大きな変化の時代を乗り切るために、このようなことを大事にしながら、2期目と同時にスタートした「第四次総合計画」に沿って、市政運営にあたってきました。 

平成23年度から平成32年度までの10年間を計画期間とするこの計画では、そのめざす将来の都市像として、長崎に合った暮らしやすさを自分たちでつくる「人間都市」、“交流のDNA”やまちが持つ個性を活かしながら世界を身近に感じることのできる「世界都市」を掲げ、力を合わせることで新しいやり方を見つける「つながりと創造」の基本姿勢のもと、まちづくりを進めることとしています。 

その中で、特に「進化」が必要な重点分野として、「経済」「まちの形」「まちを支える仕組み」の3つを示し、それを具体化するために「13の重点プロジェクト」を選択しました。 

このプロジェクトは、そのほとんどが10年先を見据えたもので、今後4年間は、具体的な成果を示す重要な時期に差しかかってきます。しっかりと道筋が見えるところまで責任をもって進めるとともに、その成果の見える化にも積極的に取り組みます。 

2期目の市長選挙の際に、私が市民の皆さんにお示ししたマニフェストの未達成項目につきましても、早期に達成できるよう引き続き努力します。 

今回、3期目のスタートにあたり、今後4年間は、これまで以上に「成果をあげる」ことを意識した、行政運営に取り組みます。 

将来を見据えたうえで、時代の変化をしっかり読み取り、時代の動きと現状とのズレを確認し、今ある課題を一つひとつ丁寧に解決していく。また、一方で、未来に備えるために新たな苗を植えていく。ある時は大胆に、ある時はこつこつと、新しい長崎を育てていくことが、この時代の市長が果たすべき役割であると考えています。今、何をなすべきかしっかりと認識し、この大きな変化の時代を乗り切っていきたいと思います。

4 もっと進化する長崎へ

私は、これまでの2期8年間、様々な課題に対処しつつ、未来を見据えて苗を植え、市民の皆さんと共に長崎のまちを育てる取組みを進めてきました。 

これまでの歩みをもっと力強く前へ進め、もっと長崎を進化させるためには、未解決または今後起きるであろう困難な課題に真摯に向き合い、力を合わせて、その解決に取り組んでいかなければなりません。

(1)人口減少に歯止めをかける

長崎が直面している人口減少に歯止めをかけることは、緊急に取り組むべき重要な課題です。その課題解決のためには、今以上に「子育てしやすいまちにする」こと、「働く場を増やす」ことが大事だと考えています。 

子育てしやすいまちにするため、特に待機児童の解消と子育て家庭の経済的負担軽減に取り組み、子育て環境の向上を図ります。 

まず、保育所等の待機児童については、これまで、保育所の施設整備や幼稚園の空き教室を活用した幼保連携型認定こども園への移行を進め、入所受入れ枠の拡大を図ってきましたが、地域によっては待機児童の解消には至っていない状況にあります。

待機児童ゼロをめざし、これまで以上に地域ごとの保育需要をしっかりと見極め、地域の実情に応じた受入れ枠の確保に努めます。 

また、今年4月、保育所、幼稚園等の保育料の見直しを行うとともに、保育料の減免を行っている多子世帯の対象範囲を拡大し、保護者の経済的負担軽減を図りました。今後は、現在、乳幼児を対象としている医療費の助成について、小学生までの拡大をめざして準備を進めます。 

次に、雇用の場の確保に向けては、「地場産業の活性化」「創業支援」「企業誘致の推進」の3つを大きな柱として、今後ともこれらの取組みをしっかり進めていくことで、経済の活性化や産業振興のみならず、若年層の地元定着につなげていく必要があると考えています。 

地場産業の活性化については、基幹産業である造船業の競争力強化及び地域に安定した良質な雇用を確保するため、長崎県などとともに「ながさき海洋・環境産業雇用創造プロジェクト」の着実な推進に取り組んでいます。 

今年度は、若年層の地元への就職を促し、雇用促進を図るため、地元企業の知名度向上と人材確保に向け、企業の魅力を発信する番組制作、放映等を実施するとともに、大学生が地元企業の魅力を紹介するパンフレットの作成にも取り組むこととしています。 

さらに、UIJターンの就職促進のため、県外で開催される合同企業面談会へ参加する市内の中小企業に対し、その参加経費の一部を助成するとともに、首都圏や福岡都市圏の大学等を対象に情報提供を行うなど、新たな取組みにも着手します。 

創業支援については、長崎商工会議所などとともに、「創業サポート長崎」を設置し、市内での創業を考えている方へのきめ細やかな支援などを行っており、引き続き関係機関と連携を密にしながら、創業者の確保とその支援に努めます。 

企業誘致については、これまでも、長崎県及び長崎県産業振興財団とも連携を図りながら積極的に推進しており、特に平成25年度以降は12社と立地協定を締結し、約1,700人の雇用が確保されるなど、順調に成果をあげています。 

企業誘致は、雇用の増加に直接つながる重要な取組みの一つとして、今後とも1社でも多くの企業を誘致できるよう取り組みます。

国は昨年末に、人口減少に歯止めをかけることに主眼を置いた、地方創生を打ち出し、その実現に向けた「長期ビジョン」と「総合戦略」を策定しました。

長崎市においても、全職員で危機感を共有し、市全体で方向性を一つにしながら、人口減少対策を強く意識した取組みを更にスピードをあげて進めていくため、昨年11月、庁内に「人口減少対策推進本部」を設置しました。 

今後は、「第四次総合計画」との整合性を図りながら、長崎市版の「人口ビジョン」と「総合戦略」を今年度中に策定します。 

また、策定にあたっては、現場の実情に詳しい、産業界・大学等・官公庁・金融機関・労働団体・メディアの方々に、地方創生を実行していく主体として積極的に参画していただき、一体となって進めていきます。 

地方創生に向けた取組みが成功するかどうかは、各自治体の知恵にかかっていると言っても過言ではありません。また、現状のデータ分析をしっかり行ったうえで、長崎の実態に合った有効な対策を考える必要があります。人口減少というピンチをどうしのぐかという視点ではなく、地方創生のチャンスをどう活かすかというスタンスのもと、長崎の個性を強みとして、市民の皆さんと力を合わせて、長崎のまちの活性化に取り組んでいきます。

(2)長崎型くらしやすいまちをつくる

私は、「だれもが人間らしく暮らせるまち」、それも「長崎に合った暮らしやすさを自分たちでつくっていけるまち」をめざしています。

暮らしやすさの重要な要素の一つは「安全・安心」です。平成25年2月のグループホーム火災を受け、高齢者等の火災対策については、庁内の関係部局が連携し、福祉・医療施設の防火安全対策に取り組んできたところですが、今年3月から、斜面地での住宅火災が相次いで発生し、高齢の方などが被災されました。

今後は、長崎市特有の斜面地における火災予防、特に高齢者等の被災をなくすため、地域住民と行政が連携した初期消火体制の充実や、防火指導の実施などに取り組みます。

また、迅速な避難行動を支援し、二次被害の防止を図るためには、火災の発生を周囲に速やかに知らせることも重要であることから、火災発生をブザーで屋外に知らせることができる警報器の設置を進めます。心身機能の低下により防火等の配慮が必要な高齢者等のうち、一定の要件に該当する世帯に対しては、その設置に向けた支援を行い、高齢者等の安全・安心な暮らしの確保につなげていきます。

地域における防災力の向上については、地域防災活動の中心的な役割を担う市民防災リーダーの養成に取り組むとともに、地域の皆さんの参加による地域防災マップづくりを進めてきました。

今後は、より一層の地域防災力の向上をめざして、地域防災マップづくりを拡大し、避難行動要支援者の支援体制づくりへつなげるための取組みを進めます。

また、斜面地においては、現在進めている「車みち」整備事業を拡大し、引き続き居住環境と防災面での改善を図り、地域に合った暮らしやすさの向上に取り組みます。

「協力し、支え合う」ということも、重要な要素の一つです。

高齢者の自立した生活の支援については、団塊の世代が後期高齢者となる平成37年を見据え、高齢者が可能な限り、住み慣れた地域で暮らせるように、医療、介護、介護予防、住まい及び生活支援が包括的に確保できる地域の支援体制の構築が必要です。

そのため、地域包括支援センターが主催する地域ケア会議の開催などを通じて、多くの職種や機関の連携強化とネットワーク化を更に進めるとともに、地域の実情に即した「長崎版地域包括ケアシステム」の構築をめざし、庁内にその推進を担う組織を新設します。

環境行政については、市民、企業、行政などが連携して再生可能エネルギーへの転換を促進する「ながさきソーラーネットプロジェクト」に取り組んでおり、この中で、長崎市が整備したメガソーラー発電所から生まれる売電利益による「ながさきエコライフ基金」を今年4月に創設しました。この基金を活用し、広く市民が参画する活動や未来を担う子どもたちの活動へ還元していくことで、市民の身近な環境行動を促進する「ながさきエコライフ」の取組みの更なる浸透と定着へつなげます。

併せて、「ながさきエコネット」を中心とした市民主体の環境行動の拠点を整備する検討を進め、市民が普段の生活の中で、環境にやさしい行動を継続的に実践しているまちをめざします。

子どもの教育環境が整っているかどうかも、暮らしやすいまちを実現するための大切な要素です。

子どもの教育に関する取組みについては、幼少期からの基本的生活習慣や規範意識の定着を図るための長崎っ子の約束「あ・は・は運動」、問題行動やトラブル防止のための「メディア利用の共通ルール」の更なる定着推進に長崎市PTA連合会とともに取り組みます。

また、小学校において、基礎学力の定着に向けた取組みとして、地域の人材や大学生の協力のもと、放課後等における学習を支援する「長崎寺子屋事業」を推進します。

さらに、国際感覚豊かな子どもの育成を図るため、全市立小中学校へのALTの派遣などに引き続き取り組みます。

学校図書館を活用した学習活動の充実については、現在、市内小中学校に学校図書館司書を配置して読書活動の支援を行っています。今後も、子どもたちが落ち着いた環境の中で読書に親しむことができるよう、市有林の間伐材を活用した木の香りのする学校図書館の整備を更に進めていきます。

今年4月施行の国の教育委員会制度改革を受け、教育委員長と教育長を一本化した新教育長を設置し、新しい教育委員会制度へ移行することで、教育行政における責任の明確化と迅速な危機管理体制の構築を図るとともに、今後、教育委員を1名増員し、更なる体制の充実をめざします。

併せて、同制度に基づき設置した「長崎市総合教育会議」を通じて、市長と教育委員会が、教育政策の方向性を互いに共有し、連携強化と十分な意思疎通を図りながら、子どもたち一人ひとりの個性や能力を伸ばす取組みを更に進めるとともに、まち全体で子どもの健やかな成長を育むため、「家庭」と「学校」、そしてそれを支える「地域」が一体となって取り組んでいきます。

今後とも、長崎らしいアイデアや方法で、長崎型の暮らしやすいまちづくりに取り組んでいきます。

時代が刻々と変化し、課題も多様化するなか、様々な主体が力を合わせないと解決できない問題が増えてきています。

私は、これまでの経験から、「当事者意識を持つ人が多いまちは元気なまち」であると感じています。地域の課題を自分事として捉え、市民、企業、行政などがお互いにつながることで、まち全体がネットワーク化し、長崎が持つ様々な価値を高めながら、新たな価値や仕組みを創造していくことがとても重要です。

例えば、まちなかにおいては、市民はもとより、商店街、企業などと連携する形で、「まちぶらプロジェクト」に取り組み、まちなか軸を中心に5つのエリアそれぞれの個性や魅力の顕在化を推進しています。

長崎のまちを、もっと魅力的にしたいという思いを持った市民等の主体的な動きが、まちを変えていく大きな力になります。

このような、「つながりと創造」の基本姿勢で、市民それぞれが当事者としてできることを少しずつ出し合う「全員プレーヤー型のまち」をめざし、そのための仕組みづくりにこれからも積極的に取り組みます。

その一つとして、「長崎のまちをみんなでつくる」という気持ちを共有するため、まちづくりの理念を定めた長崎版の自治基本条例の制定をめざします。

また、現在、地域全体のより一層の活性化を図るため、まちづくりにとって重要な役割を担っている長崎地域の各大学と長崎市において、包括連携協定を締結しています。今後も、各々が有する資源や機能等の効果的な活用を図りながら、様々な分野での連携・協力を進めていきます。

まちづくりを進めるにあたって、市役所は、市民の皆さんの地域活動を、分野ごとに見るだけでなく地域ごとに見ながら、縁の下の力持ちとして支える役割を担っていく必要があると考えており、そのための市役所の体制もしっかりと作っていきます。

(3)交流人口を増やす

交流人口は、定住人口が減少する中で、まちの賑わいを維持し、経済を活性化させるという一般的な効用を持つだけでなく、長崎にとっては、444年前の開港以来、長崎を活性化させ続けてきた「都市のコンセプト」と言ってもよい中核的な要素です。それは、人体でいえば血流のようなものであり、今後も長崎の活性化に不可欠なものといえます。

交流人口を増やすために必要な考え方の第一は、「交流のまち長崎の強みを活かす」ことと、「まちの個性を磨く」ことです。

長崎は、他のまちにはない魅力をたくさん持っているまちであり、そこに大きな伸びしろがあります。長崎のまちの魅力を更に高めていくため、ここでしか見られないもの、ここでしか体験できないもの、といった長崎らしさ、個性を磨きあげていきます。

今年5月4日に、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」について、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)から世界遺産登録の勧告がなされました。世界遺産としてふさわしいとの評価を受けたことは、「長崎のたから」が「世界のたから」としての価値を認められたものであり、大変うれしく思っています。

イコモス勧告で示された、来訪者の上限数設定や端島炭坑の保全措置などについては、現在、既に取組みを進めており、引き続き7月の世界遺産委員会で、勧告どおりに登録がなされるよう万全を期すとともに、受入れ態勢の充実を図ります。

また、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」については、今年9月頃に実施予定のイコモスの現地調査に、国、県、関係自治体、所有者などと一体となって万全な対応を行い、平成28年の登録に向けて全力で取り組みます。

次に、長崎の歴史や文化を語るうえで欠かすことができないのが、歴史文化遺産です。市内には指定文化財以外にも多くの歴史文化遺産があります。それを、長期的かつ計画的に保存・継承・活用し、個性あふれる魅力的なまちづくりを推進するため、そのマスタープランとなる「長崎市歴史文化基本構想」を平成26年度に策定しました。

今後は、この基本構想を踏まえ、平成28年度中の国の認定をめざして、「歴史的風致維持向上計画」の策定に取り組みます。

出島については、いよいよ来年秋、第3期復元事業の建造物6棟が完成します。現在、発掘調査と設計が進む出島表門橋の架橋及び対岸の中島川公園の整備につきましても、一日も早い完成をめざすとともに、最先端の設計技術で造られるユニークなこの橋自体の魅力と、オランダを通して世界と日本をつないだ橋のシンボル性を伝えながら、長崎のまちの魅力を発信していきます。

さらに、現在策定中の「出島保存管理計画」をもとに、出島の完全復元をめざす長期計画づくりにも取り組みます。

外国人観光客受入れについては、無線LAN環境の整備、商店街と連携した消費税免税一括カウンターの設置など、滞在を楽しむ環境整備を図り満足度を高めるとともに、世界遺産候補など世界に通用する魅力を発信することにより、海外からの観光客誘致に取り組みます。

夜景観光の推進も宿泊滞在型の観光を推進するうえで重要です。長崎県・長崎市の協働による、「長崎の夜景の在り方に関する検討会」及び長崎商工会議所青年部の提言等を基に、長崎を代表するランドマークである稲佐山山頂電波塔のライトアップを実施します。これにより、鍋冠山をはじめ、他の視点場から見える夜景の魅力を向上させ、さらに市街地からも電波塔を見上げて鑑賞できる新たな夜景の楽しみ方を創出します。

また、長崎の個性や強みをさらに活かし、まちをもっと活性化させるためには、これまでの観光客だけではない、会議やイベント等の目的で訪れる方々など、新たな交流人口の獲得が今後ますます重要になります。

今年3月に取得した長崎駅西側の交流拠点施設用地については、長崎市の中心部に位置し、陸の玄関口に接続する大変ポテンシャルの高い、長崎のまちづくりにとって重要な土地であることから、この土地が持つ力を最大限に活用し、交流人口の拡大と地域経済の活性化につながる効果的な活用方策の検討を引き続き進めます。

平成31年には「ラグビーワールドカップ2019」、平成32年には「東京オリンピック・パラリンピック」が日本で開催されますので、地域活性化につなげるとともに、市民のスポーツへの関心を高め、子どもたちに夢を与えるため、そのキャンプ地の誘致に取り組みます。

美味しい食べ物がたくさんあることも、長崎の個性の一つだと思っています。

日本一の生産量を誇るびわの中でも、大玉で食味の良い「なつたより」と、全国和牛能力共進会で日本一となった生産者こだわりの長崎和牛「出島ばらいろ」の地域ブランド化を進めています。

長崎の魚についても、豊富な魚種を誇る長崎の強みを活かし、「長崎の魚PR・おもてなしアクションチーム」と連携して、「魚の美味しいまち長崎プロジェクト」による魚のまち長崎の認知度向上などに取り組んでいます。

今後も、びわ、長崎和牛、長崎の魚をはじめとした長崎の「食」が、長崎を訪れるきっかけとなるよう、その魅力向上とPRに努めていきます。

(4)平和の発信

被爆70周年の節目となる今年は、特に平和メッセージの発信力を高めた取組みを進めています。

先般、核不拡散条約(NPT)再検討会議が開催されたニューヨークでは、被爆者やナガサキ・ユース代表団等との世代を超えた連携により、核兵器廃絶を願う被爆地の声を強く発信しました。

今回が最後、との思いで渡米された高齢の被爆者が語る体験や被爆者歌う会「ひまわり」の合唱は、アメリカ市民などの心に深く響きました。

このような被爆者の方々の想いを継承するとともに、軍縮・不拡散教育など長崎らしい活動を通じて平和を発信し、世界に貢献することは、未来にわたり被爆都市長崎が担い続けていく使命であると考えています。

被爆70周年記念事業を通して、「継承と発信」の力を強め、核兵器のない世界の実現に向けて、ねばり強く前進していきます。

5 おわりに

以上、3期目をスタートするにあたり、私の所信の一端を述べさせていただきました。

これからの4年間は、これまで2期8年間にわたり、市民の皆様とともに、一つひとつ丁寧に育ててきた果実の収穫に向けて取り組む4年間であり、かつ、これからの時代に合った未来の長崎の基盤をつくる大切な時期でもあります。

市庁舎の建替えや県庁舎跡地整備につきましても、引き続き、しっかりと推進してまいります。

愛してやまないこの長崎市を、今以上に素晴らしいまちへ進化させるため、長崎市を構成するすべてのメンバーの皆様と力を合わせ、全身全霊を傾けていく所存でありますので、引き続き市民の皆様並びに議員の皆様の大いなるご支援とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げまして、私の施政方針といたします。

お問い合わせ先

企画財政部 都市経営室 

電話番号:095-829-1111

ファックス番号:095-829-1112

住所:〒850-8685 長崎市桜町2-22(本館4階)

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