有平糖(アルヘイトウ)

「有平糖」はカステラと同じように、ポルトガルから伝えられた南蛮菓子のひとつです。長崎っ子にとって小さい頃から聞き慣れた言葉、アルヘイトウはポルトガル語で砂糖菓子という意味だそうです。砂糖に水飴を加えて煮詰め、冷やして棒状にしたり、花や果実を模ったりしたものですが、紅白の千代結びは誰もが知っている有平糖です。

この独特の飴細工は長崎では細工菓子と呼ばれ、その細工は飴でできているとはとても思えないほど精巧ですばらしいものです。おくんちの庭見せの飾りや結婚式のお祝いなど長崎の歳事には欠かせない装飾菓子となりました。長崎には菓子作りに欠かせない白砂糖が大量に入ってきていたからこそできたお菓子といえます。  

この有平糖から生まれたのが「金平糖」です。これもポルトガルから伝えられたもので、宣教師がハッカの種を入れて喉の薬にしていたという話もあります。ルイス・フロイスが献上し、織田信長が最初に食べた南蛮菓子として有名ですが、当時から色とりどりの愛らしいお菓子でした。しかし、金平糖はあくまでも駄菓子として扱われたようです。

一方、細工菓子の技術はさらに改良が加えられ、雲平(うんぺい)糖と融合させ、長崎独自の技法「ぬくめ細工」として発達しました。庭見せに飾られた大黒様と恵比寿様の細工はおなじみのものですが、野菜や果実など用途に応じて精巧なものが作られています。10月3日の庭見せで「有平糖」「ぬくめ細工」のすばらしさを実感してください。

大黒様と恵比寿様の細工



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