文・宮川密義


1.「やっぱり長崎」
(昭和53年=1948、出島ひろし・作詞、村沢良介・作曲、市川勝海・歌)


作詞した出島ひろしさん(時津町在住)によると、「県外に旅して帰るたびに、やはり長崎は素晴らしい街だと知らされることが多い。そこで、“歌の街”のイメージに長崎の魅力を盛り込んでみた」そうです。
歌詞の中の囃子「かんかんのう きゅうれんす…」(※印部分)は明清楽「九連環」(バックナンバー2「明清楽・九連環の軌跡」参照)の替え歌「かんかんのう」をアレンジして挟み、ウキウキするような軽快なリズムで歌われています。
歌った市川勝海(いちかわかつみ)さんは南高国見町出身で、現在は大阪府吹田市で後進の指導に当たっています。


2番に歌われた大浦天主堂


2.「長崎熱」
(平成4年=1992年、松原一成・作詞、大鋳武則・作曲、ZINM・歌)


前回の「名所名物の歌(中)」の最後に紹介した「しっぽくパラダイス」と共に、ZINM(ジンム)のCDアルバム「長崎熱」に収められた14曲の中の1曲です。
昭和63年(1988)に発表されNHKテレビのシリーズ放映で長崎市民に浸透した後、平成2年に開かれた長崎旅博覧会のキャンペーンソングにもなった「みんな長崎を愛してる」の続編的な歌。
アルバムのタイトルと同じ曲名ですが、長崎の名所、名物、行事を並べて「長崎は人が元気に燃える街」と歌い上げる“長崎讃歌”です。


思案橋にともされたガス灯


3.「丸山甚句」
(平成16年=2004、新内枝幸太夫・作詞、作曲、歌)


京都を中心に全国各地に出向いて指導している新内弥栄派の家元、新内枝幸太夫(しんないしこうだゆう)さんが自ら作詞、作曲して吹き込み、テープで発表した歌です。
枝幸太夫さんは京都出身で55歳。古典新内を大切にしながら、落語と新内の掛け合いや色々なジャンルの人々とのジョイント・コンサート、自身作曲の新作新内を始め様々な作品に挑戦中で、「歌謡曲も新内も歌う心は一つ」と考え、オリジナル演歌もリリースしています。
長崎でも稽古場を設けて定期的に指導しており、この歌は長崎の、特に丸山、思案橋あたりの情緒を、新内調にしっとりと歌っています。



情緒たっぷりの丸山「花月」裏通り


4.「長崎ぐるっとグルメぐり!」
(平成16年=2004、金子裕則・作詞、河村仙兵衛・作曲、OTOGI・歌)




長崎で活躍する金子裕則さんと河村仙兵衛さんが平成15年2月に「OTOGI〜音戯」を結成、さらに「シャーロック・レコード」も立ち上げ、平成16年4月にアジア、長崎をテーマにした歌を2枚のCDで発表しました。
長崎をテーマにしたCDには、異国情緒豊かな長崎の名所を散りばめた「長崎ボヘミアン」と、県産品を紹介する軽快な数え歌「長崎ぐるっとグルメぐり!」を収録しています。
長崎県内の食べ物や特産物を取り入れた歌は多く出ていますが、特産品をこれほど網羅した歌はほかに見当たりません。
中国出身の胡弓奏者、シー・チーさんの演奏もこの歌を魅力的なものに仕立てています。


CDの表紙


5.「長崎まつり」
(平成16年=2004、林田絹枝・作詞、寺井一通・作曲、弥永加代・歌)


長崎を中心に活躍するシンガー・ソングライター、寺井一通(てらいかずみち)さん(バックナンバー35「続原爆・平和の歌(下)」参照)が制作した「長・崎・歌・百・景」第4集に納められた中の1曲です。
作詞は長崎市内の主婦の林田絹枝(はやしだきぬえ)さん。林田さんは寺井さんの作曲で「長崎哀歌(えれじい)」「長崎美味(おいし)」を出しており、3曲目に当たるこの歌には名物行事を通じて、長崎の四季が描かれています。
「長・崎・歌・百・景」は、音楽生活30数年の寺井さんが以前から温めていた企画で、「長崎にはアピールすべき文化、歴史が日常的に存在する。長崎をテーマにした歌を創作し、長崎の人の声でCDに…」との願いを込めたものです。
平成13年に第1集を出して以来、県内各地にエリアを広げて、ふるさとの歌作りを続けています。



ランタン祭りでにぎわう
新地中華街の入口


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