ここから本文です。

施政方針(平成27年2月20日)

更新日:2015年2月20日 ページID:026652

平成27年度施政方針

平成27年2月20日、平成27年第1回市議会定例会の冒頭において、田上富久 長崎市長が市政運営に対する所信を述べました。

目次
1 はじめに
2 平成27年度の予算編成
3 平成27年度の主な取組み
(1)個性を活かした交流の拡大
(2)平和の発信と世界への貢献
(3)地域経済の活力の創造
(4)環境との調和
(5)安全・安心で快適な暮らしの実現
(6)ともに支え合い、いきいきと暮らせる地域社会の実現
(7)創造的で豊かな心の育成
(8)多様な主体による地域経営
4 おわりに

本定例会は、私にとりまして、長崎市長として今任期最後の定例会でありますので、これまで取り組んできました市政運営について振り返るとともに、所信の一端を申し上げます。

私は、平成23年4月に、市長として2期目の任期をスタートいたしましたが、1期目、2期目を通じて、市民の皆さんが暮らしやすいまち、魅力あふれるまちをめざして、変革の時代をしっかりと乗り切り、常に進化しながら、次の時代への基盤をつくることを信念として、市政の推進に全力を傾けてまいりました。この間、多くの市民の皆様や議員の皆様から温かいご指導、ご助言をいただいたことを深く感謝申し上げます。

1 はじめに

平成19年4月に就任した当時から、世界規模で激しく変化し続ける時代の真っ只中にあり、特に、人口減少や少子化・高齢化の進行は、日本のあらゆる社会現象を語る上で常に使われるフレーズとなり、もはや時代を表す枕詞では済まされない重要な課題となっています。

これらの変化は、すでに私たちの身近な生活にも大きなうねりとして姿を現し、次々と押し寄せていますが、私たちは、様々な変化の波に飲み込まれるのではなく、自らも変化しながら、これまでよりも良いものへと進化するため、歩みを止めることなく力強く進んで行く必要があります。

長崎というまちは、他のまちにはない独特の歴史や食文化、世界屈指の夜景、水産、造船などの産業はもちろん、それらを紡ぐ人々のストーリーなど、数多くの資源を有しており、それらをさらに磨くことで、個性的で魅力的なまちづくりを進めてまいりました。

また、市民の皆様に「長崎に住み続けたい」と思ってもらえるよう、市民と行政が協働しながら、高齢者や子育て家庭を地域で支える仕組みづくりにも取り組んでまいりました。

そして、平成22年度に策定した「第四次総合計画」では、めざす将来の都市像として「世界都市」「人間都市」という2つのビジョンを掲げ、それを実現するための「つながりと創造」という基本姿勢のもとでまちづくりを進めることと定め、そのスタートである平成23年4月に市長として再び市政運営へのご信任をいただきました。

2期目に入りましてからは、時代や環境の変化にしっかりと対応し、今までの形をより良いものへと進化させることを強く意識し、特に「進化」が必要な重点分野として、「経済」「まちの形」「まちを支える仕組み」を示すとともに、これらを具現化するための事業群として「13の重点プロジェクト」を精力的に推進してまいりました。

「まちぶらプロジェクト」、「出島表門橋架橋プロジェクト」、「世界遺産推進プロジェクト」のように、その成果が『形』として市民の皆様にもわかりやすく現れてきているものもある一方で、「地域コミュニティのしくみづくりプロジェクト」、「長く元気で!プロジェクト」のように、市民の皆様と一緒に取組みを始め、徐々にその姿が現れ始めているものもあります。

いずれも、これからのまちづくりに向けて具体的な成果を示す時期に差し掛かっておりますので、引き続き、その成果の見える化にも積極的に取り組んでまいります。

また、厳しい経済情勢が続くなか、外貨の獲得に向け、外国人観光客の誘致による経済の活性化や、産学官金の連携による地場産業の振興、多くの人を呼び込むための交流拠点施設の検討など、「経済」の分野については、特に力を入れて取り組む必要があると認識しております。

次に、人口減少問題ですが、長崎市の人口は、昭和60年頃を境に減少が続いており、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、平成52年には約33万1千人と、平成26年よりも約10万3千人減少すると見込まれています。

人口減少は、単に人口が減少するだけではなく、人口構造の変容が重要な問題であり、雇用、子育て、教育、福祉、地域コミュニティなどといった様々な分野に大きく影響を及ぼすとともに、行政サービスのあり方など地域を支える仕組みや制度の再構築も必要となります。

これまでも、「13の重点プロジェクト」をはじめとして、総合計画の推進に向けた様々な取組みを進めてまいりましたが、国も人口減少と地域経済縮小への対策を強力に進めているなかで、地域の特色に応じた自発的な取組みを行う自治体を支援する方向を示しており、本市においても、これまで以上に人口減少対策を強く意識した取組みを進めていく必要があります。

そこで、昨年11月に「人口減少対策推進本部」を立ち上げ、地方創生のための「人口ビジョン」と「総合戦略」を平成27年度のできるだけ早い時期に策定するとともに、国の制度も積極的に活用しながらスピード感を持って取り組んでいきたいと考えております。 

2 平成27年度の予算編成

長崎市の中長期的な財政状況といたしましては、収支改善等の効果により、臨時財政対策債等を除く実質的な公債費や人件費は減となるものの、人口減少、少子化・高齢化の進展などにより、原爆関連経費を除いた扶助費の増加や、市税収入の減少、また、地方交付税についても、平成27年度から始まる合併算定替えの段階的な縮減による影響は一定緩和される見込みであるものの、実質的には減少傾向となると見込んでいるところです。

平成27年度の当初予算編成にあたりましては、今年の4月が市長及び市議会議員の改選期にあたることから、継続事業や経常経費などを中心とした骨格予算の考え方を基本としていますが、政策的な事業におきましても、

  • 緊急性を要する景気・雇用対策に係る事業
  • 国、県、関係団体等との連携、協調が必要な事業
  • 実施時期や工期の関係から年度当初に着手すべき事業

などにつきましては、当初予算に計上することとしております。

なお、喫緊の課題である人口減少対策や地域経済の活性化に重点的に取り組むため、

  • 地域における消費喚起や生活支援
  • 観光客の受入れ態勢の整備や商店街の活性化
  • 地域の強みを活かした産業育成
  • 子育て支援や少子化対策
  • 移住定住促進や居住環境の整備

など、国の「地方創生」に向けた交付金の要件に沿った事業につきましては、前倒しして実施するため、速やかに補正予算として計上させていただきたいと考えております。 

3 平成27年度の主な取組み

平成27年度当初予算に計上している主な取組みについて、第四次総合計画の体系に沿ってご説明いたします。

(1)個性を活かした交流の拡大

長崎が有する独自の自然や歴史、文化を磨き、伝えることで、市民が誇れるまち、世界の人々が訪れたいまちをめざし、交流の拡大に向けて様々な取組みを進めます。

まず、世界遺産の登録に向けては、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」について、今年6月から7月にかけて開催されるユネスコ世界遺産委員会において、登録に向けた審査が予定されており、登録決定後は記念イベントを実施するとともに、引き続き端島炭坑の遺構調査や居住施設の保存のための研究、整備活用計画の策定を進めます。

また、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」については、国際記念物遺跡会議(イコモス)の現地調査に対応するなど、平成28年の登録に向けて取り組みます。

2つの世界遺産登録の実現を見据え、観光客の受入れ態勢を整備し、満足度の向上を図るため、各構成資産に関する4ヶ国語のガイドブックの制作や、現地における解説映像の配信機器を整備します。

次に、夜景観光の推進については、世界新三大夜景の更なる周知に取り組むとともに、長崎ロープウェイの耐震化とバリアフリーの工事に取り組み、利用者の安全性と利便性の向上を図ります。

長崎観光の全国的な情報発信として、「JRデスティネーションキャンペーン」が平成28年秋に長崎県で開催されることから、新たな観光資源の発掘や磨上げなど、魅力ある観光地づくりに官民一体となって取り組みます。

「日本一のまち歩き・まち体験へ」をテーマとした「長崎さるくキャンペーン」が最終年度となることから、世界遺産をテーマとしたさるくコースの拡充やコースの見直し、ICTを活用した新たな仕組みづくり等を進め、参加者の満足度の向上とリピーターの獲得など、「長崎さるく」の進化を図ります。

国際クルーズ客船については、過去最高隻数の寄港が予定されていることから、乗船客の満足度を高めるため、入出港時のおもてなしや受入れ態勢の整備を行います。

次に、出島については、平成28年度の供用開始をめざし、6棟の建造物復元に引き続き取り組むとともに、表門橋の架橋及び対岸の中島川公園の整備に着手します。

また、「出島保存管理計画」については、国指定史跡の範囲拡大や出島の長期計画を見据え、本年度中に策定します。

次に、長崎駅周辺エリアについては、九州新幹線西九州ルートの平成34年の完成を見据え、新しい駅舎や駅前広場等のデザインについて検討を進めるなど、着実に取組みを推進します。

また、長崎駅周辺の交通の円滑化を図るため、旭大橋東口交差点から中央郵便局横に通じる都市計画道路大黒町恵美須町線の拡幅整備を進めるとともに、岩原川周辺については、長崎駅周辺エリアとまちなかエリアを結ぶ主要なルートとして、水辺に親しめる安全・安心な歩行者導線の整備に取り組みます。

松が枝周辺エリアについては、長崎港の新たな港湾計画の中に、松が枝国際観光船ふ頭の2バース化が位置づけられたことを受け、その早期完成に向けて、国や県と連携を図ります。

次に、まちなかについては、まちなか軸を中心とした5つのエリアにおいて、「まちぶらプロジェクト」を推進し、賑わいの再生に向け、それぞれの個性や魅力の顕在化に取り組みます。

まず、「新大工エリア」では、市場や商店街の魅力を磨き、賑わいを創出する再開発事業について、早期の事業化に向け積極的に支援します。

次に、「中島川・寺町・丸山エリア」では、長崎の「和」の歳時を顕在化するため、町家の保存活用や回遊路の整備、花で地域を彩るあじさいチャレンジなどを実施します。

「浜町・銅座エリア」では、中心商業地の魅力向上と地域経済の活性化を図る浜町地区の再開発事業について、計画の具体化に向けた取組みを支援します。

また、沿道を歩いて楽しめる銅座川プロムナードについては、市場移転に向けた交渉を進め、銅座地区の魅力と安全性を高めるための道路整備に着手するとともに、銅座地区のまちづくり構想を策定します。

「館内・新地エリア」では、中国文化に彩られた長崎の魅力を顕在化するため、唐人屋敷顕在化や湊公園のトイレの改修などを実施します。

「東山手・南山手エリア」では、西洋文化に彩られた長崎の魅力を顕在化するため、旧長崎英国領事館や旧グラバー住宅など洋館の保存整備、エリア内を花で彩るばらチャレンジなどを実施します。

これら5つのエリアをつなぐ軸づくりとしては、誘導サインを設置するとともに、まちぶらカレンダーによる情報発信なども併せて実施します。

また、この「まちぶらプロジェクト」などを強力に推進するため、「中心市街地活性化基本計画」を策定し、市民はもとより、商店街、企業、金融機関、大学、そして行政などが一体となって、まちなかの賑わいの再生を図ります。

次に、長崎の歴史について、だれもが気軽に学び、お互いに教え合える場である「歴史の学校」の秋の開設に向け、運営体制や講座カリキュラム等の検討を進めます。

合併地区においては、市町村建設計画及び地域振興計画に基づき、地域の個性や魅力を活かした、まちづくりに取り組みます。

主な取組みとして、高島地区においては、世界遺産登録に向けた観光客の受入れ態勢の整備に向け、軍艦島が見える丘の整備や新たな交通手段として電気自動車を導入します。

野母崎地区においては、野母崎田の子地区を交流人口拡大の拠点としての再整備に向けた検討を進め、地域の活性化をめざします。

また、「地域おこし協力隊」を引き続き5つの地区に配置し、地域活動の活性化に向けた支援を実施するとともに、起業・定住に向けた支援の充実を図ります。

(2)平和の発信と世界への貢献

今年は、被爆70周年という節目の年を迎えます。

この70年間、被爆地長崎から核兵器廃絶を訴えてきましたが、被爆者が年々減少するなか、被爆の実相を次の世代に継承し、世界に強く発信していくことが重要です。

長崎市は、「継承と発信」をテーマに、被爆者、市民とともに被爆70周年に臨みます。

まず、「継承」については、原爆資料館において、被爆の実相への理解を深めていただくため、最新の映像機器等を導入するとともに、新たに収集した資料や被爆者が描いた絵画等が閲覧できる環境を整備するなど、展示内容を充実します。

また、外国人観光客の多様化するニーズに対応するため、モバイル機器で多言語の解説文が閲覧できるシステムを導入します。

さらに、被爆者の家族や被爆者とともに活動してきた方々による講話等の被爆継承活動を支援するとともに、米国国立公文書館での原爆資料の調査・収集活動や、旧城山国民学校校舎をはじめとする「長崎原爆遺跡」の史跡指定に向けて取り組みます。

平和の「発信」については、今年4月に開催される「核不拡散条約(NPT)再検討会議」において、被爆者やナガサキ・ユース代表等の訪問団の活動を支援するとともに、長崎平和特派員や平和首長会議等と連携を図り、様々なアピール活動を展開し、被爆地ナガサキの平和への思いを強く発信します。

また、今年11月には、国内外から科学者や専門家が集まり、軍縮・平和問題を討議する「パグウォッシュ会議世界大会」が長崎で初めて開催されることから、平和を発信する絶好の機会と捉え、長崎大学等の関係機関との連携のもとで開催を支援します。

さらに、世界150以上の国と地域の子どもたちが、長崎で被爆の実相を学び、意見交換を行う「世界こども平和会議」を開催し、参加した子どもたちを通じ、核兵器廃絶や恒久平和への願いを世界に向けて発信します。

次に、被爆70周年記念事業として、市民団体が主体となって、音楽、演劇、出版等の多様な分野で8つの協働事業を実施します。

また、平和祈念式典においては、国連事務総長をはじめ海外からの招聘を拡大するとともに、式典会場の熱中症対策など、参列環境の改善にも取り組みます。

次に、世界平和の礎となる国際交流については、日本初の都市間提携であるアメリカ・セントポール市との姉妹都市提携60周年を迎えることから、相互に公式訪問団を派遣し、更なる関係強化と交流促進につなげます。

(3)地域経済の活力の創造

長崎サミットをはじめとした産学官金の連携を強化し、域外からの外需獲得と域内の好循環を図り、雇用の拡大と所得の向上による経済成長の実現をめざします。

まず、基幹産業である造船業の競争力強化及び地域に安定した良質な雇用を確保するため、「ながさき海洋・環境産業雇用創造プロジェクト」を着実に推進することで、高度な技術・技能の習得を図り、海外展開力を強化します。

また、造船造機の技術を活かし、海洋再生エネルギー関連産業への進出に挑戦する地場企業を支援することで、成熟産業から成長産業への展開を促し、新しい産業としての集積を図ります。

さらに、長崎港の国際貿易港としての競争力を高めるため、長崎港活性化センターによる集荷活動を強化し、週3便就航の「長崎-釜山国際コンテナ定期航路」の定着を図ります。

企業誘致については、九州新幹線西九州ルートのトンネル工事に伴う発生土を活用した企業立地用地の整備を行うため、田中町の事業用地を取得し、今後の更なる企業誘致に取り組みます。

次に、商業の振興については、「中心市街地活性化基本計画」に基づき、推進団体の運営を支援するとともに、まちなか商業において中心的な役割を担うべき人材の育成を行います。

また、開設40周年を迎える中央卸売市場の記念事業として、市場の発展に寄与し、その功績が顕著な団体や個人を表彰するとともに、「市民大感謝祭」を開催します。

次に、地元の農水産物の販売促進に向け、テレビ局とタイアップした広告宣伝を展開するとともに、「魚の美味しいまち長崎プロジェクト」を推進します。

次に、農畜産物の地域ブランド化を推進するため、びわの優良品種「なつたより」と「長崎和牛・出島ばらいろ」を最重点品目として位置づけ、JAや生産者と連携しながら新たな販路の確立や知名度の向上に努めます。

また、地域農業・農村の未来の設計図である「人・農地プラン」の実現に向け、戦略モデル地区4集落において、生産基盤の整備、担い手の確保、農地集積など、より具体的な整備計画を策定します。

また、水産業の振興と更なる発展をめざし、平成28年度からの5ヶ年を計画期間とする新たな「水産振興計画」を策定し、水産業の喫緊の課題に対応するとともに、長崎の強みである水産業を活かすための道筋をつくります。

(4)環境との調和

潤いのある長崎のまちを後世に引き継ぐため、環境負荷の少ない低炭素な環境と調和のとれた持続可能なまちの実現に取り組む必要があります。

そこで、再生可能エネルギーの導入を促進し、災害に強く低炭素な地域づくりを進めるため、平成28年度までの2ヶ年で、防災拠点となる施設のうち必要性が高い8ヶ所に太陽光発電設備や蓄電池を整備するとともに、その他の公共施設への太陽光発電設備や次世代自動車の導入、市が所有する街路灯についてLED灯への転換に引き続き取り組みます。

また、平成25年度から開始した「ながさきソーラーネットプロジェクト」のうち、市が三京町に整備したメガソーラー発電所から生まれる売電利益を市民に還元するため、新たに「ながさきエコライフ基金」を設置し、市民の環境保全活動の推進に活用します。

次に、森林の適正な整備及び保全を図るため、市有林の間伐材を活用して学校図書館の出入口の看板や本棚などを整備する木質化を積極的に推進します。

また、一般廃棄物の焼却施設である西工場の建替えについては、平成28年10月の供用開始をめざし、着実に建設を進めます。

(5)安全・安心で快適な暮らしの実現

市民のだれもが安全で安心して暮らすことができ、生活しやすい快適なまちとなるよう、暮らしやすさを重視した取組みを進めます。

まず、地域における防災力の向上については、市民防災リーダーに地域防災マップづくり等へ参加していただくことで、市民目線・地域目線で自主防災組織の結成促進や活動の活性化を図ります。

また、避難所の迅速な受入れ体制を構築するため、自主防災組織と避難所勤務要員が連携した試験的な開設・運営に取り組みます。

地域防災の重要な担い手である消防団については、引き続き団員が活動しやすい環境づくりと入団促進に取り組むとともに、土砂災害に備え、消防団の災害用資機材を整備します。

さらに、滑石地区の消防防災拠点である北消防署滑石出張所の移転建替えを行います。

次に、暮らしやすいまちの形成については、総合的・計画的な市街地整備を進めるため、「都市計画マスタープラン」の改訂を行うとともに、斜面市街地再生事業に継続して取り組み、地区の特色や魅力を活かしたまちづくりを進めます。

また、安全・安心な建築物の普及を促進するため、耐震診断の実施が義務化された病院、店舗、ホテル・旅館等に対する耐震診断費の助成に加え、新たに耐震改修設計費の助成を行います。

民間住宅については、老朽危険空き家対策事業を引き続き実施するとともに、集中豪雨等により被災した「がけ」の対策工事に係る費用の一部を助成し、更なる居住環境整備の促進を図ります。

市営住宅については、大園団地3)期及び塩町団地の建設を開始するとともに、本河内団地の建替事業及び新戸町団地の全面的改善事業に着手します。

次に、道路整備については、道路ネットワークの強化を図るため、南部地区の幹線道路である長崎外環状線の新戸町から柳田町間の事業化に向けた手続きが進められるよう、長崎県に対して最大限の協力を行います。

生活道路の整備については、車が入れなかった階段や狭い道路を車が通行可能となるよう改良する「車みち」の整備拡大を図ります。

また、交通渋滞を緩和するため、滑石横尾線の交差点改良などを行うとともに、合併地区の道路整備にも引き続き取り組み、地域に合った暮らしやすい生活道路の整備を進めます。

公園整備については、鍋冠山公園において、市民や観光客が、身近に見えるまちや夜景を楽しめるような魅力ある展望台の整備を実施します。

上下水道事業については、収益の減少が見込まれるなか、「持続」「普及推進」「強靭化」の方針のもと、経営基盤の強化を図るとともに、一層の普及促進や老朽化した施設の計画的更新を進めます。

(6)ともに支え合い、いきいきと暮らせる地域社会の実現

市民が地域で生きがいを持ち、健康で安心して暮らせるよう、地域や医療関係機関と連携し、様々な支援体制の構築及び環境整備に努めます。

まず、地域包括支援センターを中心に多職種連携やネットワーク化を図り、地域ケア会議の開催を更に拡大することで、地域の特性に応じた医療と介護の連携を推進するための支援体制を構築します。

認知症対策としては、認知症高齢者、介護者及び地域住民等が、交流や情報交換、専門職等による相談を行う「認知症カフェ」を開設することで、介護負担の軽減と認知症支援の啓発を図ります。

また、徘徊高齢者を早期発見するため、介護事業所等と電子メールを使ったネットワークを構築し、高齢者の安全を確保するとともに、その家族等を支援します。

平成28年10月に開催予定の「第29回全国健康福祉祭ながさき大会」(ねんりんピック長崎2016)に向け、長崎市実行委員会を設立し、大会運営に向けた準備を進めます。

また、今年9月の開設をめざし、野母崎診療所の空きスペースを活用した地域密着型特別養護老人ホームなどの整備を進め、住民が地域で安心して生活できる環境づくりに取り組みます。

障害者支援については、共同生活援助事業所の整備による住まいの場の確保や、就労相談・雇用開拓による一般企業等への就労支援に取り組むとともに、授産製品の販売促進、障害者就労施設等からの物品等の優先調達を推進し、多様な就業機会の確保と福祉的就労における工賃アップをめざします。

また、障害福祉センターにおける療育支援体制を強化するとともに、医療機関等と連携し、発達障害児の早期発見と適切な療育を図ります。

今年4月からの「子ども・子育て支援新制度」の開始に伴い、幼児期の教育・保育、地域の子ども・子育て支援など、量と質の両面における支援の更なる充実を図り、子育てしやすい環境づくりを促進します。

特に、保育所待機児童については、平成27年4月時点で「待機児童ゼロ」を実現するとともに、その後の保育ニーズにも対応できるよう、引き続き保育の量の確保を図ります。

また、保育所、幼稚園等の保育料については、国の基準を踏まえつつ、保護者負担の軽減を図ります。

さらに、放課後児童クラブについては、小学校の余裕教室等の活用を中心とした施設整備による量の確保を図るとともに、運営支援の拡充に努めます。

被爆者援護については、平成25年に改定された原爆症認定制度を検証し必要な改善を図るなど、高齢化する被爆者援護の充実を強く国に要望していきます。

また、一昨年設置した「長崎市原子爆弾放射線影響研究会」の専門家による情報収集や意見交換に継続して取り組むことで、援護施策の充実につなげます。

さらに、被爆者が安心して医療を受けられる環境を整備するため、長崎原爆病院が本年度から計画している現在地での建替えについて、国・県と協調して支援します。

次に、生活困窮者等への支援については、生活困窮者自立支援法が本年度から施行されることに伴い、平成26年度のモデル事業を踏まえ、生活支援相談センターにおける自立に向けた相談支援、就労支援、家計管理の支援を本格実施するとともに、生活保護受給世帯等の子どもたちの高校進学率や社会性の向上を図るための学習会を開催し、自立に向けた支援を行います。

生活保護受給世帯の就労支援については、ハローワークOB等の就労支援員による支援、民間企業への委託による就労意欲の喚起、就業訓練、職場体験等の支援を引き続き実施し、就労による生活の安定と自立に向けた取組みを進めます。

健康づくりについては、体への負担が少ない血液検査による「胃がんリスク検診」を導入し、リスクの高い人に対する胃がん検診の動機づけやピロリ菌の除菌治療に結びつけることで、胃がん発症の抑制を図ります。

また、「提案型協働事業」を活用し、官民連携によるノルディックウォークの普及啓発及びセカンドライフガイドブックの作成により、市民の健康づくりと介護予防に取り組みます。

歯科口腔保健を推進するため、フッ化物洗口を実施する学校等の増加や、障害者・要介護者への支援体制の整備を図ります。

もみじ谷葬斎場については、集中時の火葬炉待ちを解消し、故人との心安らかなお別れができる雰囲気と時間を確保するため、インターネットを利用した火葬場予約システムを構築します。

(7)創造的で豊かな心の育成

学校・家庭・地域が協力し、それぞれの役割・教育効果を発揮できるよう支援するとともに、教育環境の更なる充実を図り、子どもたち一人ひとりの個性や能力を伸ばす取組みを進めます。

人間形成の基礎となる幼児教育においては、幼稚園、保育所及び小学校が連携し、「あいさつ返事元気よく、早寝・早起き・朝ごはん、はきものそろえいいきもち」の3つの約束の頭文字をとった「あ・は・は運動」に取り組み、幼少期からの基本的生活習慣や規範意識の定着を推進します。

学校教育においては、ひきこもり傾向の児童生徒に対応している「メンタルフレンド」に替えて、教育や福祉の分野に専門的な知識や技術を持つ「スクールソーシャルワーカー」を配置し、より広く関係機関と連携しながら、児童生徒への支援体制の強化を図ります。

また、学校図書館司書を36人から43人に増員し、学校図書館を活用した学習活動の充実をめざします。

国際理解教育においては、文化や歴史の違いを認め、相手を理解する能力を養うため、ALTが作成した長崎市独自の英語教材を活用し、小学校の低学年から英語に慣れ親しむ活動を推進します。

情報教育においては、ICTを効果的に活用できるデジタル教科書の整備に加え、すべての小学校にタブレット端末を整備することで、わかる授業を推進し、確かな学力の向上を図ります。

また、問題行動や友人関係のトラブルの大きな原因となっている携帯電話等の利用については、長崎市PTA連合会が作成した「メディア利用の共通ルール」を、全市的な取組みとして広がるよう、PTAと一体になって周知を図ります。

教育環境の整備については、改築等を予定している学校を除くすべての小中学校において、平成27年度末に耐震化を完了いたします。

また、防災機能の強化を図るため、屋内運動場及び武道場の吊り天井の撤去を行うなど、非構造部材の落下防止対策に取り組みます。

少子化により小規模化し、老朽化している佐古小学校と仁田小学校の統廃合に伴う新設校の建設に向けて基本実施設計を行います。

また、校舎の老朽化に伴い、伊良林小学校の建替えに向けた基本設計に着手します。

学校施設における犯罪の抑止や事件発生時の迅速な解決につなげるため、原則としてすべての小・中学校へ防犯カメラを設置します。

科学教育の振興に向けては、経年劣化している科学館の天体望遠鏡の更新に着手します。

また、日吉青年の家については、地域との協働による長崎ならではの体験学習ができる新たな自然体験型宿泊研修施設をめざし、建替えを進めます。

(8)多様な主体による地域経営

地域の成り立ちや地理的条件による様々な特性にあった地域づくりに向け、地域が自ら課題を認識し、解決する力を高め、主体性を持って取り組むための支援策を拡げるとともに、市役所が地域の動きを応援する力を高める仕組みづくりを進めます。

まず、地域の住民や団体が、現状や課題について話し合い、解決に向けて取り組む「わがまちみらい工房」の開催を支援し、地域の主要な団体が集まる場である「地域円卓会議」の自主的かつ継続的な開催につなげます。

また、多様な主体の連携・協力による自立した地域運営に必要な知識・スキル等の習得に向けた支援に取り組みます。

自治会の活性化に向けては、同じ課題を抱える自治会ごとの情報交換会の開催や地域に出向く出前相談を行い、先進的な取組みなどを周知することで、顕在化している様々な課題の解決を図ります。

また、自治会に配布をお願いしている文書量が増加傾向にあることなどから、自治会への広報ながさき等配布謝礼金を増額します。

併せて、老朽化が進む自治会所有の集会所の建替えや補修等に対応する自治会集会所建設奨励費補助金を増額することで、地域活動拠点の整備を促進します。

市民と行政が有機的に連携し、人材育成やネットワークづくり、政策を生み出す活動を行ってきた「長崎伝習所」が30周年を迎えることから、伝習所がまちづくりに果たす役割やあり方を考え、市民にその意義を周知し、更に発展させていくきっかけとするための記念事業を展開します。

自治基本条例の制定に向けては、市民の皆様の様々なご意見や、平成26年度中に提出予定の「長崎市自治基本条例検討委員会」からの報告書をもとに、本年中の条例制定をめざします。

本年度は、「第四次総合計画前期基本計画」の最終年度となります。

そこで、これまで取り組んできた各施策の成果の検証を十分に行うとともに、市民や関係団体等の意見を反映させるための体制を整え、本市がめざす将来の都市像『世界都市』『人間都市』の実現に向け、平成28年度から平成32年度までを計画期間とする後期基本計画の策定に取り組みます。

また、行財政改革については、引き続き職員数や経費の削減などの「量」の改革と、仕事そのもののやり方を見直す「質」の改革を進めます。

市税等の自主財源の確保に向けては、収納率の向上を図るため、引き続き現年分徴収向上と法的措置の拡大と推進、催告等の早期実施の徹底などに努めるとともに、未利用市有地の売却や一時貸付などを進めます。

なお、現在の「行財政改革プラン」については、計画期間の最終年度を迎えますので、平成28年度を始期とした新たなプランの策定に取り組みます。

「公共施設マネジメント」については、モデルプランの作成及び実践に取り組み、先行事例を積み上げることで、市民の理解を深めるとともに、地区ごとの施設の再配置計画となる「地区別計画」及び個別施設の保全や長期修繕の年次プランを示す「施設別計画」の策定に向けた取組みを進めます。

地域と市役所が連携して地域の課題を解決する仕組みの構築に向け、現在の支所及び行政センターが、地域のまちづくりを支援し、身近な手続きや相談の窓口となるよう、本庁も含めた機能再編成の具体案を作成します。

また、マイナンバー制度を活用した各種手続における添付書類の省略、コンビニエンスストアでの住民票の写しや税証明等の交付など、市民サービスの向上を図ります。

社会情勢の変化に的確に対応し、進化する市役所となるべく、職員一人ひとりが、常に市民起点の意識を持ち、自らの業務を改善する取組みを加速するとともに、職場内のコミュニケーションや管理職の組織マネジメント力の向上を通して、目的・目標の共有化を図ることで、その達成に向けた新しい仕事のやり方にチャレンジする市役所の風土をつくります。

以上、申し述べました方針に基づいて編成した平成27年度予算は、

一般会計 2,141億8,000万円
特別会計 1,217億1,364万6千円
企業会計 418億2,251万1千円
合計 3,777億1,615万7千円

となっています。

4 おわりに

長崎のまちは、これまでも、市民、企業、行政などが、自らの強みを活かし、お互いにつながりあって、新たな成果を生むという経験を積み重ねてきました。

この経験は、人口減少をはじめとしたこれからの時代の変化をチャンスに変え、長崎が持つ様々な強みを活かしながらまちづくりを進めていくうえで、大きな力となるはずです。

このまちを、次の時代に引き継いでいくためには、これまでの取組みを一つひとつ形にしながら、さらに進化させていく必要があります。

今後とも、市民の皆様とともに力を合わせ、よりよい長崎を創りあげていきたいと考えておりますので、市民の皆様並びに議員各位の大いなるご支援とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げまして、平成27年度の施政方針といたします。 

お問い合わせ先

企画財政部 都市経営室 

電話番号:095-829-1111

ファックス番号:095-829-1112

住所:〒850-8685 長崎市桜町2-22(本館4階)

アンケート

より良いホームページにするために、ご意見をお聞かせください。コメントを書く

ページトップへ