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施政方針(平成23年2月22日)

更新日:2013年3月1日 ページID:006860

平成23年2月22日、平成23年第1回市議会定例会の冒頭において、田上富久 長崎市長が市政運営に対する所信を述べました。

目次

はじめに

本定例会は、私にとりまして、長崎市長として今任期最後の定例会でありますので、これまで取り組んできました市政運営について振り返るとともに、所信の一端を申し上げます。
私が平成19年4月に多くの市民の皆様のご支援をいただき、市政運営の重責を担うようになってから4年の歳月が流れようとしています。私は市長就任当初から、激しい変革の時代をしっかりと乗り切り、市民が暮らしやすい、魅力的なまちづくりを進めることを信念として市政の推進に全力を傾けてきました。この間、多くの市民の皆様や議員の皆様から温かいご指導、ご助言をいただいたことを深く感謝申し上げます。
顧みますと、就任した当時から変革の時代の真っ只中にあって、国・地方を通じた行財政改革は必須の課題であり、様々な行政課題への迅速で的確な対応が必要な状況でした。このことから、長崎市においても、自己決定・自己責任が求められる地方分権時代にふさわしい、効果的で効率的な行財政運営を行うため、自主財源の確保はもとより、人件費をはじめとした歳出の徹底した見直しと施策の重点化を図ってきました。
この施策の重点化を図る指針として掲げたのが、「個性的なまちをつくる」「暮らしやすいまちをつくる」「みんなでまちをつくる」という3つの方向性です。そのなかで、早急に対応すべきもの、時間をかけて戦略的に対応するものという仕分けをしながら市政運営を行ってきました。

一年目は種を蒔く年と位置付け、二年目は3つの方向性の定着とその方向性に沿った具体的な施策・事業をスタートさせるという視点で取り組み、さらに、三年目以降は、この方向性によるまちの将来像をイメージするなかで、長崎という都市をより磨き、世界のどこにもない魅力的なまちをめざすということを強く意識して、「長崎化」に取り組むとともに、市民と行政が協力してまちづくりを進めていくための仕組みづくりや実践活動に力を入れてきました。
これらの取組みは、成果が得られているものもあれば、まだ、道半ばのものもあります。市民が暮らしやすく、魅力的なまちになるために、今後もしっかりと取り組むことが重要であると思っています。
また、厳しい経済情勢や雇用情勢のもと、地元経済の活性化に資する経済対策には特に力を入れて取り組んできました。
平成23年度においても「市民の暮らしを守る」ために、引き続き景気・雇用対策に積極的に取り組む必要があると考えています。

1 第四次総合計画

平成23年度は、第四次総合計画のスタートの年です。この計画の策定にあたっては、「市民と共有し、ともに取り組む計画」という位置付けで、素案の段階から多くの市民の皆様に関わっていただくとともに、議員の皆様にも自主的な調査などにおいて、多くの貴重なご意見を賜りました。平成22年11月定例会で議決をいただいた基本構想では、めざす将来の都市像を「個性輝く世界都市 希望あふれる人間都市」とするとともに、この都市像を実現するにあたってのまちづくりの基本姿勢を「つながりと創造で新しい長崎へ」と掲げています。大きな時代の流れのなかにあって、変化の荒波を乗り越え今後も発展し続けるために、世界がその価値や魅力を認める「長崎らしさ」と人間を起点に考える「住みやすさ」に重きを置きながら、新しい長崎をみんなで創っていこうというものです。
今回の基本構想のめざす将来の都市像とまちづくりの基本姿勢は、私がこれまで意識して取り組んできた3つの方向性と合致したものとなっており、今後はこの将来の都市像の実現に向けて市民の皆様と一緒に取り組んでいくことにより、必ず輝く未来が訪れるものと確信しています。

2 平成23年度の予算編成

平成23年度の当初予算編成にあたっては、新たにスタートする第四次総合計画と連動したものとするため、前期基本計画を構成する施策を明確に意識しながら編成作業を行うことにより、施策の目的達成や政策課題への対応をより明確化しました。

また一方で、本年度の当初予算は、この4月が市長及び市議会議員の改選期にあたることから、重要な政策的予算を除いた骨格予算の考え方を基本としていますが、

  • 緊急性を要する景気・雇用及び安全対策に係る事業
  • 国、県、関係団体等との連携・協調が必要な事業
  • 実施時期や工期の関係から6月補正では間に合わない事業
  • 継続的に実施することにより効果を発揮する事業

などにつきましては、当初予算に計上するとともに、総合計画の道筋をつけるための予算という位置付けを行いました。
こうした方針のもとでの予算編成でありましたが、まず、歳出面では、人件費や借換え分を除く実質的な公債費は縮減されたものの、景気低迷等に伴う生活保護費や子ども手当費の拡大など、扶助費が大きく増加することから、義務的経費は増額となっています。
一方、歳入面では、国の地域主権改革に沿って地方交付税が増額確保されるなど、一定の地方財政対策がとられ、また、市税についても、個人市民税の減などはあるものの、事業所税などの増に伴い市税全体としては増収となる見込みです。

しかしながら、地方譲与税や交付金については、軒並み前年度を下回るという状況もあり、歳入が不足する分に基金を取り崩して充てることにより収支の均衡を図ったところです。
このように、依然として厳しい財政状況ではありますが、長引く景気低迷や厳しい雇用情勢に鑑み、まずは景気・雇用対策を最優先に取り組むべき課題と捉え、投資的事業については、昨年12月臨時会予算を含む15ヶ月予算でみると、平成22年度を上回る208億円を確保するとともに、緊急的な雇用創出事業として47事業を実施し、平成22年度当初予算より95人増となる352人の雇用を新たに創出することとしています。また、長崎サミットを構成する経済界や大学、県などとも連携して地域経済の活性化に積極的に取り組んでいくこととしています。
併せて、行政改革の着実な推進による人件費の縮減、事務事業の見直し等により財源を捻出し、現場の視点で市民ニーズに適切に対応した行政サービスが提供できるよう、予算の配分を行ったところです。

3 平成23年度の主な取組み

(1)個性を活かした交流の拡大

長崎には、歴史や文化、景観など個性あふれる地域資源がたくさんあります。これらを最大限に活かし、その魅力を広く世界に発信することにより、交流の拡大と地域経済の浮揚につなげます。
まず、国際観光の振興に取り組みます。昨年度策定した「長崎市アジア・国際観光戦略」と3ヵ年のアクションプランに基づき、外国人観光客が快適に観光を楽しむためのサービス・受入環境の充実、長崎県とも連携した情報発信の強化、誘致・セールス活動等に積極的に取り組んでいきます。
また、7月に予定されている上海航路の就航に伴う中国人観光客への対応についても、観光、食、ショッピング、交通などの様々な分野で民間事業者や長崎県とも連携を密にしながら取り組み、まちの活力の創造、経済の活性化につなげていきます。

長崎の海の玄関口である長崎港には、国際クルーズ客船が多数寄港し、世界に向けてますますその存在感を示しています。
すでに、松が枝埠頭は、日本初の10万トン級の大型クルーズ客船が常時接岸可能な岸壁が整備され、また、国際ターミナルビルも竣工しており、今後も、関係機関と連携して港湾機能の充実を図ることにより、長崎港が名実ともに日本一の国際観光港となるよう取り組んでいきます。

一方、長崎の陸の玄関口である長崎駅周辺地区においては、土地区画整理事業とJR長崎本線の連続立体交差事業の早期整備を進め、新たな都市拠点の形成を図っていきます。また、九州新幹線西九州ルートについては、その整備効果を最大限に得られるよう、諫早~長崎間の早期認可・着工の実現に向けて、長崎県をはじめ関係団体の皆様と一体となって引き続き取り組みます。

次に、長崎が誇る歴史や文化・産業遺産については、適切な保存と活用を図ることとしており、世界遺産登録へ向けて引き続き取り組むとともに、国指定重要文化財旧長崎英国領事館の保存整備と高島地区のグラバー別邸跡の遺構調査に着手します。
出島については、筆者部屋など建造物6棟の復元のため、引き続き史跡中央付近の遺構調査を実施し、その結果を基に復元建造物の基本設計に着手します。また、本年は、和蘭商館が平戸から出島に移転して370年の節目の年にあたるため、平戸市と連携を図りながら、オランダ東インド会社をテーマとした企画展を開催します。
さらに、市民一人ひとりが長崎の歴史を共有するために、先史・古代から現代まで全4巻で構成する「新長崎市史」のうち、第2巻近世編を本年度初めて刊行します。
歴史的な文化が色濃く残る「まちなか」においては、新大工方面から大浦方面に至る"まちなか軸"を中心に、景観やデザイン、快適性などの質を高めるとともに、地域や市民活動団体などと連携を図りながら、歩いて楽しいまちづくりを進めます。特に、中島川・寺町エリアでは、眼鏡橋を拠点に中島川、中通り、寺町を回遊できる環境整備や魅力の発信に重点的に取り組みます。
また、長崎の貴重な財産である"町家"の保全・活用を促進するための支援を拡充するとともに、無電柱化の検討をはじめるなど、景観の向上に努めます。

合併地区においては、市町村建設計画に掲げる建設事業等を引き続き推進するとともに、地域資源を活かした交流人口の拡大を図るため、地域活性化に取り組むグループや商工会等と連携して「そとめ焼酎まつり」や「琴海花まつり」、「ながさき半島ごかっさい」などの各種イベントを開催します。また、池島炭鉱を活用した産業観光や、架橋後の伊王島の観光振興に取り組みます。

平成22年は、大河ドラマ「龍馬伝」の効果により、多くの観光客の皆様に長崎を訪れていただきました。この効果を一過性のものとしないため、武田鉄矢氏を名誉館長に迎えた亀山社中記念館において、高知の「龍馬が生まれたまち記念館」などとの連携により、龍馬や志士達の希望の地・長崎の魅力を全国に向けて継続的に発信し定着を図ります。
さらに、長崎歴史文化博物館では、幕末・維新期に長崎が果たした役割やその価値を改めて発信するため、常設展示をリニューアルします。併せて、辛亥革命を導いた孫文と、生涯をかけて孫文を支えた長崎出身の梅屋庄吉をテーマに、特別展「(仮称)孫文・梅屋庄吉と長崎」を長崎県と連携して開催します。
游学のまちづくりでは、これまで長崎大学が学生と地域との連携を深め、学生の人間的成長を促すための活動として行ってきた「やってみゅーでスク」の学生ボランティア活動を、長崎地域の7つの大学・短大に拡大し、長崎で学ぶ魅力を高めます。

長崎さるく博'06から5周年という節目の年を迎える「長崎さるく」については、新たな段階に進むべき時期に入っており、民間事業者との連携を一層深め、長崎の旬の食材や物産、宿泊とまち歩き観光を結び付けるなど、更なる進化を図ります。
また、宿泊・滞在型観光の推進については、長崎の夜景をより楽しんでいただくため、稲佐山展望台とゴンドラをリニューアルするとともに、稲佐山や新たな夜景スポットであるココウォークの観覧車・女神大橋を周遊する夜景観賞バス運行の実証実験を実施します。
このほか、長崎ペンギン水族館では、老朽化したバーチャルシアターに、鮮明で迫力のある映像と多彩なストーリー展開を楽しめる最新の3D映像技術を導入することで、施設の魅力を高めます。

(2)平和の発信と世界への貢献

長崎から平和な世界を築いていくという認識のもと、原爆被爆都市として被爆体験を継承し、核兵器廃絶と平和を希求する強い意志を発信し、国際世論を形成していくことで世界平和に貢献します。

平成23年度は、スイスのジュネーブに設置されている国連欧州本部において、国連や外務省、広島市と連携して、被爆資料等の常設展示を行うことで、世界へ被爆の実相を伝え、核兵器廃絶と平和をアピールします。
また、海外で原爆映画の上映など平和の発信に取り組んでいる方々を認定している「長崎平和特派員」について、活動の支援や特派員間の交流を図ることにより、平和ネットワークを一層充実します。
さらに、「市民友好都市」提携を推進するため、国連欧州本部訪問の機会を捉え、シーボルトゆかりの地であり、長崎大学と現地大学間の交流もあるオランダのライデン市を訪問し友好を深めます。

(3)地域経済の活力の創造

長引く景気低迷の影響により、厳しい経済情勢が続くなか、景気や雇用に対する市民の不安は解消されていません。地域経済を支えている地場産業の活性化を図り、雇用の場の確保・拡大によって、市民の不安を払しょくし、まちの活力を高めていきます。
このため、「船」「食」「観光」を核とした「第二次長崎市経済成長戦略」を新たに策定し、更なる経済成長をめざします。
この経済成長戦略を踏まえ、地域経済を支える地場企業の経営力向上の支援として、必要な経営資源である情報、人、資金の提供など総合的な施策を展開します。
まず、情報については、これまでの産業情報支援センターの活動を強化し、関東、関西など大都市圏を対象とした消費者動向調査等を行い、いち早い市場動向の把握と情報提供により、事業者の新製品・新サービスの開発につなげるなど、市場ニーズに適応した素早い事業展開を支援します。
次に、人については、企業が抱える課題解決のため、各分野における専門家の知識、技術を活用した「企業応援人材活用支援事業」を実施するほか、企業訪問による個別支援を引き続き行い、地場産業全体の経営力向上に取り組みます。

資金面については、厳しい経済状況を踏まえ、平成23年3月までの実施を予定していた中小企業向けの低利で長期返済型の融資制度を、さらに1年間延長し、経営の安定化を図ります。
さらに、地域資源を活かした商品・サービスにより、地域内での消費拡大や域外への販路拡大の取組みに対する支援を強化します。
特に、中国をはじめとした発展著しいアジア諸国への販路開拓・拡大を図る事業者に対し、海外取引に関する市場情報の提供、取引実務の能力向上への支援等を行い、よりアジアへの事業展開が行いやすい環境づくりに努めます。
また、長崎市域全体を「長崎かんぼこ王国」として、製造業者、地元商工業関係者、長崎市等が連携して取り組んでいる水産練り製品ブランド化支援事業において、飲食店、旅館・ホテル等との協働によるPRやイベントにより、域内での消費拡大を図るとともに、域外では、大都市圏での展示会やイベント開催等により、顧客の取り込みを図ります。

商店街を取り巻く環境は、人口減少に加えて大型商業施設の進出、ライフスタイルの多様化、消費マインドの冷え込みなどにより、大変厳しい状況にあります。
このようななか、先日、浜町の「博多大丸長崎店」が、平成23年7月末で営業を終了することが発表されました。このことにより、長崎市の中心市街地の商業に影響が及ぶと考えられることから、今後も長崎県をはじめ関係団体との連携を図りながら、中心市街地の活性化にさらに取り組んでいきます。
併せて、地域の商店街を多くの市民や観光客等に利用していただくことにより、商店街が活性化し、賑わいを取り戻すよう、地域商店街マネージメント支援事業や消費拡大につながる様々な取組みを積極的に推進します。

平成22年10月、九州最大の経済圏でありアジアへの玄関口である福岡市に開設した3市合同アンテナショップ「キトラス」は、予想を超える来店者で賑わっており、今後とも「物産拡大拠点」「食を味わう拠点」「交流と出会いの拠点」として販路開拓や消費拡大及び交流人口の拡大につながるよう努めていきます。
また、長崎独自の食や食文化を和・華・蘭グルメとして紹介する「食さるく」を実施するなど、「食」と「観光」を融合させながら、観光客の誘致を図ります。さらには、「シュガーロード」を構成する長崎街道沿線3県にまたがる10市との更なる連携を深めながら、ホームページの開設や物産展の開催など、長崎街道シュガーロードの魅力を発信する各種事業を展開します。

農業においては、これからの5年、10年の施策の指針となる「農業振興地域整備計画」を策定し、農業に新しい活力を生み出すための道筋をつくります。
また、びわの優良品種「なつたより」や長崎和牛「出島ばらいろ」など地域ブランドの育成を推進するとともに、新規就業者や後継者の育成、農業への企業等の参入を推進します。

水産業では、平成23年度から5ヵ年の水産業の指針となる「第2次長崎市水産振興計画」に基づき、魚のまち長崎の強みを活かした水産業の発展のため、水産資源の管理・回復や漁業経営の安定、漁業者等の収益性アップを目的とした協業化及び新規就業者の育成を推進します。
また、世界的な水産物需要の拡大を背景とした水産物の販路拡大のため、香港・上海への水産物の輸出をさらに促進します。

(4)環境との調和

海や山などの自然環境に恵まれた潤いのある長崎を後世に引き継ぐため、環境負荷の少ない循環型で低炭素な社会の実現に向けて取り組みます。
地球温暖化対策については、短期的な対策はもとより、中長期的な視点からの対策も重要であることから、中長期目標やその達成に向けた温室効果ガスの削減戦略に基づき、総合的かつ計画的に取組みを進めます。
また、市民が主体の地球温暖化対策を進めるため、本年度は、市民が楽しみながら学べるエコライフ・フェスタを、市民ネットワーク「ながさきエコネット」を中心として実施し、環境行動を実践する市民のネットワークを広げていきます。
さらに、近年では、特に幼少期における環境教育・学習が重要度を増しています。そこで、子どもたちが体験を通して環境に対する意欲や関心を持つことができるよう、五感を使った環境体験プログラムの充実を図ります。

長崎市が率先して行う取組みの一環として、公用車への次世代自動車の導入を計画的に進めるとともに、市道の街路灯についても、既存の蛍光灯や水銀灯から、消費電力が少なく寿命が長いLED街路灯への切替えを進めます。
また、平成23年度は、電気自動車やプラグイン・ハイブリッド車などの次世代自動車の普及を促進するため、市内4箇所に電気自動車用の普通充電設備を整備します。

人と自然がふれあう場の一つである「いこいの里」のあぐりの丘地域においては、「農業・食育・自然とのふれあいなど様々な体験や交流の場をつくる」ことをコンセプトとして再整備を行っていますが、本年度は、より市民に親しんでいただくため、複合遊具の増設や、子どもたちが安心して水で遊ぶことができる親水広場の整備に着手します。

(5)安全・安心で快適な暮らしの実現

市民のだれもが安全で安心して暮らすことができ、さらに、地域ごとに都市機能が適正に集約され、道路や情報などのネットワークで結ばれた、効率的で生活しやすい快適なまちとなるよう、住みやすさを重視した取組みを進めます。

地域の消防力の強化については、火災発生時に地域の方が使用しやすい軽量な初期消火用消防ホースの整備拡充や、消防団格納庫の建替えによる施設の充実を図るとともに、地域消防力の担い手である消防団員の確保に努めます。
また、民間の住宅・建築物については、戸建木造住宅の耐震改修工事等に要する費用や民間の学校、病院、老人ホーム等の特定建築物の耐震診断に要する費用の一部助成を行うなど、耐震化の推進に取り組み、安全性の確保を図っていきます。
さらに、平成23年度は老朽危険空き家対策として、除却費に対する助成事業を新たに創設し、経済的な理由で放置されている空き家の除却を促し、安全・安心な住環境づくりに努めます。

市営住宅の整備については、建替事業を進めている大園団地において、第1期工事分の2棟197戸を完成させるとともに、香焼地区の丹馬団地の建替事業に着手します。また、子育て世帯の優先入居を実施し、子どもから高齢者までの三世代交流を促進します。
さらに、民間住宅の質の向上と長寿命化を促進するとともに、地元経済の活性化に資するため、「住宅リフォーム緊急支援事業(ながさき住(す)みよ家(か)リフォーム補助)」を引き続き実施します。

道路整備については、国道499号や野母崎宿線などの幹線道路の整備を進めるとともに、中川鳴滝3号線、江平浜平線などの補助幹線道路の整備を進め、利便性の向上を図ります。
また、油木町西町線が今春開通しますが、西町地区をはじめとする北部地区の道路交通の円滑化を図るため、本路線に接続する虹が丘町西町1号線などの整備を進めます。さらに、西町地区の円滑な道路交通と安全な歩行者環境を確保するため、(仮称)西町地区新設道路の計画に着手します。

現在就航している伊王島・高島並びに池島の離島航路については、本土と地域を結ぶ重要な公共交通機関であり、地域住民の生活に欠かせない移動手段であることから、航路維持のための支援を引き続き行います。

平和公園の松山交差点に接するエントランス部については、歩行者の安全で快適な動線と滞留空間を確保し、併せて高齢者や障害者の方々が祈念像地区へ安全に安心して移動ができるよう、平成24年度の完成に向けて歩道拡幅とエスカレータの整備を進めます。

市有建築物については、市民ニーズに沿った施設の整備や効率的な維持管理への転換、施設の適正管理と有効活用などを図るための公共施設マネジメント計画を策定し、施設の長寿命化や同種施設の統廃合、再配置などを進めます。

(6)ともに支え合い、いきいきと暮らせる地域社会の実現

市民が豊かさや安らぎを得られ、住み続けたいと思う地域で、生涯を通して健康でいきいきと心穏やかに暮らすことができる環境づくりを進めます。

高齢者が暮らしやすいまちにするためには、高齢者と地域とのつながりの希薄化をくい止め、高齢者を地域で支える仕組みを構築する必要があります。
そのために、一人暮らし高齢者世帯の実態調査や高齢者サロンの開設等により、これまで以上に孤立化の防止を図りながら、一人ひとりに応じて適切な介護・医療・福祉などのサービスを一体的に提供する地域包括ケア体制の構築をめざします。
また、地域の方々のネットワークにより高齢者の見守りを行っている高島地区において、その活動拠点となる交流の場を整備することにより、高齢者が安心して元気に暮らせる環境づくりに努めます。

子どもや子育て家庭を応援する取組みについては、行政のサービスだけでなく、市民や企業の活動にまで広がりを見せています。その多種多様なサービスを一元化し、わかりやすく、効果的に情報提供するためのホームページと携帯サイトを開設します。
子育て家庭が気軽に集まり、遊びや相談、情報交換などを行う場の充実を図るため、平成24年2月に完成する東部地区公共施設内に子育て支援センターを開設するとともに、滑石児童館を活用して親子ふれあいひろば事業を実施します。

ニーズが年々高まっている放課後児童クラブについては、未設置校区の解消に努めるとともに、大規模化した児童クラブの規模適正化、狭隘施設の解消を図るための施設整備を計画的に進めます。
また、私立幼稚園の預かり保育を利用している保護者の負担軽減を図るため、保育料の補助要件を緩和します。

障害者の就労については、自立支援の大きな柱の一つとして、福祉的就労と一般就労の両面から様々な取組みを進めています。とりわけ、障害のある人が、その人の意欲に応じて自立した地域生活を送れるよう、一般就労への支援を強化する必要があります。そこで、企業訪問を通して広く障害者雇用を開拓する専任職員を新たに配置し、関係機関との連携により一般就労を進める態勢を整え、雇用機会の創出に力を注ぎます。

人権侵害への対応については、男女共同参画推進センターの従来の相談窓口に、新たに配偶者暴力相談支援センターとしての位置づけを加え、近年増加傾向にある配偶者からの暴力、いわゆるDVの被害者支援の充実を図ります。
また、子どもへの虐待に対しては、相談体制の充実や関係機関との連携強化を図り、より適切な支援を行います。

健康づくりでは、新たにがん検診の受診対象となる方に対して、個別に受診案内を通知し受診率の向上に努めるとともに、平成23年1月4日から開始した子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンの無料接種を引き続き実施し、女性や乳幼児の疾病予防に努めます。

地域医療では、がんや難病に関する相談などの「医療支援機能」及び福祉・保健全般に関する相談などの「包括支援機能」を併せ持つワンストップ型の総合相談窓口として、「長崎市包括ケアまちんなかラウンジ」を市内中心部に開設し、病気や障害について不安を抱える方やその家族が、安心して療養の場所を選択し生活ができるよう支援を行います。
また、新市立病院については、本格的な工事に着手するほか、医療過疎地域については、地域住民の命と健康を守るため、引き続き長崎市が責任を持って医療の支援を行うこととしており、野母崎地区においては、市立野母崎病院を有床の診療所に転換します。

被爆者援護については、高齢化した被爆者の立場に立った援護施策の更なる充実を、議員の皆様のお力添えをいただきながら、引き続き強く国に要望していきます。

(7)創造的で豊かな心の育成

次代を担う子どもたちの確かな学力、豊かな心、健やかな体のバランスのとれた生きる力を育むとともに、市民一人ひとりが生涯を通して学び合い、いきいきと成長できる環境づくりを進めます。

学校教育については、平成21年度から取り組んできた学校図書館司書配置モデル事業において、魅力的な図書館づくりがなされ、児童生徒の図書館利用や貸出冊数が増加するなど、読書活動が活発になるとともに、学校図書館を活用した授業づくりが積極的になされるようになりました。このような成果を踏まえ、学校図書館司書配置事業として、平成23年度は18人の司書を配置します。
また、一人ひとりの子どもに応じてきめ細やかに対応し、子どもたちが充実した学校生活を送れるよう、発達障害を含む特別な支援が必要な子どもたちをサポートする特別支援教育支援員を増員するとともに、ひきこもり傾向にある児童生徒に対する自立支援などを行っているメンタルフレンドを必要なすべての学校に派遣します。
さらに、児童生徒を取り巻く様々な問題に対応するスクールソーシャルワーカーを配置し、学校における問題への迅速な対応に努めます。

教育環境の整備については、子どもが安全に安心して学校生活を送ることができるよう、引き続き校舎等の耐震化を推進します。

生涯学習については、学習活動を支援する公民館などの施設や設備の充実を図ることとしており、平成24年2月には、500人規模のホールを併せ持つ東公民館がオープンします。
また、子どもから高齢者までのライフステージに応じた学習機会を充実させるとともに、長崎学、地域のニーズに対応した課題、ボランティア活動などの講座の充実を図ります。
さらに、講座や仕事などを通して習得した経験や能力を基に活動している人材を把握し、その人材を学習活動やボランティア活動に活かすことのできる仕組みを構築し、地域の活性化を図ります。

平成26年に開催予定の「長崎がんばらんば国体」の成功に向けた準備も着実に進めていきます。
まず、大会を盛り上げるためには、多くの市民のサポートが必要であることから、本年度は特に、市民の関心や意識を高めてもらうための様々なPR活動を積極的に行います。
次に、競技の円滑な運営と地元競技者の競技力向上を図るため、かきどまり陸上競技場のスタンドや電光掲示板の改修、照明施設の新設、松山町のラグビーサッカー場の電光掲示板の改修やテニスコートを屋根付きにするための改修工事、市民総合プールの電光掲示板の改修に本格的に着手するなど、環境の整備を進めていきます。
また、活躍が期待されるジュニア層については、競技団体等と一体となって、競技力の向上にさらに取り組んでいくとともに、選手の意識醸成に努めます。

文化芸術面においては、本年度は、チトセピアホールが開館20周年を迎えることから、記念事業として室内楽のコンサートや演劇の公演を開催します。
また、市民の芸術活動の発表の場として親しまれ、60回目を迎える「市民美術展」と「市民演劇祭」については、内容を充実して実施します。
さらに、子どもたちが多様な文化芸術にふれることができる体験教室、市民演奏家の発表の場となる「ラウンジコンサート」など、様々な参加型事業に引き続き取り組み、文化芸術にあふれるまちづくりを進めます。

(8)多様な主体による地域経営

まちづくりの主役は、市民一人ひとりであり、地域や市民活動のなかに本来存在している様々な課題解決能力を活かすために、人や地域のつながりを強くしていく必要があります。また、多様なまちづくりの主体が協働するということに加えて、市役所自体も真に市民の信頼を得なければなりません。
あらゆる施策を展開するうえでの基盤ともなる人づくり、地域づくりに取り組み、将来に向けて活力のあるまちとなるために、地域コミュニティの活性化を促進します。
そのため、今後地域を担う若い世代の人材育成を行うとともに、「長崎市地域福祉計画」の周知や住民座談会の開催などにより、地域での「支え合いの力」をより強くし、地域課題に取り組むための具体的な方策を推進します。
また、協働の担い手である市民活動団体の更なる活性化を図るため、市民活動センター「ランタナ」を交流拠点とした、より一層の活動支援や人材育成、ネットワークづくりなどに努めるとともに、協働を進めるための仕組みの一つである「提案型協働事業」においては、昨年度からの継続を含めた2つの事業を実施します。特に、新規事業では、団塊シニア世代向けに情報誌を発行し、これまで蓄積された豊富な知識や経験を活かして、地域のなかで活躍できるきっかけづくりに取り組みます。
さらに、「市民が主役の魅力的なまちづくり」をテーマに、多くの塾活動を通じて、様々な協働の形を具現化してきた長崎伝習所では、新たな展開として、「まちづくりリーダー」養成の仕組みづくりを行い、この「つながり事業」と従来の「塾事業」とを併せて、2本の柱により「長崎の未来を担う人材」を発掘し育成します。

一方、市民から信頼される市役所をめざし、市民サービスの向上や事務事業の効率化を図るため、職員提案制度である「市役所はってん機構」における見直しや管理監督者への業務改善研修などにより、"改善が当たり前"という職場風土を定着させる取組みを進めます。
また、市民との協働を進めていくためには、職員の協働意識をさらに高める必要があります。常に現場目線を忘れず、地域の一員であることを意識しながら、市民活動のプロデュース、コーディネートができる職員を育成するために、自治会やボランティア団体などの現場を体感する研修や、各種団体などと交流を図る異業種交流研修などを実施します。
さらに、本年度からは、行政改革大綱と財政構造改革プランを一体化した「行財政改革プラン」を策定し実施していきますが、人的・財政的な量の削減と併せて、市民サービスや業務・事業の質的な向上を図ることにも重点を置いていきます。
併せて、外郭団体等については、今後の団体のあり方について検討しているところですが、なかでも長崎衛生公社については、し尿処理事業を将来にわたり安定的に継続する体制を確保するため、財団法人化に向けた具体的な作業に着手します。
そのほか、入札・契約制度については、公共工事のほか業務委託や物品調達の競争入札についても、原則としてすべて制限付一般競争入札とし、透明性・公正性・競争性を高めます。
また、市税等の納付しやすい環境整備の一環として、現在の軽自動車税に加え、コンビニエンスストアで納付できる税目等の拡大に向けた準備を行います。

以上申し述べました方針に基づいて編成した平成23年度予算は、

  • 一般会計 2,142億7,000万円
  • 特別会計 1,060億2,249万6千円
  • 企業会計 568億9,379万8千円
  • 合計 3,771億8,629万4千円

となっております。

長崎市を取り巻く社会経済情勢は、人口問題をはじめとして厳しい状況が今後も予想されています。しかしながら、私たちのまちには、長崎ならではの豊かな資源があります。私たちには、知恵と勇気があります。そして、郷土長崎への愛着と誇りがあります。第四次総合計画のまちづくりの基本姿勢で掲げたように、市民みんなで力を合わせればこの厳しい状況も乗り越え、より良い長崎を創り出すことができるはずです。まさしく、「つながりと創造で新しい長崎へ」という姿勢です。

長崎市が暮らしやすく、魅力的なまちとなるために、第四次総合計画に沿って各施策・事業を着実に推進することが大変重要であると考えていますので、市民の皆様、並びに議員の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げまして、平成23年度施政方針といたします。

お問い合わせ先

企画財政部 都市経営室 

電話番号:095-829-1111

ファックス番号:095-829-1112

住所:〒850-8685 長崎市桜町2-22(本館4階)

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