クジラと付き合われてもう何年になられますか?
日野さん「クジラを商売として扱うようになったのは、日野商店に入ってからなので、55年くらいですが、小さい頃からクジラは身近にあった食べ物だったんですね。長崎ではお正月には必ずクジラ料理がでてきますからね。
私は子どもの頃は母方の祖母に育てられたもので、一緒に買い物に行くと、祖母が店の人に「今日のクジラはイワシクジラね。こいは硬かと?柔らかかと?」と聞いていたのを覚えています。長崎の昔の主婦は、クジラの種類を見分けることができたんですね。すばらしいことですよ。」
長崎の人が特に好むクジラの部位ってあるのですか?
日野さん「長崎の人は江戸時代からクジラを食べていたからおいしいところを知っていますよ。特に好んで食べるのは「ウネス」の「ウネ」ですよ。クジラのベーコンは白い部位と赤い部位があって、白いところが「ウネ」、赤いところが「スノコ」です。これを一緒にして「ウネス」といいます。長崎市内の人は「ウネス」から硬い「スノコ」をはずした「ウネ」だけを食べるんです。五島の人もそうですよ。「スノコ」のところしか食べない地域もあるんですから、クジラの食文化はおもしろいですよ。」
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