ぎん吉

お宝認識度
☆☆☆

■DATA■
飼育期間/昭和37年〜平成14年(1962〜2002)
鑑賞条件/長崎ペンギン水族館、入館者もれなく
場所/長崎ペンギン水族館(長崎市宿町3-16)
長崎ペンギン水族館 公式HP http://www.city.nagasaki.lg.jp/penguin/



違う生き物を愛する心を教わった
いつまでも君は長崎市民のアイドル!

平成14年2月11日。彼が老衰のために亡くなったあの日、近所の幼稚園生が大泣きしている姿がニュースで流れた。そしてまたそのニュースを知り、かつて子どもだった多くの大人達も涙した。彼の名はぎん吉。現:長崎ペンギン水族館の前身である旧長崎水族館時代から市民に親しまれ、愛されてきた世界最長飼育記録を持つキングペンギンだ! 現在ははく製となって、入館してすぐのペンギンプール正面で入館者を出迎えるのが彼の役目となっている。
ぎん吉が生きた年数は、この地で39年9ヶ月と15日間。しかし、遥か南氷洋からここに辿り着くまでの経過を考慮すると41歳以上の年齢だったと考えられている。ペンギンは地球規模で自然環境の良否を計る指標生物の代表的な生物とされているそうで、これまでキングペンギンの平均寿命は15〜20年といわれてきた。もちろんこれは野生ペンギンの平均。つまり飼育されたぎん吉の寿命はこの倍を越える驚くべき記録だったことになる。ペンギンが長崎にやって来たのには、かねてより長崎県が全国有数の水産基地であり、ぎん吉が彼ら、海の男達の手によって仲間12羽と共に遠く南半球の氷の海から開館まもない旧長崎水族館へと運ばれた。その時代からペンギン達はずっと長崎の子ども達のアイドルで、愛くるしい風貌と人懐っこい動作に誰もがメロメロ。ペンギンの檻の前を離れたくないと駄々をこねる子どもを目にすることも多かった。
■ペペ
平成19年9月に満30歳となったぎん吉の愛娘・ペペ。
それにしても、野生では20年程度の寿命のキングペンギンが、こんなに長生きしたのはなぜだろう? 若い頃はひたすら元気で攻撃的だったぎん吉も、年を重ねるごとに性格もまるくなり、人間と同様に衰えたそうだ。目は白内障を患い見えにくく、大好物のアジが丸ごと飲み込めない。そんな彼を支えたのは、その時々に事細かなケアを行う飼育担当者の深い愛情と、ぎん吉に会いに訪れる老若男女、多くの長崎市民の支援だった。日本でもペンギンの繁殖の先駆けとして知られ、繁殖・?飼育技術は海外の文献に「長崎方式」として掲載される実績を持つペンギン水族館では、これまでに6種類のペンギンの繁殖に成功。現在いる148羽のペンギンのうち、なんと約7割がここで繁殖したペンギンだ。今日も愛らしい姿で歩き回る、くちばしが長く、首から胸元にかけて黄色い羽毛が特徴のキングペンギン。この中に、ぎん吉の長女・ペペがいる。この地で生まれ育ったペペも、昨年9月に満30歳も迎え、だいぶ衰えが見られるようになったそうだ。多くの人々の愛情に包まれ生き抜いた、長崎の宝・ぎん吉の記録を塗り替えてもらうためにも、市民もまた飼育員の方々に負けない愛情を注いでいきたいものだ。


■長崎ペンギン水族館
現在、飼育されているペンギン8種類(ケープペンギン、フンボルトペンギン、マゼランペンギン、キングペンギン、ジェンツーペンギン、マカロニペンギン、イワトビペンギン、コガタペンギン)をはじめ、長崎沿岸に生息する多くの魚などに出会える水族館ゾーンに加え、森に囲まれた池や川、静かな海浜からのアプローチに見られる多様な動植物と触れ合える自然体験ゾーンで構成。敷地全体において自然を満喫できる。

 
 
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