第1章 おいたち
第2章 原子雲の下
第3章 被爆者救護
第4章 如己堂
第5章 この子を残して
第6章 如己愛人
終章
第1章 おいたち
第2章 原子雲の下
第3章 被爆者救護
第4章 如己堂
第5章 この子を残して
第6章 如己愛人
終章
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第5章 この子を残して
博士には誠一(まこと)と茅乃という二人の子供がいた。子供たちは疎開先で原爆の難をのがれた。
博士は、母親を失いやがて孤児となる二人の運命を案じていた。その思いや愛が、後に数々の名作を生み出す原動力となる。

「一日でも一時間でも長く生きてこの子の孤児となる時をさきに延ばさねばならぬ。一分でも一秒でも死期を遅らしていただいて、この子のさみしがる時間を縮めてやらねばならない。」
(永井隆著「この子を残して」より)

墨を擦って手伝う誠一君
墨を擦って手伝う誠一君

子供たちと一日でも長くいたいという思いが
子供たちと一日でも
長くいたいという思いが

父子三人とマリア像
父子三人とマリア像

診察を受ける博士
博士は自らの身体を
被爆医療に捧げた。

「私が眠ったふりしていると、カヤノは落ち着いて、ほほをくっつけている。ほほは段々あたたかくなった。何か人に知られたくない小さな宝物をこっそり楽しむようにカヤノは小声で、
『お父さん』
といった。それは私を呼んでいるのではなく、この子の小さな胸の奥におしこめられていた思いがかすかに漏れたのであった。」

(永井 隆著「この子を残して」より)

博士の身体は、白血病の影響でヒ蔵が肥大し圧迫による内出血の恐れがあるので、子供たちを近づけることができなかった。


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