TEL095(820)3328 南山手町3-17
開館時間 9:00〜17:00
入館料 一般100円 / 小中学生50円
休館 / 月曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12月29日〜1月3日)
駐車場 / なし


●JR長崎駅からのアクセス
路面電車 / 長崎駅前から正覚寺下行きに乗車し、築町電停で反対側線路へ渡り石橋行きに乗り換える。その際、料金を支払い乗り換え券を貰い大浦天主堂下で下車、徒歩7分。
バス / バス停長崎駅前東口からダイヤランド・野母崎方面行きに乗車し、グラバー園下で下車、徒歩3分。
車 / 長崎駅前から約8分。



日本を代表する画家
長崎出身、須加五々道


大正2年(1913)、長崎風景のシンボルの一つである稲佐山の麓にあたる旭町に生まれた須加五々道画伯。
長いヨーロッパ生活と中国をはじめとする世界各国への度々の歴訪によって、「画材、技法、表現の相違はあっても絵画としての途はひとつである」ことを確信。
世界に通用する新しい絵画の創造を目指して活動されてきた。
また、横浜市を拠点とした美術団体「墨瓔会(ぼくようかい)」を設立し、自身の作品を発表すると共に、後進の指導、育成にも力を注いでおられる。

さて、須加五々道画伯の世界とはいったいどんなものなのか……探検隊いざ潜入!



19点の作品が放つ不思議な力は
画伯が追求した「究極の美」


明治中期の洋風住宅「伝統的建造物 南山手乙9番館」を利用した須加五々道美術館。
平成14年10月31日のオープニングセレモニーは、画伯自身も出席され盛大に行われた。



現在の展示作品は19点。
1階には本画(原画)が、2階には原画を忠実に複製した石版画・リトグラフが展示されている。
まず1階展示室で出迎えてくれたのは、須加五々道画伯の彫像だった。
帽子は画伯自身が被せたものだとか。
何だか茶目っ気のある方のようだ。


西欧でも高く評価される画伯の作品は、海外で多くの賞を受賞している。
海外の人々の心を惹きつける魅力っていったい何なのだろうか? 
それはきっと「究極の美」を感じさせる日本ならではの四季の移ろい、自然美、静寂……。
日本人だけに通じる「美」ではない「究極の美」。
世界に通用する新しい絵画の創造を目指してきた画伯ならではの結果なのだろう。



おすすめチェックポイントベスト3

1. 「新日本画」と呼ばれる独特の画風

世界各国の歴訪経験からかたち付けられた画伯の画風は、水墨画の技術を基調に、西洋美術の遠近法を融合させた独特のもので「新日本画」と呼ばれている。
鮮やかな色彩と光と影の調和をはかった作品群は、繊細に描かれているにも関わらず圧倒的な力を放っている。

海外芸術交流協会イタリア本部最高賞
(2000)を受賞した「緑翠」

「彩梢」


世界40ヶ国のアーチスト出品展においてフランセーズ大賞(1999)を受賞した「農婦」


リアリティ・ラフ


長崎・多良見の山林を描いた作品もある。



〈多良見の山林を描いた作品〉


2. 画伯特有の「みせる」こだわり

実際にその目で観て、この洋館を自身の美術館にと決めたという須加五々道画伯。
以前の版画展示館から須加五々道美術館へと衣替えするにあたって、画伯の要望により室内の壁の色を塗り替えたんだとか。
この色合いが画伯のお好みという訳だ。


そして作品を囲むマット紙と額は全て統一されていることにも注目。


紺系の落ち着いたマット紙とライトに照らされ金色に輝く額縁。
この組み合わせが須加作品ととても調和している。
それからアレンジされた造花のディスプレイも画伯自身から「この場所に」と送られてきたものらしい。
この美術館の空間全てが、画伯の「みせる」こだわりによって演出されたものばかりなのだ。



3. 建物にも着目してみよう!

美術館に活用されているこの建物は、南山手乙9番館という明治中期に住宅として建てられた木造2階建ての洋風住宅。
往時の柱などをそのまま生かして復元されたもので、建設当時も正面の1階と2階にベランダが造られていた。
建築主は居留地時代に下り松(現在の松が枝)で一般代理店業などいくつかの事業を営んでいたロシア人、G・ナパルコフ。
明治期の洋風建築物の特徴といえるマントルピース(暖炉)の煙突がある屋根にも注目!



海外でも高く評価される須加五々道画伯の「究極の美」を追求した独自の世界に触れると、絵画は万国共通の視覚言語だということを改めて実感させられる。

日本の自然美、情緒、穏やかさ、静けさ……。
日本人であることの喜びをしみじみ味わえる須加五々道の世界へ是非、訪れてみよう。


 

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