六角道

お宝認識度★☆☆☆☆


■DATA■
年代/昭和40年代誕生
鑑賞条件/年中24時間無料鑑賞可能
場所/上西山町〜立山1丁目〜西山町1丁目



道路に大木? それが普通?
お諏訪さんも見守る上級者用道路

古くから親しみを込め「諏訪の杜(もり)」と称される諏訪神社。この「杜(ト)」という字、中国古来の意味では山野に自生するヤマナシやコリンゴといった落葉果樹を指す字だが、日本で「杜」といえば、神社の「鎮守の森」、「ご神木」を意味する。また、同じ「もり」でも、樹木が育ちはぐくむ天然の「森」に対して、人が生活を営む上での心のよりどころとして、環境に深く配慮し整備した自然を意味するのが「杜」なのだそうだ。
市民の憩いの場であるこの「諏訪の杜」を構成しているのは、諏訪神社拝殿から西側へ続く長崎公園と、公園を包み込むように繁った樹齢700〜800年の大クス群。山道も整備され、散策路として市民に利用されている。この公園の下手、日本銀行長崎支店から長崎県立図書館横を通り立山公園へと上がる急斜面の坂道が、今から約30年前に舗装道路となった通称“六角道(ろっかくどう)”だ。この名称は、坂を上ると右側に屋根が六角形をした東屋があるからとも、カーブが6つあるからともいわれている。また、下から見ると霞のようにユラユラしているところから“かすみ道(かすみじ)”と呼ぶ人もいるとか。道路の真ん中にはクスの大木が7本鎮座。はじめて通る人はさぞ驚くに違いない。実はかつて、ここは大きなクスノキがそびえる諏訪神社の鎮守の森の一部で、木々の間には苔むした石段があった。立山公園が長崎中学校になり、さらにその上の山上に長崎東高校ができるとあって、長崎市はこの急斜面に車道をつくったのだ。その際問題となったのがこれら大木の存在。どうしても計画した道路上にクスノキがひっかかる。樹齢数百年を誇るこれらのクスノキは、人間に畏敬の念を与える諏訪神社の大事なご神木。市の工事関係者も簡単に切ってしまうということはできなかった。結果、このような状態に……。
道路の真ん中に大木があるのではなく、ご神木がそびえる公園の中に道路が通っている、というのが正解! このクスノキをうまく交わしながら、急な坂道を上り下り。前方から車がくることは想定済みで、急カーブでも難なくスイスイ! いやぁ、長崎人ってやっぱり運転うまいわァ! 一番狭い所は、その幅1.7m程で大型車は通行不可能。他県の人にはさぞかしありえない道なのだろうなぁ。別に右側の広めの方を通っても違反ではないので、ゆっくり、チャレンジするのもいい経験かも? ただし、ご神木を傷つけてまでも無理矢理通るのはNG!
危険いっぱいの道だからこそ、誰もが安全運転を心がけているのか、道路建設時から現在まで大事故がなく、交通事故による死者もでていないという。これもお諏訪さんのご利益なのか? 鎮守の森であった「諏訪の杜」は、まさしく長崎のお宝! これからも大事に守って行こう。

■ご神木と車
図書館脇から上った最初のご神木の両脇を、慣れたハンドルさばきで通り抜けて行く車。


■眺望も抜群
立山から下る際には、長崎港が見下ろせる絶景ポイントもあり!

 
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